
The Population Bomb
The Population Bomb Paul R. Ehrlich 1978
目次
- 序文 – Prologue
- 第1章 問題 – The Problem
- 第2章 道の終わり – The Ends of the Road
- 第3章 何が行われているか – What Is Being Done
- 第4章 何をする必要があるか – What Needs to Be Done?
- 第5章 あなたに何ができるか – What Can You Do?
- 第6章 私が間違っていたら – What If I’m Wrong?
- 1978年更新 – Update 1978
全体の要約
本書は1968年に初版が出版され、1978年に更新された人口問題に関する警告の書である。著者エーリックは、世界人口の爆発的増加が地球の収容能力を超え、大規模な飢餓、疫病、戦争、環境破壊を引き起こすと予測している。
人口増加の深刻さは数字で明確に示される。人口倍増時間は歴史的に短縮し続けており、1968年当時で約35年となっていた。この成長率が続けば、900年後には地球表面の1平方ヤードあたり100人という密度に達すると計算される。著者は宇宙移住による解決策も非現実的として退ける。
世界は開発途上国(UDCs)と先進国(ODCs)に二分される。UDCsは人口増加率が高く、食糧不足に苦しんでいる。一方ODCsは低い増加率だが、世界の資源を不公平に消費している。特にアメリカは世界人口の15分の1未満でありながら、世界の原材料の3分の1を消費している。
食糧問題は既に深刻で、世界人口の半数以上が栄養不足状態にある。1965-66年には世界の食糧生産が人口増加に追いつかず、アメリカは小麦収穫量の4分の1をインドに送った。緑の革命(Green Revolution)も一時的な解決策に過ぎず、根本的解決にはならない。
環境破壊も重大な脅威である。DDTなどの農薬による生態系の単純化、大気汚染、水質汚濁、重金属汚染が進行している。これらは人口増加と消費拡大の直接的結果である。
著者は三つのシナリオを提示する。第一は気候変動による農業破綻と核戦争、第二は致命的な疫病の大流行、第三は国際協力による危機克服である。どのシナリオも人口制御なしには成功しないことを強調している。
現在の対策は不十分である。家族計画は人口制御ではなく、人々が望む子供数は人口安定に必要な数を大きく上回っている。アメリカ政府の取り組みも微々たるものである。
解決策として著者は、まずアメリカが国内で人口制御を実施し、世界の模範となることを提案する。税制改革、教育制度改革、中絶の合法化などの具体策を示している。国際的には「トリアージ」概念による援助配分を提案し、自立可能な国にのみ集中的支援を行うべきとする。
個人レベルでは、2人以下の子供しか持たない、政治家への手紙、行動グループの組織化、友人への啓発活動などを推奨している。
1978年の更新では、アメリカの出生率低下という希望的変化を報告している。しかし世界全体では問題は深刻化しており、特に開発途上国での人口増加は続いている。食糧、エネルギー、環境問題も悪化している。
著者は最終的に、人口制御と社会正義の実現は対立する選択肢ではなく、人類の生存に必要な補完的戦略であると結論づけている。
各章の要約
序文
人類を養うための戦いは既に終わっている。1970年代と1980年代に数億人が餓死するだろう。現在何らかの緊急計画を開始しても、世界の死亡率の大幅な増加を防ぐことはできない。人口制御は人間の数を意識的に調整することであり、個人の家族だけでなく社会全体のニーズに応えるものでなければならない。
第1章 問題
世界人口は急激に増加しており、倍増時間は35年まで短縮された。開発途上国は20-35年で人口が倍増し、食糧不足が深刻化している。一方、先進国も環境悪化と資源不足に直面している。人口増加の原因は進化的な繁殖衝動と文化的発展にある。医学の進歩により死亡率は下がったが、出生率は高いままで人口爆発が起きている。
第2章 道の終わり
人口増加が続けば、戦争、疫病、飢餓による死亡率上昇は避けられない。著者は三つのシナリオを提示する。第一は農業破綻と核戦争によるアメリカの破滅、第二はラッサ熱のような致命的疫病の世界的流行による10億人以上の死亡、第三は国際協力による人口制御と環境回復の成功である。いずれも人口制御の成否が鍵となる。
第3章 何が行われているか
現在の家族計画は人口制御ではない。人々が望む子供数は人口安定に必要な数を大きく上回っている。インドの家族計画は18年間で人口増加率が1.3%から2.6%に上昇するという失敗に終わった。緑の革命も長期的解決策ではない。海からの食糧増産や砂漠の農地化も非現実的である。環境保護の取り組みも不十分で、DDTなどの農薬汚染は深刻化している。
第4章 何をする必要があるか
アメリカが世界の模範となって人口制御を実施すべきである。税制改革により大家族を経済的に不利にし、中絶の合法化、性教育の義務化などを提案する。国際援助では「トリアージ」概念を採用し、自立可能な国にのみ支援を集中する。人口制御と同時に環境保護と資源管理を実行し、成長志向の経済システムから安定志向への転換が必要である。
第5章 あなたに何ができるか
個人ができることとして、まず2人以下の子供しか持たないことを提案する。ZPG(人口増加ゼロ)組織への参加、政治家や企業への手紙、行動グループの組織化、友人への啓発活動を推奨する。対象別の説得方法も詳細に示している。宗教的、政治的、職業的立場に応じた効果的な議論の仕方を具体的に説明している。
第6章 私が間違っていたら
科学者として間違いの可能性を認めつつ、パスカルの賭けに例えて安全な選択を提案する。人口制御努力が無駄になったとしても、人々はより良い生活を送れるようになる。現在世界人口の半数以上が苦境にあるという現実だけでも行動を起こすに十分な理由である。最悪の場合でも人類の生存可能性を高めることができる。
1978年更新
アメリカでは出生率が劇的に低下し、置き換え水準を下回った。これは女性解放運動や経済要因による。しかし人口増加は今後40-50年続き、2025年頃に2億5000万人でピークに達する。開発途上国では依然として高い出生率が続いており、中国の人口制御政策が注目される。食糧、エネルギー、環境問題は悪化している。ソフトエネルギー政策への転換が重要である。
