NF-κBの阻害と活性(アルツハイマー病 36の発症因子)

リコード法 36項目/核内因子NF-κB(nuclear-factor-kappa B)Reduce NF-κB

ブレデセンプロトコル 36の課題のうちのひとつ、NF-κB(エヌエフカッパビー)について調べてみた。

免責事項を先にお読みください。

概要

NF-κBは炎症、ストレス応答、感染応答、免疫応答、細胞分化、増殖、細胞死などにおいて中心的役割を果たす転写因子のひとつ

複雑なシグナル伝達経路のネットワークによって、非常に多様な因子からの刺激を集約的に受ける。

外因的には、ストレスや、重金属、紫外線、酸化LDL、さらには細菌やウイルス、電離放射線にも応答して活性され多種多様な遺伝子を制御する。

炎症性因子(サイトカイン)として有名なものに、TNF、IL-1、IL-6があるが、NF-κBはそれらのサイトカイン産生を主に制御する。

サイトカインの側からもNF-κBも誘導するため、その作用は双方向的である。

NF-κBのリスクとベネフィット

NF-κBの慢性的な活性は、癌、炎症性の疾患、自己免疫性疾患などと広く関与する。

しかしNF-κBの活性が弱すぎてもウイルス感染、細菌感染などに対して脆弱性をもつ。

またNF-κBには抗アポトーシス機能があり、炎症反応を通して上皮細胞や粘膜障壁に対しての保護作用もある。

一方でNF-κBは特定の状況においては、白血球アポトーシスを促進し炎症反応の解消にも関わる。

難しい治療標的

と、いったようにNF-κBは長い間炎症性疾患の抗炎症薬として標的とされてきたが、NF-κBの役割が明らかになるにつれ、その動態の複雑さから難しい治療標的であることが示されてきている。

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3750319/figure/F4/

実はアルツハイマー病においても例外とは言い切れない。アルツハイマー病患者においてNF-κBの調節不全がいくつかの研究で確認されているため、過剰となったNF-κBを抑制することで神経損傷を防ぐアルツハイマー病治療研究がなされている。

しかし脳内でのNF-κB活性は、記憶の制御やシナプス可塑性とも関わっており、NF-κBをただ闇雲に阻害することが、そのまま認知機能の改善にむすびつくとは考えにくい。

onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/(SICI)1098-2396(200002)35:2%3C151::AID-SYN8%3E3.0.CO;2-P/abstract

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9530926

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306452202000490?via%3Dihub

NF-κBの学習と記憶への影響

NF-κBの過度な活性、過度ではなくても慢性的なNF-κBの活性、いずれとも神経炎症と神経変性につながりニューロンに不可逆的な損傷をもたらす。

 しかし、NF-κBおよび、NF-κBを活性化する因子として有名なTNFαは、シナプスの可塑性および学習、記憶形成の基礎となる長期増強(LTP)を調節する事が示唆されている。

NGFもシュワン細胞(軸索を構成する細胞の一種)においてNF-κBを活性化することができる(BDNF、NT-3はNF-κBを活性化しない)

NF-κBの学習モデル

NF-κBの活性が記憶に関わり、NF-κBの抑制が学習に関わるというモデル

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5101203/

NF-κBのニューロンホメオスタシス

より最近では、ニューロンがニューロンネットワークの安定性を保つためのニューロンホメオスタシスの維持にNF-κBが関与していることが研究で示されている。

おそらく、NF-κBは健常者だけでなく、アルツハイマー病患者にとっても活性することと抑制することにはトレードオフの関係がある。

NF-κB過剰活性が認められるアルツハイマー病患者の場合、抑制していくことが治療の基本となる。

しかしアルツハイマー病の根幹的な治療を考えていく上ではNF-κBを一方的に阻害するだけでなく、タイミングを考えて適切に活性化させていくことも考えていかなければならない。

NF-κB活性化による治療効果

実際に、アルツハイマー病へのLLLT治療で小規模ながら臨床効果が認められている研究報告があるが、局所的な応用なので全身への影響をおよぼす抗炎症剤とは同じ扱いにはできないものの、これはNF-κBを急激に(慢性的ではない)活性させることによって治療効果を得ると考えられている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5101203/

NF-κBはストレスによっても上昇する。

昨今ストレスにも良いストレスと悪いストレスがあるということが知られてきたように思うが、生化学的に言うならば良いストレスとは一時的に適切なタイミングと量でNF-κBを急上昇させること、と言える面もあるかもしれない。

そのためにはストレスはメリハリがあって、ある程度コントロール可能なものでなければならない。

そう考えると自発的な運動はまさに理想のストレスといえるだろう。

妄想を加えると、運動をはじめる時「運動、嫌だなあ」という感情がある運動嫌いの人のほうが、運動が楽しくてしょうがない人よりも運動開始時のストレス負荷が高いため、NF-κBがより活性されより大きな健康効果をもつ可能性がある!?

NF-κB アルツハイマー病関連因子

Egr1

海馬による認識記憶はNF-κB活性を介したEgr1の遺伝子発現が必要。

Egr1の突然変異は遅発型LTPおよび長期記憶のみが損なわれている。

Egr3はより広範囲の障害を及ぼす。

アルツハイマー病ではEgr1の調節不全(過剰なアップレギュレーション)が強く生じている。

Egr1の過剰なアップレギュレーションが神経原線維変化発生に寄与する因子の可能性。

Egr1減少はAD治療のターゲットとなりうる。

CREBとNF-κBは拮抗関係にある。

NF-κB – COX-2シグナル伝達経路

COX-2(シクロオキシゲナーゼ)別名:プロスタグランジンH2合成酵素

アルツハイマー病におけるCOX-2発現は、前頭皮質、およびニューロン様細胞系において上昇。

NF-κB活性は、ニューロンにおけるCOX-2発現をポジティブに調節する。

老化、アルツハイマー病においてはNF-κBとCOX-2の結合活性に高い相関がある。

BDNF

NF-κBはBDNF発現を上昇させる。

Egr1はBDNFとも結合する。

脳内のBDNFはアルツハイマー病初期の段階では代償応答により増加している。

ApoE4

ApoE4アイソフォームは、NF-κBシグナル伝達を活性化し、培養ニューロンにおいてSirT1をダウンレギュレートする。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4546454/

その他

NF-kBシグナル伝達および上皮・間葉転換様転移はアミロイドβを産生、分泌

「NF-kBモード」で作動する反応性グリアおよび活性化マクロファージは、TGF-β分泌およびTGF-β受容体発現の両方をアップレギュレートすると考えられる。 そして、アミロイドβと酸化ストレスの原因である「創傷」に向かって移動し、それによって、プラークと関連する神経膠症、炎症およびTGF-β濃度がアルツハイマー病の脳全体で増加することにつながる

NF-κB 抑制方法

NF-κB阻害因子

IL-4、IL-10、TGFβ、TNF、 H2O2、NO、グルココルチコイド、アミロイドβ

メラトニン、アスピリン、ガングリオシド、ビタミンE、デキサナビノール(カンナビノイド)、カフェイン酸フェネチルエステル(CAPE)

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167488905000923?np=y&npKey=ebee2d140dc7e1ab8ba81bcf2055380036b0a3b6de7757f00431615350060d55

forum.mindandmuscle.net/37466-nf-kappab-reference

NF-κBに作用をおよぼす因子は、わかっているものだけでも非常に多彩で可変的

「egr1 NF-κB」の画像検索結果

www.nature.com/onc/journal/v30/n14/fig_tab/onc2010566f3.html

NF-kBを抑制するライフスタイル

作成中
断食
ケトーシス
運動
地中海食
瞑想
ヨガ

NF-kB を抑制する食品

オイル

DHA、EPA(低用量)、オリーブオイル、ブラッククミンシードオイル

お茶

ジャスミンティー、緑茶、ルイボスティー(テアフラビンン)

スパイス

にんにく、生姜、うこん、カプサイシン、クミン、シナモン、ステビア、トレハロース、

食材

カレー、大豆、ごま、ブルーベリー

アブラナ科の野菜、セロリ、オリーブ、トマト

NF-κBを抑制するサプリメント

NF-κBは炎症メディエーターの中心的存在であるため、実質ほとんどのハーブ、漢方類は大なり小なりNF-κBを抑制する。
ビタミン類

マグネシウム、亜鉛、PQQ、COQ10、Nアセチルシステイン、αリポ酸、アスコルビン酸、

ハーブ類

甘草、オリーブリーフ、EGCG、ルテオリン、フィセチン、アンドログラフォライド、レスベラトロール、ベルベリン、パルテノリド、テアフラビン、クルクミン、アスタキサンチン、ピクノジェール、ミルクシスル、グレープシード抽出物、ゲニステイン、シリマリン、

合成系

メラトニン、アスピリン、プレグネノロン、NAD+、DHEA、ニコチン、タウリン、テアニン

トリクリン(TriCurin)
クルクミン、EGCG、レスベラトロールの組み合わせがNF-κBの活性を抑える。
 「tricurin」の画像検索結果

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11506818

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16087329

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22605974

クルクミン、レスベラトロール、EGCGの組み合わせで、強力な相乗効果

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28416754

モル比で4:1:12.5  クルクミン:EGCG:レスベラトロール

名付けてTriCurin!

トリクリンは子宮頚がんの原因とされているHPVウイルスの植物ベース治療薬(局所適用クリーム)として研究されている。

innovenemeds.com/products-and-timeline/

NF-κBを阻害する医薬・化合物

フルオキセチン

デスロラタジン

デプレニル

ヒューペリジンA

シルデナフィル

5-HTP

メマンチン

イブプロフェン

セレコキシブ

デキサメタゾン

インドメタシン

その他(活性化、誘導化合物を含む)

www.abcam.co.jp/reagents/nf-kb-small-molecule-guide-1

NF-κB 誘導要因

NF-κB 誘導因子

LPS、グルタミン酸、NMDA、ATP、活性酸素、

sAPP、APPの過剰発現、アミロイドβ(細胞膜を通過して活性)

エリスロポイエチン(EPO)、EGF、NGF、BDNF、NT-3、H2O2、TGF-β1

IL-1、IL-2、IL-6、IL-8、IL-12、TNF-α、COX2、VCAM、ICAM

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2882124/#s1title

NF-κBを活性する環境因子

酸化ストレス、心理的ストレス

過食、大量の炭水化物、高タンパク質食、過剰の飽和脂肪酸

栄養バランスの悪い食事

肥満

アルコール、喫煙

概日リズムの乱れ、睡眠不足

紫外線

重金属

霊芝

リチウム

ゴジベリー

参考サイト

en.wikipedia.org/wiki/NF-κB

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3750319/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2882124/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2773619/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3443185/

selfhacked.com/blog/nuclear-factor-kappa-b/

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