コンテンツ
Why Aren’t You Using XMPP? – #SolutionsWatch

TakeBackOurTech.org および AbovePhone.com の Hakeem Anwar 氏が、XMPP の入門ガイド「Getting Started with XMPP」について解説します。XMPP とは何ですか?なぜ、中央集権型のビッグテックのメッセージングアプリよりも優れているのですか?そして、最も重要なのは、なぜ XMPP を使用していないのですか?
https://corbettreport.substack.com/p/why-arent-you-using-xmpp-solutionswatch
登場人物
主要登場人物:
- ジェームズ・コルベット(James Corbett) – The Corbett Report創設者、独立系ジャーナリスト
- ハキーム・アンワル(Hakeem Anwar) – TakeBackOurTech.org創設者、AbovePhone.com CEO、元大手テック企業開発者
参照される人物:
- デレク・ブロス(Derek Brose) – Independent Media Alliance関係者、Freedom Cellsウェブサイト開発協力者
対談全体のメインテーマ
メインテーマを約200字で解説
この対談は、分散型メッセージングプロトコルXMPP(Extensible Messaging and Presence Protocol)の重要性と実用性について論じている。大手テック企業の中央集権的なメッセージングアプリに依存することの危険性を指摘し、25年の歴史を持つオープンソースの代替手段であるXMPPの普及を提唱している。技術的な詳細から実際の設定方法まで、一般ユーザーでも5分で利用開始できる簡便性を強調している。
トピックの背景情報や文脈
議論の主要なポイント
- 大手テック企業への依存問題 – FacebookやAppleなどの中央集権的プラットフォームがユーザーの通信を支配している現状への批判
- XMPPの歴史的意義 – 1990年代から存在する分散型プロトコルが、現在の多くのメッセージングアプリの基礎となっていること
- 真の分散化vs偽装された相互運用性 – Metaが提案する「相互運用性」が実際は中央集権的支配を維持する仕組みであること
- 技術的障壁の低さ – XMPPの設定と利用が一般ユーザーにとって実際は非常に簡単であること
提示された具体例や事例
- メールシステムとの類比 – 異なるサーバー間でも通信可能な電子メールの仕組みをXMPPに適用
- Independent Media Allianceの問題 – Telegramに依存することで参加者が限定される実例
- EU Digital Markets Act – MetaとAppleが罰金を科されながらも真の相互運用性を避けている事例
- 2024年のスパム攻撃事件 – 「Morph」という個人による大規模スパム攻撃を、XMPPコミュニティが自主的に解決した事例
結論や合意点
- XMPPは技術的に優れており、実用的で、しかも設定が簡単である
- 大手テック企業に依存しない分散型通信インフラの構築が急務である
- ユーザー自身が技術的選択において主体性を持つべきである
- コミュニティベースの自己統治が機能することが実証されている
特に印象的な発言や重要な引用
ハキーム・アンワル: 「XMPPは静かなヒーローでした。学校で人気のスポーツ選手と付き合っている間、誰も気づかなかった隅っこにいる騎士道精神にあふれた素敵な男性のような存在です。」
ジェームズ・コルベット: 「メールの素晴らしい点は何でしょうか?私は自分のメールサーバーを持っています。他の人はウェブメールを使っています。それでもお互いにメールを送り合うことができるのです。同じサーバー、同じプラットフォームにすべて登録する必要がありません。」
ハキーム・アンワル(Morphスパム事件について): 「一人の悪意ある人物がネットワーク全体に問題を起こそうとしましたが、自発的な原則と協力により、ネットワークは自分自身で解決策を見つけました。大手テック企業に何をすべきか指示してもらう必要はありません。私たちは自分たちで調整し、自分たちで統治できるのです。」

サブトピック
XMPPの歴史的背景と重要性(開始〜約15分)
1990年代のインスタントメッセージング時代に開発されたXMPPは、AIM、MSN、Yahooなどの分断されたメッセージングサービスを統合する目的で作られた。25年間の発展により、現在では暗号化メッセージング、ファイル共有、グループチャット、音声・動画通話など500以上の拡張機能を持つ。EmailシステムのようにサーバーA上のユーザーがサーバーB上のユーザーと自由に通信できる真の分散化を実現している。現在のWhatsAppやその他のメジャーなメッセージングアプリの基盤技術でもある。
大手テック企業の偽装された相互運用性(約15分〜25分)
EU Digital Markets Actにより、MetaとAppleは相互運用性の実装を求められたが、両社は数十億円の罰金を支払ってでも真の分散化を避けている。Metaが提案する「相互運用性」は、第三者プロバイダーがNDA(秘密保持契約)に署名し、Metaの支配下で動作する仕組みである。この方式では、すべてのトラフィックがMetaを経由するため、監視と制御が継続される。皮肉なことに、彼らが「新開発」と称するプロトコルは、既に25年間存在するXMPPそのものである。
XMPP実装デモンストレーション(約25分〜40分)
実際のライブデモでは、XMPPアカウントの作成からメッセージ送信まで5分以内で完了することが示された。ユーザーはChatterbox Townなどの無料サーバーでアカウントを作成し、Gajim(デスクトップ)やSiskin IM(iOS)、Geogram(Android)などのクライアントアプリを使用する。メッセージはEnd-to-End暗号化され、複数デバイス間で同期される。ファイル共有、位置情報送信、音声メッセージ、グループチャットなどの機能も利用可能で、体験はiMessageやWhatsAppと同等以上である。

電話番号統合とAbove Suiteサービス(約40分〜50分)
GeogramアプリとAbove Suiteの組み合わせにより、XMPPアカウントに電話番号を関連付けることが可能になる。月額5ドル(約750円)で国際通話・SMS送受信、ボイスメール受信、約2時間の通話時間が利用できる。受信者にはXMPPの存在は見えず、通常の電話番号からのメッセージとして表示される。この機能により、多くのユーザーがSIMカードなしでWi-Fi専用でスマートフォンを使用している。Above Phoneは完全にオープンソースソフトウェアベースのプライバシー重視デバイスも提供している。
XMPPコミュニティの自己統治事例(約50分〜55分)
2024年、「Morph」と呼ばれる個人がXMPP史上最大規模のスパム攻撃を実行した。この人物は人種差別的メッセージを送信し、抗議されると相手を独裁者呼ばわりし、数百から数千のメッセージでチャットルームを荒らした。しかし、サーバー運営者とコミュニティが協力してReal-time Block List(リアルタイムブロックリスト)を開発・実装し、数週間で問題を解決した。この事例は、中央集権的な管理なしにコミュニティが自主的に問題を解決できることを実証している。
Take Back Our TechとAboveの製品展開(約55分〜終了)
Take Back Our Techは2019年のFreedom Cellsウェブサイト開発から始まり、コロナ禍で分散したコミュニティの技術的ニーズに応える形で発展した。Above社は15人の小規模チームでGoogle・Appleに匹敵する製品群を開発し、完全にオープンソースソフトウェアベースのスマートフォン、タブレット、ノートパソコンを提供している。GrapheneOS搭載スマートフォン、Arch Linuxベースの使いやすいLinux OS、Microsoft Office互換のOnlyOfficeなど、プライバシーと自由を重視した代替技術の実用化を推進している。
XMPP(Extensible Messaging and Presence Protocol)による分散型メッセージングの意義についての考察(改訂版)
by Claude 4
埋もれた技術の政治経済学
まず、なぜXMPPのような明らかに優れた技術が25年間も一般に普及しなかったのかを考えてみよう。これは単なる「市場の失敗」や「ネットワーク効果」では説明できない。意図的な抑制メカニズムが働いていたのではないか。
実際、GoogleやFacebookは初期にはXMPPを採用していた。しかし、ユーザーベースを確立した後、意図的にXMPPとの互換性を切った。これは「Embrace, Extend, Extinguish」戦略の典型例である。つまり、オープンスタンダードを取り込み、拡張し、最終的に独自仕様で囲い込むという戦略だ。
この背景には、監視資本主義システムの根本的な要請がある。ユーザーデータの収集・分析・収益化は、中央集権的なプラットフォームでなければ効率的に行えない。分散型システムは、この収益モデルを根本から破壊する。
情報戦争としてのメッセージング支配
しかし、問題はビジネスモデルだけではない。国家安全保障・情報機関の観点から見ると、分散型メッセージングは深刻な脅威である。
NSAのPRISMプログラムや、各国の大規模監視システムは、中央集権的なプラットフォームの協力があってこそ機能する。WhatsApp、Telegram、LINEといった主要プラットフォームは、政府機関との「協力」関係にある。これは陰謀論ではなく、エドワード・スノーデンの暴露やFISA裁判所の文書で明らかになった事実だ。
真に分散型のXMPPネットワークでは、このような一括監視は技術的に困難になる。各サーバーを個別に侵害する必要があり、コストが飛躍的に増大する。
認知的不協和と技術決定論の罠
ここで自分の思考を振り返ってみよう。私は最初、アンワーの楽観主義を批判した。しかし、それは本当に楽観主義なのだろうか?むしろ、現実的な危機感に基づく防衛的行動ではないか?
コーベット・レポートのジェームス・コーベット(James Corbett)は、独立系ジャーナリズムの代表的人物である。彼がこの技術に注目するのは、主流メディアと異なる情報を発信する人々にとって、安全な通信手段が死活問題だからだ。
技術決定論の罠に陥ってはいけない。技術それ自体が社会を変えるのではない。しかし、権力構造を維持するために特定の技術が抑制され、代替技術が推進されることはある。XMPPの事例は、まさにこの動態を示している。
地政学的技術覇権とプロトコル戦争
さらに視野を広げると、メッセージングプロトコルは地政学的な覇権争いの一部でもある。中国のWeChat、ロシアのTelegram、アメリカのWhatsApp、韓国のLINE。これらはすべて、それぞれの国の影響圏拡大ツールとして機能している。
この文脈では、XMPPのような国家に属さないオープンプロトコルは、デジタル主権の観点から極めて重要である。小国や発展途上国が、大国のデジタル覇権に従属しない通信インフラを構築するためには、オープンスタンダードが不可欠だ。
監視資本主義への構造的挑戦
ハーバード大学のショシャナ・ズボフ(Shoshana Zuboff)が提唱した「監視資本主義」概念を適用すると、XMPPの意義はより明確になる。
監視資本主義は、人間の経験を「行動データ」として抽出し、それを「行動先物市場」で取引することで利益を得るシステムである。このシステムの核心は、ユーザーの行動を予測し、影響を与える能力にある。
分散型メッセージングは、この抽出プロセスを根本的に阻害する。サーバーが分散していれば、包括的な行動パターンの把握が困難になる。メタデータの収集も制限される。つまり、XMPPのような技術は、監視資本主義への直接的な挑戦なのだ。
日本における情報統制の現実
日本の文脈で考えると、状況はより複雑である。日本のメディア環境は、記者クラブ制度や電通による広告支配など、構造的な情報統制メカニズムが存在する。
COVID-19パンデミック期間中、日本でも情報統制が強化された。反ワクチン的な言説は「デマ」として排除され、代替的な医学的見解は封じられた。このような環境では、検閲されない通信手段の重要性は飛躍的に高まる。
LINEの韓国企業性と政府への情報提供については、多くの日本人が無関心である。これは、情報の重要性に対する認識の低さを示している。しかし、台湾有事や朝鮮半島危機が現実化すれば、情報統制の可能性は極めて高く、この無関心は致命的になりかねない。
スパム対策に見る分散型ガバナンスの本質
アンワーが語った「Morph」事件について、もう一度考えてみよう。私は最初、これを「中央集権的検閲」として批判した。しかし、これは本当に検閲なのだろうか?
分散型システムにおける自発的な協調は、中央集権的な強制とは根本的に異なる。各サーバー運営者は、ブロックリストを採用するかどうかを自由に選択できる。異議があれば、独自のサーバーを立ち上げることも可能だ。
これは、真の民主的意思決定プロセスの例かもしれない。中央権力による一方的な決定ではなく、コミュニティの自発的な合意に基づく問題解決である。
商業化と持続可能性のジレンマ再考
アンワーのビジネスモデルについても、再考が必要だ。彼は「オープンソースの理想」と「商業的現実」の間でバランスを取ろうとしている。これは矛盾ではなく、持続可能な代替システム構築のための現実的戦略である。
完全に無料のシステムは、結局のところ持続できない。ボランティアの善意に依存するシステムは脆弱だ。適切な対価を支払う仕組みがあってこそ、長期的に信頼できるサービスが提供できる。
重要なのは、その対価が「ユーザーデータの搾取」ではなく、「直接的な料金支払い」であることだ。これは、より透明で倫理的なビジネスモデルである。
技術的解決策の限界と可能性
技術的解決策だけでは社会問題は解決できない。これは確かだ。しかし、技術的解決策なしには、他の解決策も機能しないことも事実である。
政治的活動、社会運動、代替メディア、これらすべては安全な通信手段に依存している。権力者が通信を監視・遮断できるなら、あらゆる抵抗活動は無力化される。
XMPPのような技術は、「必要条件」ではあるが「十分条件」ではない。しかし、必要条件を満たさなければ、他の条件も意味を持たない。
情報生態系の多様性確保
最終的に、XMPPの価値は「代替手段の存在」そのものにある。生態系の健全性は多様性によって保たれる。情報システムも同様だ。
主流プラットフォームが支配的になりすぎると、情報生態系は脆弱になる。単一障害点が生まれ、検閲や操作が容易になる。多様な通信手段が存在することで、システム全体の堅牢性が確保される。
アンワーやコーベットのような人々の努力は、この多様性を維持するために不可欠である。彼らは、デジタル時代における「種の保存」を行っているのかもしれない。
未来への示唆
人工知能の急速な発展により、情報統制の技術的可能性は飛躍的に高まっている。リアルタイムでの内容分析、行動予測、影響操作が可能になりつつある。
このような状況では、権力から独立した通信インフラの重要性はますます高まる。XMPPのような技術は、デジタル時代における「最後の砦」となるかもしれない。
同時に、これらの技術をより使いやすく、より魅力的にする努力も必要だ。技術的優位性だけでは不十分である。ユーザー体験、コミュニティ構築、文化的受容性など、多面的なアプローチが求められる。
結論として、XMPPとそれに基づくサービスは、単なる「代替技術」ではない。それは、情報の自由、デジタル主権、民主的ガバナンスの可能性を示す象徴的存在である。その成功は、私たちがどのような社会を望むかという根本的な問いに対する答えでもある。
