政策レポート要約『インド太平洋における機会と課題:次世代の視点』2025年

中国・中国共産党、台湾問題情報戦・認知戦・第5世代戦争・神経兵器・オムニウォー戦争・国際政治戦争予測・戦争

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英語タイトル:Opportunities and Challenges in the Indo-Pacific:A Next-Generation Perspective』Tobias Harris, Sayuri Romei (eds.) 2025

日本語タイトル:『インド太平洋における機会と課題:次世代の視点』トビアス・ハリス、サユリ・ロメイ(編) 2025年

 

目次

  • 序章 インド太平洋における機会と課題 / Opportunities and Challenges in the Indo-Pacific
  • 第1章 AI同盟 / AI Allies
  • 第2章 現代世界の外交 / Diplomacy in the Modern World
  • 第3章 デジタルチョークポイント / Digital Chokepoints
  • 第4章 インドはクアッドの「最弱の環」ではない / India is Not the “Weakest Link” in the Quad
  • 第5章 インド太平洋における中国との経済競争の曖昧さ / The Ambiguities of Economic Competition with China in the Indo-Pacific
  • 第6章 日米同盟に対するプロパガンダ攻撃としての中国の認知領域作戦 / Chinese Cognitive Domain Operations as Propaganda Attacks on the US-Japan Alliance
  • 第7章 黄昏地帯:中国とトランプの影のなかの日本 / Twilight Zone:Japan in the Shadow of China and Trump
  • 第8章 対中政策における米国外交政策の急進的進化 / The Evolution of US Foreign Policy Toward China
  • 第9章 米国のインド太平洋戦略はウクライナに懸かっている / American Indo-Pacific Strategy Hinges on Ukraine
  • 第10章 日米防衛産業協力の促進 / Promoting Japan-US Defense Industry Cooperation
  • 第11章 ジョン・ポデスタと気候変動対策における日米パートナーシップ / John Podesta and the US-Japan Partnership in Fight Against Climate Change
  • 第12章 トランプ(再来)に備える / Bracing for Trump

本書の概要:

短い解説:

本書は、日米欧の次世代戦略家フォーラム(YSF)に参加した若手専門家たちが、インド太平洋地域の安全保障、経済、外交、テクノロジーにわたる複雑な課題と機会について、それぞれの専門的視点から論じた論文集である。政策立案者、学者、ビジネスリーダーなど、国際関係に関心を持つ幅広い読者に向けて、次世代の視点から現在の地政学的現実を分析することを目的としている。

著者について:

編者のトビアス・ハリスは日本政治・外交の専門家。もう一人の編者サユリ・ロメイは、ドイツ・マーシャル基金(GMF)の日米関係・インド太平洋安全保障プログラムのシニアフェローである。執筆陣は、米国、日本、インド、フィリピンなどの次世代を担う、法曹、官僚、ジャーナリスト、学者、軍人など多様なバックグラウンドを持つ専門家で構成されており、実践的かつ多角的な視点を提供している。

テーマ解説

  • 主要テーマ:米国、日本および「志を同じくする国々」による「自由で開かれた国際秩序」の維持をめぐる挑戦。
  • 新規性:従来の政府・エスタブリッシュメント中心の分析ではなく、次世代の実務家・専門家が自身の経験とYSFでの議論に基づき、現状分析と将来への提言を行う。
  • 興味深い知見:対中競争を軸としつつも、各論考は同盟管理、経済安全保障、認知領域作戦、気候変動、国内政治の影響など、多様な「戦場」における複雑で時として矛盾する現実を浮き彫りにする。

キーワード解説(1~3つ)

  • 日米同盟:本書の基調をなす二国間関係。AI協力から防衛産業、気候変動まで、協力の拡大と深化が描かれる一方、米国の国内政治の不確実性というリスク要因としても繰り返し指摘される。
  • 戦略的曖昧さ:中国との経済的相互依存と安全保障上の懸念の間で、多くのインド太平洋諸国が取らざるを得ない現実的なスタンス。単純な「デカップリング」ではなく「デリスキング」の困難さを示す。
  • クアッド(日米豪印):インド太平洋における重要な多角的枠組みとして評価されるが、そのなかでインドが「南の声」を代表する独自の役割を果たし、単なる「反中国」ブロックではないことを論じる。

3分要約

本書は、日米欧の次世代戦略家フォーラム(YSF)から生まれた論文集であり、インド太平洋地域が直面する地政学的、経済的、技術的変革の只中にあって、米国、日本および「志を同じくする国々」が「自由で開かれた国際秩序」を維持し推進するために直面する機会と課題を多角的に探求する。

序章に続く第一部は、新しい技術と国際環境がもたらす課題と可能性に焦点を当てる。AIの防衛応用における日米協力の可能性、新興国の台頭と非国家主体の活躍に適応する必要性に迫られる「現代外交」の変容、地政学的緊張の増大に晒される海底ケーブルという重要インフラの脆弱性、そしてクアッドにおけるインドの「南の声」としての独自の戦略的価値が論じられる。

第二部は、地域における主要な課題である中国との競争と対応を深く掘り下げる。インド太平洋諸国が中国との経済的相互依存と安全保障リスクの間で取る「戦略的曖昧さ」の現実、中国が日米同盟などを分断するために行う「認知領域作戦」としてのプロパガンダ攻撃の実態、そして中国の台頭と米国の国内政治不確実性という「二重の影」のなかで「現実主義外交」へと転換を迫られる日本の苦闘が分析される。

第三部は、課題への対応における米国と日米同盟の役割に焦点を移す。トランプ政権とバイデン政権の対中政策には意外な継続性があり、「古い国際主義」はもはや戻らないとする指摘、ウクライナ支援がインド太平洋における米国の抑止力の信頼性に直結するという議論、ウクライナ戦争を教訓とした日米防衛産業協力の促進の具体策、気候変動対策におけるジョン・ポデスタ特使の訪日をきっかけとした日米の新たな連携の動きが紹介される。最終章では、2024年米大選でのトランプ氏再選の可能性を念頭に、企業が最初の任期から学ぶべき教訓と備えが論じられる。

全体を通じて、単純化された「米中対立」の図式を超え、同盟管理、技術競争、経済安全保障、国内政治、規範の争いなど、複数の次元で絡み合い時に矛盾する現実が浮き彫りにされる。著者らは、次世代のリーダーとして、これらの複雑性を直視し、創造的かつ現実的な協力の道を模索する必要性を訴えている。

各章の要約

序章 インド太平洋における機会と課題

トビアス・ハリス

本書は、ドイツ・マーシャル基金(GMF)と笹川平和財団(SPF)が共催する「次世代戦略家フォーラム(YSF)」の参加者による論文集である。YSFは、米国、欧州、日本、アジアの次世代リーダーを東京に集め、戦略シミュレーションや政策関係者との対話を通じてネットワークと見識を深めるプログラムである。2024年1月のプログラム参加者らが執筆した本書の各論考は、変容する国際秩序に対する多角的な分析と、日米を中心とする「志を同じくする国々」が直面する課題への対応策を提示する。AI協力から気候変動対策まで、幅広いテーマが扱われ、次世代の視点から現在の地政学的現実を照射している。

第1章 AI同盟:防衛目的のための日米人工知能研究開発における機会

ジャスティン・K・チョック

米国と日本は、国防における人工知能(AI)の研究開発(R&D)で協力すべき重要な機会に直面している。AIは「軍事における革命」をもたらしうるが、中露などの戦略的競合国も積極的に投資しており、日米同盟はこの競争の最前線に留まる必要がある。具体的な協力分野としては、(1)少子高齢化に伴う両国の兵力不足を補完するAIによる任務の自動化、(2)広大なインド太平洋の監視を可能とする自律型プラットフォーム・センサーの共同開発、(3)増加するサイバー攻撃や偽情報キャンペーンに対処するAIサイバーセキュリティ、(4)自然災害対応から本格的な戦闘作戦まで、幅広い軍事作戦の計画・実行を支援するAIの応用、が挙げられる。AI強化型無人航空システム(UAS)に関する共同研究は良い第一歩だが、同盟の安全保障上の課題に対処するためには、より広範かつ体系的な共同AI R&Dへの投資が不可欠である。

第2章 現代世界の外交:自由民主主義諸国の外交官が21世紀において効果的であるためには、より革新的な関与方法が必要である

松本玲

世界秩序は、中国の台頭と「グローバル・サウス」の新興国の影響力拡大により、一極・二極からより多極的かつ複雑な様相へと変化している。この新たな環境において、自由民主主義諸国がその価値を促進し、国際ルールに基づく秩序を守るためには、外交の役割と方法に関する理解を更新する必要がある。効果的な外交は、国家間の伝統的交渉を超え、市民社会、学界、企業、メディアなど多様な主体との関与を含む「公共外交」や「知識外交」へと進化しなければならない。外交官は、言語能力と文化的感受性を高め、新興国を含む多様なパートナーの優先事項と懸念を理解する必要がある。中国との関係では、気候変動などのグローバル課題での協力と、秩序への挑戦に対する断固とした対応のバランスが求められる。自由民主主義諸国が現代的な効果的外交を展開できなければ、価値観に基づく国際秩序の維持は困難となる。

第3章 デジタルチョークポイント:インド太平洋は海底ケーブルの重要なハブであるが、環境的・地政学的脅威に脆弱である

マーセデス・ペイジ

世界の国際データトラフィックの99%以上を伝送する海底ケーブルは、現代のグローバル経済と情報社会を支える重要なインフラである。インド太平洋地域は、主要な海上交通路の交差点に位置し、急速にデジタル化する経済を抱えるため、海底ケーブルネットワークの重要なハブとなっている。しかし、この重要なインフラは、漁業や船舶交通による偶発的損傷、地震や台風などの自然災害、さらには中国による台湾ケーブル切断の疑惑や、バルト海でのロシア関与が疑われる意図的な破壊行為など、様々な脅威にさらされている。加えて、米中によるケーブル敷設をめぐる地政学的競争は、ネットワークの分断リスクを高めている。にもかかわらず、海底ケーブルを管轄する国際的な法的・規制枠組みは、1982年の海洋法条約(UNCLOS)を基盤とするが、断片的で不十分である。インド太平洋諸国は、地域固有の安全保障と環境保護の必要性に対応した専用のガバナンス枠組みを確立し、共同パトロールや緊急対応計画などの地域的能力構築に投資する必要がある。

第4章 インドはクアッドの「最弱の環」ではない

ティトリ・バス

インドは、米国、日本、オーストラリアと共に構成されるクアッドの「最弱の環」と評されることがあるが、これは誤解である。むしろインドは、「グローバル・サウンド」の重要な声を代表し、クアッドが単なる米国中心の反中国ブロックになることを防ぎ、米国とその同盟国に外部の視点を導入する独自の戦略的価値を提供している。ニューデリーは米国との長期的同盟の「重荷」を負っておらず、ロシアやアフガニスタンなどの問題で独自の立場を取るなど、戦略的自律性を最大化する独立した外交を追求している。クアッド内では、インドの地理的・戦略的位置が「インド」太平洋における「インド」の側面に焦点を当て、グループを西洋太平洋中心の枠組みから差別化している。インド太平洋海洋イニシアチブ(IPOI)など、実践的解決策を重視するインドのアプローチは、クアッドの戦略的目標と相乗効果を生みうる。インドは、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを共有しつつも、多極的世界における主要プレーヤーとしての独自の道を歩み、クアッドをより堅牢で現実的な枠組みにしている。

第5章 インド太平洋における中国との経済競争の曖昧さ

安達彩

インド太平洋諸国は、中国との経済的関与の便益と、重要資源への過度な依存や経済的強制に対する脆弱性という懸念の間でバランスを取ろうとしており、「戦略的曖昧さ」を示している。これは、地域の多角的貿易イニシアチブ(IPEF、CPTPP、RCEP)への重複的参加、中国市場に残りつつもサプライチェーンを多様化させようとする多国籍企業の動き、そして経済安全保障やデリスキング政策の実施方法における米国、EU、日本間の相違に表れている。各国政府は、対中貿易関係のバランスを取りながら経済的競争力を維持するために、このようなプラグマティズムを採用せざるを得ない。しかし、この曖昧さは、多角的貿易システムを侵食する一方的措置と相まって、経済ガバナンスとリスク軽減戦略の信頼性を損なう可能性がある。政府、企業、ステークホルダーは、透明性を促進し対話を深め、可能な限り政策を調整することで、インド太平洋地域のレジリエンスを高める共通の枠組みを構築する必要がある。

第6章 日米同盟に対するプロパガンダ攻撃としての中国の認知領域作戦

ハワード・ワン

中国共産党(CCP)のプロパガンダは、インド太平洋における米国の安全保障構造と、米国の同盟国としての日本の重要な役割に対する批判を執拗に行っている。中国人民解放軍(PLA)の理論家たちは、これらのプロパガンダ攻撃を「認知領域作戦」の一環と位置づけており、その目的は敵の認知を操作し、最終的には敵の同盟関係の結束を弱体化させることにある。PLAの研究は歴史的に、「世論戦」「心理戦」「法律戦」という「三戦」を通じて敵の同盟に不和を蒔くことの価値を強調してきた。最近の「認知領域作戦」に関する理論化はこれを発展させ、日本の外交を「陣営対立」の扇動者として、また日米同盟における日本の役割を米国の「尖兵」として描写するなど、否定的なナラティブを増幅することに焦点を当てている。CCPは、自身のナラティブの支持を獲得するよりも、敵の同盟間で不協和音を増幅することをより達成可能な目標と見なしている可能性がある。こうした作戦は日米の防衛協力そのものを大きく損なう可能性は低いが、中国が米国との緊密な安全保障協力に対してコストを課す意思を示すことで、第三国を牽制することを意図しているかもしれない。

第7章 黄昏地帯:中国とトランプの影のなかの日本

リチャード・ジャバド・ヘイダリアン

日本は、中国の台頭と米国の国内政治的不確実性という二重の地政学的課題に直面し、戦略的「黄昏地帯」にある。岸田文雄首相の下で「現実主義外交」を掲げ、防衛費をGDP比2%に倍増し、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保持などを含む国家安全保障戦略を改定したことは、この新たな現実への対応である。また、東南アジアや太平洋島嶠への公式安全保障支援(OSA)や、半導体産業への巨額投資を通じたサプライチェーン強靭化など、積極的な安全保障・経済措置を打ち出している。しかし、国内では政治への不信感と人口減少という構造的課題が続き、相対的な経済的地位の低下も懸念材料である。日本のエリートは、米国のトランプ氏再選の可能性を特に憂慮しており、それは「米国第一」主義が日米同盟や地域の安全保障アレンジメントを弱体化させる恐れがあるためだ。日本は、戦後日本の「吉田ドクトリン」的グランドストラテジーがもはや持続不可能であることを認識し、不確実性の時代における成長と生存を確保するために、その国家戦略を根本的に見直す必要に迫られている。

第8章 対中政策における米国外交政策の急進的進化

福家秀

米国の対中政策は、トランプ政権からバイデン政権へと移行しても、根本的に「戦略的競争」の枠組みを維持しており、従来の「建設的関与」路線への回帰は見られない。両政権は方法論とレトリックに違いはあるものの、中国を「国際秩序に対する21世紀最大の地政学的課題」と見なし、技術規制(先端半導体の輸出規制など)や産業政策(インフレ抑制法など)を通じて経済安全保障を強化する姿勢に継続性がある。バイデン政権の「中産階級のための外交」は、同盟国との協調を重視するが、対中強硬姿勢という点ではトランプ政権の「米国第一」と共通する基盤を有する。これは、米国内で国際的関与に対する懐疑論が左右両派で広がっていることを反映している。今後も米中関係は競争と協力の軸に沿って揺れ動くが、少なくとも近い将来、米国の政策は競争を軸としたものとして継続する可能性が高い。著者はこう述べる。「古い国際主義はもはや戻らない」。

第9章 米国のインド太平洋戦略はウクライナに懸かっている

アレクサンドリア・チンチリャ、ブライアン・スラッサー

ウクライナへの支援を打ち切ることで米国がインド太平洋への集中を高められるとする議論は誤りである。むしろ、ウクライナ支援を継続することは、インド太平洋における米国の立場を強化する。第一に、米国の支援がなければ欧州同盟国だけではロシアに対処できず、より深刻な危機を招き、結果的に米国の関与を余儀なくされ、インド太平洋への注意をそぐことになる。第二に、ウクライナでの西側の弱い対応は、台湾に対する中国の強硬姿勢を助長し、米国の抑止力の信頼性を損なう。ウクライナ支援は比較的低コストで主要な地政学的競合相手の戦力を消耗させる手段である。第三に、ウクライナ支援は、米国が国際ルールベースの秩序を守るという公約を誠実に履行していることを同盟国やパートナーに示す。日本などインド太平洋の同盟国がウクライナ支援に積極的に貢献している現状を考えれば、米国が支援を打ち切れば、将来の危機(台湾など)における協力を求める米国の信頼性と影響力は大きく損なわれる。ウクライナ支援は、インド太平洋戦略の「気晴らし」ではなく、その成功の基盤なのである。

第10章 日米防衛産業協力の促進

堀内理恵

ウクライナ戦争は、強靭な防衛生産基盤と弾薬の備蓄の重要性を明らかにした。日本は、新たな国家安全保障戦略と防衛力整備計画の下、防衛費をGDP比2%に引き上げ、「防衛生産・技術基盤強化法」を制定するなど、防衛産業の強化に取り組んでいる。特に重要なのが、2023年12月に改定された「防衛装備品・技術移転三原則」の運用指針である。これにより、米国からのライセンス生産品の完成品をライセンサー国(米国)に移転することが可能となり、日本製パトリオットミサイルを米国に供給してその在庫を補充する道が開かれた。この「ライセンス生産品の完成品の環流」は、米国が生産拠点を多様化し在庫を補充できると同時に、日本の防衛生産能力を高める相互利益をもたらす。今後の協力では、両軍の長期的需要が見込まれる次期戦闘機などの共同開発・生産を推進し、米国が日本の情報安全保障の進展を評価してさらに高度な技術を移転することなどが期待される。

第11章 ジョン・ポデスタと気候変動対策における日米パートナーシップ

コートニー・ウィンターヒル

2024年3月、気候問題担当大統領上級顧問ジョン・ポデスタは東京を訪問し、日米間の気候変動対策協力の強化を探った。焦点は、日本の「GX(グリーントランスフォーメーション)推進戦略」(約14兆円規模)と米国の「インフレ抑制法」(IRA)の相乗効果を最大化し、国際的な気候目標達成に貢献する方法にあった。ポデスタは、日本が洋上風力(特に浮体式)や地熱といった再生可能エネルギーの導入を加速し、石炭火力フェーズアウトの明確な計画を立て、より野心的な温室効果ガス削減目標を設定するよう促した。また、クリーンエネルギー技術に不可欠な重要鉱物のサプライチェーン強化における協力の重要性も強調された。この訪問を契機に、日米間で新たな省庁間対話が設置され、4月の岸田首相訪米時の首脳共同声明において、浮体式洋上風力や核融合エネルギーなど、幅広いクリーンエネルギー技術での連携強化が公約された。気候危機への対応は日米共通の優先事項であり、両国はこの分野での主導的役割を追求している。

第12章 トランプ(再来)に備える

南出大輔

2024年米大選でトランプ氏が再選された場合、アジアの企業はその影響に備える必要がある。想定される政策は、(1)安全保障:中国に対する現在の強硬姿勢は継続されるが、「米国第一」主義から同盟国へのコミットメントに疑念が生じ、台湾や日韓に不安をもたらす可能性がある。(2)経済:対中関税の大幅引き上げ(全品目に60%など)、包括的10%関税の導入、IPEFからの離脱など、保護主義的な貿易政策が強化される。(3)技術:半導体輸出規制のさらなる強化やアウトバウンド投資スクリーニングなど、対中デカップリング政策が継続・拡大される。(4)気候:環境保護庁(EPA)の規制やインフレ抑制法(IRA)の一部が見直され、グリーン投資が減速する可能性がある。企業は、台湾有事などサプライチェーン断絶のリスクを想定したシナリオ分析を行い、貿易摩擦に備えたサプライチェーンの再調整を検討し、連邦レベルに加え州政府との関係構築も視野に入れるなど、積極的なリスクマネジメントを講じるべきである。最初の任期から学んだ教訓を活かし、政策の不確実性に対処する必要がある。

 


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