「The End of Alzheimer’s Program」 第8章後半 ピラミッドレベル2:自由に楽しむ 「脂肪」

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The End of Alzheimer's Program

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健康的な脂肪

KetoFLEX 12/3ライフスタイルでのルール内であれば、あなたは健康的な脂肪を楽しむことができる。 脂肪は非常に満腹感があり、カロリー的にも密度が高いので、食べ過ぎには注意が必要だ。私たちは、多くの人々にとって脂肪を増やすことが最初は恐ろしいことだということを理解している、そして、医療関係者や政府の食品ガイドラインは、今でも多くの人が脂肪摂取を低く抑えることを推奨している。その考えは、根拠のない勧告[41]につながった証拠の再検討に基づいて、ゆっくりと方向転換しつつある。

最も重要なことは、健康的な脂肪はケトン体の産生を促進することで、アルツハイマー病に伴う神経の燃料不足を相殺するのに役立つということだ。健康的な脂肪と、抗酸化物質が豊富な植物性の低炭水化物食にファスティングや運動を組み合わせることで、食事だけの制限よりも簡単にケトン体を増加させることができる。

健康的な脂肪を多く含む食事は、炭水化物を多く含む食事よりも、グルコース指標をより効果的に最適化する。100以上の論文からなる最近のメタアナリシス(複数の研究のレビュー)では、炭水化物を不飽和脂肪に置き換えると、グルコース指標が有意に改善されることがわかった。

ただし、炭水化物と飽和脂肪を減らすだけでは十分ではなかった。オリーブオイル、アボカド、脂肪分の多い魚、ナッツ類、種子などの不飽和脂肪を多く含む健康的な植物性オイルで置き換えた場合にのみ、有意なグルコース改善が示された。

一価不飽和脂肪または多価不飽和脂肪のエネルギーが5%増加するごとに、A1cは0.1%改善した。それは多きな数字には思えないかもしれないが、著者らは、ヘモグロビンA1cの0.1パーセントの減少は、心血管疾患を22%、2型糖尿病の発生率を7%減少させることができると推定している[42]。

いくつかの研究では脂肪の摂取は、ApoE4キャリアであっても、認知機能の改善に関与する地中海の食事の構成要素となることが実証されている。地中海ダイエットの研究では、低脂肪バージョンに対する高脂肪(オリーブオイルとナッツ)バージョンと比較した研究では、高脂肪の方が認知機能が優れていることがわかった[43]。また、半数の高齢者がエクストラバージンオリーブオイル(EVOO)を30グラム(大さじ2杯)摂取した。より高い食物脂肪を摂取したグループでは、認知力に有意な改善が見られた。

脳は約60~70%が脂肪である。脂肪は、神経細胞、ミトコンドリア膜、ミエリン鞘(神経伝導のための絶縁体)などを支える役割を果たしている。私たちが摂取する脂肪の質が、これらの構造体の機能性に寄与している[46]。

脂肪には主に4つのタイプがある。ほとんどの食品には混合物が含まれているが、一般的にはその中の1種類の脂肪が優勢である)。

一価不飽和脂肪酸(MUFAs)

アボカド、オリーブ、オリーブオイル、ナッツ、種子

多価不飽和脂肪酸(PUFAs)

オメガ3

  • エイコサペンタエン酸(EPA、ドコサヘキサエン酸(DHA):藻類、オキアミ、冷水性脂肪魚
  • α-リノレン酸(ALA):クルミ、亜麻仁、キアシード、ペリラオイル、ヘンプシード、大豆。

オメガ6:ナッツや種子から得られる油

飽和脂肪酸(SFA)

肉や乳製品を含む動物性脂肪、ココナッツ、MCTオイル

トランス脂肪*

マーガリン、ショートニング、その他の保存可能な製品(クッキー、ケーキ、クラッカー、チップス、電子レンジで加熱したポップコーン、クリーマー)、および揚げ物(フライドポテト、ドーナツ、およびほとんどのレストランの揚げ物。

*食品メーカーは、1食あたり0.5グラムまでのトランス脂肪を含んでいても、ラベルにトランス脂肪0と表示することができる。何度も食べれば増えることもある。

トランス脂肪と工業化された水素添加植物油や種子油は、ここでは唯一の明確な悪魔である。植物性の一価不飽和脂肪、オメガ3、飽和脂肪を優先的に摂るようにしよう。これらの脂肪は、適切な状況下で(加工方法、調達先、低炭水化物、高繊維質の摂取量、オメガ6とオメガ3の比率にもよるが)、食事のかなりの部分(カロリー的に)を占めることができ、健康的な代謝プロファイルを実現することができる。

飽和度の高い脂肪ほど安定しており、酸化や腐りにくくなる。しかし、毒素が脂肪に蓄積されて蓄積されることもあり、動物性脂肪の摂取量は限定することが推奨される[47] 。[48] ApoE4キャリアは、食事性脂肪を過剰に吸収する傾向があり、コレステロールの上昇につながる。十分な注意を払って、飽和脂肪酸を制限し、オリーブオイル、ナッツ、種子、アボカド、脂肪の多い魚などのMUFAやPUFAを優先することをお勧めする。(このトピックについての詳細は第8章を参照してほしい)。

 

オメガ3とオメガ6は必須のPUFAであり、体内で合成することができないため、食事から摂取する必要がある。オメガ3は抗炎症作用があり、オメガ6は炎症誘発作用がある。先祖代々のオメガ6とオメガ3の比率は1:1に近かったのに対し、今日のアメリカの標準的な食生活(SAD)では、オメガ6とオメガ3の比率が25:1と高くなっている[50]

先祖代々のオメガ6とオメガ3の比率を1:1にすることは現代ではほとんど不可能である。4:1 以下の比率を目標に、0.5:1 までは下げないようにすることをお勧めする。出血傾向のある方や脳卒中の家族歴のある方(特にApoE4ホモ接合体の男性)は、第12章のこのページの警告を参照してほしい。

抗炎症作用を高めるためには、不健康なオメガ6系の植物油をすべて排除し、健康的なオメガ3系の脂肪を増やすことをお勧めする。

熱を加えたり、化学的に抽出したりして加工された油脂は避けよう。コールドプレス加工された油脂を選ぶようにしよう。エクストラバージンオリーブオイル、アルガルオイル、アボカドオイルなどの 不飽和油の容器は濃いガラス製のものが良いであろう。


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お寄せ頂いた質問

役に立った、印象深かったところ

  •  年齢を重ねるにつれて高コレステロールは神経保護効果があるとのこと。
    高コレステロールはあまり気にしなくてもいいのだと思った。
    先日の読書会では細かいサイズのコレステロールが脳には害があると聞いたので
    コレステロールの粒の大きさを大きくする方法を知りたいです。
sd-LDLレベル、LDL粒子数、LDL粒子径に対する栄養補助食品と天然物の有益な効果:臨床レビュー
The beneficial effects of nutraceuticals and natural products on small dense LDL levels, LDL particle number and LDL particle size: a clinic
  • 心筋梗塞で「ピンピンコロリ」と死ぬのが夢なので、心臓にリスクがあっても脳を守りたいと思いました。
  • 改めて、良質な脂質の摂取を心がけようと思いました。体重増加を狙い、高脂肪食にしたいのですが、下痢や糖代謝などの他への作用や症状が気になります。
  •  今回、ゴマ油を加熱料理に使えるということが1番嬉しい情報でした。料理の幅が広がります。
  •  適切な脂質がA1c改善に繋がるというところ
  • コーヒーの利点に希望が持てました。
  • 良質な脂肪を多く摂取しようという前向きな気持ちになれました
  • 各食品に良し悪しが有り、その組み合わせと、更に体質・体調も組み合わせて良し悪しを判断するのは大変だと思いました。コレステロールすら単純に悪ではないようで、研究が進むほど複雑になる一方なのは、実践する方としては悩ましい所です。
    本書は冒頭で「リコード方は21世紀のワクチン」と書かれてますが、こうした生活のサポートが医学の正式な役割と言う思いも込められているのかなと思いました。ヘルスコーチのような専門職の必要性も、前著を読んだ時より感じられるようになったと思います。
    とにかく内容を整理して順を追って考えられるようにしたいと思います。
  •  ごま油が体に良い!

よく理解できなかった、疑問に思ったところ

穀物摂取はまだやめられていないのですが(朝食、昼食)その状態で良質な脂肪を増やしていっても大丈夫でしょうか?

穀物やその他の食事のカロリーを減らさずに脂質を増やすということでしょうか?

ナッツや種子は良いが、それらの油は推奨されない、という理解でよろしいですか?
工業用種子油はいかにして私たちを病気にしているか
How Industrial Seed Oils Are Making Us Sick クリス・クレッサー著、M.S. 事実確認済み 専門家は、先進国で慢性疾患の発症率が急速に上昇している原因として、砂糖や飽和脂肪など、いくつかの食生活の原因を挙げていた。しかし、何百万人もの人々
加熱調理には、ココナッツオイルを使用していました。スモークポイントの高いごま油も大丈夫なのですよね?

胡麻油はスモークポイントが高いだけではなく、16種類の大量の抗酸化成分を含んでおり、他の一般的な植物油よりも高い酸化安定性をもっているため、比較的保存性が高く、短時間の加熱であれば影響は最小限に抑制できます。

ただしオイルの酸化に関して述べるなら、温度だけではなく、光や酸素、含まれる抗酸化物質、または酸化物質(銅、鉄)などの影響もあるため、冷蔵庫で密閉して保管しておくことも合わせて重要です。

少し話がずれますがそのため胡麻油を例えばひまわり油に1%添加するだけで、酸化に対して安定化できるようです。ひまわり油はリコード法では推奨されませんが、その他の液体油に対しても胡麻油を少量添加して保存性を高めるという方法が使えるかもしれません。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6133874/

ただし、長期間にわたる胡麻油の大量摂取は、注意したほうが良さそうです。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5587404/

www.sciencedirect.com/science/article/pii/B9780123756886101215

PUFAsは、酸化や腐敗しやすいとありますが、酸化腐敗したものでもメリットはありますか?

「酸化は、代謝物が高濃度にある場合、酸化ストレスや炎症を誘発する可能性がある。低濃度では、代謝物は抗酸化作用を発揮することがある。ω-3とω-6のPUFAの酵素的酸化生成物は、炎症や心臓不整脈に対して相反する効果を示す可能性がある。」

多価不飽和脂肪酸の酸化と食品の品質と健康への影響
Oxidation of Polyunsaturated Fatty Acids and its Impact on Food Quality and Human Health 概要 長年にわたり、前臨床研究と臨床研究の両方が慢性疾患の予防におけるω-3多価不飽和脂肪酸(PUFA
胃腸症状(下痢)の対策として、牛の胆汁?の用法容量を知りたいです。
脂肪をよりよく消化する方法(胆嚢あり&なし)
How to Digest Fats Better, With and Without a Gallbladder デイブ・アスプレイ 多くの人は、脂肪をうまく消化・吸収できておらず、それに気がついていない。 脂肪の吸収不良の問題は一般的に秘密裏に進むので、あなたは食べた脂肪から
コーヒーについて嬉しいニュースが記載されていますが、ホモシステインを下げたい場合は1日どのくらいまで飲んでもいいのでしょうか?

ろ過されていない(フィルターを使っていない)天然のコーヒーを飲む人では、血漿ホモシステインのレベルが9.6から11.4マイクロモル/ lと、大幅に増加したという研究があります。コーヒーの刺激物をへらすと、ホモシステインレベルが低下する傾向にあります。刺激物の内容量によってくるので、フィルターの質やコーヒの種類によってもその量は微妙に変わるかもしれません。

コーヒーの摂取はアルツハイマー病やパーキンソン病のリスクを下げる?文献レビュー
Can coffee consumption lower the risk of Alzheimer’s disease and Parkinson’s disease? A literature review 要旨 社会的に高齢者が着実に増加していることから、精神的な敏捷性を高

健康なボランティアのホモシステイン、ビタミンB6、葉酸値に及ぼす天然コーヒーとその改良型コーヒーの影響の評価

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16708634/

ヘーゼルナッツについて脳萎縮からの保護に有用と書いてあるので ぜひ摂取しようと思いますが、量の制限はどのくらいと考えたらよいですか?

調べた限りでは、ヘーゼルナッツになにか特異的な効能をもつ化合物が見つかったというよりも、既知の知られている様々な抗認知症成分が少量ずつ多様に含まれていることから神経保護性をもつであろうと理解しています。そのことから、ヘーゼルナッツ単体でどれだけというよりも、組み合わせのナッツ総摂取量の中で、ヘーゼルナッツをどれだけ含めるかで考えたほうが良いかと思います。

アルツハイマー病の神経保護に役立つアーモンド、ヘーゼルナッツ、クルミの3つのナッツ:生理活性成分の神経薬...
Almond, hazelnut and walnut, three nuts for neuroprotection in Alzheimer’s disease: a neuropharmacological review of their bioactive constit

60g以上のナッツの摂取、100gでより大きく用量反応的に総コレステロールとLDLを大きく低下させている疫学データが存在することから、(ナッツの組み合わせで)100g摂取していくと脂質へのポジティブな効果を期待できるかもしれません。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26561616/

ヘーゼルナッツのネガティブ要因として、アレルギー反応を除くと、例えば腎臓結石の可能性のあるシュウ酸などが含まれておりシュウ酸はその他の食品にも含まれているため、どう組み合わせるかによってその上限値も決まるかもしれません。シュウ酸の腸内の吸収率は個人でも異なるようです。

総コレステロールは神経保護効果があるとのこと。『真実と終焉』でも「150は超えること」とありますが、最近の検査で数値が252になっていました。さすがにその数値は問題でしょうか。案の定、医師からは治療を要するとの診断でした。以前、スタチンを処方されておりせっかく断薬したところでしたので、別の対処法はないかと悩んでいたところです。

60代と70代の非HDL-C値が低い(120mg/dL)と高い(210mg/dL)人は、中間値(160mg/dL)の人に比べてADのリスクが中程度に高かった。極端な年齢帯(50歳代と80歳代)ではサンプルサイズが小さかった。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30289959/

血漿中のHDLは、多様な構造と生物学的活性を持つ不均一な粒子のグループを構成しており、非常に高いHDL-Cレベルは常にアテロームを保護するものではなく、特定の条件下では、実際には炎症を促進する可能性がある。HDLの機能性は、遺伝的、環境的、および生活習慣的要因に依存しており、いくつかの疾患状態で変更される可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5877920/

アルツハイマー病から見たHDL
HDL from an Alzheimer's disease perspective 要旨 レビューの目的 HDLとアルツハイマー病に関する現在の知見を概観し、HDLの血管保護機能に焦点を当て、アルツハイマー病の血管障害に対するバイオマーカーや治療ターゲットとしての可能性を検討

コレステロールへの対処法は、この記事がよくまとまっています。

コレステロールの管理 ライフエクステンション
Cholesterol Management 1 概要 概要とクイックファクト コレステロール生化学の過小評価されていない側面への新たな研究は、リポタンパク質と呼ばれる血液を介してコレステロールを輸送するために責任を負う分子の特性は、アテローム性動脈硬化症の開発に重要な洞察を提供
そもそもコレステロールの検査は、血糖値のように直近の食事などの影響もあるのでしょうか。

以下の記事によると空腹時に比べ食後(1~6時間)の脂質測定値の差(上昇)の平均値は,中鎖脂肪酸で+26mg/dL総コレステロール-8mg/dLLDL-Cで-8mg/dLnon-HDL-C(TC-HDL-C)で-8mg/dL程度だそうです。

www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=1919

APOE4キャリアで、毎日アボカドオイルを大さじ2〜3杯摂取しています。APOE4キャリアは植物性脂肪を過剰に吸収する傾向があるという部分が気になりました。

植物性脂肪ではなく食事性脂肪(つまり動植物に含まれるあらゆる脂肪)ですよね?吸収が高いため良い脂質を摂取する必要があるという文脈での話かと思います。

すでに回答されていた中で、ごま油を追加すると酸化が安定、保存に良いとのことですが、使っていけない油はやはり使わない方が良いのですよね。

工業種子を使ってはいけないとされているのは酸化の安定性とは異なる複数の理由があり、胡麻油の添加はそれらの解決にはならないため使用は控えておいたほうが良さそうです。

揚げ物が良くないとはわかっていますが、母が唯一まだ作れるのが揚げ物です。料理を作らせたいのでとりあえずEVOOを使ってやってもらっているのですが、揚げ物に良い油はありますか?

入手性とコストを無視するなら、ギーやアボガドオイルで、それらを考慮した庶民の現実的な選択肢としてはRBDココナッツオイル一択ではないかと思います。

  • 一つ一つの項目は理解できてる気がしますが、複雑なので全体の咀嚼が大変です。
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