
日本語タイトル:『悲劇と希望101:秘密ネットワークによる世界支配の実態』ジョセフ・プラマー 2023年
英語タイトル:『Tragedy and Hope 101: The Illusion of Justice, Freedom, and Democracy』Joseph Plummer 2014年
目次
- はじめに / Introduction
- 第1章 民主主義 / Democracy
- 第2章 玉座の背後にある権力 / Power Behind the Throne
- 第3章 ネットワークによるアメリカの「回収」 / The Network “Recovers” America
- 第4章 貨幣:究極の道具 / Money: The Ultimate Instrument
- 第5章 主要な問題—主要な解決策 / The Main Problem — The Main Solution
- 第6章 支配者は自分自身を代表する / Rulers Represent Themselves
- 第7章 国際連盟を沈め、ファシストを台頭させる / Sink the League — Raise the Fascists
- 第8章 偽りと欺瞞の人々 / False and Designing Men
- 第9章 現実政治の再考 / Realpolitik Revisited
全体の要約
本書は、ハーバード大学教授キャロル・クイグリーの著作『悲劇と希望』を基に、19世紀後半から現代にかけて世界を支配してきた秘密ネットワークの実態を明らかにする。
クイグリーは20年間この組織を研究し、1960年代初頭に実際にその秘密記録にアクセスすることを許可された。彼が明らかにしたのは、セシル・ローズとアルフレッド・ミルナーが設立した秘密結社から発展した巨大な権力ネットワークである。この組織は「世界の居住可能な全ての地域」を支配下に置くことを目標とし、金融資本主義を通じて各国の政治システムと世界経済全体を支配する世界的な金融統制システムの構築を目指している。
ネットワークの基本戦略は、表向きは民主的に見える制度を維持しながら、実際の権力を秘密裏に行使することである。彼らは信頼できる機関(メディア、大学、政府、財団など)の指導的地位に従順な協力者を配置し、公的意見と政府政策を方向づける。政策に対する反発があれば、その協力者を交代させ、機関と真の権力者は無傷のまま残る。
アメリカにおいて、ネットワークは1912年の選挙操作によりウッドロー・ウィルソンを大統領に就任させ、1913年に連邦所得税と連邦準備制度を成立させた。これにより、彼らは市民の所得を直接没収し、無から貨幣を創造する合法的権限を手に入れた。現在の債務ベース貨幣システムは、国家を永続的な債務の罠に陥れ、政府を銀行家の支配下に置く仕組みである。
第一次世界大戦、第二次世界大戦、冷戦は全て、この秘密ネットワークが国家主権を破壊し、世界政府樹立のために意図的に引き起こされた。彼らは戦争の口実を作り出し、時には偽旗作戦を実行し、敵対勢力を育成してから、その脅威に対処するという名目で更なる権力集中を図る。
グラディオ作戦のような秘密工作により、NATOとCIAは西欧諸国で秘密軍隊を組織し、テロ攻撃を実行してそれを共産主義者の仕業に見せかけ、民主的選挙結果が彼らの意図に反する場合に介入した。これらの作戦は40年以上秘密にされ、真の民主主義を破壊しながら民主主義を守ると主張するという究極の偽善を体現している。
現在、ネットワークは国際連合システムを超えた「グローバル・ガバナンス」の確立を目指している。彼らは憲法上の制限、主権、三権分離といった概念を「問題」として位置づけ、気候変動やテロとの戦いなどを口実として、これらの制限を回避しようとしている。
解決策として著者は、まず彼らの正当性の幻想を破壊することから始めるべきだと主張する。具体的には、認識向上、競争通貨の使用、所得税への攻撃、州や陪審による無効化などの手段を提案している。最終的に、成人人口の15%(約3000万人)が情報を得て積極的に行動すれば、この違法支配を不可能にできるとしている。
各章の要約
はじめに
Introduction
G・エドワード・グリフィンによる序文。政治的幻想師たちがいかに大衆を欺くかについて警告している。キャロル・クイグリーがハーバード大学で教育を受けた著名な歴史学者であり、秘密ネットワークの内部記録にアクセスして『悲劇と希望』を執筆したことを説明。この知識なしには現代世界の権力者の行動は理解できないが、一度真実を知れば無知という安らぎは失われると述べている。
第1章 民主主義
Democracy
民主主義が幻想に過ぎないという感覚について論じ、キャロル・クイグリーの発見を紹介する。国家憲法は選ばれた指導者によって日常的に破られ、全ての社会制度は最終的に支配者の利益のために運営される。クイグリーは秘密結社と小規模な権力ネットワークが実際に存在し、全国家を創造・破壊する能力を持つことを証明した。太平洋問題調査会(IPR)の事例を通じて、ネットワークがいかに学術専門家を組織化し、資金の流れを支配して政策を決定するかを示している。
第2章 玉座の背後にある権力
Power Behind the Throne
明治維新の例を用いて、表向きの政府と真の権力構造の違いを説明。明治寡頭政治が天皇の名の下に日本を支配し、その背後にさらに少数の元老が実権を握っていた構造を分析。強制的権力が秘密と欺瞞を好む理由、そして道徳性や憲法が権力欲に駆られた個人や集団を止められない現実を論じる。セシル・ローズがオックスフォード大学でジョン・ラスキンの帝国主義講義に感化され、秘密結社を設立した経緯を詳述している。
第3章 ネットワークによるアメリカの「回収」
The Network “Recovers” America
世界支配のためには主権国家を容認できないという原則を説明。エドワード・マンデル・ハウスとウッドロー・ウィルソンがネットワークの道具として機能した過程を分析。ハウスは小説『フィリップ・ドルー:管理者』で社会主義革命の青写真を示し、ウィルソンは世界政府への狂信的執着を持っていた。1912年選挙でテディ・ルーズベルトを共和党票分裂候補として擁立し、ウィルソンを大統領に就任させた選挙操作の詳細を明らかにしている。
第4章 貨幣:究極の道具
Money: The Ultimate Instrument
ネットワークの権力の根源が貨幣支配にあることを論証。他人の収益を結合・支配し、直接没収し、無から貨幣を創造する三つの主要メカニズムを説明。ジキル島での秘密会議で連邦準備制度が創設された経緯、所得税導入の真の目的、債務ベース貨幣システムの仕組みを詳述。現在のシステムでは全ての貨幣が借金として創造され、債務を完済すれば貨幣供給量がゼロになるという根本的矛盾を指摘している。この制度により国家は永続的な債務の罠に陥る仕組みが構築されている。
第5章 主要な問題—主要な解決策
The Main Problem — The Main Solution
貨幣の異なる形態(物品貨幣、受領証貨幣、部分準備貨幣、法定貨幣、債務貨幣)を説明し、債務貨幣が最も奴隷化的なシステムであることを論証。現在のシステムでは貨幣は貸出時にのみ創造され、返済時に破壊されるため、経済から債務を除去しようとすると自動的に「修正メカニズム」が作動して失敗する仕組みになっている。解決策として、認識向上、競争通貨の使用、所得税への攻撃、無効化の四つの戦略を提案。成人人口の15%が行動すれば違法支配を不可能にできると主張している。
第6章 支配者は自分自身を代表する
Rulers Represent Themselves
政府権力の正当化と制限化の両方の論拠を検討し、一般犯罪者よりも政府内の犯罪者の方がはるかに危険であることを指摘。ノースウッズ作戦の詳細を通じて、アメリカ政府がキューバとの戦争口実を作るため偽旗作戦を計画していた事実を暴露。カーネギー財団の記録から、彼らが戦争を「国民全体の生活を変える最も効果的な手段」と認識し、アメリカを戦争に巻き込む方法を計画していたことを明らかにしている。第一次世界大戦後の債務増加パターンを分析し、金融戦争の仕組みを説明している。
第7章 国際連盟を沈め、ファシストを台頭させる
Sink the League — Raise the Fascists
アメリカが国際連盟に参加しなかった後、ネットワークが組織を破壊し始めた経緯を分析。ドイツに対する「宥和」政策の真の目的は、ドイツを再軍備させてフランスとロシアに対抗させることだった。ムッソリーニのエチオピア侵攻、フランコのスペイン内戦、ヒトラーの台頭において、ネットワークがいかに二重政策(公的には民意を尊重すると偽り、私的には正反対の政策を追求)を実行したかを詳述。これらの政策により数千万人が死亡したが、ネットワークは第二次世界大戦後に国際連合を通じてアメリカの孤立主義を完全に破壊することに成功した。
第8章 偽りと欺瞞の人々
False and Designing Men
偽旗作戦の概念と歴史的事例を詳細に分析。グラディオ作戦を通じて、CIAとNATOが西欧19カ国で秘密軍隊を組織し、テロ攻撃を実行してそれを共産主義者の仕業に見せかけていた事実を暴露。これらの作戦は民主主義を守ると主張しながら実際には民主的プロセスを破壊していた。ギリシャでのクーデター、イタリアでのテロ攻撃、スペインでの独裁政権支援など、具体的事例を通じてネットワークの残虐性を示している。40年以上秘密にされたこの作戦は、真の権力がいかに隠蔽されているかを証明している。
第9章 現実政治の再考
Realpolitik Revisited
現実政治の哲学とその実践者たちの心理を分析。E・H・カーやヘンリー・キッシンガーのような現実主義者たちが、道徳的考慮を完全に排除し、成功のみを正しさの基準とする思考パターンを詳述。ベトナム戦争のトンキン湾事件、第二次世界大戦のグリア号事件、第一次世界大戦のルシタニア号撃沈など、戦争の口実を作り出すためにアメリカ市民を「危険な状況に置く」戦術の歴史を明らかにしている。最終的に、過去一世紀にわたる欺瞞、窃盗、暴力の全体像を総括し、この犯罪的支配階級を暴露し弱体化させることの重要性を強調している。
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