糖質制限についての注意(作成中)

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糖質制限についての注意

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糖質制限についての注意

リコード法 ケトンダイエットの計算

ケトン濃度を測定する4つの方法

ケトンエステル・ケトンソルト

 

糖質制限による飢餓モード

リコード法の食事療法(ケトフレックス12/3)では、糖質制限が実行内容の基本原則としてに含まれている。

これは糖質制限を行うことでエネルギーの代謝を糖質から神経保護性であるケトン体に切り替えることを目的としている。

 

本来、ケトンは動物が糖質を得られない状態で生き残るための代替エネルギーのため、糖質が枯渇すれば体内に蓄えられた脂肪からケトン体がすぐに産生されるようにできている。

しかし、長らく糖質ばかりを摂取してきた人や糖尿病患者では、このケトンモードへの切り替えがスムーズに行われない。

 

飢餓モードの危険性

この切り替えができない場合、神経細胞へのエネルギー供給が滞るため、ミトコンドリアひいてはシナプス、脳組織が障害を受けることになる。

健康な人であれば、まだ脳細胞に余力があるため「ぼーっとする」といった程度の症状ですむかもしれないが、脳に脆弱性を抱えている認知症患者においては進行を加速しかねないリスク要因となる。

そのため、リコード法ではケトン体質へ移行するまでの期間、ケトン体を産生しやすいココナッツオイルやMCTオイルなどの中鎖脂肪酸を摂取することで、そのリスクを回避することとなっている。

 

ココナッツオイル(中鎖脂肪酸)の問題

それでは、ココナッツオイルやMCTオイルを継続して摂取し続ければいいのではないか、というとそう単純なわけでもない。

一般的には飽和脂肪酸のとり過ぎは、LDLコレステロールを上昇させるため良くないと多くの人に認知されていると思うが、それに対して、ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸は中鎖脂肪酸であるためLDLは増加させず、安全なオイルだと考えられている。

 

しかし、認知症患者にとってより重要な問題は、すべての飽和脂肪酸はコレステロール(リポ蛋白)の粒子サイズを小さくしsd-LDLを増加させてしまうということにある。

sd-LDL/超悪玉コレステロール

 

ココナッツオイルに限った話ではないが、飽和脂肪酸の過剰な摂取によってサイズの小さくなったリポタンパク質は、脳関門を容易に通過し脳内でアミロイドを形成し脳に障害を与える因子となる可能性がある。

その他にもsd-LDLは酸化ストレスの影響を受けやすく、血中に長く滞在し、血管壁に入り込み有毒化し、動脈硬化症などの原因に関与する。血管への悪影響から血管性認知症ではsd-LDLとの関連性も臨床レベルでの指摘がなされている。

 

そのためリコード法ではsd-LDLが評価項目に含まれており、そのsd-LDLを減らしていくことが求められる。

しかし、ココナッツオイルの長期的な大量摂取はsd-LDLを増加させる。特にApoE4遺伝子を保有する患者ではよりそのリスクは高い。

つまりココナッツオイルは単純に認知症患者にとってメリットとデメリットが存在するため、トレードオフとして原則一時的に用いるオイルとしてリコード法では位置づけられている。

 

MCTオイルは移行期のエネルギー源

ケトンへの切り替えがスムーズに行える体質になるまでは、MCTオイルやケトンソルトの摂取を行う。(ココナッツオイルは飽和脂肪酸比率が高いため摂取量に注意し、MCTオイルと組合わせる)

MCTオイルなどを摂取をしなくても、ケトン値がマイルドケトーシスに達するようになれば、順次、中鎖脂肪酸の摂取量を減らしていく。

ケトン値がマイルドケトーシスに達したかどうかを確認するため、ケトン値測定器は必須アイテム

ケトン濃度を測定する4つの方法

 

糖尿病、糖代謝に異常がある個人では、MCTオイルやココナッツオイルの摂取でも、ケトン値が理想通り上昇するとは限らない。

こういったケトンが上昇しない患者さんでは、ケトン値を高める効果のより高いケトンソルトケトンエステルなどの外因性ケトン(Exogenous ketone) を直接投与する方法がリコード法では推奨されている。

en.wikipedia.org/wiki/Exogenous_ketone#Ketone_esters

 

ケトンエステル・ケトンソルト

 

良質の脂肪酸を摂取

一度ケトン体質になってしまえば、ココナッツオイルやMCTオイルの摂取は不要となる。

そして糖質で不足したカロリー分は、必ずアボガドやオリーブオイルなどの良質の脂肪酸で補う必要がある。

繰り返しになるが、単に糖質を制限してしまっただけでは、神経細胞へのエネルギー供給が絶たれてしまい、認知機能の低下につながりかねないからだ。

 

特に痩せている人、BMIの低い人では、その代替エネルギーである脂肪を内臓脂肪や皮下脂肪から取り出す余力が太っている人よりもないため、より高いエネルギー欠乏のリスクが生じる。

そのため糖質制限を行う際は良質の脂肪酸を必ず摂取する必要がある。

週に1~2回 炭水化物の摂取を心がける

リコード法では、糖質代謝とケトン代謝の柔軟性を維持していくために、認知機能に低下が無い限り週に1回または2回の複合炭水化物、レジスタントスターチなどの良質な糖質摂取を推奨している。

ケトンの神経保護効果はさまざまにあるが、そのひとつには多くのアルツハイマー病患者さんで低下した糖を利用する能力を補ってケトンエネルギーをミトコンドリアへ補給するためにある。

しかし厳格なケトンダイエットを継続することは、糖代謝を使わないことで糖の利用能力をさらに低下させる、長期的な高脂肪食のリスクを抑えていくためにも、ケトンエネルギーをベースとしつつも、時々計画的に糖質エネルギーを利用させてあげることでエネルギー利用のフレキシビリティー(柔軟性)を保つ必要がある。

ケトンを上昇させるためには、それなりに厳格なケトンダイエットを行う必要があるため、糖質制限と補充のオンオフをうまく設けていくことが成功の鍵になるだろう。

 

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