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プロゲステロン(認知症・アルツハイマー)
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概要
リコード法の解説
プロゲステロンはリラックス効果がありプロゲステロンを失うと不安や睡眠障害、ブレインフォグ(脳のもや)と関連すると言われている。
プロゲステロンが低いと特に夜間に目が覚めやすい。(男性女性両方)
プロゲステロンはテストステロンの前駆体でもあるため、プロゲステロンの低値はテストステロンの低値とも関連している。
男性アルツハイマー病患者の低プロゲステロンも目立つため、見過ごさないよう注意したい。
プロゲステロンのバランスを崩した状態でのエストラジオール投与は女性の子宮癌、乳癌のリスクを高めるため、そのエリアの認知機能の低下に対処できる専門家に相談することが望まれる。
プレマリンなどの合成黄体ホルモンよりも、自然に体内で生産されるバイオアイデンティカルホルモン(分子構造が同一)のほうがよいという考え方が増えてきている。
投与の是非、治療期間、プロゲステロンの目標数値、についても研究者の間で議論が分かれている。
リコード法 摂取量
プロゲステロン製剤は目標数値を目指して、100mgまたは200mgからスタート。
リコード法 プロゲステロン 目標数値
1~20ng/ml
ただし数値だけでなく投与後の症状を常に見張っておくこと。
躁うつや無感動の症状が見られた場合プロゲステロンが過剰であるために、プロゲステロンとエストラジオール比率が崩れている可能性がある。
エストラジオールとプロゲステロンの比率が重要。
理想は 10:100 であり、プラス症状の改善が見られること。
一般解説
プロゲステロンは主に女性の卵巣、男性の精巣および副腎皮質によって合成されるステロイドホルモン。
男性にも重要
一般的には男性よりも女性のプロゲステロンレベルが高い。しかし女性の卵胞期では、男性と同程度のプロゲステロンレベルに低下する。
これは、男性でもプロゲステロンが同様に重要である可能性を示唆する。
プロゲステロンのエストロゲン拮抗作用
プロゲステロンはエストロゲン作用と拮抗すると考えられており、このことがエストロゲンの有益な効果を妨げることがある。
プロゲステロン受容体のアイソフォームにはPR-AとPR-Bが存在する。
PR-Bはエストロゲン受容体およびグルココルチコイド受容体によっても媒介され負の制御を発揮することが示されており、この機序によりプロゲスチンがエストロゲン作用に部分的に拮抗する。
脳に分布するプロゲステロン受容体
プロゲステロン受容体は成長中の脳および成人脳に広く分布している。
卵巣摘出手術
卵巣摘出手術はエストロゲンだけではなく、循環プロゲステロンの損失にも寄与するかもしれない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22732134/
プロゲステロンの神経保護効果
プロゲステロンは、アルツハイマー病などの加齢関連神経変性疾患において保護効果を発揮することが報告されている。
脳梗塞に対する神経保護効果
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8905174/
グルタミン酸毒性
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11751611/
エストラジオールによるグルタミン酸誘発によるCa+上昇
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11997695/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12925744/
アミロイドβ誘導毒性
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8780008/
脂質過酸化 抗酸化作用
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9271001/
外傷性脳損傷(TBI)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15932748/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10833057/
外傷性脳損傷 ランダム化比較試験
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18522765/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17011666/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18447940/
プロゲステロンの神経保護メカニズム
副腎・脳内プロゲステロン分泌応答
副腎からのプロゲステロン分泌はストレスによって増加する。
脳内のプロゲステロンは障害、けがに応答して増加する。
プロゲステロン受容体は神経保護とミエリンの修復作用に重要な役割を果たす。
プロゲステロンは神経保護とミエリンの再形成において治療上の標的となる可能性。
BDNF分泌
プロゲステロンはPgrmc1膜関連受容体、ERK5を介してBDNFを放出する。BDNFの調節はERK / MAPK、PI3K / Aktなどのシグナル伝達経路を活性化しLTP(長期増強)を調節することができる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17549730
GABA-A受容体への作用
プロゲステロンのGABA受容体などとの相互作用
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1330306/
プロゲステロンによるGABA A受容体へのアロステリック効果
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17013930/
プロゲステロンの代謝産物であるアロプレグラノロンによる保護作用
シグマ1受容体の保護効果
プロゲステロンはシグマ1受容体の活性化を介して、神経保護効果をもつ可能性。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16945406/
シグマ1受容体の遺伝子多型はアルツハイマー病と相関を示す。
シャペロン機能、ミトコンドリアへのCa2+輸送の促進、ATP産生量の増加、
変異型はユビキチンプロテアソーム系の活性が低下することでTDP-43が細胞質に蓄積
脳梗塞の薬 エダラボン
seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2017.890106/data/index.html
シグマ受容体アゴニスト アルツハイマー病 フェーズ2試験
www.sankeibiz.jp/business/news/170719/prl1707191822153-n1.htm
脳の炎症を減少
プロゲステロンはエピジェネティックへの作用を介してNF-κBおよびMAPK活性化の抑制することにより強力な抗炎症性作用を発揮する。
外傷性脳損傷の潜在的な治療薬としての可能性を示唆する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4117574/
血液脳関門の完全性・ミエリン鞘産生
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26358238
睡眠時無呼吸症候群の改善
プロゲステロンは強力な呼吸刺激薬であり、男性の睡眠を誘導し、男性の中枢性および閉塞性睡眠時無呼吸症状の発症数の減少と関連する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17168724
プロゲステロンは、閉経後の女性の睡眠障害を予防し、成長ホルモン、TSH、メラトニンの分泌を調節する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21289261
合成プロゲステロンの無効な神経保護作用
プロゲステロンは合成プロゲステロン(プロゲスチン)よりも有益である
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24680649/
認知症リスクの増加
合成プロゲステロンとエストロゲンの併用療法は65歳以上の認知症リスクを高め、女性の軽度認知症を予防しなかった。 女性の健康イニシアチブ(WHI)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12771112/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16522699/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19932751/
言語記憶への悪影響
二重盲検無作為化試験の全体的な結果として、合成プロゲステロンは言語記憶への悪影響を及ぼすことが示されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22673228/
GABA作動系の低下
合成プロゲステロン投与によるラットのGABA作動系の変化と認知障害。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21562760/
BDNFを増加させない
プロゲステロンは神経保護作用を有するが、合成プロゲスチンであるメドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)の脳への影響は異なり、神経保護作用がないことが明らかになっている。この差はBDNFの調節作用の違いに起因している可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19325006/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3467329/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22775208
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15669543
エストロゲン神経保護作用の阻害
合成プロゲステロンはエストロゲンの神経保護作用を阻害する可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11997695/
乳がんリスクの増加
合成プロゲステロンとエストロゲンの組み合わせによる乳がんリスクの増加
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4038907/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12927427/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23543779/
微粉化経口プロゲステロンは乳がんリスクを軽減させるか増加させない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23848491/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22432810/
心臓病リスク
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19850239
プロゲステロンを増加させる
プロゲステロンクリーム
プロゲステロンを用いる場合、エストロゲンの拮抗作用を緩和するため一週間使って一週間オフと交互に用いる。また使用タイミングは夕方移行。
上記製品の場合、女性の規定量は1.3g/日、男性が用いる場合は約半分の0.6g/日
睡眠に問題がある場合は寝る前に用いると改善されることがある。
2ヶ月を超える長期使用は必ず血清プロゲステロン、エストラジオールの検査、そしてエストラジオール補充の必要性を含めた上で継続する。
チェストベリー・緑茶・L-アルギニン・ビタミン
複合栄養補助食品の投与によるプロゲステロンの増加
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17211965
アルギニン
アルギニン補給によるマウスのプロゲステロンと一酸化窒素の有意な上昇
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3351591/
ビタミンB6
200〜800 mg /日のビタミンB 6を投与は、乳製品と精製糖質を過剰に消費するサブグループ女性の血中エストロゲンを減少させ、プロゲステロンを増加させ症状を改善した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6684167
ビタミンC
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12909517
ワイルドヤム(ジオスゲニン)
ジオスゲニンサプリメントの投与はラットの血清プロゲステロンを増加させたが卵巣摘出ラットでは増加は観察されなかった。
ジオスゲニンの補給は、子宮組織のゼラチナーゼ発現によってプロゲステロンを用量依存的に増加させる可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3149279/
チェストツリー(セイヨウウニンジンボク)
ja.wikipedia.org/wiki/セイヨウニンジンボク
野生のメスチンパンジーへのチェストツリー(Vitex fischeri)の補給は、エストロゲンレベルに大きな影響を与えることなく尿中のプロゲステロンレベルを急激に上昇することが有意に示された。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18646183/
レッドクローバー(ケンフェロール)
レッドクローバー由来のケンフェロールは、プロゲステロン受容体のパーシャルアゴニストであり弱いプロゲストロン作用をもつことが試験管研究で示唆されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18619951/
ホップ
ホップのフラボノイド、8 – PNは、これまで知られている最も強力なフィトエストロゲン。しかしその産物はホップに含まれる前駆体イソキサントフモールの腸内細菌叢による代謝に依存するため、エストロゲン様活性には個人差が生じ得る。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18567753
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17885005
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16772450
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16076107
ホップはエストロゲン効果を相殺することができ、天然プロゲステロンが含まれている可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22484153/
禁煙
禁煙のためにニコチンパッチまたはバレニクリン錠剤を投与した女性のプロゲステロン濃度が上昇。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25762749