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全身麻酔の認知機能低下リスク(認知症・アルツハイマー病)

General anesthesia/リコード法

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はじめに

ja.wikipedia.org/wiki/全身麻酔

一般的な麻酔薬は脂溶性が高く細胞に浸透し、多くの細胞成分と相互作用する。

麻酔薬は、遺伝子発現、タンパク質合成、プロセシング、細胞機能に影響を及ぼし、多くの組織で長期的にも生化学的な影響をもたらすことが明らかになっている。

麻酔薬の安全性

ヒトではその悪影響は時間が経過すれば完全に元に戻るものと考えられており、多くの研究においても長期的な認知機能の低下は引き起こさないことが報告されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22168260/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26865152/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23642337/

矛盾する研究結果

しかし、その仮定が疑わしいものとして再考すべき多くの動物研究、試験管研究データも多く浮上してきており、ヒトを対象とした研究でも矛盾した結果が得られている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23896612/

健常者では通常問題がないと考えられるが、部分麻酔ではなく全身麻酔、加齢、ApoE4、麻酔薬の投与方法、曝露時間、ハイリスク手術、血液脳関門の破壊、ミクログリアの過剰活性など、潜在的なリスク寄与因子が重なることでヒトにおいても深刻な認知機能低下を招く可能性が考えられる。

リコード法

ブレデセン博士らも、特に毒素に対して脆弱性をもつ3型認知症において、麻酔薬による免疫システムの低下が毒性にさらされることになり、認知症の発症要因に寄与する可能性があると提案されている。

全身麻酔歴

認知症患者さんで診断前を含めた過去に全身麻酔を実施していた場合、毒素と関連している可能性があるため、毒素に関する検査を行うこと。

全身麻酔の予定

認知症患者酸が手術などで麻酔の投与を予定している場合、全身麻酔だけはできる限り避けて局部麻酔に切り替えてもらうこと。局部麻酔と全身麻酔では認知機能へのリスクが大きく異なる。

特に毒素と関連している患者さんでは、麻酔薬によって免疫反応が低下することにより、細菌、ウイルス、真菌などへの防御機能を損なう。

researchfeatures.com/2017/06/19/impact-anaesthetics-immune-function/

※おそらく(特にApoE4キャリアでは)吸入麻酔よりも静脈麻酔がより安全

どうしても全身麻酔が必要な場合は、手術の前後でグルタチオン濃度を高めておき、炎症応答のリスクを下げておく。

グルタチオン静注、リポソームグルタチオン、アセチル-L-グルタチオン、ミルクシスルなど。

グルタチオンを増やす8つの戦略

POCD(術後認知機能障害)

術後認知機能障害 postoperative cognitive dysfunction:POCD

術後の合併症として、記憶障害、失語、失認、遂行機能障害、半側空間無視などが起こる障害。高齢者で頻度が高く術後3ヶ月でのPOCD発生率は10~15%にも及ぶとの報告があるが、このメカニズムは未解明のままである。

www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/34/1/34_032/_pdf

www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/38/2/38_161/_article/-char/ja

直接的なリスクはない

全身麻酔とPOCDの間には、直線的な因果関係は観察されない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12648190/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16803914/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8126336/

推定されるリスク寄与因子

低体温

麻酔の投与は、マウスの低体温を引き起こし、マウス脳においてタウの急速なリン酸化、PP2Aの阻害を誘発した。麻酔中に低体温を正常の体温に戻した場合には、タウのリン酸化は正常レベルにまで回復した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17376970/

ハイリスク手術

ハイリスク手術において、認知症のリスクが増大する可能性。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5758206/

ApoE4

ApoE4を保有する高齢者の「吸入麻酔」では、術後認知機能障害と有意に関連する。「静脈麻酔」とでは相関しなかった。

静脈麻酔群と比較した場合、吸入麻酔群ではMMSEスコアが有意に減少する。

anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=1933714

加齢脳への影響

高齢ラットへの麻酔薬曝露は2~3週間後に空間記憶、学習障害を引き起こす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15502036/

対症的に若いマウスへの麻酔投与では、より良い認知能力を示し長期増強を改善させた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19059421/

長時間の麻酔薬によるリスク

イソフルランの6時間曝露は好中球機能を減弱させ、敗血症マウスの死亡率が増加した。しかし、短時間の曝露では敗血症は悪化しなかった。

researchfeatures.com/2017/06/19/impact-anaesthetics-immune-function/

推定される損傷メカニズム

カルシウムホメオスタシスの変化

吸入麻酔薬は、小胞体膜IP3を活性化、過剰なカルシウム放出を引き起こすことでニワトリの細胞アポトーシスをう誘発する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18212570/

神経炎症・炎症性サイトカイン

麻酔を受けたラットの外科手術ではグリア細胞において炎症誘発性サイトカイン活性の誘発を介して海馬炎症反応と関連する認知機能低下を引き起こした。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17325501/

麻酔投与による患者の外科手術は、脊髄液中のアミロイドは変化させなかったが、総タウ、リン酸化タウは48時間かけて増加した。 IL-6、TNF-α、IL-10などの炎症性サイトカインも強い反応を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21857497/

神経前駆細胞

イソフルラン麻酔薬は細胞死を引き起こさないが、神経前駆細胞に直接作用してその増殖を減少させる。 in vitro

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19293697/

イソフルラン麻酔薬の投与は、初日にラットの前駆細胞を減少させたが、その後5~10日の間前駆細胞の増殖を増加させた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19293705/

アミロイドβ

麻酔薬イソフルランは、カスパーゼ活性化を誘導し、マウスのアミロイドβレベルを増加させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19006075/

正常な脳と脆弱な脳・血液脳関門

手術による抹消炎症が麻酔薬によって調節される。

アルツハイマー病などの脆弱な脳では血液脳関門の破綻により、炎症性メディエーターが多く通過しミクログリアを過剰活性化させ神経炎症を誘発する。

それらはフィードバックされることで神経損傷を蓄積し、長期的に認知機能を低下させる。

写真、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はnihms394929f1.jpg

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3509241/

researchfeatures.com/2017/06/19/impact-anaesthetics-immune-function/