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ピレスロイド系殺虫剤の健康リスクと治療法(有毒化学物質)

ピレスロイド系農薬の毒性・暴露源

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概要

pyrethroid

ja.wikipedia.org/wiki/ピレスロイド

en.wikipedia.org/wiki/Pyrethroid

www.atsdr.cdc.gov/phs/phs.asp?id=785&tid=153

ダニノミ忌避・殺虫剤

ピレスロイドは除虫菊に含まれる有効成分の総称で、殺虫剤として世界中で広く使われている。園芸市場では2番目によく使用される殺虫剤。犬用のノミやダニ忌避薬の有効成分でもあり、ダニ避けの衣服繊維に使われることもある。

ピレスロイド系農薬は、有機リン系農薬の使用減少に伴い、過去20年間で使用が大幅に増加している。

選択的毒性

ピレスロイドは昆虫類、両生類、爬虫類の神経細胞受容体に作用して殺虫効果を発揮する。(昆虫への毒性作用はヒトの2250倍)

哺乳類、鳥類の受容体への選択的毒性作用は無く、猫を除いてほとんどの脊椎動物がピレスロイドを分解する酵素を持っている。ヒト成人では急速に代謝され、組織に蓄積せず、尿中に排出される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21710279/

危険性を示す証拠の増加

そのため3つのピレスロイド化合物(デルタメトリン、ペルメトリン、α-シペルメトリン)の安全性は比較的高いと考えられており、これまで家庭内の害虫駆除などに広く用いられてきた。

しかし、最近のデータでは、皮膚吸収、吸入、食物、飲料などを介して身体に入る可能性があり、親油性のため脳関門を透過し、人間の健康に必ずしも無害ではない研究報告が増加している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6174339/

暴露経路

ピレスロイド化合物

ペルメトリンI
  • 癬用の局所クリーム(5%)
  • ペット用のノミ、ダニ駆除薬(25–75%)
  • 蚊帳(0.25–1%)
デルタメトリンII
  • 綿、コーヒー、ホップ、アーティチョーク、トウモロコシ、ブロッコリー、リンゴ、プラム、穀物(1〜2.5%)
  • ペット用のノミ、ダニ駆除薬(0.25〜10%)
  • ホップ、アーティチョーク、ブロッコリー、穀物(最も高濃度)
  • 蚊帳
α-シペルメトリンII
  • 作物保護に用いる農薬(綿、米、ジャガイモ、柑橘類、ブドウ、大豆)
  • ペット用のノミ、ダニ駆除薬
  • 大豆、柑橘類、ブドウ(最も高濃度)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28453973/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25413584/

食事・殺虫剤・季節性

都市部、郊外に住む子供の暴露源は、庭でのピレスロイド系殺虫剤の使用、食事摂取量、季節の違いの組み合わせによる複雑に変化する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18766203/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18414640/

オーガニック食品摂取による尿中ピレスロイド濃度の変化

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はehp0114-000260f1.jpg

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1367841/figure/f1-ehp0114-000260/

殺虫剤の大量散布地域

母乳

デング熱の流行などによりピレスロイド系農薬が大量に使われた際、サンプル採取された母乳のピレスロイドレベルは、一部で乳児の摂取する最大許容レベルに非常に近かった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22717642/

職業暴露

農業労働者

ピレスロイド農薬に暴露したベネズエラ農民の精子数の減少

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26299054

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25655817

客室乗務員

ピレスロイド殺虫剤は、民間航空機の消毒に使用されており、客室乗務員のピレスロイド暴露に影響をおよぼす。(アメリカ-オーストラリア間フライトでの高い3-PBAレベル)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3299936/

検査

3-フェノキシ安息香酸(3-PBA)

3-Phenoxybenzoic Acid (3PBA)

3-フェノキシ安息香酸(3PBA)はピレスロイドの代謝産物であり、ピレスロイド暴露のバイオマーカーとして使用される。

各化合物の疾患リスク

ピレスロイドおよびピレトリンは、神経発達に影響を与え、ホルモンを破壊、ガンを誘発し、免疫系を抑制する可能性がある。

高レベルのピレトリンまたはピレスロイドの吸入は、喘息、くしゃみ、鼻づまり、頭痛、吐き気、協調運動障害、震え、痙攣、顔面紅潮と腫れ、灼熱感、かゆみを引き起こすことがある。

ペルメトリン

ペルメトリンは、酵素活性作用だけではなく、生殖能力、免疫系、心血管、肝臓の代謝にも悪影響を与えるようであり、内分泌かく乱物質として疑われている。

内分泌かく乱

エストロゲン作用

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12396874

エストラジオール効果の増強 in vitro

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15651923

抗アンドロゲン作用

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15599112

子供のアレルギー・免疫機能

家庭でのペルメトリン使用は、特に子供ではアレルギーや喘息などの免疫障害と関連することがある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28665275/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16005927/

乳児の代謝性アシドーシス

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25487692/

中枢神経

ラット新生児のペルメトリン暴露は、長期記憶の障害、海馬シナプス形態へ長期的な影響を与える。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24678976/

若年期ラットのペルメトリン暴露は、無有害作用量(NOAEL)に近い用量で、線条体のドーパミン枯渇とノルアドレナリンの増加が観察された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23174539/

攻撃的行動

尿中ピレスロイド系農薬が高レベルで検出されたカナダの子供では、攻撃的な問題行動と関連していた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24149046/

ペルメトリンを含む食物摂取は、ラットの短期記憶と集中力に問題が生じる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3627076/

デルタメトリン

神経細胞への蓄積

デルタメトリンは炎症を誘発し、腎毒性および肝毒性。組織の抗酸化酵素の活性に影響を与える。デルタメトリンは、皮膚や経口での投与を介して、脳ニューロンに蓄積することがある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26057254/

胎児の睡眠障害・記憶障害

デルタメトリンの妊娠中の暴露は、胎児の中枢神経系に変化をもたらす可能性がある。

デルタメトリンに暴露した子供は、睡眠障害、記憶障害を特徴とした乏しい口頭能力を示し、知能スコアを減少させた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6174339/

ERストレス

デルタメトリン暴露は、ナトリウムイオンチャネルとの相互作用によりアポトーシスを引き起こし、カルシウム過負荷と小胞体ストレス経路の活性化につながる可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8751838/

α-シペルメトリン

免疫機能障害

α-シペルメトリンの特に長期暴露は、人体に影響を及ぼすことが示されている。

α-シペルメトリンは免疫を損ない、血中のグルコースと脂質レベルを増加させるように作用する可能性がある。

南アフリカの綿花畑で働く労働者では、顔と首の皮膚病変が観察され、尿中のα-シペルメトリン代謝物が検出された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26042367/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24269189/

低用量のαシペルメトリンの連続的食餌投与は、オスラットの酸化ストレスを誘発しない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5598094/

健康・疾患リスク

認知機能

空間記憶障害

ラットのデルタメトリンとカルボフランの暴露は、空間学習障害と記憶障害を誘発することがわかった。またGSK-3βの活性、PP2A阻害により、タウの過剰リン酸化も誘導した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22451311

デルタメトリンは、BDNFの連続的な活性化により神経栄養効果を有する。in vitro

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22079160/

2.39倍のアルツハイマー病リスク

コホート研究 フランス高齢者の職業上での農薬暴露によるパーキンソン病リスクは5.63倍で、アルツハイマー病リスクは2.39倍であった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12615605/

パーキンソン病

ピレスロイド系農薬は、パーキンソン病やその他の神経変性疾患の原因であることが示唆されている。ピレスロイドに曝されたボリビア人では、曝露量と神経認知能力の悪化との間に有意な関連を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5398229/

農薬によるパーキンソン病発症機序

図1

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26857251

ピレスロイド系とパーキンソン病の関連を増強する遺伝子

パーキンソン病HLA-DRのrs3129882との相互作用

ピレスロイド系殺虫剤は、HLA-DRバリアントキャリアの免疫応答の増加に関与している可能性があり、パーキンソン病を発症するリスクが高いことがわかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26857251

パーキンソン様疾患と世代間効果

新生児ラットへのペルメトリン暴露は、パーキンソン様疾患を誘発し、線条体に遺伝的な変化を引き起こし、子孫へとDNAメチル化の影響を与える可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29051472/

ピレスロイドの主な神経毒性メカニズムは、酸化ストレス、炎症、神経細胞の喪失、ミトコンドリア機能障害が含まれる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31246571

小児脳腫瘍

ピレスロイドは神経細胞膜のナトリウムチャネルを開放することで作用する軸索毒。

ピレスロイド農薬の暴露は、中国東部の子どもたちの小児脳腫瘍リスク増加と関連する可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27593355

小児期の発達遅延・自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供の母親は、健康な子供がいる人と比較して、ピレトリンを含むペットシャンプーの使用を報告した割合2倍高かった。

多動の発生率の増加は、尿中の検出可能な量の3-フェノキシ安息香酸に関連していた。
ピレトリンとピレスロイドのほとんどの製剤には、シトクロムP -450を阻害するピペロニルブトキシドも含まれており、ピレトリンとピレスロイドの代謝破壊を遅らせることで殺虫効果を高める。

このような製品の毒性は、ピペロニルブトキシドへの同時暴露によって増強される可能性がある。

www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-unpublished-work-on-pyrethroids-and-autism-in-new-york-state-conference-poster-from-the-american-association-of-pediatrics/

2倍の自閉症リスク

妊娠中の曝露は、子供の自閉症リスクの可能性を2倍にする。

出生前のピレスロイド暴露は、学習と行動に悪影響を与える可能性があるが、ジカウイルスリスクと比較した際にこの証拠を採用することは弱い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27548647/

3-PBAの出生前暴露は、より悪い内在化行動(恐怖、身体的な訴え、
不安、社会的引きこもりなど自己の内部の問題)、行動調節(対人関係、自己管理などの日常生活を送る基本的なスキル)と関連していた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5623638/

ピレスロイド農薬の空中散布地域では、小児期の発達遅延(DD)および自閉症スペクトラム障害(ASD)有病率との相関が見られた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5443159/

治療

ビタミンE(dl-αトコフェロール)

急性毒性に対する重症度の低下

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16180929

αシペルメトリン投与によるラット血液中αトコフェロール・γトコフェロールの有意な減少

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5598094/

ビタミンE(認知症・アルツハイマー)

オーガニック食品の摂取

子供の食事をオーガニック食品に変更することで、ピレスロイドの暴露が減少した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18766203/

オーガニック農産物への変更は、子供の尿中ピレスロイド代謝物の量を9分の1に減少させることができる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12611667/

グルタチオン補充療法

グルタチオンを増やす8つの戦略

N-アセチルシステイン

クリアランス(排出)能を高める

遠赤外線サウナ

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3504417/

ナイアシン補充療法

ペントバルビタール

ペントバルビタール (Pentobarbital) は、短-中時間作用型のバルビツール酸系の鎮静催眠薬。(商品ラボナ)

ペントバルビトンは、塩化物チャネルアゴニストと膜安定剤としての二重作用により、ラットの全身性II型ピレスロイド中毒に対する治療として極めて効果的に作用する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10778904