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鉄代謝異常への54のアプローチ(認知症・アルツハイマー)

鉄のキレート、再分布戦略

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鉄分がアルツハイマー病を引き起こす?

鉄代謝関連用語(覚書)

アルツハイマー病患者の鉄代謝障害

鉄代謝異常への54のアプローチ

概要

通常の鉄代謝障害を抱えている場合、(遺伝性鉄過剰、非遺伝性鉄過剰、遺伝性ヘモクロマトーシス等)それに沿った治療法を選択する必要がある。

アルツハイマー病においては、局所的な鉄の蓄積を除去して、再分布させることを主要目標とすべきかもしれない。

ヘプシジンの抑制がその役割を担うが、血清鉄濃度を下げることは強力にヘプシジンを抑制するため、結果、通常の鉄キレート治療が鉄の再分布を促し治療効果をもつことになる。

再分布の観点からは、鉄キレート期間と、鉄補充期間を定めて、キレーションサイクルを繰り返す必要があると思われる。

細胞内の鉄バランスを維持

恒常性のバランスは、輸送、摂取、貯蔵、利用、レドックスサイクリング、および輸出の6つの異なるプロセスによって調整されている。

細胞内の鉄バランスを変更する3つの方法
1 細胞内に入ってくる鉄の量を調整

・鉄キレート、血清鉄↓、フェリチン↓、ヘモジデリン↓、

・脳鉄はTfR1とDMT-1によって取り込まれる。

・鉄制限食、鉄の吸収阻害

2 細胞内に蓄えられている鉄の量を調整

・拮抗ミネラルの摂取

・可溶性タウタンパク質プールの回復

・NFTを減らす

3 細胞内の鉄を排出させるよう調整

・ヘプシジン↓、フェロポーチン↑

・GPI結合セルロプラスミン↑

生体不安定鉄(NTBI)を減らす

三価鉄を減らす → 危険なフリーの二価鉄も減少 → もっと危険なオキソ架橋二核鉄(III)もおそらく減少

トランスフェリン↑

セルロプラスミン↑

フェロオキシダーゼ↑

ヘモジデリン↓

低酸素誘導因子の調整

HIF-1、NO、

※セレギリンはHIFおよび、HIF活性成分をアップレギュレートする。

ヘプシジン標的

アルツハイマー病患者ではヘプシジン濃度が、健常者より3倍高い。

ヘプシジン濃度と、アルツハイマー病患者の重症度は相関。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5362180/


アルツハイマー病患者の認知評価試験と臨床データ、神経画像との相関

血清Fe - CDRSOB r=0.387  p=0.009

血清Fe - CDR r=0.361 p=0.015

血清Fe - MMSE  r=-0.269 p=0.064

飽和率 - CDR r=0.355 p=0.019

飽和 - CDRSOB  r=0.319 p=0.042

ヘプシジン - CDRSOB r=0.329 p=0.03

ヘプシジン - MMSE r=-0.253 p=0.09

Aβ40-CDRSOB r=0.321 p=0.04

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はad-8-2-215-g4.jpg

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4998755/

ヘプシジン-フェロポーチン軸の鉄ホメオスタシス調節を標的とした鉄関連疾患治療

ヘプシジン産生は、細胞からの鉄排出は抑制されるが、鉄吸収は促進されるため血中のヘム鉄は逆に増えて赤血球の鉄分過剰となる。

逆に、ヘプシジンを抑制すると細胞からの鉄排出は促進するが、鉄吸収は抑制されるため、血清鉄を測ると貧血となる。

わかりやすく書くとこんな感じ。

鉄過剰 → ヘプシジン産生↑ → 腸管からの鉄吸収↓、細胞内の鉄を貯蔵

鉄欠乏 → ヘプシジン産生↓ → 腸管からの鉄吸収↑、細胞内の鉄を排出

ヘプシジン抑制治療

ヘプシジンは体内の鉄量によって強くコントロールされているが、ヘプシジンを意図的に抑制することで鉄の再分布を狙った治療戦略が可能になる。

ヘプシジン

ヘプシジン拮抗薬(ヘプシジンを抑制)

ビタミンD

フルスルチアミン(ビタミンB1誘導体)

・漢方 和名:鶏血藤 Caulis spatholobi (中国名 Jixueteng

Smad 1/5/8リン酸化の抑制を介しプシジン発現を阻害する。

17-エストラジオール

・トシリズマブ (IL-6Rモノクローナル抗体)

・NOX-H94(lexaptepid pegol)(抗ヘプシジン薬)

・Anticalin PRS-080(貧血治療薬)

・ヘパリン(強力)抗凝固薬

・増殖分化因子15(GDF15)(PPARα、γの下流)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4009444/

ヘプシジン発現に関わる因子

・鉄濃度↑

・ホモシステイン↑

・低酸素症↑

・骨形成タンパク質シグナリング(特にBMP6)

・stat3シグナル伝達経路↑

・リポ多糖類(LPS)↑

・Stat3↑

・エストロゲン↓(ヘプシジンをダウンレギュレートする。)

・非アルコール性脂肪肝疾患(NASH)、慢性腎不全、骨髄芽球性貧血、貧血、↑

・HSP70↑(赤血球のアポトーシスを増強)

・炎症 IL-6、↑ → Stat3シグナル伝達 → ヘプシジン転写の亢進

・IL-22、(IL-6と同様)

・IL-1β → 肝細胞からのBMP2発現、アクチビンB増加

鉄キレート

ライフスタイル・物理的に除去

献血

一番現実的で効果的、おまけに人の役にも立つ。侵襲性があるため体力的に健康で、食生活がきちんとできていること。

500ml献血で200~250mgの鉄分を除去できる。

健康な男性では50ng/mlの血清フェリチン濃度が減少

瀉血

ヘモクロマトーシス患者が貯蔵鉄を取り除くには一番簡単な方法。またアルツハイマー病患者においても、合理的で安価な治療方法となりうる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19195795

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2732125/

個人で行うには

伝統療法のひとつカッピングによる瀉血が、合法的?にできるが、施術一回で抜ける血は30cc程度、数十回は最低でも繰り返す必要がある。

激しい運動

スポーツ貧血

赤血球の材料となる鉄の必要量が増えることで相対的に鉄が減少、発汗に伴う鉄の消失、継続的に行う必要あり。

専用鉄キレート剤

クリオキノール(キノホルム)抗原虫薬

第二相臨床試験で、クリオキノールがアルツハイマー病型認知症の認知機能低下を抑制している。

medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/282267.html

デフェリプロン (DFP or L1)

三価鉄と親和性、BBBを通過、細胞膜透過性をもつ。脳の特定部位から遊離鉄の除去能力をもつ。副作用としては、亜鉛欠乏症、肝毒性、無果粒球症をもつ。

DFPとDFOと併用療法がいずれかの単独投与より効果的であり、QOLを維持するという研究報告がある。

デフェリプロンは脳内の鉄濃度に変化を及ぼさなかった。血清鉄とコレステロール濃度を低下させた。抗酸化剤との併用を推奨。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22406440

パーキンソン病患者への投与

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21821461/

デフェラシロクス(DFX エクジェイド)

肝臓鉄は除去するが、脳鉄は直接的には除去しない。しかし蓄積した脳鉄を再分布する可能性がある。(アルツハイマー病の脳鉄不均衡に有効)

BBBは通過しない。細胞膜透過性をもつ。三価鉄と親和性が高い。細胞外で作用。

ラクトフェリンと結合させて細胞浸透させる創薬研究がある。

デフェロキサミン(DFO)

1961年に開発された古い薬。通常注射製剤、

BBBを通過しない。脳内へ作用させるために鼻腔投与されている。

デフェロキサミンはオートファジー誘導とプロテアソームの二つ経路によってフェリチンを分解する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19671920

アルツハイマー病患者へのデフェロキサミン投与 無作為化単盲検試験

125mg×2/日 週5日 24ヶ月

グループ間で知能、記憶力、または発話能力の基準尺度に有意差はなかった。日常生活動作のビデオ録画観察ではグループ間の悪化率に差はなかった。

治療グループは日常生活能力の低下率の有意な減少(無治療群では2倍)をもたらした。

食欲(n = 4)と体重(n = 1)の減少が報告された唯一の副作用であった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1674295/

PBT2

クリオキノール、PBT1の改良版

PBT2は、脳内の過剰の銅、亜鉛、鉄を結合し、アミロイドプラーク形成を減少させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21797865/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24563468

アルツハイマー病患者へのランダム化比較試験 78名

29人の患者に250 mg /日のPBT2を投与し

20人の患者に低用量のPBT2(50 mg /日)を投与

29人の患者にプラセボ薬を投与

250mg /日を投与した患者では、脊髄液中のアミロイドβ濃度が減少を示し、認識能力(実行機能)の改善が観察された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18672400/

EDTA

三価鉄と結合してキレート、iHerbで入手が可能。

鉄以外のミネラル(カルシウム、銅、鉄、銀、ジルコン、マグネシウム)もキレートされてしまう。特に銅、鉄、コバルトと強く結合。

細胞内には侵入できない。

ラサギリン

モノアミンB阻害剤(不可逆)パーキンソン病の治療薬として知られているが、鉄キレート作用もある。

その他、前頭皮質においてHIF-1α(低酸素誘導因子)をアップレギュレート、BDNF、VEGF増加、ペルオキシナイトライトよる細胞障害の防御、APP発現の調節など、多くの神経保護活性をもちあわせる。3型に有効かもしれない。

Feralex-G

細胞内の三価鉄とアルミニウムをキレートする。インビトロでROS誘発遺伝子発現を抑制する。神経変性疾患に有望とされている新しい合成キレーター

糖化反応阻害剤

メトホルミン

アミノグアニジン

ベンフォチアミン

ピリドキサミン

αリポ酸

キレート剤をサポートする抗酸化剤

Nアセチルシステイン
αリポ酸
カフェ酸(コーヒー)
COQ10
ラサギリン
ミノサイクリン

鉄キレート(ハーブ)

サルビアノール酸A

サルビアノール酸Aは、アミロイドβを著しく阻害、フィブリルを分解、金属イオンをキレート。アルツハイマー病の有望な治療薬

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23703159

イカリソウ?

イカリソウハーブmilkvetchルートとkudzuvine根から抽出した成分が過剰な鉄によって引き起こされる中枢神経機能障害の低下を軽減。フェロポーチン1発現をアップレギュレーションする。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26109953

レスベラトロール(デフェリプロンとの併用)

デフェリプロン(鉄キレート)とレスベラトロールのハイブリッド効果により、アミロイドβ42の凝集を阻害し、鉄を含む強力な金属キレート作用と抗酸化活性を有する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28061347

ヒューペリジンA

ヒューペルジンAは過剰鉄による神経細胞の生存率低下を減少させた。不安定鉄プールアップレギュレーションと鉄過剰によって誘導される他の異常な鉄代謝変化を有意にブロックした。これらの効果はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の効果とは関連していない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27498774

ミルクシスル(まりあざみ)

シリマリンが鉄キレート剤であるデフェロキサミンとの併用で、鉄過剰の患者の鉄を減少させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23278124?dopt=Abstract


ミルクシスルに含まれるシリビンが、食事に含まれる鉄を吸収し、水やお茶よりも強くキレートする。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20628405

スカルキャップ(バイカレイン・バイカリン)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19108897/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18630529

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15868934

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16527270

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15733556

EGCG(緑茶)

緑茶カテキン/EGCG(認知症・アルツハイマー)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17447435

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10863027

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17640565

ピクノジェール

ピクノジェールの抗酸化活性と生物学的特性

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10490291/


ピクノジェールに含まれるプロシアニジンは強力な抗酸化剤であり、鉄、銅イオンを補足する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9000880/

鉄キレート(食品)

プロトカテク酸・クロロゲン酸

バイカレイン、バイカリン、ケルセチン、およびルチンを含むフラボノイドは、ほとんどまたは全く鉄の還元活性を示さず、Fe 2+イオンの自己酸化を促進した。

対照的にプロトカテク酸やクロロゲン酸などの非フラボノイドポリフェノールは強力な鉄イオン還元能力を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9512770/

プロトカテク酸

スターアニス 32mg チコリ21mg (100g中)

クロロゲン酸

コーヒー、じゃがいも、ごぼう

クランベリー

クランベリーに含まれるプロアントシアニジンは強力な鉄キレート能力を有する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20806417

クランベリーエキスの補給は鉄代謝マーカーに直接影響を与えなかった。クランベリーに含まれる種々の成分は、鉄代謝パラーメーターを変更するメカニズムは抗酸化能の増強と関連している可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5330006/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17992280

ルチン(韃靼そば)

ルチンによる細胞外金属イオンのキレートは、デフェロキサミンよりも急性肺障害への保護に効果的。

NF-κBおよびMAPKのLPS誘発活性化を阻害。ヘムオキシゲナーゼ1のLPS発現を増強

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24486341

ゲニステイン(大豆イソフラボン)

大豆イソフラボンが三価鉄を二価鉄に還元する

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17391639

クルクミン(ターメリック)

クルクミンは鉄キレーターであり、かつヘプシジン合成を抑制し鉄代謝に影響をおよぼす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18815282


クルクミンは金属、特に鉄および銅と結合し鉄キレーターとして機能する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18324353

ピクロリザ・クルロオア/Picrorhiza kurroa(アポシニン)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19191039

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17916764

鉄吸収を妨げる予防戦略

鉄吸収を妨げる栄養素・薬

・カルシウム

・ビタミンA

・制酸薬

鉄吸収を妨げる食品

・大豆タンパク質

・牛乳、卵

・お茶、(タンニン、EGCG)

・野菜・果物 (ポリフェノール)

・マメ科植物、全粒粉、ナッツ(フィチン酸縁)

腸内細菌叢

鉄不足はアレルギー疾患発症リスクの増加と関連している。

pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2017/mt/c7mt00241f

鉄の補給は有益な腸内微生物の代謝産物濃度を高め、腸の健康に寄与し得る。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24555487

鉄を増加させる要因

鉄を非常に多く含む食品

モツ、豚レバー、鶏レバー

卵黄

乾燥豆

ココア

サトウキビの糖蜜

パセリ

ひじき

アサリ、赤貝

野菜の鉄吸収率は1~10%

肉類の鉄吸収率は5~20%

鉄が中程度に多い食品

肉、魚

木の実

全粒粉の小麦粉

緑色野菜

鉄の吸収を促進する栄養素

タンパク質

メチオニン+システイン

システイン

クエン酸

柑橘系ジュース

鉄を多く含むサプリメント

スピルリナ

クロレラ

モリンガ

ヘプシジン アゴニスト 

ヘプシジンが上昇すると、鉄吸収は抑えられるが鉄排出は抑制される。

ゲニステイン

コーヒー、そら豆、クズ、大豆などに含まれる

ヘプシジンが豊富な食品リスト

dietgrail.com/genistein/

イカリイン

肝臓のへプシジン濃度を上昇させる。

骨形成タンパク質 BMP6

主に鉄過剰 → BMP6発現 → ヘプシジン発現

その他

ビタミンC

ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を増加させる。

亜鉛

鉄と亜鉛を同時摂取すると、亜鉛の吸収が妨げられる。

フェリチン

フェリチンはアルミニウムも結合できてしまう。そのため鉄が低値だとアルミニウムの吸収が増加する!

アルミニウムの吸収を妨げるケイ素ウォーターが役に立つかもしれない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23103708

ヨウ素

重度の鉄欠乏性貧血は、甲状腺ホルモンの産生を損なう可能性がある。一般的に日本人はヨウ素欠乏はあまり見られないないが、普段、海藻類を食べない人は注意したほうがいいかもしれない。ヨウ素サプリメントによっても補充できる。