鉄代謝関連用語(覚書)

アルツハイマー病と鉄 用語

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鉄代謝関連用語(覚書)

二価鉄

危険な鉄

不安定で毒性が強い。

細胞膜の通過、細胞内での酸化、還元反応などの触媒で一時的に出現する。

そのため危険といっても、鉄代謝には必須

二価鉄と三価鉄は平衡状態にある。(三価鉄が増えると二価鉄も増える)

三価鉄

安定した鉄

生体内の鉄は、ほとんどが安定した三価鉄として存在している。

体内で移動する時には運び屋が必要。

トランスフェリンと強力に結合する。

ヘム鉄

肉の鉄

二価の鉄原子とポルフィリン

ヘムタンパクに囲われた鉄のためヘム鉄という。

赤肉、魚など含まれる、非ヘム鉄と比べ吸収力5倍、

非ヘム鉄

野菜の鉄

野菜に含まれる三価鉄、吸収には三価鉄から二価鉄へ還元する必要がある。ビタミンC、酢、胃液など。

トランスフェリン (Tf)

鉄の運び屋

血中で3価の鉄と結合して輸送を担うタンパク質。

体内の鉄のほとんどはトランスフェリンと結合しており、いわゆる血清鉄はこのトランスフェリンと鉄の複合体をさす。

脳への輸送

脳へも、トランスフェリン受容体を介したエンドサイトーシスによって血液脳関門を透過して輸送される。

その後脳脊髄液に吸収され循環系に戻るが、脳の鉄必要量は血液中の鉄よりも高いため、脳内で鉄リサイクルされていると考えられている。

そのため、体内鉄の過剰または欠乏が脳内鉄に影響を及ぼすことは少なく、鉄過剰症であっても脳への異常鉄沈着は認められない。

トランスフェリン受容体1(TfRA1)

鉄の受け取り

トランスフェリンを細胞内へ取り込む受容体

セルロプラスミン(Cp) 

銅の運び屋 & 二価鉄を三価鉄に

肝臓で産生されるタンパク質で銅の運搬と代謝、鉄の代謝(二価鉄→三価)に関与している。血清銅はセルロプラスミンと結合している。

セルロプラスミン(Cp)は、血中に分泌される「分泌型Cp」と細胞膜に結合する「GPI結合型Cp」の2種類のアイソフォームが存在する。

「GPI結合型Cp」(GPI-Cp)

「GPI結合型Cp」がないと、鉄の動員に必要なフェロオキシダーゼ活性がなくなり、細胞膜のフェルロポルチンが分解され、鉄の細胞外への排出が阻害されるため細胞内に鉄が蓄積する。

ヘファスチン(Hephaestin Hp) 

セルロプラスミンの仲間

セルロプラスミン同様三価鉄に酸化させる。フェロポーチン1と協力して鉄排出を媒介する。

フェロオキシダーゼ

二価鉄 → 安定鉄に

二価の生体不安定鉄はフェロオキシダーゼによって酸化活性され、トランスフェリンに移行する。

ヘプシジン 

鉄の排出を抑制(細胞から)

IL-6によって肝臓で合成されるホルモン、マクロファージからの鉄排出を抑制、腸管からの鉄吸収を抑制、炎症 → IL-6 → ヘプシジン産生 → 赤血球減少 → 貧血

ヘプシジンの分泌が亢進すると、ヘプシジンがフェロポーチンを分解に導く。ヘプシジンは体内の鉄量を需要に応じて調整する因子であり、複数の要因によって増加する。(炎症、鉄濃度の飽和、造血、低酸素等)

ヘプシジンを阻害することで、細胞内の鉄排出を促すことができる。

フェロポーチン(Fp)

鉄の排出を促進(細胞から)

血管上皮に存在し、細胞外へ鉄を排出する役割をもつ。ヘプシジンはこのフェロポーチンにくっつくことで鉄の放出を抑制する。

鉄を細胞外へ輸送するためのタンパク質、APPはこのフェロポーチンを細胞表面上に固定するのに役立つ。βアミロイドペプチドが細胞表面上のAPPの量を減少させ、フェロポーチンの細胞表面上への固定能力も低下させる。→ 細胞内の鉄が上昇 → フリーラジカルにより細胞損傷が亢進(アルツハイマー病患者に見られるニューロン損傷)

ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)

遊離ヘム除去係

ヘム分解の律速酵素、ヘムタンパクから遊離した遊離ヘムを除去することで酸化ストレスに対抗する。代謝産物も細胞保護的に機能する。

鉄トランスポーター1(DMT1)

二価鉄の受取屋

非ヘム鉄と、二価イオン(Zn、Mn、Cu、Co)を細胞内へ取り込むトランスポーター、腸管からの鉄吸収をコントロールする。脳にも発現していて、パーキンソン病の黒質鉄過剰とも関係している。

ヘムキャリアープロテイン(HCP-1)

ヘム鉄の受取屋

ヘム鉄を上皮細胞内に取り入れるトランスポーター、葉酸の輸送体でもある!?

不安定鉄プール Liable Iron Pool(LIP)

細胞内で使われるフリーの二価鉄の分画

(DNA合成と修復、細胞周期、ミトコンドリア、ヘム合成、鉄貯蔵)

フェリチン(FPN)

鉄の貯蔵庫

トランスフェリンによって運ばれた鉄を細胞内に貯蔵する鉄の貯蔵庫。

反応性の高い二価鉄イオンを酸化させて三価鉄イオンとして無毒化する。

4500分子を貯蔵庫に入れておくことが可能で、過剰鉄によって組織が障害されないように役割ももつ。

フェリチンのサブユニットにはL鎖とH鎖があり、L鎖に遺伝子異常があると、鉄貯蔵機能が低下し、グリア細胞、アストロサイトに鉄が蓄積しジストニア、不随意運動障害、認知機能障害に寄与する。

H鎖/L鎖比調節不全

アルツハイマー病患者では、H鎖とL鎖の比率が健常高齢者と比べて5倍高く、H/Lの不均衡、調節不全がアルツハイマー病における炎症、活性酸素ラジカルの産生と関与している可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7616228

L鎖とミトコンドリアフェリチン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20176086

炎症

体に炎症があると細胞内のフェリチンは増加する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8695634

ヘモジデリン hemosiderin

フェリチンが重合(悪)

フェリチンや崩壊したヘモグロビンなどの混合物

IRP1、IRP2

フェリチンの発現調整を通して、鉄代謝をコントロールするRNA結合タンパク質

IRP2が中心的に働いている。

生体不安定鉄(非トランスフェリン結合鉄 NTBI) 

主にトランスフェリンとの結合能を超えてしまい飽和したフリー鉄をさす。(本当に危険な鉄はオキソ架橋二核鉄(III)かもしれない。)

生体不安定鉄の生成と毒性の発現機構(pdf)

フリーラジカルが発生し、細胞小器官の機能障害、最終的には細胞傷害、DNA障害、臓器線維化、発癌などにいたる。

フェロトーシス 

鉄による自殺

細胞内鉄がもたらす特定の細胞死、アポトーシス、オートファジーとは異なる細胞死経路。

最近の研究の証拠では、このフェロトーシスが、酸化還元活性鉄、脂質過酸化ストレスによって脳神経細胞で生じアルツハイマー病に寄与する可能が示されている。

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166432817316960?via%3Dihub

フェロトキシンは、エラスチン、スルファラジン、RSL3などの多様な小分子によって誘発され、トロロックス(水溶性のVEアナログ)やビタミンEなどの親油性抗酸化物質やデフェロキサミンなどの鉄キレート剤によって阻害することができ、アルツハイマー病の治療に期待できる。