直感は普遍的な知識から来ることが多い。
-DEBASISH MRIDHA
腸の健康はあらゆる健康プログラムの基礎であり、認知機能の低下に対する治療への重要な機会を提供する。脳と腸は複雑に双方向につながっており、神経保護のための腸内マイクロバイオームの操作を研究している科学的文献は爆発的に増えている。
腸内マイクロバイオームは、私たちの栄養系、免疫系、ホルモン系、神経系の健康的な機能の基礎となっている。これまで何度も述べてきたように、私たちの遺伝子設計の限界と現代社会のストレス要因との間のミスマッチが、私たちの慢性疾患の多くの重要な原因として浮上してきている。
ストレスの多い、座り仕事、過度に衛生的な生活や食事は、砂糖で荒らされ、抗生物質、除草剤、農薬、他の化学物質の暴露と一緒になって栄養素や繊維が不足し、腸とそのマイクロバイオームの組成は壊滅的な状態となっている。
今日の肥満、糖尿病、自己免疫疾患や神経疾患などの慢性疾患の爆発は、腸内マイクロバイオーム.2の機能不全と共通の原因を持っている可能性がある。
あなたがもし、リーキーガット(過度に透過性の腸壁)、バイオシス(消化管内の微生物の不均衡)、小腸細菌過剰増殖/SIBO(通常は腸の他の部分で増殖する細菌が小腸で成長し始めるときに発生する状態)、過敏性腸症候群(またはIBSは、下痢、便秘、またはその両方のいずれかを伴う腹痛として現れる)、またはピロリ菌(消化性潰瘍に関連する一般的な感染症)などの根本的な問題をもっているならば、健康と栄養プログラムを最適化するための追加の介入が必要になるかもしれない。
私たちは、これらの疾患がどれほど一般的に広がっているか、そしてどれほど多くの人が未診断であり未治療のままであるかを、誇張してしすぎることはできない。
良いニュースは、私たちが何をどのように食べたか、そしてそれによって発症する症状に注意を払うことで、私たちの胃腸の健康を回復させる力があるということだ。初期の症状に細心の注意を払うことによって、私たちは改善し腸を癒す能力を持っている。
実際、消化を最適化することで、食物アレルギーや過敏症を完全に回避(治癒)することができるかもしれない。多くの人にとって、根底にある胃腸の問題の根本的原因を探ることは非常に重要だ。ここでは、考慮すべきポイントをいくつか紹介する。
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お寄せいただいたコメント・質問
役に立った、印象深かったところ
- プロバイオティクス…レジスタンドスターチ等、認知機能の改
善のためにとはいえ、よく理解しないまま積極的に摂取するべきで はないのだと考えさせられました。 - 摂取を推奨されていても、それぞれ注意点や危険性も伴い…
すぐに実践に取り入れづらい点がモヤモヤしてしまいました。 - マッシュルームでMCIリスクが50%低下するということが
役立った。今後購入の機会を増やそうと思う。とはいえこれが治療 に有用なのかという疑問はある。あくまでも予防可能性しかないの だろうか。
- 書籍中のオーツ麦がオートミールのことなら、試してみたい。「
麦」と付くのでグルテンが含まれると思っていた。 - 腸が重要であることは分かったが、個人で様子を見ながら調整す
るのは難しい。毎日はりついて本人に様子を聞かなければ、正しい 情報が得られない。難しい。 - 腸の健康が認知機能改善によいということはわかりましたが、全
体的に複雑で何度読んでも全部の理解はできません。
また、レジスタントスターチのように本人の様子に注意しながら進めていくなど、実践が難しそうなものが多いと思いました。できそうなことから始めたいと思います。 - 炭水化物の摂取は0にするべきだと学んでいたので、レジスタン
トスターチは注意しながらとはいえ、摂取を勧められていて、 驚きました。でも適量がどのくらいなのか、見極めはとても難しい と感じました。 - 一般的に体に良いとされている物でも、むやみに取って良い物では
なく、体質や体調の確認が大事だと再認識しました。逆に、リコード法で有害とされる物でも、食物過敏症でなければ多 少は摂取して良いとも書かれており、何事もバランスが必要と思い ました。 - 自分は胃腸の問題はあまり感じたことがなかったのですが、よく
考えてみると特に何もないのに身体中痒くなる日が年に2−3回ぐ らいあることを思い出し、もっと食べ物と自分の体調に意識的にな ろうと思いました。 - 小豆を煮る前の下茹でとか、アクを取るとか、けっこうだいじだと
いうこともわかりました。ホットクック任せも少し考えものですね 。。
よく理解できなかった、疑問に思ったところ
『プロバイオティクスのサプリは腸内マイクロバイオームに短期 的な影響を与える』とは長期的な摂取には、効果が限られるという事なのでしょうか
プロバイオティクスサプリメントは摂取している限りは効果があるかもしれないが、やめてしまうとその効果は途絶えるという他の研究者の意見があることから、効果が持続しないということを述べているのだと思います。
100%放牧された動物の骨の入手はなかなか困難です。
有害金属の危険性も考えると『kettle & Fire』のボーンブロスを購入した方がよさそうでしょうか。
台湾の研究ですが、一般的な安全基準値に照らし合わせると特に特別危険とまでは言えないように思います。ただ、文献でも述べられているように、煮出し時間や材料となる動物に与えられた飼料(に含む金属)の違いなどによっても大きく変動するため、また一般にそれらを確認する術もないことから、(オーガニックかどうかとは関係がなく)運が悪ければ有害金属の高い骨にあたる、といった確率的な問題な気もします。
毎日、入手経路の異なる骨を摂取すれば、そのヒットする確率は当然上昇するため、ブレデセン博士の懸念も理解できます。毎日の大量摂取は控え、少量摂取で様子を見ながら、後は予算次第といったところでしょうか。
そもそも消化機能障害があるのかないのかが分からない。下痢、便秘、ガス、膨満感等何もない。しかし遅延アレルギーがあ ることは検査で判明している。どのように対処していいかが分からない 。
www.karger.com/Article/FullText/485409
従来、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群(IBS)を含む機能性消化管障害(FGID)は、多かれ少なかれ特異的な症状と、これらの症状を引き起こす構造的または生化学的異常がないことによって定義されてきた。
この概念は現在では時代遅れと考えられているが、適切な検査を行えば、多くの患者で症状を説明したり原因となる構造的異常や生化学的異常が発見される可能性がある。また、うつ病や不安症などの精神疾患を併発していることもFGIDの特徴である。
気分障害が胃腸症状を「引き起こす」ことが暗示されている。実際、疫学的データは、一部の症例では胃腸(GI)症状が先に起こり、気分障害が後に起こるが、他の患者ではその逆が起こるという強力な証拠を提供している。
腸-脳機能障害の可能なメカニズムが同定されており、少なくとも一部の被験者では、全身性の最小炎症が原因因子となっている。FGIDの役割を果たす他の機序としては、慢性感染症、腸内細菌叢、好酸球の増加を含む低悪性度粘膜炎症、全身性免疫活性化、腸管透過性の変化、下痢に優勢なIBSでの胆汁塩代謝の変化、セロトニン代謝の異常、遺伝的要因などが挙げられる。
これらの因子はすべて、食事などの環境因子によって調節されている可能性がある。キーメッセージ。多くの因子が特定の症状(例えば、痛みや下痢など)に関連している可能性があるが、患者の症状に基づいた分類では、根本的な病態生理に特異的に対処する標的治療ができないことが明らかになっている。
機能性消化管障害:病歴、病態生理学、臨床的特徴、およびローマIV
消化器内科で最も一般的な診断である機能性消化管障害(FGIDs)は、運動障害、内臓過敏症、粘膜および免疫機能の変化、腸内細菌叢の変化、中枢神経系の処理の変化などを含む、形態学的および生理学的な異常が複合的に発生することが多いことから認識される。
これらの腸-脳相互作用障害の研究は、特定の診断基準を使用することに基づいている。ローマ財団は診断基準を作成する上で重要な役割を果たしており、これによりFGIDsの分野における新しい知識の普及を実現している。
ローマIVは、10年前にローマIIIが出版されて以来蓄積されてきた知識をまとめたものである。第III版の内容は以下のように改善されている。
- (1) 基礎文献と臨床文献の更新、
- (2)腸内微小環境、腸と脳の相互作用、ファーマコゲノミクス、FGIDsの生物心理社会的、ジェンダー、異文化理解に関する新しい情報の提供、
- (3) 不明確で時として汚名を着せられる用語の使用を可能な限り減らす、
- (4) 最新の診断アルゴリズムの使用、
- (5) 患者の病気の経験、より的を絞った治療につながる可能性のある生理学的サブグループやバイオマーカーに関する情報を取り入れる、
などである。この入門的な論文は、その後の残りの17本の論文の舞台となるものであり、FGIDの分野の歴史的概観、FGIDと運動性障害や構造的障害との鑑別、ローマIIIからの変更点についての議論、ローマ委員会のプロセスのレビュー、FGIDの生物心理社会的病態生理学的概念の提供、患者ケアへのアプローチを提供するものである。
レジスタントスターチの許容量を調べてみようと思います。食後1 〜2時間後の血糖値の目安を教えてほしい。
www.apoe4.info/wiki/Blood_Sugar
「ポストプランディアルとは、食後を意味する。この検査では、食後ちょうど2時間後の血糖値を測定する。検査室で検査することもできるし、家庭用のグルコース測定器を使って検査することもできる。2時間後には、「健康な」人では血糖値は正常値に戻る。
しかし、インスリンがどのように機能するか、上記で述べた議論を思い出す必要がある。2型糖尿病への進行中にある場合、すなわち、インスリン抵抗性があったとしても、体はまだ「正常な」グルコースレベルを維持するだけの十分なインスリンを生成することができるため、食後は「正常な」血糖レベルを持つことができる。血糖値は誤った安心感を与えることがある。従来の通念では、180 mg/dLよりも高い食後高血糖値が引用されている。
「PRIMER:ApoE4,生化学、および可能な予防戦略」の概要では、食後血糖値を130-ish mg/dl(7.2mmol/l)以下、できればそれ以下にすることが推奨されている。」
酢や砂糖を加えたプロバイオティクス食品とは、どのようなものを 言っているのでしょうか?
わかりませんが、酢や砂糖の投与が菌を殺してしまいそれらを避けるという文脈での推奨事項ですので、食品のどれかというよりは、おそらく、市販品の発酵食品、例えばヨーグルトでも砂糖が大量に入ったヨーグルトであったり、漬物でも菌にとっての栄養が不足している醸造酢を使った酢漬けなどを想定しているのかなと想像しました。
他に優先する検査から受けていたので、腸の検査はこれからです。 リーキーガットの他にバイオシス、小腸細菌過剰増殖、過敏性腸症 候群、ピロリ菌についての検査はそれぞれどんな検査になりますか ?
腸内フローラ検査
過敏性腸症候群(IBS)
IBS診断基準(ローマⅢ基準)
- 最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
- 下記の2項目以上の特徴を示す
- 1)排便によって症状がやわらぐ
- 2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
- 3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)
www.jsge.or.jp/guideline/disease/ibs.html
SIBO
ピロリ菌
www.ichou.com/pirori-jokin.html
GERDの対処法として、ベッドの上部を6~8インチ高くする。 とありますが枕の調節でもいいでしょうか?
枕の調節ではなく、調整可能なベッドを使用するか、ベッドのポストにブロックなどを置いて高くすることが一般的なGREDのプロトコルとして記述されています。インチですので、センチ表記ですと15~20cm、、普通の枕の調整では不可能な高さです。
その他、大きな傾斜がついたウレタンフォームのGRED用枕が販売されているため、ベッドの調整が難しければ、そういったものを利用する方法もあると思います。
ご存知かもしれませんが、その他、左側を向いて寝るなどがあります。
マシュルームというのは、日本語でキノコ類という意味でしょうか ?
より一般的な言葉に訳するならキノコかもしれません。マッシュルームと訳したのは単に機械翻訳の結果をそのままにした結果です。^^;
ちなみに英語のマッシュルームは(キノコ全般を含むこともありますが、)主に食用キノコを指すそうです。毒キノコは、toadstool。
レジスタントスターチに関する部分が分かり難いです。血糖値に悪影響を及ぼす可能性が有ると書かれていますが、レジス タントスターチ自体と言うより、それを含む食品に通常のでんぷん が含まれているからと言う意味でしょうか?
ブレデセン博士がどこまで意図していたかはわかりませんが、両者の可能性に加えて他にも様々な要因が血糖値に関係する可能性があると思います。
レジスタントスターチ(RS)の種類によっても、血糖値への影響が異なるようで、例えば以下の研究ではRS4がRS2よりも、被験者の血糖値を低下させています。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2911581/
また被験者によってマイクロバイオームの応答の変動が大きいことも報告されており、それらの個体差によって血糖値への影響が異なることも十分考えられると思います。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5331523/
RSのメリットのひとつである酪酸産生がすでに増加している被験者では、そこへさらにRSを加えても増加しない天井効果が示されたとのこと。
さらにRS2を分解しないマイクロバイオームを保持している被験者にRSを投与しても酪酸生成の増加に結びつかなったことから、RS補給の個別可アプローチの必要性が示唆されています。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4928258/
難消化性デキストリンを含む特保食品を通常のデンプンと一緒に摂 るのも同じ事でしょうか?また、「余分なカロリーを必要とする人」以外は摂らない方が良い ように書かれていますが、一方でレジスタントスターチの摂取量の 推奨値が示されています。摂らなくて良いのか、敢えて摂る意味が 有るのかが良く分かりません。
「私たちが推奨するレジスタントスターチの摂取量は、1日20~40gだ。」とはっきり書いてありますので、摂取したほうが良いということだと思います。ただその前提として、またはチェックポイントとして以下の点があると理解しました。
- インスリン感受性、代謝の柔軟性があること(血糖値への影響をチェック)
- 徐々に増やしていく
- レクチンに注意
- カビ毒の治療が済んでいること
- ケトン産生を阻害しない量のRS食品摂取
最後の点が、糖質制限に基づく糖質カロリーを含む形でレジスタントスターチを20~40g摂取するのは難しいかもしれません。ただ、現行のリコード法では週に2回炭水化物補給日をもうけることになっていますので、その時であれば摂取可能だと思います。