Toxic legacy of US assault on Fallujah ‘worse than Hiroshima’
2010年7月24日
2004年に米海兵隊の空爆を受けたイラクの都市ファルージャで、乳児死亡率、がん、白血病が劇的に増加し、1945年に広島と長崎に投下された原爆の被爆者の報告を上回ることが、新しい研究により明らかになった。
ファルージャのイラク人医師たちは 2005年以来、頭が2つある女の子から下肢の麻痺まで、深刻な先天性障害を持つ赤ちゃんの数に圧倒されていると訴えてきた。また、米軍と反乱軍のファルージャでの戦いの前に比べて、はるかに多くの癌が見られるという。
彼らの主張は、すべてのガンが4倍、14歳以下の小児ガンが12倍に増加しているという調査結果によって裏付けられている。また、乳幼児死亡率は隣国ヨルダンの4倍以上、クウェートの8倍以上となっている。
アルスター大学の客員教授で、ファルージャの4,800人を対象にした調査の著者の一人であるクリス・バスビー博士は、がんや先天性異常の原因を正確に突き止めることは困難であると述べている。また、「このような影響をもたらすには、攻撃が起こった2004年に、非常に大きな変異原性の暴露が起こったに違いない」と付け加えた。
米国海兵隊は2004年4月、バグダッドの西30マイルに位置するファルージャを初めて包囲し、砲撃した。これは、米国の警備会社ブラックウォーターの社員4人が殺害され、遺体が焼却されたことによる。8カ月に及ぶ攻防の後、海兵隊は11月に反乱軍の拠点に対して砲撃と空爆を行い、ファルージャを制圧した。米軍は後に、白リンやその他の弾薬を使用したことを認めた。
米軍司令官は、自軍の死傷者を減らすため、ファルージャを自由射撃区域として扱った。英国人将校は、民間人の犠牲に対する配慮のなさに愕然とした。「2004年11月のファルージャ撤収作戦の準備作業中、一晩に40発以上の155mm砲が街の狭い範囲に撃ち込まれた」と、バグダッドで米軍と行動していた英国人指揮官ナイジェル・エイルウィン・フォスター准将は振り返る。
また、この破壊的な火力行使を命じた米軍司令官は、米軍司令官への日報に記載するほど重要なこととは考えていなかったという。バスビー博士は、海兵隊が使用した兵器の種類を特定することはできないが、住民の受けた遺伝的損傷の程度は、何らかの形でウランが使用されたことを示唆していると言う。バスビー博士は次のように語っている：「私の推測では、彼らは建物に対して、壁を破って中の人を殺すために新兵器を使ったのだと思う」
この調査は、今年1月から2月にかけて、11人の研究者チームがファルージャの711軒の家を訪問して実施されたものである。調査票には、がん、出産成績、乳幼児死亡率などの詳細が記入された。これまでイラク政府は、軍事行動中の健康被害に関する市民からの苦情に応じることを嫌ってきた。
特にバグダッドのテレビ局が「この調査はテロリストが行っており、調査を行ったり、質問に答えたりすると逮捕される」と報道したため、調査員は当初、地元住民から疑いの目で見られていた。その後、調査を実施する者は、疑念を払拭するために、地域社会で地位のある人物を同行させるよう手配した。
この研究は、Busby博士、Malak Hamdan、Entesar Ariabiによるもので、「2005-2009年イラク、ファルージャにおけるがん、乳児死亡率、出生時性比」と題され、がんと先天性欠損症の急増という逸話は正しいという結論に達した。乳児死亡率は、エジプトが19、ヨルダンが17、クウェートが9.7であるのに対し、出生1,000人あたり80であることが判明した。報告書によると、がんの種類は「原爆の電離放射線や降下物のウランにさらされた広島の被爆者のものと似ている」という。
白血病は38倍、女性の乳がんは10倍、成人のリンパ腫と脳腫瘍は大幅に増加した。広島の被爆者では白血病が17倍に増えたが、ファルージャでは、がんの多さだけでなく、がんが人々に影響を及ぼすスピードが速かったことが印象的だったとバスビー博士は言う。
特に重要なのは、生まれたばかりの男の子と女の子の性比が変化していることである。通常の人口では、女の子1,000人に対して男の子1,050人が生まれるが2005年以降に生まれた子供たちは、男性の出生数が18%減少したため、女性1,000人に対して男性850人という比率になった。性比は、遺伝的なダメージが女児より男児に多いことを示す指標である。同じような性比の変化は、広島の後にも発見されている。
米国が2007年からイラクでの火力行使を減らしたのは、それが民間人の怒りを買ったからだ。しかし、同時に2003年以降、イラクの医療・衛生環境は低下している。ファルージャは2004年以降も封鎖され、イラクの他の地域から遮断され続けたため、戦争が市民に与えた影響はイラクのどこよりも深刻だった。戦争被害は徐々にしか修復されず、首都バグダッドに向かう道路には軍の検問所があるため、この街の人々はバグダッドの病院に行くのを怖がるようになった。