TSH(甲状腺刺激ホルモン)/認知症・アルツハイマー

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甲状腺ホルモン

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甲状腺刺激ホルモン/thyroid stimulating hormone

甲状腺ホルモン関連記事

甲状腺ホルモン 概要(アルツハイマー・リコード法)

TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)

TSH(甲状腺刺激ホルモン)

T4(サイロキシン)/T3(トリヨードチロニン)/rT3(リバースT3)

脱ヨード酵素(D1、D2、D3)

脱ヨード酵素の阻害因子・T4→T3の変換障害要因

ヨウ素・トランスサイレチン

低T3症候群 (Low T3 Syndrome)

天然甲状腺ホルモン補充療法(乾燥甲状腺末)

バイオアイデンティカルホルモン補充療法(BHRT)

概要

一般的なTSHの作用メカニズム

甲状腺ホルモン濃度を感知するセンサーが下垂体のTSH産生細胞に存在する。fT3やfT4が一般的な正常範囲にあっても、その人のセンサーにより不足していればTSHは上昇し、不足していればTSHは減少する。

つまりfT4が正常範囲であってもTSHが高値だったり低値だったりする。

わずかにfT4が下がってもTSHは上昇し、わずかにfT4が増加してもTSHは減少する。

そのため、TSHは正常値である場合は、fT4、fT3も正常であると通常みなされることから、甲状腺疾患スクリーニングの検査項目として扱われる。

リコード法

「TSHは脳下垂体の応答によりTRHの指令によって放出されるホルモンであり、視床下部で作られる。理論的には甲状腺機能が低下すると脳下垂体を刺激しようとTSHが増強されうる。つまり高いTSHは低い甲状腺機能の働きを示唆する。」

「一般的な甲状腺刺激ホルモン検査の基準値はTSH 0.4~4.2mIU/Lだが、リコード法においてはTSHが2よりも高い場合は懸念材料となる。そのため、その他の甲状腺ホルモン値を検査することが重要となってくる。」

TSHの異常値

アルツハイマー病患者のTSH、T4異常値

アルツハイマー病患者では一般的にTSH(甲状腺刺激ホルモン)とTT4(総テトラヨードチロニン)が有意に異常値を示す。

jim.bmj.com/content/61/3/578.long

脳血流と逆相関するTSH

 アルツハイマー病患者の右大脳半球および下側頭領域の脳血流とTSH値が逆相関していた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20975518/

女性の高リスク

女性では、甲状腺ホルモンの低値および高値の両方が、アルツハイマー病発症リスクと強く関連する。(男性ではない)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2694610/

TSHの低値または高値は女性のアルツハイマー病発症リスク増加と関連していたが、男性では関連が見られなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18663163/

TSHの新基準

アルツハイマー病の発症リスクと、TSHレベルが1.0未満または2.1を上回るレベルを維持していた女性との間に相関が認められた。

この1.0~2.1の範囲外であった人のアルツハイマー発症リスクは2倍以上であった。

現在の健全とされるTSHレベルの基準範囲は0.5〜5.0の間である。

米国臨床内分泌専門医協会(AACE)は0.3〜3.0の範囲に狭めることを提案したが、全米臨床生化学協会はTSHレベルが2.5を超えないようにすることを提案する。

www.holtorfmed.com/can-thyroid-dysfunction-cause-alzheimers-disease/

TSHレベルは2.0以上で異常となる可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23111240

TSHの低値

TSHのAD発症予測指標

TSHレベルの低下は、エピソード記憶の低下に先行することがあり、MCIからアルツハイマー病への移行の予測指標となりえる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15854779/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16869339/


血清TSHの低値はアルツハイマー病のリスクと相関する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26897535

TSHと脳血流の逆相関

アルツハイマー病患者ではTSHが非常に低い傾向

血清TSHと、右大脳半球の中および下側頭区域において脳血流が有意に逆相関

FT4濃度と、アルツハイマー病患者の恐怖および疲労感情の自己報告に有意な関連。

アルツハイマー病患者では、TSHの概日リズムが現れない

健常者では19~20時が一番低く2時が一番高い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23739900

シナプス可塑性への影響

TRHおよびTSHおよび他の甲状腺ホルモンの減少がAD被験者のシナプス可塑性に影響を与える可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10452218/

TSHの高値

TSH高値の血管性認知症リスク

TSHは高齢者のMCIまたはアルツハイマー病の発症リスクと関連していなかったが、TSHの高値は血管性認知症の発症リスクを増大させた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21430364

無症状の甲状腺機能低下による認知機能への影響

TSH高値だが血清T4レベルは正常である無症状の甲状腺機能低下症であっても、認知試験のパフォーマンスに影響を与える可能性があることが示されている。

Monzani F, Del Guerra P, Coraccio N, Pruneti CA, PucciE, Luisi M, Baschieri L (1993) Subclinical hypothyroidism:neurobehavioral features and beneficial effect of L-thyroxine treatment. Clin Invest 71, 367-371.

TSHとコルチゾールの関連

健康な若年者のTSHとコルチゾールには明確に関連があることを示唆する。

fT3およびfT4レベルはコルチゾールとの関係は明らかでない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23111240

エストロゲン低値

エストロゲンはHPT軸を介して甲状腺へ間接的に影響を与える。

卵巣摘出ラット(卵巣かからエストロゲンが分泌される)ではTSHレベルが増加し、T3およびT4レベルは減少を示した。

bmcresnotes.biomedcentral.com/articles/10.1186/1756-0500-2-173

 

TSHの概日リズム

健常者では正常なTSHの概日リズムを有していたが、アルツハイマー病患者では概日リズムによるTSHの変動が現れず、対照群より有意に低かった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23739900

 

TSH低値の一般的要因

・ストレス

・HPA軸の活性

・コルチゾール、CRH、ACTH

・飢餓によってレプチンが低下>TRH刺激が抑制>TSH分泌が低下

 

TSHの改善に必要な栄養素

・ヨウ素の摂取 0.4mg以下、最大0.8~1mg (甲状腺ホルモンの合成に必要)

・セレニウム  100~200mcg (T4をT3に変換するのに必要)

・クロム (セレニウムがクロムの排出を増加させる)150~250mcg

・適度な亜鉛(過剰な亜鉛はFT3、FT4を減少させる)

・ビタミンA(甲状腺ホルモン受容体に結合する)

 

筋肉異化作用

空腹時の甲状腺ホルモンを投与すると、筋肉に異化作用が高まる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/454518

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