リコード法 個人的課題(費用・時間・アドヒアランス)

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リコード法概要

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If the misery of the poor be caused not by the laws of nature, but by our institutions, great is our sin.

我々の貧困の悲惨さが自然法則によるものではなく、人間の行いによるものだとしたら、我々の罪は重い。

チャールズ・ダーウィン

プログラム治療実行にあたっての主に費用についての課題を取り上げます。

リコード法の実行費用は高いのか?

  • リコード法の検査費用 ・初回10~50万円 ・継続10~20万円/年間
  • サプリメント費用 2万~4万円/月
  • 食事費用 0~2万円/月 (有機無農薬食材、グルテンフリー)
  • 脳トレ 0~1千円/月 (ブレインHQ)
  • 運動 0~2万円/月 (ジムやヨガ教室を利用)
  • 医療費 0~3万円/月(ホルモン補充療法、CPAPレンタル)

合計 30~150万円/年間  (継続した場合の平均3~6万円/月)

どこまでお金をかけるか、個人の工夫や努力、ヘルスコーチを利用するかどうかでも大きく異なりますが、継続した場合平均的には3~6万円/月の間に落ち着くと思います。

初年度のコストは一通りの検査費用など2~数倍になる傾向にあります。

ヘルスコーチを利用すると非常に高額となる可能性がありますが、日本では一般的ではないため、計算に入れていません。

<参考比較>認知症のコスト(保険未適用の社会的費用)

入院医療の社会的費用
  • 入院医療費:平均34万4300円/月(413万円/年)
  • 施設介護費:平均29万4100円/月(353万円/年)

合計 765万円/年間(64万円/月)保険未適用

在宅介護の社会的費用
  • 外来医療費 平均3万9600円/月(353万円/年)
  • 在宅介護費:平均18万円/月 (219万円)

合計 572万円/年間(47万円/月)保険未適用

<参考比較>認知症患者さんの個人負担額(実費)

入院医療費

個人の費用負担は約60~156万円/年間

例 要介護3 大部屋利用 87000円/月(自己負担額)

例 要介護3 個室利用 124000円/月(自己負担額)

在宅介護費

例 要介護1 デイサービス5/週  13240円/月(自己負担額)

その他
  • 訪問サービス費用、施設サービス費用
  • 福祉用具のレンタル費用(歩行器、特殊ベッド、排尿処理装置、徘徊感知器)
  • 自宅リフォーム費用
  • おむつなどの消耗品
  • 配食サービス
  • 医療機関への交通費
  • 自宅維持費

合計 平均69000円/月 82万8000円/年間 (患者さんが支払う実費)

参考文献

慶應義塾大学 認知症社会的費用を推計 pdf [R]

あなたは知っているのか・・親を在宅で介護した場合の費用[R]

介護にかかる費用の目安とは?事例を徹底解説[R]

リコード法1年間の費用は認知症中期の一か月分の社会的コスト

社会的なコストとしては、リコード法の実行費用は高額となったとしても、なお大きく抑制できます。リコード法で必要な年間の平均的なコストは、認知症中期において入院患者に生じる一か月分の医療費用にすぎません。

最初に個人で支払うコストは高いが、

しかし、一般の認知症治療、介護費用は保険によって支払われるため、自己負担で支払うリコード法のコストは、初期では一般の介護費用よりも高くなるというジレンマが生じます。

しかし、後半になると自己負担といえど介護費用は増加し、リコード法の継続費用は介護破産を防ぐにまで至ります。

※リコード法は患者さんによって予算の上限と下限の差が大きい(偏差が大きい)ため厳密には算出が難しく、ヘルスコーチを利用しない方での平均的な費用を元に算出しています。

 

 

見逃されやすい家族の介護労働コスト

労働コストを含めるなら自費でもリコード法に軍配が上がる

一年間の家族の労働コスト:平均年間382万円(28万円/月)

www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000000wfwb-att/20150529_02.pdf

リコード法を実行することによって介護者の離職を防げれた場合、介護者の収入がまるまるあるのか失うのかの差となり、リコード法の実行コストが個人の経済レベルにおいても圧倒的に有利になります。

ただし、リコード法を離職して徹底的にサポートする場合は、介護者離職による損失と変わりません。ただし、一般的にリコード法をサポートする側では、介護者も認知機能低下の予防効果を得るメリットがあります。

リコード法 実行時間

リコード法実行に必要な時間

  • 有酸素運動 150分/週
  • 筋トレ 60~120分/週
  • 脳トレ 90分/週
  • 瞑想 ~60分/週
  • サプリメントの仕分け 30分/週

1週間 5.5~7.5時間

1年間 286時間

<参考比較>認知症患者に必要な平均介護時間

1週間 21.9時間 ※75歳以上の高齢介護者では34時間

1年間 1141時間

※アルツハイマー病協会(2015)推定

介護時間と単純比較していますが、介護時間と運動時間の質の差(QOL)は考慮に入れていません。

個人的課題 その他

質の高い食品と食事の確保
  • 入手性
  • コスト
  • 調理の手間
生活スタイルの大きな変更
  • 食事 
  • 運動
  • 睡眠

一部のケース(毒素環境など)では、仕事や住まいを変える必要も生じます。

患者、介護者、支援者同士の強い支え合い

医療との連携に加え、患者、介護者と家族同士の協力が必要不可欠

介護者の協力なしで、一人ですべてできるのはMCI(軽度認知障害)あたりまでだろうと考えられています。

大量サプリメントへの心理的抵抗

リコード法は大量のサプリメント摂取が要求されるが、多くの日本人にとって馴染みがありません。たくさん摂ることが害悪をおよぼすという心理的抵抗が特に高齢者では強いようです。

加えて高齢によって嚥下障害などがあると、摂取自体にフィジカルな問題も生じます。

リコード法に固有の問題ではありませんが、記憶障害による服薬管理のむずかしさも加わわってきます。

患者の実行遵守(アドヒアランス)

実行遵守は社会システムの問題

脱落者はたったの12%

実行の遵守(アドヒアランス)の難しさが、リコード法の最大の課題だと思われるかもしれません。

しかし、例えばリコード法の前進ともいえる、ダイエット、運動、認知トレーニングを取り入れたマルチドメインプログラムFINGER研究では、脱落者は2年間で12%にすぎません。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25771249

ドロップアウトは少数派

もちろん、FINGER研究では参加者の参加意志が前提となっているため、そのまま国内の認知症患者さん500万人~にあてはめることはできません。

しかし現在、アメリカで行われているリコード法においては、脱落者の明らかな数字は明らかになっていませんが、大多数はプログラムを継続しており、実行の定義をゆるくとるなら脱落者はむしろ少数派のようです。

認知機能の悪化に気がつく

これは大きな改善を一度経験することによって、それまで変化がゆっくりであったため気が付かなかった過去の認知機能の悪化を、本人が気づくことが大きな理由のようです。

一時的なドロップアウトはあるのですが、以前の生活に戻すとすぐさま認知機能の悪化にすぐに気がつくため、思いのほか遵守率の上昇につながっているようです。

社会的支援の欠如

もちろん、これらをそのまま日本に存在する数百万人のアルツハイマー病患者さんにそのまま適用できるわけではありませんが、遵守率に関してより本質的な問題は個人よりも社会的なサポート体制の不足です。

認知症社会を受け入れようとする叡智と行動力、順応性をわれわれはすでにもっており、その中の数割をそのまま認知症回復のためのリソースに割り振るだけで十分です。

国全体をあげて、医師やヘルスコーチが真面目に取り組み、保険診療が認められ、サポートコミュニティーなどの支援が存在すれば、半数以上の遵守率に達することはけして非現実的な話ではありません。

日本人に有利?

リコード法は大変だというイメージは、社会的に位置づけられていないという観念的な要因が主な理由ではないでしょうか。

逆に一度そういうものだという空気が広がれば、むしろ日本人の根の真面目な性格、そして集団的な行動性において、実行遵守に関しては大きなアドバンテージがあるように思います。

介護者の協力

「家族は「重要な存在」とかではない。それは「すべて」なんだ。」

マイケル・J・フォックス

キーパーソンが鍵をにぎる

現実問題としては、認知機能に問題を抱えているご本人がプログラムのすべてを理解して実行することはできません。

実はアルハカ家でも似たような問題を抱えており、運動にしても行動療法などにしても、それを実行するのは患者本人であり、またわたしも含め家族にもそのサポートをしてもらわなければなりません。

高齢期に入った認知症を患う母に「すべてを理解してくれ」とはさすがに言えません。

そこで、そばにいて理解する人間がどうやって本人に実行してもらうかという視点で考えていかなければ、片手落ちの改善策になってしまいます。

本人の納得が重要

ただ患者さん本人の努力も相当に必要であるため、大枠ではご本人も納得して実行するための理解はしておく必要がまずあります。

その上で協力者(ほとんどのケースでは、ご家族が該当者になられると思います。)の方が、プログラムの細かいところも把握して、主導していくことで成功率を高めれます。

精神科医がこう言った 「人間に一番効く薬は「愛」です」

わたしは聞き返した 「もし「愛」が効いてくれなかった時は?」

彼は笑ってこう答えた 「摂取量を増やしてください。」

ここもハードルの高さのひとつにはなってきますが、本人と一緒になってプログラムの実行を支えていくキーパーソンの存在も成功率を大きく左右する要因となります。

※MMSEや長谷川式などは個人的に物差しの目が荒いと感じるため、効果を測る独自の指標づくりをおすすめします。効率化や自動化の知恵についても、ブログで触れていきたいと思います。

この理解または「実行(コンプライアンス)のむずかしさ」

リコード法最大の課題でもあり、

ここを克服できるかが治療成功の分水嶺であることは間違いありません。

次の記事

リコード法に限りませんが、社会的に確立されていない治療には、お金とやる気をもっていたとしてもなお解決が難しい問題もあります。次はそのことについてお伝えしたいと思います。

リコード法 倫理的課題
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