パンデミックと人口抑制・人口削減
On Population Control and Malthusian Thought

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ここでは、パンデミックと人口抑制・マルサス思想の関連性について、管理人が問題意識を感じ始めた経緯と、あまり語られない話について思うところを書いておきます。人口問題の歴史的経緯やその内容について知りたい方は、実際の資料を先に読まれることをおすすめします。

はじめに

「遺伝子ワクチンは人口削減が目的だ!」という言葉を聞いて、眉をひそめた方も多いかと思います。私自身も当初それを目にしたときは突飛な話に聞こえたのですが、ワクチンの問題について合理的に妥当な主張を行っている方で、並行してこのことを主張している専門家が少なくないという事実にまず気づきました。

またこの数も日に日に増加しており、データとしてとったわけではありませんが、遺伝子ワクチンの危険性に声をあげた米国の(おそらく欧州でも)専門家グループのうち、半数以上で明確な意図があった、または疑いがあるとした印象をもっています。日本でも疑念を持つ専門家が絶対数としては多くないものの、SNSなどで表明する方が増えてきたようです。しかし、信用毀損に関わると考え、コメントや明言を避けている方が多いのではないでしょうか

そのようなことから関心をもたないわけにもいかず、慎重に、そして、批判的に調べてみようとしました。最初に選んだのは、コロンビア大学の歴史学の教授によって書かれた学術書です。(以下で、翻訳の一部を紹介しています)

致命的な誤解 | 世界人口をコントロールするための闘い
Fatal misconception: the struggle to control world population 著者 Matthew Connelly コロンビア大学教授(歴史学) ハーバード大学出版局ベルクナップ・プレス マサチューセッツ州ケンブリッジ/イギリス・ロ

誰も気にかけない人口問題

この本を手始めに、多くの学術的な資料を中心に読みすすめてからわかったことですが、つい半世紀前まで人口管理の問題は最も重要な世界的政策課題であると認識されていたことです。私たちはこのことを歴史の授業で習ったでしょうか?

1972年に出版された人口増加の問題を論じた古典とも言える「成長の限界」ですが、ハリー・ポッターのような楽しい読み物でもない学術的な書が、世界で3000万部!出版され、読まれてきたことにまず驚きました。専門書でこれだけの部数売れた本を他に私は知りません。この発行部数と、書籍の内容を考えると、当時、世界中の政治家、エリートが読み、その後の政治や思想に大きな影響を与えたであろうことは容易に想像できます。

実際、人口問題が、政治レベルでも、核戦争の課題と同列か、またはそれ以上に重要な課題であると当時の多くの政策関係者の主張は記録されています。歴代の大統領、ニクソンや、キッシンジャーの発言にもそのように認める発言が記録として残されています。こういった歴史における人口問題の重要性は、不可解にも公立学校では習わなかったように思います。

今世紀最後の3分の1において、人類の運命に対する最も深刻な挑戦のひとつは、人口の増加であろう。この課題に対する人間の対応が、2000年に誇りをもたらすものとなるか、絶望をもたらすものとなるかは、今日の私たちの行動にかかっている。

リチャード・ニクソン ホワイトハウス

例えば、仮に私たちが、半世紀前の米ソ冷戦構造の歴史やキューバ危機を、学校授業やテレビなどでまったく目にする機会がなく、重要な政治的課題であったとさえ認識していないとしたら、その無知は相当に不自然なことだと感じたりするのではないでしょうか。何か意図があって隠されているのではないかと人々が疑ったとしても、それを陰謀論と呼ぶことはなく正当な疑いだとみなされるのではないでしょうか?なぜ、これほど大きな問題が歴史の教科書に書かれていないのか?歴史番組で扱われないのか?メディアは報道していないのか?それが、私が一通り人口問題に関する文献に通読してみて、最初に抱いた印象でした。

しかし、この人口抑制の歴史には単なる無知以上のものがあります。実際に実行された人口抑制のアプローチの中には、女性の社会活動を促進するといったような社会的に許容されるであろう範囲のものもあれば、お金や物を使ったインセンティブで貧しい人々に不妊手術を施すという倫理的に疑わしいもの、強制不妊手術など明らかに人権を侵害する犯罪的行為も記録されています。その中には「不妊ワクチン」を秘密裏に使用し、強制的に人口を抑制しようとした事件も含まれています。。

人々が「人口削減」という言葉を聞くと、注射器をもったビル・ゲイツや、劇画家された陰謀論者を思い浮かべたりしてしまう方も多いと思います。たしかにゲイツ率いるゲイツ財団が重要な役割を果たしていることを示唆する証拠は数多くあります。一方で複雑な(陰湿な)人口抑制の歴史を、サイコパスが暴発したといったような単純なイメージに落とし込むことは(例えそれが本当であったとしても)、人口抑制に関する重要な議論を遠ざけてしまう懸念もあるかもしれません。

人口問題の歴史が主に生殖と健康についてのみであると期待することは、世界人口が問題化されるようになった他の思想をまったく見逃していることになる。1920年代の専門家たちは、このような「人口」の狭い理解に戸惑ったことだろう。経済学者や地理学者も(当時も今も)、これはおかしいと思ったに違いない。

『グローバル・ポピュレーション』 歴史、地政学、地球上の生命 (コロンビア国際史・グローバル史研究)

人口抑制に関する議論が戦後、そして20世紀後半にもタブー視されるようになった歴史を考えると、ゲイツが2010年にTEDトークで語った人口問題に関する有名な発言はダブルスピーク(何らかの意図をもって2つの解釈を可能にする発言)ではないかと個人的には疑っています。

まず、人口だ。現在、世界の人口は68億人だ。それが90億人くらいまで増えていく。今、私たちが新しいワクチン、ヘルスケア、リプロダクティブ・ヘルス・サービスに本当に素晴らしい仕事をすれば、おそらく10%か15%下げることができるだろう。ビル・ゲイツ

もう少し教養のあるイメージとして、中国の一人っ子政策を悪いバージョン(倫理的に許容されない)のひとつとして、想像する方もいると思います。一方で、人口問題評議会、国際家族計画連盟、その他の団体が、不妊治療プログラムに資金を提供し、時に強制的な政府の政策と相まって、中国、インド、メキシコ、ボリビア、ペルー、インドネシア、バングラデシュ、その他の国々で何百万もの不妊手術を実施したことを知る人はほとんどいません。

家族計画は人権であると主張する組織が、インドや中国で強圧的になる人口抑制政策に反対しなかったことを考えると、一人っ子政策の悪玉イメージが、ストローマンのように思えることすらあります。

いずれにしても、より犯罪的で、歴史の史実として明確に記録されている人口抑制の史実との間には(疑わしい案件を含めなくても)認識の大きなギャップがあり、このことが人口抑制という言葉を聞くと反射的に陰謀論と結びつけてしまう下地になっているのではないかと思われます。(当初は私もその一人でしたが…)

忘れられた不妊ワクチンの歴史
The Forgotten History of Sterilizing Vaccines 中西部の医師 2023/08/05 COVID-19ワクチンの展開中、ワクチン接種キャンペーンが前例のないものであったため、世界の出生率に悪影響を及ぼすのではないかと多くの人が疑った。ワク

ヤッフェメモ・NSSM200・HCGワクチン

しかし、このような資料を読んだ後も、mRNAワクチンが直接人口削減を意図したものであるという直接的な証拠を見ているわけでもないことから(その性質上、直接的証拠が見つかりにくいとしても)、しばらくの間、個人的には可能性(possible)としてあるかもしれないと認める程度の位置づけでした。

なぜこれほど危険な遺伝子治療が早期に承認され世界人口に配布されたのか、様々な説明があると思いますが、知りうることのできるあらゆる情報を精査し、整合性のとれるもののうち、もっとも穏当な見解は、何百万人もの人々を殺すことを目的とした「生物兵器」ではなく、むしろそれを防ぐために、生物兵器の可能性を持つ病原体に対する対抗策を開発するという、数十年にわたる生物防衛の試みの集大成として、開発プロセスを急いだために起こってしまった失敗だったというものでしょう。

人口抑制の歴史を知るまでは、その仮説がもっとも可能性が高いと考えていました。今でも、この仮説を完全に捨てたわけではありません。また、内部組織の多くの関係者にはそのように説明されていたなど、部分的にこの仮説が正しかった(二重の陰謀が用意されていた)ということは十分にありえる話だと思います。

一方で、より悪質な可能性を示唆する証拠も、否定し難いものがあります。再び、可能性の針が大きく揺れ動きはじめたのは、不穏な政策の説明となっているヤッフェメモ(Jaffe memo)、政策的に実装されていたことを証明する機密文書NSSM200(別名キッシンジャーレポート)21世紀に入ってからもそのような具体的な政策が続いていることを強く示すケニアでの秘密裏の不妊ワクチン投与、この3つのイベントを知ってからでした。

これらは記録として明白に残されている歴史的文書、または非常に議論を呼ぶ内容の論文ですが、専門家にも驚くほど知られていません。まずはこの3つのレポートを読んでみて、この問題や主張されている内容の妥当性について考えてみることをおすすめします。

人口抑制と米政府の公式政策
Population Control and Official USG Policy 2023/07/26 ロバート・マローン博士 個人的には、COVID危機をめぐるさまざまな「人口減少アジェンダ」理論に関連するウサギの穴に迷い込むのは気が進まなかった。 しかし、可能性のある人口

人口問題の複雑さ

人口問題の歴史を真摯に理解しようとするなら、一度ならずとも混乱してしまうことがあるかもしれません。というのも、人口抑制のコンセプト、目的として捉えた場合には単純なのですが、その背景にあるもの、つまり方法論的には非常に複雑だからです。人口問題は実際には多くの研究分野を含む学際的な側面をもっており、「人口抑制」や「人口削減」という言葉だけに焦点をあてることは(支持であれ否定であれ)ミスリーディングにつながります。

私の理解が正しければ、人口を抑制することが手段ではなく目的化してしまっているサイコパスといったようなケースはもちろんあるかもしれませんが、最初から人口抑制そのものだけを目的とした権力組織は一部の例外をのぞいて存在しないと思います。オウム真理教のような人類抹殺思想をもつ団体や、VHEMTのような倫理的な理由から人類を減らすべきと考える組織は、人口抑制ロビー(権力組織)のネットワークから外れており、全体として純粋な過激派は例外に位置しています。

「人口管理」「人口抑制」に関わる権力組織は多岐にわたります。例えば、人口の増大により共産主義化を心配する米国の政治家、内紛(ユースバルジ)や混乱を恐れる独裁者、経済エリートを優遇する優生主義者、ナチスのような他民族を削減したい民族主義者、環境汚染を心配する生物保全学者や環境保護主義者(環境マルサス主義者)、資源の枯渇を懸念する資源経済学者、過剰増加が戦争や虐殺を引き起こすと考える思想家、平和主義者、人口増加が貧困をもたらすと考える効果的な利他主義の人々、人間の誕生を道徳的に非難する反出生主義者(反生殖主義者)、未来に生まれてくる人々の権利や福祉を重視する人口倫理学者、等々、彼らの中に人口を抑制または削減を目指すと考える動機を見出すことができますが、各々の組織としての目的は多くの場合、大きくまたは微妙に異なります。彼らにとっての人口抑制または削減は、おうおうにして究極的な手段であって最終目標ではありません。

「人口」とは、第一義的には性と生殖の問題であると考えられがちである。しかし、それは空間的、経済的な問題でもあり、土地耕作と食糧生産の問題でもあった。それ以上に、人口問題は、植民地化、移住、そして最終的には主権といった領土問題を絶えず提起していた。何が問題だったのか?耕作可能な土地(地球上の混雑した部分と空白の部分)との関係における人口密度は、この時代の問題であり、戦争と結びついている。第一次世界大戦後、世界的な危機感を生み出したのは、人口増加という生物学的現象と結びついた空間的な背景であり、後者だけではなかった。1920年代以降に定式化された世界人口問題は、生物政治学と同様に地政学に関わるものであった。

『グローバル・ポピュレーション』 歴史、地政学、地球上の生命 (コロンビア国際史・グローバル史研究)

それぞれのグループが有する政策的、環境的、経済的、倫理的、思想的な目的の違いは、ベン図のように重なるものもあれば異なることもあり、善意とみなせるものもあれば、権力闘争、支配や搾取といったものもあるでしょう。目的を果たすためには、削減の対象となる人口集団のタイプも大きく変わってきます。よくある批判に人口を抑制するなら増加の著しいアフリカの人々を標的とするだろうというものですが(私も過去にはそう考えていました)、これは人口問題の背景にある複雑な問題や組織グループを知らずに、「人口削減」が目的化されたものであると勘違いしてしまっているせいかもしれません。

例えば、資源の枯渇を心配する経済学者であれば、エチオピアの貧困家庭の10人を抑制(削減)するよりも、エチオピア人の20倍の資源を消費する米国人一人の人口増加を抑制(削減)するプランのほうがより魅力的にうつるでしょう。

地球環境を人類の作り出した汚染物質から守りたいと考える環境保護主義者にとっても先進国の人々が対象となりそうですが、リサイクル管理システムに問題があったり、不適切な廃棄物処理を行っている新興市場国などを標的としたほうが効率的であると考えるマルサス主義者もいるかもしれません。

民族主義に根ざした人口削減グループであれば、出生率と関係なく敵対する民族に対して人口を削減させるアプローチをとることも予想できます。実際、特定の民族に不利なウイルス生物兵器を作り出す改造技術とコストの閾値が非常に下がっていることから、人口減少ロビー同士の闘争自体が、人類が強く懸念すべき材料のひとつとなっています。

このように、人口増加の問題は、エコロジーと政治経済学、フェミニズムと産児制限、食糧と農業、国際関係、植民地主義、反植民地主義、人口学、移民、健康の問題でもあり、そこには善意とも悪意ともとれる思惑が混在しています。マルサス主義、反マルサスの対立は文書化されていますが、人口抑制に関与する異なるアクター同士のネットワーク構造は多重化しており、おそらく歴史的においてもも現在においても、競合や協力、または妥協といった複雑な力学が続いてきた(そして技術と資本の増加によって変質した)のではないかと見ています。

人口抑制・削減にインセンティブが働く可能性のある主なアクターとその理由

1. 政治家

  • 人口増加による政情不安や社会混乱を避けるため
  • 限られた資源や予算で効率的に国民に公共サービスを提供するため
  • 高齢化社会における社会保障費の増大を抑制するため

2. 独裁者

  • 人口増加によって反体制派が増えることを防ぐため
  • 限られた資源を独裁者自身や支持者に優先的に配分するため

3. 経済エリート・企業

  • 安価な労働力の確保や、消費者人口の拡大による利益追求
  • 一方で、高学歴者など質の高い労働力を優先し、一般大衆の増加を抑制したい意向も

4. 民族主義者

  • 自民族の相対的な地位低下を避けるため、他民族の人口増加を抑制したい
  • 移民の流入を制限することで民族的な均一性を保ちたい

5. 環境保護主義者

  • 人口増加が環境破壊や生態系への負荷につながると考えるため
  • 持続可能性の観点から、地球の許容量に見合った人口を目指す

6. 資源経済学者

  • 人口増加に伴うエネルギーや食料、水資源等の需要増大と枯渇を懸念
  • 次世代にも資源を残すため、現世代の人口を抑制すべきと考える

7. 平和主義者・人道主義者

  • 人口増加が貧困、飢餓、失業、戦争等の要因になると考え、人類の平和と安寧のために人口抑制が必要と考える
  • 生まれてくる子供の福祉や権利を重視し、過剰出生を避けるべきと主張

8. 効果的利他主義者

  • 限られた資源で最大多数の最大幸福を達成するには、出生数を最適化する必要があると考える
  • 貧困削減のためには人口抑制が有効と判断する

9. 反出生主義者

  • 生まれてくることは害悪であり、新たな命を創出すべきでないと考える
  • 人類のあるべき姿として、最終的には絶滅も辞さない

10. 人口倫理学者

  • 世代間倫理の観点から、将来世代の利益も考慮に入れるべきだと主張
  • 地球の収容力を超えないよう、現世代は人口を抑制する責任があると説く

by Claude 3 Opus

人口問題は解決した?

人口問題は今もなお現実の問題です。すでに人類は全体として少子化に向かっており大きく心配することはないという考えを持つ識者の方もおられると思います。2022年5月8日、日本の人口減少に関する記事に対して、マスク氏はこうツイートしました: 「当たり前のことを言うようだが、出生率が死亡率を上回るように何かが変わらない限り、日本はいずれ消滅するだろう。これは世界にとって大きな損失だ」。一般的な言説では、人口は常に多すぎるか少なすぎるかのどちらかです。これは、人口問題が文学で扱われる際の共通の特徴です。

しかし、問題の核心は、人口の問題が実際に解決されたものであるかどうかといった事実に関する問題ではありません。「人口増加は解決されておらず、人類の生存を揺るがす深刻な問題である」と認識している、多くの学者、政治家、経済エリートらが存在するということがこの問題の根っこにあります。

もう一つの不快な懸念材料は、現在の80億という人口が公式の人口削減政策だけではなく、実は知られていない非公式の(非倫理的な)人口削減によって大きく到達しのたかどうかということです。

公式の発言では私たちは高齢化社会、都市化といった環境要因と避妊などの努力によって1960年代には約5人だった出生率が、わずか半世紀程度で約2.5人にまで抑えることができたということになっています。このような人口学的ピークを自然に迎えたことから、マルサスの問題は忘れ去られたとも言われています。

しかし、本当にそのような合法的な努力と、ある種偶発的な環境要因によって、そこまで低下するものなのでしょうか?

過去のマルサス文書を読み漁ると、キッシンジャーをはじめ、合法的な努力では人口を抑制することは難しいという人口学の専門家や政治家の言及が至るところで散見できます!当時の国連の推計では、1970年の人口36億人を基準として、2000年の人口を約60億人から80億人と予測しており、2000年の人口は60億人でした。完全に外れたわけではありませんが下位予測に落ち着いた主な理由が、これまでの議論から、公式の人口抑制政策だけではなく犯罪的な政策が大きく寄与した可能性を捨てることができません。

国連の最新の中位予測によると、世界人口の増加は21世紀半ば、具体的には2064年頃にピークに達すると予測されています。その時点での世界人口は約97億人と見積もられています。

しかし、非合法的な人口抑制政策が大きな抑制効果を示していた可能性があるのであれば、国連の、比較的楽観的に考えられている人口増加の見通しの根拠が崩れます。以下のまっすぐ上昇する人口のホッケースティックはそのまま伸び続けることになります。

もちろん、そもそも非合法的な人口削減の効果を示す調査は行われていない可能性が高く、正確なところはわからないのかもしれません。しかし、その証拠がなかったとしても、人口抑制ロビーが非公式な方法によって人類を救済できたと「信じている」のであれば、彼らの動機は失われていないことを意味し、やはり問題は同じところに帰結します。

最悪なのは、さらに、ここへAIテクノロジー、遺伝子改変、分子生物学など、あらゆる技術的ツールの進歩が人口の強力な抑制・削減を可能にする強い追い風となっていることです…。このことをどれだけ強調しても強調し過ぎることはありません。

実行プラン

歴史的な背景を素直に理解するなら、人口を削減するという陰謀は少なくとも荒唐無稽な話として耳にするだけで切って捨てていいような話ではないことは確かです。私の考えでは、パンデミックと人口問題の間に関連性がある(背景要因にこのイデオロギーの問題があるといった意味も含めるなら)ことはほぼ確実であり、しかし、より直接的で悪質な陰謀があったのであれば、具体的に誰が(どの組織が)どの程度、どのように関与していたか、その犯罪性、計画性は?中心ハブは?階層構造は?等々、不明な点が多く残ります。

もちろん、単に関連性があるということと、より組織的に明確な意図のもと行われた悪質なケースを想定していると述べることとの間には大きな違いがあります。またそれらの2つ間にも多くのバリエーションがありえます。

仮に私がもし実行しようとするなら、これは人口削減であるというようなことをごく一部の仲間を除いて、関与する部隊には言わないでしょう。組織の大きさを考えると、スノーデンのように内部告発者が必ず現れるだろうと予想できるからです。実行組織内では、異なる偽のシナリオ、例えば、これは第三国からの生物兵器攻撃であり、その防衛のため遺伝子ワクチンが必要であるといった偽の陰謀シナリオを提供し、正当化できる理由を与えるでしょう。さらに後で、明らかになったときには組織の人間全員が共犯者であったと自覚させるような方向に仕立て上げることで、告発を防ぎ、支配を強めるかもしれません。

あくまで思いつきにすぎませんが、本当にある人物が極悪非道な意図の元実行しようとしていたのであれば、少数のプレイヤーが仕組んだ、二重構造、三重構造の陰謀と考えたほうが理にかなっています。組織のメンバーでは、有機的に生じたものか、恣意的(犯罪的)なものなのかを区別することが難しい内在的な不確実性があるかもしれません。

もちろん、これらについて絶対的な確信にまでは至っているわけではありませんが、一方で、これまで得られた全体の状況証拠を踏まえると、パンデミックが人口問題との関連性がまったくないというのは、さらにあり得ないことのように思えます。人口抑制問題は70年代あたりから批判が増加し、ほぼ政治的なタブー扱いにもなっているため、実際にはそのような話題を扱っていても、直接的に、「人口抑制」「人口削減」という言葉で語られることはめったにありません。多くの場合「家族計画」「持続可能な開発」「マルサスの罠」など、別の呼び名で議論されています。そのためか、「人口削減」というワードで検索したり関連文献を探すと、陰謀的な要素の強い情報ばかりを見つけることになるかもしれません。

人口抑制の戦術と熱意

最後に、強調しておきたいことは、人口問題の関連性を疑うようになったのは、批判的な主張を行っている人々の見解を通してではありません。人口削減の陰謀を支持する方の意見は、その実行するアクターの意図を純粋に邪悪なものとして描く傾向があり、その単純さ(間違っているという意味ではなく)がむしろ私に心理的な警戒(複雑性バイアス)を引き起こしたと思います。

逆説的ですが、「ああ、これはは本物だ」と私がショックを受けたのは「人口爆弾」「エコサイエンス」「成長の限界」「NSSM200」、もしくはローマクラブのメンバーの声明など、人口増加を憂慮し人口抑制(削減)をしていかなければならないという権力者やエリートの具体的な戦略、熱意、そしてそのリアリティーに触れた時でした。

また人口削減を告発する人々が必ずしも人口問題や、人口削減の問題の歴史を深く知っているわけではないことも理解しました。私の目には、人口問題について確信する側と否定または懐疑的な立場の両方が基礎的な知識が不足しており、あまり生産的ではない議論に終始しているように見えます。

究極のトロッコ問題?

彼らは本気です。世界はすでに崖っぷちにあり、人口を減らさなければ、世界は数世代のうちに地球の生態学的基盤を壊滅させてしまうと心底信じているからです。それは読めばわかります。彼らの頭の中では80億の人類と地球を助けるためなら100万人の命は重くありません。そうです、これは(彼らの前提では)究極のトロッコ問題であり、いわゆる功利主義的帰結を技術的に徹底させた行動です。

ただし、トロッコ問題と人口削減では大きく異なる点がいくつかあります。もっとも議論を引き起こす点は、トロッコ問題が確実な人の死の損失の比較であるのに対し、人口削減によって救われると彼らが想定する人々の数は予想に過ぎず、どこまでも可能性の議論に過ぎないことです。

実際、人口増大の可能性が間違っていた象徴的な出来事に、1980年に行われた有名な経済学の賭けがあります。この賭けは、将来の資源不足と経済の持続可能性に関する予測の正確さを試すものでした。生物学者ポール・エーリックは、人口増加による資源の枯渇と環境の悪化を主張し、経済学者ジュリアン・サイモンは、技術革新による資源の利用効率化と供給増加を信じていました。

賭けの内容は、エーリックが選んだ5つの金属(銅、クロム、ニッケル、スズ、タングステン)の価格が、10年後に実質的に上昇するかどうかでした。エーリックは価格上昇を、サイモンは価格下落を予想していましたが、賭けの期間終了時、1990年には、これらの金属の価格は全体的に下落しており、サイモンの勝利となりました。

この賭けは、経済と環境の未来に関する見解の相違を象徴的に示しており、リソースの限界、持続可能性、技術革新の効果についての議論において重要な事例となっています。エーリックの懸念は環境問題の重要性を浮き彫りにし、サイモンの勝利は経済成長と技術進歩の可能性を示しています。[R][R]

レッドピル

私はここで、これ以上の人口の増加に地球は耐えられないとする彼らの予想が、正しいとか間違っているという主張をしているわけではありません。また、彼らの予想の正しいさと、そのために取りうる手段が倫理的に許容されるかどうかについても区別した議論が必要でしょう。

パンデミックが始まって依頼、様々な悲劇がありましたが、私にとってはこの人口問題(マルサス主義)が、もっとも鈍い痛みを感じさせた出来事でした。パンデミックを通してハンソンの剃刀を過剰に適用してきた私にとっての究極のレッドピルでもあったと思います。

人口問題とパンデミックの関連性について、私の意見では「人口問題」は重要なキーワードであり、そのイデオロギーと関連する犯罪的な行為があったのはほぼ間違いないと信じています。しかし、それをどこまでパンデミックという問題の中心の位置を占めているのかについては、まだそれほど確信がありません。

むしろ、人口問題の歴史的な経緯を深く知るほど、環境汚染や資源の消費の課題を含めた「脱成長」の重要な柱のひとつとしてこの「人口問題」(人口削減)が含まれているように見えます。つまり、私がたどりついた仮説は驚愕すべきものでした。

一部の人々が「連中は人口削減をしようとしている!」と叫ぶことに対して、大きく「そのような陰謀はあるわけがない」という反応と、「いや、それはきっと本当のことだ」という2つの反応があると思います。私の考えが正しければ、前者は間違っており、後者は正確さに欠けています。

つまり人口削減でさえ、彼らの社会を管理しようとする犯罪的なプランのひとつに過ぎないということを示唆しています。思想的には「環境マルサス主義」がより近い表現かもしれませんが、彼らの犯罪性を表現するには物足りない言葉として響きます。

人口削減の告発は、「ヒトラーの悪」というものを考えるときに、「ホロコースト」に焦点を当てるようなものなのかもしれません。そのことは、けして間違ってはいません、ただ、それだけに焦点を当てると、他の多くの重要な側面(全体主義、WW2の引き金、文化的破壊など)が見過ごされてしまうかもしれません。

また、必ずしも人口問題と排他的ではありませんが、極端な「功利主義」「技術主義」「合理主義」といったテクノクラティックな言葉も人口削減と交差しています。人口削減がその真偽はともかくとして、わかりやすい実践的な概念であるのに対して、エリートのイデオロギーは必ずしもそうではありません。このことが、一部の人達から人口削減の問題に強く注目が当たってしまう理由なのかもしれません。

人口問題という視点の枠組みには一抹の真理があり、人口削減の陰謀論が事実であるかどうかに関係なく、自分たちと自分たちの子孫が未来をどう生きていくのかを考えていこうとするのであれば、この人口問題は誰もが避けて通ることのできない課題だと思います。繰り返しになりますが、是非、各リンクをたどって、ご自身で判断していただきたいと思います。