
『THE COVID RESPONSE at Five Years』Brownstone Institute 2025
『五年後のコロナ対策 前例のない公衆衛生上の失敗とその教訓』ブラウンストーン研究所 2025
目次
- 前書き:/ Foreword
- はじめに:コロナ前の世界の終わり / Introduction:The End of the Pre-Covid World
- 第1章 修正第一条 vs. 米国安全保障国家 / The First Amendment vs. The U.S. Security State
- 第2章 静かなるクーデター:ロックダウンと移動の自由 / The Quiet Coup:Lockdowns and the Right to Travel
- 第3章 信教の自由 / Religious Freedom
- 第4章 投票 / Voting
- 第5章 隠れる場所はない / No Place to Hide
- 第6章 違法なワクチン義務化 / The Illegal Vaccine Mandates
- 第7章 コロナカースト制:急進派はいかにして法の前の平等を覆したか / The Covid Caste System:How Radicals Overturned Equality of the Law
- 第8章 ワクチンを義務化し、製薬企業を訴える権利を奪う / Selling the Seventh Amendment:How the Vaccines Became Compulsory and You Lost Your Right to Sue Big Pharma
- 第9章 軍の役割 / The Role of the Military
- その後:コロナという惨事のあとに / After the Covid Debacle
本書の概要
短い解説:
本書は、2020年から始まる新型コロナウイルス(COVID-19)への世界的な対応が、米国憲法に保障された基本的自由、法の支配、科学的誠実性をいかに組織的かつ大規模に侵食したかを克明に記録・分析したものである。過去のパンデミック対応の歴史的文脈と比較し、その「前例のない」性質を浮き彫りにする。コロナ対策の検証を希望する一般読者から研究者まで広く対象とする。
著者について:
本書はブラウンストーン研究所による集団執筆であり、アカデミアや体制派科学機関から独立した多数の研究者、医療従事者、ジャーナリストの調査に基づく「信頼できる最初の歴史の草稿」を目指している。ロックダウンやワクチン義務化に反対した立場から、公衆衛生政策を名目とした権力の濫用、検閲、市民的自由の剥奪を批判する。
テーマ解説
- 主要テーマ:コロナ対策という名の「静かなるクーデター」が、憲法の基本的保障(修正第一条・第四条・第七条など)をいかにして覆し、安全保障国家と巨大企業の利権構造を強化したか。
- 新規性:単なる政策の「過ち」ではなく、権力と富の移転を目的とした「研究され、協調された文明の終焉への努力」であったとする包括的な告発。
- 興味深い知見:政府、巨大テック企業、製薬会社、軍産複合体が「公衆衛生」を口実に一体化し、前例のない監視・検閲・強制システムを構築した実態。
キーワード解説(2~7)
- 「安全保障国家」の内面化:9.11以降、外国の脅威に対抗するために拡大した情報機関・国土安全保障省の権限が、国内の市民社会や言論の統制へと転用された。
- 公衆衛生におけるカースト制:政治的・職業的・イデオロギー的な属性に基づき、「必要不可欠」と「不要不急」を恣意的に区分し、法の平等適用を破壊した二重基準システム。
- 第7条修正の売却:ワクチン製造企業に法的免責を与えることで、市民が被害に対して陪審裁判を求める権利(修正第7条)が事実上奪われた利益供与構造。
- 情報戦争としての検閲:ウイルス起源説(研究所流出説)の隠蔽を発端に、ホワイトハウス、情報機関、CISAがSNS企業と共謀して実施した、史上最大規模の言論統制キャンペーン。
- 軍事的対応の文民支配:国家安全保障会議、国防総省がパンデミック対応の主導権を握り、伝統的な公衆衛生機関を脇に追いやった「無血クーデター」。
3分要約
2020年3月、新型コロナウイルスを口実に、米国は歴史上例を見ない「公衆衛生」政策を開始した。それは単なる感染症対策ではなく、権利章典(Bill of Rights)に保障された自由を体系的に停止する「静かなるクーデター」だった。本書は、この5年間に起きた事態を、市民的自由、科学的誠実性、法の支配という三つの観点から総括する。
事態の序章は、ファウチ博士とバークス博士による2020年3月16日の記者会見だった。彼らが示した「曲線を平坦化する」ための15日間の対策は、やがて社会基盤の「再構築」へと拡大する「第一歩」に過ぎなかった。翌日、国土安全保障省傘下のサイバーセキュリティ・インフラ保安庁(CISA)が「必要不可欠」労働者のガイドラインを発表し、政治的に優遇された大企業とメディアは活動を継続できる一方、中小企業、教会、ジム、レストランは閉鎖を強制されるという、明示的な階級社会が出現した。
クーデターの中核には、言論の自由(修正第一条)に対する前例のない攻撃があった。ウイルスの研究所起源説がファウチ博士自身の関与を暴露しかねないと悟った政府関係者らは、科学者を買収し、情報機関を動員し、SNS企業を威圧して、都合の悪い情報を大規模に検閲した。同時に、移動の自由(修正第四条に関連)は事実上停止され、警察はサーフィンをする個人やキャッチボールをする親子を逮捕し、自宅軟禁令に違反した市民を罰した。
信教の自由は特に標的とされ、復活祭の礼拝は犯罪とされ、警察が車のナンバープレートを記録した。一方で、大規模な政治的示威行動(BLM運動)は「公衆衛生」の例外として許可された。投票制度も「安全」の名の下に改変され、郵便投票の急拡大とそれに伴う不正の危険性は無視された。
「安全で効果的」と喧伝されたワクチンは、伝播防止効果が確認されないまま、連邦契約者や大企業従業員への義務化が試みられた。これらは法廷で違法と判断されるが、多くの市民は職を失い、兵士は除隊された。ワクチン製造企業は、政府による莫大な事前購入と法的免責という空前の利益を享受した。市民は陪審による裁判を求める権利(修正第七条)を失い、被害は納税者に転嫁された。
これらの政策を背後で推進したのは、伝統的な公衆衛生機関ではなく、国家安全保障会議(NSC)、国防総省(DoD)、情報機関からなる「安全保障国家」であった。軍事的な危機管理の枠組みが市民生活に適用され、文民統制が空洞化した。
最終的に、コロナ対策は「人類の存在基盤の再構築」というイデオロギー的野心と、権力・富の大規模な再配分を可能にした。その代償は甚大で、中産階級の没落、子供たちの学習損失と精神衛生の悪化、自由と信頼の社会的基盤の侵食として今も続いている。本書は、この「惨事」を歴史から抹消させず、同様の権力乱用が再び起こらないための警鐘として書かれている。
各章の要約
前書き
本書は、コロナ禍という混乱した時代を生き延びた者にとっては苦痛だが、強く引きつけられる読物である。それはブラウンストーン研究所のウェブサイトで一章ずつ発表され、その冷静な口調、詳細な事実関係、叙述の正確さ、道徳的熱情によって世界的な称賛を得た。この本は、ぼやけたイメージを明確な絵に変えるカメラレンズの焦点調節ツールのようなものである。本書の作成は、学界や科学界から独立した膨大な研究者コミュニティの産物である。権力側の機関が忘れ去ろうとする歴史の、信頼に足る最初の草稿となることを意図している。
はじめに:コロナ前の世界の終わり
「これは世界が終わるやり方だ」とT.S.エリオットは書いた。「爆発ではなく、啜り泣きで」。2020年3月、コロナ前の世界は国民的なため息と服従の声と共に終わった。超党派的なコロナ体制は、権利章典を静かなクーデターで覆した。3月27日、ケンタッキー州選出のトーマス・マシー下院議員は、史上最大の支出法案「CARES法」の無記名採択にただ一人異を唱えたが、両党から激しい人格攻撃を受けた。彼の警告は後に正しかったことが証明されるが、当時、ロックダウン推進派を支えていたのは、未知なるものへの言い訳ではなく、既知の事実への無視だった。2020年3月初旬までに、ダイヤモンド・プリンセス号のデータなどから、ウイルスが高齢者以外には重大な脅威ではないことは明らかであり、多くの科学者がロックダウンの害を警告していた。
「静かなるクーデター」の本質は、修正第一条(言論・信教の自由)が検閲に、修正第四条(不合理な捜索・押収の禁止)が大量監視に、法の前の平等が政治的に選別された二層システムに置き換えられたことにある。この体制を実施した集団(大政府、ビッグテック、大製薬)は、それによって利益を得た。ジョージ・フロイドの死後の文化的革命は、この法の支配の崩壊の上に花開いた。
第1章 修正第一条 vs. 米国安全保障国家
コロナ体制による修正第一条への攻撃は、ロバート・ラドラムの小説のような陰謀の物語に似ている。それは自己保身から始まった。2020年1月27日、ファウチ博士は、彼の管轄するNIAIDが武漢ウイルス研究所のコロナウイルス研究を資金援助していたかもしれず、彼自身がウイルス流出の責任を問われる可能性があるというメールを受け取った。彼と英国の同僚ジェレミー・ファラーは、直ちにウイルスの研究所起源説を否定するためのキャンペーンを開始した。科学者を集め、CIAからの資金提供を受けながら、「自然起源」を結論とする論文「近位起源」を仕上げ、これをもとに反対意見を「陰謀論」として弾圧した。
この隠蔽工作は、史上最大規模の言論弾圧キャンペーンへと発展した。ホワイトハウス(ロブ・フラハティ等)、国土安全保障省傘下のCISA、FBI、CIAなどの政府機関が、SNS企業に対して、コロナウイルスの起源、ワクチンの有効性、ロックダウン政策などに関する「誤情報」や「不都合な真実」の削除・抑制を威圧的に要求した。CISAの長官は「人々が自分で事実を選ぶのは非常に危険だ」と公言した。このキャンペーンは裁判所により憲法違反の可能性が高いと判断されたが、最高裁は手続き上の理由で差し止めを覆した。
カリフォルニア州では、AB2098法により、政府公認の「科学的コンセンサス」から外れる「誤情報」を流した医師を処罰する試みがなされたが、その曖昧さゆえに違憲と判断された。検閲の駆動力は常に自己利益であり、公衆衛生ではなかった。
第2章 静かなるクーデター:ロックダウンと移動の自由
「市民の移動能力を制限することは警察国家の特徴である」と法律学者は述べる。しかし2020年3月19日、カリフォルニア州が初の「自宅待機命令」を出し、アメリカは250年に及ぶ英米法の伝統と疫学的実践を覆した。アメリカ独立戦争から1957年のアジア風邪まで、いかなるパンデミックも、政府が健康的な人々の移動の権利を覆す口実とはならなかった。
2020年のロックダウンは前例のない対応だった。警察は一人でサーフィンをする者、公園を散歩する者、空き地でキャッチボールをする親子を逮捕・告発した。感謝祭やクリスマスの家族の集まりは犯罪とされ、州警察が戸別訪問で人数を数えることが検討された。これらの命令は多くの州で、憲法で保障された移動・集会の自由を明らかに侵害していた。また、その効果も疑わしく、ジョンズ・ホプキンス大学の研究を含む多くの分析が、ロックダウンが救った命は、それが引き起こした社会的・経済的・公衆衛生的コストに比べてごくわずかであったと結論づけている。
それにもかかわらず、バークス博士やファウチ博士は、イタリアや中国のようなより厳格なロックダウンを実施すべきだったと後悔を表明した。トランプ前大統領も、ロックダウン実施を「正しいことだった」と繰り返し擁護した。彼らは、基本的人権を停止するという「中世的」対応を、人間の存在基盤を「再構築」するための数十年がかる過激な変化の始まりと捉えていた。
第3章 信教の自由
ロックダウンが始まると、政治指導者たちは新たに確立されたイデオロギーを押し付けるためにその権力を行使した。ワシントンD.C.では、2020年のクリスマスイブが「アンソニー・ファウチ博士の日」と改名されるなど、新たな世俗的信仰が出現した。
礼拝所は「不要不急」とみなされ、その扉は閉ざされた。ケンタッキー州警察は復活祭の礼拝に出席した信徒のナンバープレートを記録し、ミシシッピー州では車内での礼拝すら罰せられた。一方で、大麻販売店、酒屋、宝くじ売り場は「必要不可欠」として営業を続けた。カリフォルニア州のサンタクララ郡では、健康当局がGPSデータを用いて教会の礼拝出席者を監視した。
最高裁は当初、ロバーツ長官の決定的な票により、公衆衛生当局への司法の謙抑を理由に、礼拝所の人数制限を支持した。ネバダ州では、カジノは500人を収容できるのに、礼拝所は50人に制限されるという明らかな不平等が問題となったが、最高裁は理由を示さずこれを支持した。ゴーサッチ判事は「シーザーズ・パレスをカルバリー礼拝堂よりも優遇することを憲法が認める世界はない」と反対した。
2020年秋、エイミー・コニー・バレット判事の着任後、最高裁はニューヨーク州などによる礼拝所の厳格な制限を違憲とする判断を示し、信教の自由に対する攻撃に歯止めをかけた。ゴーサッチ判事は、コロナ対応が「平時のアメリカ史上、市民的自由に対する最大の侵害」であった可能性があると後に述べた。
第4章 投票
1845年に制定された選挙日は、11月の第一月曜日の翌火曜日と定められていた。しかし、コロナはその伝統を覆す口実となった。2020年の大統領選では、投票の75%が選挙日当日の投票所での投票ではなくなり、郵便投票は倍増した。CDCは2020年3月、郵便投票を推奨し、CARES法は選挙プロセス改造のために州に4億ドルを提供した。
この選挙制度改革は事前から計画されていた。ニュージャージー州の地方選挙では大規模な郵便投票不正が発覚し、有罪判決が出た。ウィスコンシン州の予備選挙では、数百通の不在者投票用紙が郵便局で未配達のまま発見されるなど、混乱が生じた。民主党の活動家ですら、郵便投票制度は「選挙の完全性を保証するのが最も難しい」と認めていた。
2005年の超党派「連邦選挙改革委員会」(カーター=ベイカー委員会)は、「不在者投票は有権者不正の最大の潜在的原因であり続けている」と結論づけていた。多くの国々が選挙不正を理由に郵便投票を禁止している。2020年の制度改革は、パンデミックの恐怖を利用して、以前から計画されていた投票慣行の変化を加速させた「ステルス革命」だった。この変化は2020年の大統領選の結果を決定づけた可能性が高い。
第5章 隠れる場所はない
2020年4月までに、アメリカ人はかつて認識されなかった政府監視体制の中で生活していた。政府とシリコンバレーは、コロナ対策を名目に、「接触追跡」や「自宅待機命令」の履行のために大規模な監視プログラムを展開した。これは、修正第四条が守るべき「不合理な捜索・押収からの自由」を事実上消し去った。
政府はセーフグラフなどのデータ会社から携帯電話の位置情報を購入し、ロックダウン順守状況や礼拝所への出入りを監視した。カリフォルニア州サンタクララ郡は、福音派教会「カルバリー礼拝堂」の周りに「ジオフェンス」を設定し、6万5千台のモバイルデバイスの動きを監視した。マサチューセッツ州は、州民の同意なしに100万台以上のスマートフォンに接触追跡アプリ「マスノティファイ」を密かにインストールし、削除されても再インストールした。
ニューヨーク州のクオモ知事は、ワクチンパスポート「エクセルシオール・パス」を導入し、公共交通機関や飲食店へのアクセスを接種状況と紐付けた。これは医療記録のプライバシーを侵害するものだった。CDCはまた、医師に対して、患者の同意なしにそのワクチン未接種ステータスを診療記録にコード化して報告するプログラムを開始した。これは公衆衛生上の理由というより、コンプライアンスの監視ツールであった。
エドワード・スノーデンが警告したように、政府はこの新たな権力に慣れ、それを手放すことを渋るだろう。コロナ監視プログラムは、英国、オーストラリア、イスラエル、中国などで、パンデミック後も継続・転用される基盤となっている。市民には「隠れる場所」がなくなった。
第6章 違法なワクチン義務化
2021年9月9日、バイデン大統領は、連邦政府職員・契約者、100人以上の従業員を抱える民間企業など、約1億人に及ぶワクチン義務化を発表し、それまでの「義務化は連邦政府の役割ではない」という見解を180度転換させた。
義務化の支持者は、1905年の「ジェイコブソン対マサチューセッツ州」事件(天然痘ワクチンの罰金付き義務化を合憲とした)をしばしば引用した。しかし同判決は、(1)措置が恣意的でなく、(2)公共の安全に合理的に必要であり、(3)市民の健康と実質的関連があることを要求していた。コロナワクチン義務化は、自然免疫を無視し、リスクのない子供たちに適用し、効果が限定的であること、そして罰則が職や社会的参加の剥奪という重いものであった点で、これらの基準を満たしていなかった。
バイデン大統領の連邦契約者向け義務化は「調達法」の範囲を超えるとして差し止められ、OSHAを通じた民間企業向け義務化も、最高裁により「職場安全基準ではなく広範な公衆衛生措置」であり違法と判断された。子供への義務化も、緊急使用許可(EUA)製品への自由な同意を妨げるものとして合法性に疑問が呈された。
義務化の結果、少なくとも8,000人の兵士がワクチン拒否で軍隊を追われ、サウスウエスト航空をはじめとする企業では深刻な人手不足が生じた。義務化は非科学的で非合理的、非合法的であり、社会に大きな混乱と損失をもたらした。
第7章 コロナカースト制:急進派はいかにして法の前の平等を覆したか
2020年、法の前の平等は、コロナカーストシステムに取って代わられた。ロックダウン、命令、自宅軟禁、権利の恣意的剥奪は、すべて間違った政治的信念を持つ市民にだけ適用された。
CISAによる「必要不可欠」労働者の分類は、政治的にお気に入りの大企業とメディアは活動を継続させ、中小企業や教会は閉鎖に追い込む二層システムを生んだ。法律の執行も政治的信条に基づいて行われた。ロックダウンに抗議するデモは解散させられ、参加者は逮捕されたが、BLM(ブラック・ライヴズ・マター)の大規模な抗議活動や暴動は、ウイルス感染のリスクを理由に制限されなかった。政治家たちは、自らが課した命令を平然と破った。
この偽善は無害なものではなかった。子供たちは教室から締め出され、ビジネスは永久に閉鎖され、教会は閉ざされ、何百万人もの人々が孤独のうちに死んでいった。その一方で、ニューサム知事は超高級レストランでマスクなしのディナーを楽しみ、ペロシ議長は閉鎖中の美容院でヘアスタイルを整え、市長たちは自分たちの命令に反して大規模な祝賀集会に参加した。学校長や教師組合の幹部は、公立校を閉鎖したまま自分の子供を私立校に通わせた。
「アメリカの信条」(ジェファーソンの「全ての人間は平等に造られている」という原則)は、あからさまな党派的利益の追求のために覆された。権力を振るう者たちは、市民を辱め、服従を要求する実験を行ったのである。
第8章 ワクチンを義務化し、製薬企業を訴える権利を奪う
ファイザーやモデルナなどの製薬会社は、コロナ禍で史上最高の利益を上げた。その背景には、政府による莫大な事前購入、広範な強制接種キャンペーン、そして何よりも「法的免責」という空前の保護があった。2020年2月、アザー厚生長官は「公衆衛生危機対策法」(PREP法)に基づき、コロナ関連医薬品メーカーに対する賠償責任免責を発動した。市民はワクチンの危害に対し、製造会社を直接訴えることができなくなった。
これは「修正第七条」(民事事件における陪審裁判の権利)の事実上の放棄であった。陪審制度は、一般市民の権利を、司法制度を腐敗させる可能性のある商業権力から守るために設けられた。しかし、製薬産業と政府の間の回転ドア(人の往来)と法的免責は、商業的利益のために司法制度が歪められたシステムを生み出した。
製薬会社は、ロビー活動に数十億ドルを費やし、主要メディアに対し広告費という形で巨額の資金を投じて報道に影響力を行使した。「安全で効果的」というスローガンは絶えず繰り返されたが、議会報告書がワクチンを「本質的に安全でない」と表現していたように、本来リスクを伴うものであり、かつ伝播防止効果は臨床試験で確認されていなかった。CDCは心筋炎のリスクに関する内部警告を公表せず、ワクチン接種を推進し続けた。
この結果、製薬会社は利益を私有化し、被害のリスクを社会化(納税者負担)するという「栄光の日々」を享受した。政府は修正第七条を国内最大のロビー勢力に売り渡し、市民の権利を支配階級の権力と交換したのである。
第9章 軍の役割
コロナ対応の中核には、実は軍事的作戦があった。国家安全保障会議(NSC)がパニック対応を触発し、国土安全保障省(DHS)がロックダウンを監督し、情報機関が検閲を主導し、国防総省(DoD)がワクチン推進を管理した。文民政府を乗っ取ったのは、軍事アパラチクスであった。
2020年1月、ファウチ博士にウイルス流出の関与の可能性が警告された直後、彼はCIA本部で極秘会合を重ね、ウイルス起源調査に影響を与えようとした。また、CISAは検閲作戦の中心として機能した。
ホワイトハウス内部では、副国家安全保障問題担当補佐官のマシュー・ポッティンジャーが、中国のSNS情報に基づいて旅行禁止やロックダウン、マスク義務化を強く主張し、大統領に危機感を抱かせた。彼の情報は、タッカー・カールソンを通じてトランプ大統領に伝えられ、全国的な警戒ムードを作り出す一因となった。
2020年3月、国家非常事態宣言により、連邦緊急事態管理庁(FEMA)がパンデミック対応の主導機関となり、保健福祉省(HHS)はその座を追われた。実質的に軍事的危機管理の枠組みが国内の公衆衛生事態に適用されたのである。国防総省は、9.11後の生物兵器防衛研究で蓄積した技術と予算を背景に、ワクチンの開発、生産、流通の中核を担った。ワープ・スピード作戦では、国防総省の将軍が作戦責任者となり、ワクチンの「すべての物流上の詳細」を指揮した。
コロナ対応は、非常時における戦時権限(PATRIOT法、EUAなど)を利用し、伝統的な安全・有効性の確認プロセスを回避することを可能にした。この軍事的・安全保障的なアプローチが、市民的自由に対する前例のない侵食を可能にした背景にあった。
その後:コロナという惨事のあとに
コロナパニックは、1913年にオハイオ州コロンバスで起きた「ダムが決壊した」という誤報による大パニックに例えられる。群衆は理性を失って走り出し、後で何も起きていないことに気づいても、その愚行を口に出すことを避けた。
コロナ禍でも同様に、人々は権威の誤った宣言に基づいて日常を放棄し、実験的な注射を打ち、子供を学校から遠ざけ、隣人を非難し、医療アパルトヘイトを実施した。権力の諸機関は、パニックを促進し、彼らがまいた破壊を搾取した。
その代償は甚大であり、中間層の没落、子供の学習損失と自殺の急増、自由と信頼の社会的基盤の侵食として今も続いている。権利章典は単なる「羊皮紙の保証」にすぎなかった。三権分立、連邦主義、公私の分離といった抑制と均衡のシステムは、情報機関と軍産複合体を中核とする陰謀によって廃止された。
5年経った今も、パンデミックの起源は不明のままであり、情報機関の超憲法的な越権行為を抑制する努力はなされていない。ワクチンメーカーの免責は存続し、権力と富の不正な分配構造も温存されている。一方で、専制政治に対する抵抗は数百万人を結集させ、自由の基本的原則の価値を再確認する契機となった。
トランプ大統領の二期目は、ロバート・F・ケネディ・ジュニアやジェイ・バッタチャリヤ博士など、新たな人材を登用し、改革の可能性を示している。しかし、惨事を引き起こした巨大な権力機構は、そのほぼ全てが依然として元の場所に存在している。真の改革が実現するか、勝利の感覚だけが残るかは、未だ不透明である。
アルツハッカーは100%読者の支援を受けています。
会員限定記事
新サービスのお知らせ 2025年9月1日よりブログの閲覧方法について
当ブログでは、さまざまなトピックに関する記事を公開しています。2025年より、一部の詳細な考察・分析記事は有料コンテンツとして提供していますが、記事の要約と核心部分はほぼ無料で公開しており、無料でも十分に役立つ情報を得ていただけます。 さらに深く掘り下げて知りたい方や、詳細な分析に興味のある方は、有料コンテンツをご購読いただくことで、より専門的で深い内容をお読みいただけます。パスワード保護有料記事の閲覧方法
パスワード保護された記事は以下の手順でご利用できます:- Noteのサポーター・コアサポーター会員に加入します。
- Noteサポーター掲示板、テレグラムにて、「当月のパスワード」を事前にお知らせします。
- 会員限定記事において、投稿月に対応する共通パスワードを入力すると、その月に投稿したすべての会員記事をお読みいただけます。
サポーター会員の募集
- サポーター会員の案内についての案内や料金プランについては、こちらまで。
- 登録手続きについては、Noteの公式サイト(オルタナ図書館)をご確認ください。
