現在のパレスチナ人とイスラエル人の虐殺で最も血まみれの手を握っているのは、ハマスでもネタニヤフ政権でもなく、西側諸国である。
そう、パレスチナの戦闘員たちは週末、ガザ地区の端にあるイスラエルの入植地に対して残忍な攻撃を行った。しかし、この攻撃はどこからともなく、あるいは何の前触れもなく起こったわけではない。イスラエルが私たちに信じ込ませようとしているように、「いわれのない」攻撃ではなかったのだ。
実際、ガザのパレスチナ人がどれほど挑発されているか、西側諸国はよく知っている。なぜなら、イスラエルがパレスチナ人を祖国から民族浄化し、その残党を歴史的パレスチナ内のゲットーに幽閉するのを、同じ政府が何十年も加担して支援してきたからである。
過去16年間、イスラエルへの西側の支援は揺らぐことはなかったが、イスラエルはガザという海岸沿いの飛び地を世界最大の野外刑務所から、パレスチナ人が人体実験を受ける陰惨な拷問部屋へと変えてしまった。
食料と電力は配給制となり、生活に必要なものは拒否され、飲料水へのアクセスは徐々に奪われ、病院には医薬品や医療器具が届かない。
問題は無知ではない。西側諸国政府は、イスラエルが犯している犯罪について、リアルタイムで知らされてきた。自国の大使館職員からの極秘電報や、パレスチナ人に対するイスラエルのアパルトヘイト支配を記録した人権団体からの絶え間ない報告書によって。
それなのに西側の政治家たちは何度も何度も、介入することも、意味のある圧力をかけることも何もしてこなかった。さらに悪いことに、彼らはイスラエルに際限のない軍事的、財政的、外交的支援を与えてきた。
人間の動物
イスラエルがガザに対する野蛮な扱いを強化している今、西側諸国の責任は小さくない。ヨアヴ・ギャラント国防相は今週、食料と電力の供給をすべて停止し、ガザ包囲網をさらに強化することを決定した。
彼は、檻に入れられたパレスチナ人（男性、女性、子供）を “人間の動物“と呼んでいる。
ヨアヴ・ギャラン #イスラエル 国防相は、パレスチナ人を指して「我々は人間の動物と戦っている」と述べ、「それ相応の行動を取る」と宣言。
ガザ地区を「完全包囲」し、「電気も食料も燃料もなく、すべてが閉鎖される」と発表。
The #Israeli Defence Minister Yoav Gallant said "we are fighting human animals", referring to Palestinians, and vowed to "act accordingly".
He announced a "complete siege" of the #Gaza Strip, saying there will be "no electricity, no food, no fuel, everything is closed" pic.twitter.com/SFY7DcxkWc
— Middle East Eye (@MiddleEastEye) October 9, 2023
ヨアヴ・ギャラン #イスラエル 国防相は、パレスチナ人を指して「我々は人間の動物と戦っている」と述べ、「それ相応の行動を取る」と宣言。
ガザ地区を「完全包囲」し、「電気も食料も燃料もなく、すべてが閉鎖される」と発表。
歴史が何度も証明してきたように、人間性を奪うことは、より大きな暴挙と恐怖への序曲である。
欧米はどう対応したか？
ジョー・バイデン大統領は、イスラエルとハマスの間に「長い戦争」が待ち受けていると宣言した。ワシントンは長い戦争を好んでいるようで、それは常に自国の兵器産業への恩恵と国内問題からの気晴らしになる。
アメリカの空母が向かっている。当局はすでに、空からパレスチナの市民を殺害するために再び使用されるミサイルや爆弾、そして来るべき地上侵攻の際にイスラエル軍がパレスチナのコミュニティを空爆するための弾薬を送る準備をしている。
そしてもちろん、イスラエルへの追加資金も潤沢に用意されるだろう。最も弱い立場にある米国民が必要としているときには、決して見つからない資金だ。
これらの資金は、ワシントンが現在、自称ファシストで民族至上主義者のイスラエル政府に毎年送っている40億ドル近い資金に上乗せされることになる。
英国のリシ・スナック首相は、イスラエルがガザのパレスチナ人に集団罰を与え、週末にハマスがイスラエルのパーティー参加者に行ったのと同じように、無差別に虐殺を始めたとしても、それに負けたくないと考えている。
ライトアップされた巨大なイスラエル国旗が、英国で最も有名な家、ダウニング街10番地（スナックの公邸）のファサードに掲げられた。首相は「軍事支援」と「情報提供」を申し出ており、おそらくイスラエルがガザの檻の中の住民を爆撃するのを助けるためだろう。
The Israeli flag shines on Downing Street tonight in solidarity with the people of Israel.
We stand with 🇮🇱 pic.twitter.com/AEuZVmnXmo
— UK Prime Minister (@10DowningStreet) October 8, 2023
黙って苦しむ
西側諸国が10年、10年とイスラエルのパレスチナ人に対する蛮行を甘やかし、助成し、外交的援護を与えなければ、この破局の瞬間は訪れなかったというのが真実だ。
このような惜しみない支援がなければ、また、加担する西側メディアが入植者による土地の窃盗や兵士による抑圧をある種の「人道危機」として仕立て直すことがなければ、イスラエルはその犯罪から逃れることはできなかっただろう。
それは、「善良な」パレスチナの指導者たちを陥れ、自国民の服従に協力させることだけを意図した偽りのオスロ合意ではなく、パレスチナ人と適切な和解を結ぶことを余儀なくされただろう。
イスラエルはまた、中東におけるパックス・アメリカーナを受け入れるようアラブ近隣諸国を威圧するのではなく、純粋に正常化することを余儀なくされただろう。
その代わりにイスラエルは、西側メディアによって “穏やか “あるいは “静か “として売られる、容赦ないエスカレーション政策を自由に追求してきた。
そのとき初めて「エスカレーション」という言葉が使われる。それは常にパレスチナ人の「緊張のエスカレーション」である。イスラエルによる恒久的な抑圧状態は、「報復」として安全に認められ、再表示される。
パレスチナ人は黙って苦しむしかない。というのも、彼らが騒げば、西側諸国の指導者たちが「ルールに基づく秩序」を訴えることがいかにインチキで、いかに利己的なものであるかを、西側諸国の国民に思い知らせることになるからだ。
石器時代に戻る
欧米からの際限のない甘やかしは、最終的にどこに行き着くのだろうか？
すでにイスラエルは、ガザに住む200万人の住民に対する政策を、より明確に打ち出そうとしている。その政策には、それを実行している人々や、その実行を静かに支持している人々に不快感を与えないために、私たちが使ってはいけない言葉がある。
意図的であれ結果的であれ、イスラエルが民間人を飢えさせ、電力を与えず、清潔な水を奪い、病院が病人や負傷者を治療するのを妨げ、イスラエルが爆撃した人々を治療するのを妨げるのは、大量虐殺政策である。
西側諸国政府もこのことを知っている。イスラエルの指導者たちは、自分たちのしていることを秘密にしていないからだ。
15年前、イスラエルがガザを陸・海・空から包囲した直後、当時の国防副大臣マタン・ヴィルナイは、イスラエルはガザに対して「ショア」（ヘブライ語でホロコーストを意味する）を実行する用意があると断言した。もしパレスチナ人がこの運命を避けたいのであれば、彼らは収容所では黙っていなければならないと彼は言った。
その6年後、まもなくイスラエルの上級大臣に任命されることになるアイェレト・シェイクは、ガザにいるすべてのパレスチナ人を「敵」と宣言し、その中には「高齢者と女性、都市と村落、財産とインフラ」も含まれていた。
彼女はイスラエルに対し、占領に抵抗するパレスチナの戦士たちの母親を殺すよう求めた。
2019年の総選挙で、当時野党党首でもうすぐ国防相になるベニー・ガンツは、「ガザの一部が石器時代に戻された」イスラエル軍のトップ時代を祝うビデオで選挙運動を行った。
2016年、当時イスラエル軍の副司令官だったヤイル・ゴラン将軍は、イスラエルの動向はホロコーストに至るドイツの時代と重なると述べた。
今年のインタビューでゴランの発言についてコメントを求められたアミラム・レヴィン元将軍は、イスラエルがナチス・ドイツに似てきていることに同意した。「痛いし、いいことではないが、これが現実だ」。
ガザの血
西側諸国の指導者たちは、パレスチナ市民（飛び地の人口の半分は子どもたち）が飢えに苦しみ、飲料水を与えられず、電気を拒否され、適切な医療を受けられず、繰り返し恐ろしい砲撃を受けるのを、すべて見守っていた。
西側諸国は、一方では「比例性」の法的な巧妙さに苦悩しているふりをした。もう一方の口からはイスラエルを応援した。「断ち切れない絆」、「疑う余地のない権利」、「自衛」について語った。
それはイスラエルのヨアヴ・ギャラント国防相のような人物と同じだった。パレスチナ人は主体性を持った人間ではない。彼らは自由と尊厳のために努力している人々ではなかった。彼らは、国際法のもとで、ウクライナ人に関しては世界が称賛する権利である、占領と収奪に抵抗する人々ではなかった。
そうではなく、彼らは「テロリスト」指導者の犠牲者か支持者だったのだ。そのため、彼らは西側諸国から、意見を聞き、評価され、人間として扱われる権利を失ったかのように扱われた。
欧米の政治家やメディアは、ガザのパレスチナ人が拷問部屋に閉じこもり、唇を噛みしめ、黙って苦しむことを期待している。
そう言わざるを得ない。ガザの住民は、静かでゆっくりとした消去への道に直面している。その資金源となっているのは、そしてそれを可能にしているのは、アメリカとヨーロッパの同盟国だ。彼らの手は、ガザの血に染まっている。
ジョナサン・ク ックはイスラエル・パレスチナ紛争に関する3冊の著書を持ち、マーサ・ゲルホーン・ジャーナリズム特別賞 受賞者。ウェブサイトとブログはwww.jonathan-cook.net。本記事は Middle East Eyeに掲載 されたものです。
The Blood of Gaza Is on the West’s Hands as Much as Israel’s