書籍『これはプロパガンダではない:現実との戦いにおける冒険』2020年

ロシア、プーチン、BRICKSロシア・ウクライナ戦争情報戦・認知戦・第5世代戦争・神経兵器・オムニウォー情報操作・社会工学

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This Is Not Propaganda: Adventures in the War Against Reality

ピーター・ポメランツェフ

日本語タイトル:『これはプロパガンダではない:現実との戦いにおける冒険』ピーター・ポメランツェフ 2019年

英語タイトル:『This Is Not Propaganda: Adventures in the War Against Reality』Peter Pomerantsev 2019年

目次

  • 序文:「電報!」/ Preface: ‘Telegram!’
  • 第一部:トロールの都市 / Part 1: Cities of Trolls
  • 第二部:海上の民主主義 / Part 2: Democracy at Sea
  • 第三部:史上最も驚異的な情報戦電撃戦 / Part 3: The Most Amazing Information Warfare Blitzkrieg in History
  • 第四部:ソフト・ファクツ / Part 4: Soft Facts
  • 第五部:ポップアップな人々 / Part 5: Pop-Up People
  • 第六部:未来はここから始まる / Part 6: The Future Starts Here

全体の要約

本書は、現代の情報戦争と真実の解体について、著者ピーター・ポメランツェフの個人的な体験と世界各地での調査を通じて探究した作品である。著者の両親は1970年代にソヴィエト連邦でKGBに逮捕され、検閲と戦った反体制派だった。彼らが夢見た「検閲が倒れる世界」は実現したかに見えたが、現在の「情報過多」の時代は新たな問題を生み出している。

第一部では、フィリピンのドゥテルテ政権下での情報操作と、マリア・レッサ率いるRapplerへの攻撃を描く。デジタル時代の操作は、従来の検閲とは異なり、情報の氾濫を通じて真実を埋没させる。ロシアのトロール工場の内部告発者リュドミラ・サフチュクの証言から、組織的な偽情報拡散の実態が明らかになる。

第二部では、セルビアのスルジャ・ポポヴィッチの非暴力革命理論が、権威主義者によって逆用される現象を分析する。かつて独裁者を倒すために開発された戦術が、今度は抗議運動を無力化するために使われている。メキシコでのボットとサイボーグによる抗議運動の分裂工作も詳しく描かれる。

第三部では、ウクライナでの情報戦争を中心に、「次世代戦争」の実態を探る。ロシアの情報作戦は、戦争と平和の境界を曖昧にし、永続的な混乱状態を作り出す。著者は前線で兵士たちと過ごし、情報戦争の概念自体が最も危険な武器かもしれないと考察する。

第四部では、事実の力が失われた「ポスト真実」時代の分析を行う。BBCの「公正性」概念の変化から、シリア・アレッポでの戦争犯罪の映像記録まで、事実が政治的影響力を失った現象を追跡する。ソーシャルメディアの設計が偏極化を促進し、事実よりも感情的な反応を重視するシステムを作り出している。

第五部では、アイデンティティの流動化とポピュリズムの戦略について論じる。イスラム過激派からの脱出を支援するラシャド・アリの活動から、ブレグジット・キャンペーンまで、現代政治が「人民」の創造をめぐる争いになっていることを示す。

第六部では、中国の監視システムから、著者の故郷チェルノフツィでの多文化的遺産まで、未来への可能性を探る。著者は最終的に、意味が不安定化した時代において、メディアとの関係を通じて自己を再構築し続けることの重要性を示唆する。

全編を通じて、著者は家族の歴史と現代の情報戦争を織り交ぜながら、冷戦時代の「真実対嘘」という単純な構図が崩壊し、より複雑な現実操作の時代に入ったことを論じている。

各章の要約

序文:「電報!」

Preface: ‘Telegram!’

著者の父イゴールが1977年にKGBに逮捕された経緯を描く。海辺で泳いでいた父は、上がってきたところを逮捕され、濡れた水着のまま尋問を受けた。罪状は「有害文学の配布」で、ソルジェニツィンやナボコフの検閲本を友人に渡したことだった。KGBの手口は巧妙な心理戦で、些細な屈辱を通じて精神を破壊しようとした。著者は1977年に生まれ、一家は1978年に西側に亡命した。40年後の現在、検閲は崩壊したものの、情報過多の時代は新たな操作と混乱をもたらしている。

第一部:トロールの都市

Part 1: Cities of Trolls

フィリピンのドゥテルテ政権下での情報操作を分析する。16歳のPは、感情的なFacebookグループを運営し、薬物犯罪への恐怖を煽ってドゥテルテ支持を拡大した。研究者ジョナサン・オンによる「偽情報アーキテクチャ」の分析では、上層の「建築家」から下層の「偽アカウント操作者」まで階層化された操作システムが明らかになった。マリア・レッサのRapplerは当初ドゥテルテを支持したが、彼の殺戮が始まると批判に転じ、組織的な攻撃を受けた。ロシアのトロール工場の内部告発者リュドミラ・サフチュクの証言から、偽情報拡散の組織的手法が詳細に描かれる。

第二部:海上の民主主義

Part 2: Democracy at Sea

セルビアの活動家スルジャ・ポポヴィッチの非暴力革命理論が、現在では権威主義者に逆用されている現象を探る。ミロシェヴィッチ打倒に成功したオトポル運動の戦術が、今度は民主化運動を無力化するために使われている。セルビアの現大統領ヴチッチは、複数のアイデンティティを巧妙に使い分け、反対勢力を分裂させている。メキシコでは活動家アルベルト・エスコルシアが、抗議運動の「毛細管現象」を分析し、ボットやサイボーグが運動を分裂させる手法を解明した。エストニアの2007年サイバー攻撃から、権威主義者による抗議運動のパロディ化まで、民主化の波が逆流している実態を描く。

第三部:史上最も驚異的な情報戦電撃戦

Part 3: The Most Amazing Information Warfare Blitzkrieg in History

ウクライナでの情報戦争を中心に、ロシアの「次世代戦争」を分析する。2014年のマイダン革命でテチャーナが直面したジャーナリズムと活動家の境界問題から始まり、ロシアの情報作戦がいかに戦争と平和の境界を曖昧にするかを示す。東ウクライナでのババルやアンドレイの体験を通じて、情報戦争が地域住民に与える影響を描く。前線での従軍体験では、軍事作戦自体が情報効果のための手段と化している現実を明らかにする。著者は最終的に、情報戦争の概念自体が最も危険な武器かもしれないと結論づける。情報が行動の記録ではなく、行動の目的となった時代の到来を警告している。

第四部:ソフト・ファクツ

Part 4: Soft Facts

「ポスト真実」時代における事実の力の喪失を分析する。BBCの「公正性」概念の変化から、ソーシャルメディアが偏極化を促進するメカニズムまで、客観性への攻撃を追跡する。シリア・アレッポでの体験では、ハレド・カティブやマリー・アナ・マグラッソンの証言を通じて、大量の証拠があっても国際社会が行動しない現実を描く。冷戦時代は事実が進歩の証明として必要だったが、未来への信念が失われた現在、事実は政治的意味を失った。ウラジーミル・プーチンやドナルド・トランプのような指導者は、事実への無関心を誇示することで支持を集めている。

第五部:ポップアップな人々

Part 5: Pop-Up People

流動化するアイデンティティと現代政治の関係を探る。元ヒズブ・タハリール活動家ラシャド・アリの脱出体験から、イスラム過激派の勧誘手法と脱出支援の実態を描く。戦略対話研究所での「他者化」対策活動を通じて、極端主義の本質を分析する。メキシコのスピンドクターの証言から、現代政治が「人民」の創造をめぐる戦略ゲームになっていることを示す。トーマス・ボーウィックによるブレグジット・キャンペーンの分析では、マイクロターゲティングによる有権者操作の手法が明らかになる。シャンタル・ムフの「戦略としてのポピュリズム」理論から、グレブ・パヴロフスキーのロシアでの実践まで、アイデンティティの人工的構築が政治の中心課題となっている。

第六部:未来はここから始まる

Part 6: The Future Starts Here

中国の監視システムと情報統制から、著者の故郷チェルノフツィでの多文化的遺産の発見まで、未来への可能性を模索する。ケンブリッジ・アナリティカの創設者ナイジェル・オークスの証言から、大衆説得の「究極兵器」開発の歴史を追う。中国では「2049年」というスローガンのもと、全面的現代化が進められているが、その内容は曖昧だ。研究者アンジェラ・ウーの分析では、中国のインターネット利用者が「壁を飛び越える」プロセスを通じて、絶えず自己のアイデンティティを再構築していることが明らかになる。最終的に著者は、意味が不安定化した時代において、メディアとの関係を通じて自己を再定義し続けることの重要性を、父イゴールの『フォークナーを読む』という小説を引用しながら示唆する。

目次

  • タイトルページ
  • 序文:「テレグラム!」
  • 第1部:トロールの都市
  • 第2部 :海上の民主主義
  • 第3部 :史上最も驚くべき情報戦電撃戦
  • 第4部 :ソフトな事実
  • 第5部 :ポップアップする人々
  • 第6部:未来はここから始まる
  • 謝辞
  • 著者について
  • 著者の他の著作
  • 著作権


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