バイオアイデンティカル・ホルモン補充療法(BHRT)

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バイオアイデンティカル・ホルモン補充療法/リコード法(認知症・アルツハイマー病)

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概要

バイオアイデンティカル・ホルモンと補充療法

バイオアイデンティカル・ホルモンとは、人間の体に存在する内因性ホルモンと化学的に構造、作用が同一であるホルモン。

バイオアイデンティカル・ホルモン補充療法(BHRT)とはそれらを使用したホルモン療法のこと。

英語のBioidential Hormone Replacement Therapy の頭文字をとってBHRTと書かれる。

 

標準的なの合成ホルモン剤に対する補充療法への安全性への懸念のために、更年期障害の治療としてバイオアイデンティカルホルモン補充療法のニーズが高まっている。

しかし、バイオアイデンティカルホルモン補充療法は、無作為化された大規模試験の欠如から、多くの医療従事者は処方することを嫌っている。

Use of compounded bioidentical hormone therapy in menopausal women: an opinion statement of the Women's Health Practice and Research Network of the American College of Clinical Pharmacy.
Menopausal Symptom Relief and Side Effects Experienced by Women Using Compounded Bioidentical Hormone Replacement Therapy and Synthetic Conjugated Equine Estrogen and/or Progestin Hormone Replacement Therapy, Part 2.

 

BHRTの歴史

ホルモン療法はBHRTから始まった

米国でここ10年ほどで広がりを見せているが、歴史を掘り起こせば1930年代からすでに更年期障害緩和のために、女性の尿から抽出されたエストロゲンが用いられたりしていた。

J. B. Collip, 1893-1965.
合成ホルモン剤のブームそして凋落

1980~90年代に合成ホルモン剤を用いたホルモン補充療法が米国で広がり、特権的な地位を手に入れている。

その後ホルモン補充療法を利用した更年期女性の乳がんと脳卒中のリスク上昇の結果が公表されたことをきっかけに、使用率が劇的低下した。

1999年にその流行のピークを迎えている。

National use of postmenopausal hormone therapy: annual trends and response to recent evidence.
再復活したBHRT

そういった経緯から、BHRTはより安全であるというアンチエイジングの医師の宣伝や、有名人の利用などによって、天然ホルモンを利用する人が増えてきた。

Bioidentical Hormones, Menopausal Women, and the Lure of the “Natural” in U.S. Anti-Aging Medicine
In 2002, the Women’s Health Initiative, a large-scale study of the safety of hormone replacement therapy (HRT) for women conducted in the United States, release...

http://www.anwanregencenter.com/facts-bioidentical-hormone-replacement-therapy/

BHRTの主張と批判

特許が摂れないバイオアイデンティカル・ホルモン

製薬会社はホルモンが内因性のホルモンである場合、特許を摂ることができないため、研究や製薬のための投資を行わないという主張がBHRT推進の側に存在する。

これは半分真実であるが、薬物として吸収可能なプロセスを特許として摂ることは可能であり、実際にいくつかの大手の製薬会社はもっており、実際に臨床試験も行われている。

ナチュラルホルモンという名称

天然ホルモン、ナチュラルホルモンと呼ばれることもあるが、非バイオアイデンティカル・ホルモンであっても植物由来のものもある。

バイオアイデンティカルであろうとなかろうと外因的に投与するということの不自然にさには変わりなく、天然、ナチュラルという言葉が間違ったイメージを与えるという批判が多い。

品質のばらつき

乾燥甲状腺末は合成物よりもバッチごとの成分のばらつきが大きい。

ヒトとは異なる比率

T4とT3の比率はヒトの場合は11:1だが、乾燥甲状腺末では4:1と同じではない。

比率による効果の違い

甲状腺ホルモンにおいて用いられるT4とT3の合剤は一般的にアーマーサイロイドなどの天然ホルモンが用いられる。

いくつかの対照試験においてT4とT3の組み合わせは、比率によってはT4単独よりも有益ではない可能性がある。

American Association of Clinical Endocrinologists medical guidelines for clinical practice for the evaluation and treatment of hyperthyroidism and hypothyroidism.
Combined levothyroxine plus liothyronine compared with levothyroxine alone in primary hypothyroidism: a randomized controlled trial.

アルツハイマー病を含む神経変性疾患の患者で多く見られるT3のみの減少(低T3症候群)は、T4からT3への変換を行う脱ヨード酵素の発現に問題があるため、T3を含む甲状腺ホルモンの投与を行うことがリコード法や一部の専門家によって支持されている。

バイオアイデンティカル・ホルモンは安全なのか

現在のところ、合成のホルモンと比較して、バイオアイデンティカルホルモンの使用によるネガティブな作用の信頼できる報告はない。

生物学的のホルモンは自身の体によって産生されるものと同じ科学構造をもつため、より安全であるという主張は妥当と思われる。

ただし、大規模な長期試験では研究されておらず、この主張を支持する信頼性の高い証拠もまだない。

Combined levothyroxine plus liothyronine compared with levothyroxine alone in primary hypothyroidism: a randomized controlled trial.

まとめ

まとめると、研究の質と量、品質の安定性から見た場合、合成ホルモン剤に軍配が上がるが、理論的にはバイオアイデンティカルホルモンがより安全である可能性がある。

しかし実際には両者には大きな差はさほどない可能性もある。

Bioidentical hormones: Help or hype? - Harvard Health
Bioidentical hormones are promoted as being safer than FDA-approved postmenopausal hormones, but their production is not regulated and their claims of effective...

標準ホルモン補充セラピー(HRT)への批判

乳がんリスクは合成プロゲステロンで増加する

合成プロゲステロンと比較すると、天然のプロゲステロンとエストロゲンの併用は乳がんリスクの低下と関連していた。

Progesterone vs. synthetic progestins and the risk of breast cancer: a systematic review and meta-analysis
Use of menopausal hormonal therapy (MHT)-containing estrogen and a synthetic progestin is associated with an increased risk of breast cancer. It is unclear if p...
Bioidentical Hormones for Menopausal Hormone Therapy: Variation on a Theme
Progesterone creams and natural or bioidentical compounded estrogen preparations are being promoted to consumers as safe alternatives to conventional menopausal...
カスタマイズの欠如

ホルモン投与は摂取量や数種類のホルモン補充、またその組み合わせの比率など個人によってカスタマイズされるべき変数が多く、画一的にデザインされる臨床研究においては合成剤と天然ホルモンによる結果に差が生じにくい。

抗プロゲステロン作用

プロゲステロンの合成誘導体であるメドロキシプロゲステロンは、解毒または同化する生化学的経路が存在しないため、抗プロゲステロン作用を有する。

リコード法におけるBHRT

リコード法ではバイオアイデンティカルホルモンの投与が推奨されているが、絶対に合成剤を使ってはいけないというわけでもなさそうだ。

ただし、通常合成剤を用いる一般病院の内分泌内科などではガイドラインと保険診療に基づいて標準療法の基準範囲内で投与される。

リコード法の基準値に基づくと投与が必要な検査値であっても、一般の病院の標準的な診断基準においては正常な基準範囲となりホルモン剤を処方は行われない。

 

バイオアイデンティカルホルモンの投与を行っているクリニックなどでは、自費、自由診療であり、処方に関してのの自由裁量が大きい。

また、もともとバイオアイデンティカル・ホルモンセラピーは、単に素材を生物学的に同一のホルモンを用いるというだけでなく、カスタマイズして処方していくことにも特徴があるため、リコード法に基づいた処方をお願いすれば受けてもらえる可能性が一般の病院よりもあるかもしれない。

このことから、ブレデセン博士はバイオアイデンティカルホルモン補充療法を扱うクリニックに相談してみるのが良いと述べている。

 

日本国内でも、バイオアイデンティカルホルモンを扱う病院は存在するが、そこでリコード法に基づいた処方を行ってくれるかどうかはまた別問題となる。

また処方してもらえるとしても自費診療であり高い薬代が継続的にかかる。そのため多くの方が病院で検査だけを行ってもらい、実際の導入は個人輸入などを利用しているのが現状だ。

 

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