認知症ビジネスを通じて日本の課題を解決する

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賛成する人がほとんどいない大切な真実はなんだろう?

ピーター・ティール

 

日本の認知症ビジネスの問題

私見ですが起業家、治療家、医療関係者の多くの方が、自分たちが開発してきた独自の治療方法、メソッドを、リコード法に使えないだろうかと思っている方が多く見受けられます。

もちろん私は個々の治療方法を知らないので、決めつけることはできません。ただ、これまで目にしてきたり、耳にしてきたもののほとんどすべてが、アルツハイマー病の多因子性や、個人の検査値に対応した標的化、コストや時間に対する費用対効果の視点が欠けているものでした。

CPUやメモリのスペックが低いにも関わらず、各ソフトウェア会社が心血注いで開発したアプリを無理やりプリインストールで多数詰め込んでしまい、動作が異常に遅くなってしまったスマホを見ている気持ちです。。

部分的には正しくても、結果的に他にかける時間やコストを圧迫してしまうため、患者の立場から見れば全体として、それを取り入れることには微妙だったりするものがほとんどです。一般の患者さんへの目線が欠けており、半ば必然的に裕福な家庭をターゲットとしたビジネスモデルになる傾向があります。

よくあるイノベーター理論に則って、後からアーリーマジョリティーやレートマジョリティーに移行するんだといった意見も耳にしますが、じゃあどうやってキャズムを乗り越えるかといった具体的な戦略は見えてきません。またそもそもとして、日本はアーリーアダプター、イノベーターの比率が非常に少なく、さらに認知症高齢者となると、新しいサービスの利用に慎重、懐疑的なレイトマジョリティ、ラガードが大半を占めます。

単なる治療法やサプリメントでの市場参入は険しい

得意分野にみながこだわってしまう問題についてはすでに「複雑な多因子疾患を治すには」の記事で述べていますのでここでは触れませんが、リコード法で採用されている改善プロトコルは、すでにオリンピック選手並に選抜されており(効果だけではなく費用対効果も含めて)、一般的にみなさんが考えているよりもはるかに競争の激しいレッドオーシャンと化しています。

リコード法はひとまず置くとしても、インターネット革命により日本人の医療リテラシーが現在、急速に上昇しており、効果はもとより、エビデンスや費用対効果などが優れていて当たり前な商品を提供できない企業は、これからどんどん淘汰されていきます。

企業関係者の方はブランド力と良い商品というだけで生き残っていくことは厳しく、商品価値と宣伝以外のところで知恵を絞っていく必要があるように思います。

アドヒアランスはブルーオーシャン

アドヒアランスとは、「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受ける」ことを意味する医療用語です。

リコード法は服薬のみならず、運動、食事、脳トレなどを継続して実行を継続することができるかどうかのアドヒアランス(またはコンプライアンス)が最大の課題です。

ブレデセン博士らはアドヒアランス対策に対して主にヘルスコーチを育てて指導していくことで解決を図ろうとしています。もちろん強力な問題解決方法のひとつだとは思いますが、そのヘルスコーチの資格は英語で取得しなければならず、認知度も低いため、日本で取得されている方はまだ極少数であり、また患者側も実行費用が非常に高額となってしまうという問題があります。

独力(ヘルスコーチ不在)でのアドヒアランスが最大の弱点

リコード法は、実行内容については完成度が高く詳細な説明もなされていますが、ヘルスコーチを介さずに患者主体で継続していくアドヒアランスの課題については、それほど力を注いでいないようにも見受けられます。

現在アポロという会社組織によってリコード法は運営されており、その会社の提供するプログラムに参加して継続する仕組みづくりを行っています。残念ながら、内容はすべて英語であり、日本人にとっては敷居が高く、そこでモチベーションを維持することができるというのは非常に限られた方しかいらっしゃらないでしょう。

しかし、だからこそ、そこにはまだ本家にはできない工夫できる隙間が広大にあると言えます。アドヒアランスを高める仕組みは単純ではないからこそ、試行を重ねてアルゴリズムを作ってしまえば簡単には他者が真似することのできない参入障壁を高く築くこともできます。

アドヒアランスを高めるためのツール、システム作り

多くの企業や研究者が特許めいたものやハイテク技術に焦点が言ってしまって、コンプライアンス、アドヒアランス(実行遵守率)を高める技術開発、または技術同士をつなげて活用するプラットフォーム作りは、研究領域も含め完全にブルーオーシャンです。

例えば、どういう運動が認知機能を改善するかについては多く研究されているものの、どうしたら運動が継続できるか、新しい生活習慣を維持できるかといった領域については、研究自体も相対的にまだまだ少なく、各研究者がバラバラに小規模の研究で成果があったものを提案しているだけでほとんど合意も得られていないように思います。

すでにある技術の再活用

服薬管理を行ってくれる自動機械なども、やっとここ最近見るようになりましたが、昔から需要があるにも関わらず誰も作ってこなかった。しかも、こんなものは20年以上前の技術でとっくにできたいたはずです!

サプリメントも、患者さんに合わせて調合するオーダーメイドサプリメントがすでに米国では事業として成立しており、服や靴と比べてもマス・カスタマイゼーションは容易なはずです。

リコード法やライフスタイル介入のアドヒアランス向上に必要なのは、例としてよく持ち出されますが、「Wii」や「ウォークマン」がそうであったように、枯れた技術の水平展開であって、一つの優れた専門技術ではありません。

自分たちの得意な専門分野や商品にこだわってもいいのですが、その他の類似する治療手段と比べて本当にその治療に優位性があるのか、ツールを手間なく簡単に利用できる方法を模索したり、その他の治療とどう組み合わせれば本当に力を発揮できるのか、患者さんが他の治療と並行して取り入れることのできる価格設定なのか、といったリコード法全体の治療マネジメントから見た仕組み作りがないと競合優位性を得て生き残っていくことは難しいように思います。

個人はヘルスコーチが狙い目

超希少なヘルスコーチ資格取得者

反対に、個人起業で収入として何か考えられている方でしたら、大企業が参入しにくいリコード法のヘルスコーチの仕事がおすすめです。AIや自動化にも代替されにくく、これから間違いなく需要が伸びる分野です。

顧客対象者は40歳以上であり、これは日本人口の半分以上に相当します(現在日本の平均年齢は48.9歳)。言うまでもありませんが、その対象者人口はこれからさらに増え続けます。

リコード法ヘルスコーチの資格はまだ一般的に認知されていませんが、潜在的なニーズは高く、需要以上に取得を試みる人が、言語の壁も手伝って極端に少ないため、異常と言っていいほどの希少性が生じています。(悪く言えば全くニーズに追いついていません)

Bredesen Protocol Traininged Health Coachs

https://www.apollohealthco.com/practitioners/for-coaches/

https://functionalmedicinecoaching.org/program/health-coach-certification/

AIに奪われない職業

現在ある33%の職業が、10年後にはAIなどの自動化によって奪われると一説では言われており、20年後には半分の職業が消失するとまで言われています。その中で残る職業は、(または新しく生まれる職業は)人との複雑なコミュニケーションを必要とするものだろうと、多くの未来予測の専門家によって予測されています。

ヘルスコーチはまさしくその予測される条件に合致する職業であり、また潜在的需要が広大なため、資格取得者が急増したとしても、簡単に需要曲線を上回ることはありません。仮に1万人資格取得者が誕生したとしても、潜在的な顧客数は一人あたり6000人を超えます。今取得すれば長い経験年数も先行者利益として有利に働いていくでしょう。

ヘルスコーチのような形態での個人活動の場合、AIが仕事を奪いにくるというよりは、当面はこちらがAIを利用する形での職業形態が続くはずです。

GAFAも含め多くの企業がヘルスケアに進出し始めており、企業間の激しい競争が訪れますが、個人ですと大企業や自動化と必ずしも競合することはなく、むしろ連携して、患者さんや顧客の最終窓口となるポジションを築けるかどうかにかかってくるのではないかと思います。ウーバーのヘルスケア版のようなものが誕生するのも時間の問題でしょう。

やりがいと潰しの効く仕事

ヘルスコーチとしての役割は単なるアルツハイマー病対策ではなく、アンチエイジング、認知機能の上昇、心疾患やがんに対しての予防効果ももたらすため、他の関連する仕事と接続させることも可能であり、他の健康に関する職種と組み合わせることで差別化を図ったり、潰しが効きやすいのも魅力です。

何よりもアドバイスを通じて実際に患者さんが回復、改善してその姿を目の当たりにしたり、家族の喜びの声を聞いてしまった後では、職業条件としての魅力といったものは、些細な事柄となるかもしれません。

リコード法ヘルスコーチ資格の宣伝をするようなことばかり言っていますが、紹介しても私には何の見返りもないことを一言断っておきます^^;

多因子介入はリコード法の専売特許ではない

一点気になる点を述べさせてもらうと、ブレデセン博士が所属する組織は営利団体として活動しており、一般企業がどれだけリコード法に忠実な商品開発をしたとしても、ライセンスや商標の問題もありリコード法という名を使って自由に活動することはできません。

ブレデセン博士個人への信頼と感謝の念は絶えたことがありませんが、周囲の関係者(悪く言えば取り巻き)によるリコード法というブランド名の利権化によって、かえって日本の認知症治療が遅れることも、最近、危惧し始めています。

リコード法という名前は使えないかもしれませんが、リコード法も個々のすでにある治療の組み合わせにすぎず、個々の治療法や生化学的検査を利用して組み合わせることまでもが、リコード法の特許などにより制限されているわけではありません。

マルチドメイン-ライフスタイル介入

サイトの冒頭のあいさつでも触れましたが、マルチドメイン-ライフスタイル介入という、栄養カウンセリング、運動、認知訓練などを組み合わせた認知症予防治療は、現在世界各国で試験研究が行われています。

すでに述べましたが、改善結果はリコード法の域には及ばず限定的なものとして終わるでしょう。多くの理由がありますが、そのほとんどが試験条件の均一性を確保するために、個人で最適化されておらず、カスタマイズ要素なども省略されているからです。アルツハイマー病は個人によって異なる複雑系の疾患であるという前提が抜けているのです。

認知症予防のための多因子標的治療 マルチドメイン-ライフスタイル介入研究

予防は一つで二人を助ける

多因子標的は組み合わせの妙であり、患者さんに最適化して取り組めば認知症患者さんは実際に目に見える形で減少していきます。そこには国難の救済だけではなく、これから縮小していく日本市場でパイを広げることのできる市場が生まれます。

仮に在宅介護ロボットのようなものができても解決ができるのは、介護者の一人の労働力にすぎませんが、認知症の発症を一人防ぐことができれば、本人が働くことも可能となるため、2人分以上の労働力を生み出すことが可能になります。

市場のパイを増やす

私が勝手に言えることではまったくないのですが(冷汗)、志の高い企業や起業家は、ぜひリコード法を自家薬籠中のものとして、暗黒期に向かう日本を助けていただきたい。

そして、そこで成功した技術やアイディアを海外へ向けて輸出すれば、認知症治療のフロントランナーとして、世界で認知症に苦しんでいる人たちへの解決策にもつながっていくと思います。

ヘルスコーチに関しても、ブランド力と圧倒的な知識量を背景に経験値を積み上げているため、簡単に真似できませんが、効果を発揮する上でヘルスコーチがリコード法本家に所属しなければならないとは思っていません。学習と努力はたしかに必要ですが、今からでも本家を凌ぐ日本独自のヘルスコーチシステムを作っていくことは可能だと考えていますし、そうすべきだと思っています。

少し余談ですが、市場そのものが狭くなっていく日本で、小さいなパイの奪い合いにより、一般の人の心が荒んでいく状況をとても心配しています。

単純に品質の良い商品かどうかだけではなく、国内市場の新しい経済市場を広げていったり、海外でも戦えるような商品やサービスの開発、そしてそれらに携わる企業や個人に対してエールを送るようなマインドセットをわれわれは持っていかないとまずいぞという危機感を感じています。

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利益があるとわかっていても行動に移せない、囚人のジレンマとでも言えるような状況が個人レベルだけではなく社会全体で起こっているように思います。そのことについて書いていきます。

何もしなければ結果は最悪だが責任は回避できる