Never stop learning because life never stops teaching.
—EMMILY VARA
学ぶことをやめてはいけない、なぜなら人生は教えることをやめないから
-エミリィ・ヴァラ
はじめに
かつて科学者は、脳の機能は一度失われると取り返しのつかないものだと考えられてた。神経可塑性の研究が爆発的に広まり、現在ではそうではないことが証明されている。
私たちの脳は、社会的刺激や精神的刺激に反応したり、外傷や怪我から回復したりする際に、生涯を通じて新しいニューロンを成長させ続けている1。これは正常な脳機能を理解する上で重要な発見であるだけでなく、このプロセスの乱れが神経疾患につながることを理解する上でも重要な発見であった2。
脳の成長と適応能力は神経可塑性と呼ばれている5 。運動をやめると筋肉は萎縮する。脳は筋肉ではないが同じ原理が当てはまる。私たちの脳に挑戦させることは、成長の機会を与えてくれる。私たちの日々の思考、習慣、動作などは、このプロセスを意識しているかどうかに関わらず、私たちの脳を形成し、再配線する。
それは受動的にも能動的にも起こる。私たちは、社会的には無気力で、刺激のない生活を送ると、脳は時間の経過とともに萎縮していく。逆に、社会的に豊かで刺激的な生活を送れば、脳を守ることができる6 。これまでの証拠は病気や外傷によって神経変性が起こった後も、意識的に脳を癒し、強化することを選択できることが示唆されている7 。
あなたはあなたの運命の支配者であり、あなたはあなたの脳のキャプテンである。社会的な交流の強さと幅の広さは、老後の健康状態や寿命に大きな影響を与える。研究によると、社会的なつながりが強い人は、社会的ネットワークが弱い人に比べて、死亡する可能性が50%低いことがわかっている8 。
社会的なつながりは、健康的な老化のためには、食事、運動、睡眠などの他のリスク要因と同様に重要だ9 。社会的なつながりは主観的な経験であることに注意が必要である。友人や家族が少ない人でも完全に満足していることもあれば、より広い支援の輪があっても孤独を感じることもある。あなたのその経験を彩るのはあなたの認識だ。
孤独感
孤独感や孤立感を感じているかどうかを確認してみよう。あなたが病気になったとき、財政危機に陥ったとき、または単にぶらぶらしたいときに呼び出すために誰かを持っているか？もしいなければ、社会的ネットワークを広げるために時間とエネルギーを使いたいと思うかもしれない。部族」を作る能力は、あなたの家族の大きさや地理的な近さとは何の関係もない。一人っ子であること、子供がいないこと、家族と離れて暮らしていることを嘆く必要はない。あなたの人生の中の人々、つまり友人、同僚、隣人は、あなたの部族になることができる。
待つのではなく
毎日接している人たちとつながろう。友情はそうやって生まれる。他の人が自分に手を差し伸べてくれるのを待つのではなく、その人たちに手を差し伸べてみよう。彼らに手を差し伸べてみよう。質問をしてみよう。彼らの生活に興味を持つ。彼らを助けることを申し出てください。ブッククラブや運動教室に参加する。社会的な活動にボランティアとして参加する。共通の目標や興味を持つことで、より強い関係を築くことができる。
実際に会う
ソーシャルメディアを介して接続するのではなく、実際に会うことを優先しよう。統計によると、平均的なアメリカ人は1日に11時間近くもスクリーンに 向かっていることがわかっている11 。社会的結合に強力な役割を果たす「愛情ホルモン」である神経ペプチド・オキシトシンは、実際の人との交流の際に放出される12 。豊かな社会生活を送ることは、認知機能の低下から有意義に保護することができる。
健康グループ
健康的なライフスタイルを促進するような会合を作ろう。ぜひ、他の選択肢を提案してみてほしい。朝のコーヒーを飲んだり、ヘルシーな料理教室に参加したり、ハイキングをしたりするのもいいであろう。これらの活動は、あなたと一緒に健康になるために友人のあなたの既存のグループを奨励するかもしれないし、あなたの新しい目標を共有する友人の新しいセットに向かって自然に漂流する可能性がある。あなたの新しい健康的な生き方を守るためには、あなたがそれを簡単にする人々と自分自身を囲むことが重要である。
友人と一緒に暮らす
志を同じくする友人と同居することを考えてみよう。私たちは、独立した生活や家の所有に関連するすべてのタスクを達成することができなくなると、自動的に家族と一緒に引っ越したり、補助生活施設に引っ越したりすることを検討したくなる。もちろん、これらのどちらも自動的に間違った選択ではない。
しかし、高齢者の増加は、リソースをプールするために共同体の配置で一緒に暮らすことを選択している。テレビ番組「ゴールデン・ガールズ」を想像してみてほしい。チーズケーキの代わりに有機野菜をシェアするという、健康的なひねりを加えたものである。気の合う友人と一緒に暮らすことで、多くの社会的メリットが得られ、機能的な自立度を高めることができる。
人生の目的を見つけよう
あなたの人生は、人生の目的にかかっているかもしれない。研究によると、人生に目的を持つことは、健康と死亡率の両方を強く決定づけることがわかっている。このことは、私たちの寿命全体に当てはまり、どの年齢層にも同じメリットがある。
情熱を持つこと、価値観や原動力となる全体的なセットを持つことは、年齢を重ねるにつれてさらに重要になってくるかもしれない。職場を離れ、日々のスケジュールの中で整理整頓を求める成人は、より大きな目的意識を持つことで最も恩恵を受けることができるかもしれない。
目的意識の強い高齢者は、目的意識の低い人と同じように脳の身体的変化を示すが、 認知テストでははるかに高いスコアを示しているという証拠がある16 。地元の人道社会でボランティア活動をしたり、詩を書いたり、若者の指導にあたったりするのもいいであろう。情熱を持つことは、特に人生の後半に、あなたの健康寿命とあなたの脳を延ばすことができる。
決して学習を停めてしまわないでほしい
教育の量は、認知機能の低下の予測因子として浮上している。これは、「認知予備能」と呼ばれる概念と関係があるかもしれない。これは、認知予備能と呼ばれる概念と関係があるのかもしれない。これは、教育を受ける機会が多い人は、加齢に伴う脳の自然な変化に対して、より回復力があるかもしれないという考えを指している18。
これは、限られた教育を受けていたら破滅するってことだろうか？ 絶対にそうではない！エビデンスは、誰もが人生のすべての段階で学習から認知的利益を得ることができることを示唆している。
19 認知予備脳を構築するには、私たちの現在の考え方のリフレーミングが必要かもしれない。あまりにも多くの場合、新しい技術の設定などの困難な作業に直面したとき、私たちは特に年齢を重ねるにつれて、それを専門家（または若い人）に引き渡したいと思うようになる。
しかし、それはもうやめよう。これらの日常的な課題を、あなたの神経接続を広げ、認知的予備軍を構築するための機会と見なしてほしい。これは、単なる保存（あるいはもっと悪いことに、縮小）思考とは対照的に、年齢を重ねるごとに成長する思考を作り出すことの一部である。積極的にあなたの認知的予備軍を拡大する方法を探してほしい。
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お寄せいただいたコメント
印象的、役に立った箇所
- 学び続けることの重要性。（でもADの治療というよりは文科省
のいうリカレントの印象を持ちました） - アルツハイマー病になっても「目的意識を高く持って、学習を
停めないで、社会的に刺激的な生活を送る」のは理想的ではあるが 、うちの場合はその努力をしていた時期は思い通りにいかず（本人 曰く『能力がついていかず』）いつも苦しんでいた。そして「頑張 ることはやめて、無理のない範囲で楽しめることを楽しむ」生活に 変わりストレスは減ったように見えた。しかしこの章を読んで、脳に挑戦させて再配線させる事が必要なの では、と思った。なるべくストレスのかからない方法を考えなくては。 - クラシック音楽を最近聴いてなかったので、聴こうと思った。
- IMPACT研究で「トレーニングに参加した IMPACT 研究参加者の 4 人のうち 3 人が、買い物リストをメモしなくても覚えられるようになった、騒
がしいレストランでの会話がより鮮明に聞こえるようになった、自 立して自信を持てるようになった、言葉を簡単に見つけられるよう になった、自尊心が向上したなどの改善を報告している」 とありますが、「騒がしいレストランで会話がききとりやすくなっ た」というのは、記憶力とは少し違い、注意のほうだと思いますが 面白いと思いました。（自分も騒がしいところで聞き取れないから なおさら）
フランクルの「夜と霧」でどういう人が最後まで絶望せず収容所で生き残れるのかということを書いていたけれどちょっとそれを思い 出しました。生きる意味を見出せない人は弱いというのは過酷とい えば過酷かな。。
なんとか前向きにがんばろう！という気持ちになりました。ピアノもがんばろっと思いました。 - 私は子供の頃に「脳細胞はある年齢以降は減るだけで増えること
はない」と教わっていた世代なので、そうではないとの研究には希 望を貰えた気がします。
紹介されている脳を鍛える方法は、大別すると「体を動かす」「記憶する」「思考する」「反応する」になるかと思います。満遍なく 含むよう考えながら実践したいと思います。 - アルツハイマーになり、社交的であったのにひとと触れ合おうと
しなくなった。(アルコールをやめ、 会食に参加したくないのもある) 今は、外に出よう！と言っても反発しかない。みな、最初の一歩を どう踏み出しているのだろう。大人の、男性の、仲間作りは難しい 。リコード施設があったらなあ‥ - 元来社交的な人間ではないので、何とか人と会う機会を作りたい
と思った。
社交ダンスを夫婦で習うこと。昔のバンドメンバーで演奏することを来年の目標にしたい。
よく理解できなかった点、批判・疑問点など
楽器演奏は本当に治療に結びつくのか。AD当事者（嫁）を見て
ネスレがブレインHQの日本語版の提供を止めると側聞しました
「週1回のピアノレッスンを数ヶ月間続けて処理速度と流暢さが改
- 余談。。。luｍocityというアプリは認知症予防に効果があ
ると歌って裁判沙汰になり敗訴となった。。らしいですね。Lum ocityとBrainHQは違うのかな？
昔川島隆太とかいう人の脳トレもいろいろ言われてましたね。。まあほどほどに。。 - 推奨項目として『arts (music and dance) 』が挙げられていますが、創作や鑑賞が出来るアートとしては、他
に絵画や彫刻、陶芸など色々有ります。それらの効能に関する研究 も有るでしょうか？
個人的には音楽より美術が趣味なのですが・・・ - スーパーファミコンでのおすすめソフト、何かありませんか？
- 昔のバンドメンバーとネットで演奏できる手段をご存知の方がおら
れたら教えていただきたいです。
関連する体験談・お役立ち情報など
- 読書会の開催にいつも感謝しております。ありがとうございます。都合により今回は参加出来ないと思います。とても残念です。
- 普通に話しかけても反応が鈍い患者が、歌を歌ったりピアノを演奏
した途端、目が輝き注目する事は良く有ります。音楽には脳を刺激 する効果が有ると実感しています。 - iPadでナンプレしてます。ずっと初級しかできなかったのが、
最近中級にチャレンジし解けていたことに驚きました。 - リングフィットアドベンチャーを購入したので試してみたいと思っ
ています。