
日本語タイトル:『自然的経済秩序:自由な土地と自由な貨幣』シルビオ・ゲゼル 1918年
英語タイトル:『The Natural Economic Order: Free-Land and Free-Money』Silvio Gesell 1918年
「自然的経済秩序」日本語訳
https://es.slideshare.net/slideshow/ss-39452162/39452162
目次
第一部 分配 / DISTRIBUTION
- 導入 / Introduction
- 目的と方法 / Aim and Method
- 労働の完全収穫権 / The Right to the Whole Proceeds of Labour
- 土地地代による労働収穫の削減 / Reduction of the Proceeds of Labour Through Rent on Land
- 運送費の地代と賃金への影響 / Influence of Transport Costs on Rent and Wages
- 社会状況の地代と賃金への影響 / Influence of Social Conditions on Rent and Wages
- フリーランドのより正確な定義 / More Precise Definition of Freeland
- フリーランド第三級の地代と賃金への影響 / Influence of Freeland of the Third Class on Rent and Wages
- 技術進歩の地代と賃金への影響 / Influence of Technical Improvements on Rent and Wages
- 科学的発見の地代と賃金への影響 / Influence of Scientific Discoveries on Rent and Wages
- 地代と賃金への立法干渉 / Legislative Interference with Rent and Wages
- 保護関税、地代と賃金 / Protective-Duties, Rent and Wages
- 最高給与までの全賃金体系はフリーランド耕作者の労働収穫に基づく / The Entire Wage-Scale up to the Highest Salaries is Based on the Labour-Proceeds of Cultivators of Freeland
- 地代と賃金に対する資本利子の影響 / Influence of Capital-Interest on Rent and Wages
- これまでに達成された結果の要約 / Summary of Results Attained So Far
- 原材料と建設用地の地代、および一般賃金法則との関係 / Rent of Raw Materials and Building Sites, and its Relation to the General Law of Wages
- 賃金法則の最初の一般概要 / First General Outline of the Law of Wages
第二部 フリーランド / FREE-LAND
- フリーランドという言葉の意味 / The Meaning of the Word Free-Land
- フリーランド財政 / Free-Land Finance
- フリーランドの実践 / Free-Land in Practice
- 土地国有化の効果 / Effects of Nationalisation of the Land
- 土地国有化の論拠 / The Case for Nationalisation of the Land
- フリーランドにできないこと / What Free-Land Cannot Do
第三部 現在の貨幣 / MONEY AS IT IS
- 導入 / Introduction
- 貨幣の本質はどのように明らかになるか / How the Nature of Money is Revealed
- 貨幣材料に対する貨幣の不可欠性と公衆の無関心 / The Indispensability of Money and the Indifference of the Public to the Money-Material
- いわゆる「価値」 / So-called “Value”
- なぜ貨幣は紙で作ることができるか / Why Money Can Be Made of Paper
- 紙幣の安全性と保証 / The Safety and Covering of Paper-Money
- 貨幣の価格はどうあるべきか / What Should the Price of Money Be?
- 貨幣の価格を正確に測定する方法 / How the Price of Money Can Be Measured with Precision
- 紙幣の価格を決定するもの / What Determines the Price of Paper-Money?
- 需要と供給が受ける影響 / Influences to Which Demand and Supply are Subject
- 貨幣の供給(財の需要、すなわち需要) / The Supply of Money (The Demand for Wares or, simply, Demand)
- 現在の貨幣形態の流通法則 / The Laws of Circulation of the Present Form of Money
- 経済恐慌とそれを防ぐ必要条件 / Economic Crises and the Conditions Necessary to Prevent Them
- 紙幣発行の改革 / Reform of the Note-Issue
- 貨幣の品質の基準 / Criterion of the Quality of Money
- 粗い量理論が貨幣に適用される際に失敗する理由 / Why the Crude Quantity Theory Fails When Applied to Money
第四部 自由貨幣(あるべき姿の貨幣) / Free-Money, or Money as it Should Be
- 序論 / Introduction
- 第1章 自由貨幣 / Free-Money
- 第2章 国家による自由貨幣の流通開始 / How the State Puts Free-Money in Circulation
- 第3章 自由貨幣の管理 / How Free-Money is Managed
- 第4章 自由貨幣の流通法則 / The Laws of Circulation of Free-Money
- 第5章 自由貨幣への評価 / How Free-Money Will be Judged
- 第6章 国際為替 / International Trade
第五部 自由貨幣による利子理論 / The Free-Money Theory of Interest
- 第1章 ロビンソン・クルーソーの物語 / A Story of Robinson Crusoe
- 第2章 基本利子 / Basic Interest
- 第3章 基本利子の商品への転嫁 / Transfer of Basic Interest to the Wares
- 第4章 基本利子のいわゆる実物資本への転嫁 / Transfer of Basic Interest to So-called Real Capital
- 第5章 自由貨幣利子理論の完成 / Completion of the Free-Money Theory of Interest
- 第6章 資本利子説明の従来の試み / Former Attempts at Explaining Capital Interest
- 第7章 総利子の構成要素 / The Components of Gross Interest
- 第8章 純資本利子は固定値 / Pure Capital-Interest a Fixed Magnitude
全体の要約
基本理念と目的
ゲゼルは「自然的経済秩序」を、人間の本性に適応した経済制度として定義する。真の自然的経済秩序は自発的に生じるものではなく、意識的な意志による行為であり、人間が繁栄する経済秩序こそが最も自然的であると主張する。彼の目標は、すべての社会主義運動が掲げる不労所得(剰余価値、利子、地代)の廃止である。
しかし従来の社会主義が提案する生産手段の国有化・社会化とは異なり、ゲゼルはフリーランド(自由な土地)とフリーマネー(自由な貨幣)という二つの根本的改革により、土地私有制と不合理な貨幣制度という人為的障害を除去することで、労働者が自らの労働によって資本の支配を短期間で終わらせることができると論じる。
フリーランド改革:土地の完全国有化
理論的基礎
ゲゼルは賃金決定の仕組みを詳細に分析し、フリーランドでの労働収益が地代と賃金を決定することを証明する。農業労働者は自由土地での労働収益と同等の賃金を要求でき、この基準が最高給与職まで含む全賃金構造を決定する。地代は粗放的耕作と集約的耕作の労働生産性の差から生まれ、技術進歩や科学的発見の利益は最終的に地主に集中される。
実施方法
国家は農地、森林、建設用地、鉱山などの土地私有財産をすべて購入し、現在の地主には従来産出していた地代を抵当利子率で資本化した金額を利付き国債で完全補償する。国有化後、土地は1年、5年、10年または終身の契約で最高入札者に公開競売で貸与される。地代収入は幼い子供の数に応じて母親に月割りで平等に分配される。
効果
土地国有化により私人が地代から利益を得ることは不可能となり、政党政治は消失し、農業と工業の政治的対立も終わる。国境を越えた自由な移住と定住により民族間の理解が深まり、世界平和が実現する。
フリーマネー改革:貨幣の根本的変革
現在の貨幣制度の問題
現在の金属貨幣制度では、商品は腐敗・損傷により生産者に売却を強制するが、金は破壊不可能で変質せず、所有者に売却を強制しない。この強制と自由の非対称性が価格決定における不平等を生み、経済恐慌と高利子の根本原因となる。
自由貨幣の仕組み
自由貨幣は商品と同様に年5%の減価を持つ。新聞のように期限切れになり、ジャガイモのように腐り、鉄のように錆び、エーテルのように蒸発する貨幣だけが、これらの商品の交換手段として機能できる。保有者は価値損失を避けるため貨幣を他者に渡そうと努力し、需要はもはや貨幣保有者の意志に依存せず物質的な力となる。
管理方法
国家通貨庁が物価水準を観察し、上昇傾向があれば流通量を縮小し、下降傾向があれば拡大する。流通量を増やすには新貨幣を公的財庫に支払い、減らすには自動的な年5%の減価に任せる。必要な設備は印刷機とストーブのみである。
利子理論:基本利子の消滅
ゲゼルは利子を基本利子(貨幣の特権から生じる3-4%)、危険料、物価上昇プレミアムに分解する。伝統的貨幣は無期限に市場から引き上げ可能だが、商品生産者は継続的損失により貨幣需要を創出せざるを得ない。この非対称性から基本利子が生じる。
ロビンソン・クルーソーの例で、商品の自然な劣化(虫害、錆、腐敗)から解放されることで無利子貸与が成立することを示し、利子の原因が貨幣の不変性にあることを証明する。2000年間にわたり利子水準が3-6%で一定であることは、利子が生産手段の効率性とは無関係で、貨幣制度の構造的問題によることの歴史的証拠である。
国際貿易と実現可能性
外国貿易は金なしでも手形を通じた決済で可能である。国際ヴァルータ協会(IVA)による加盟国の統一通貨政策で物価安定化を図り、特別な国際紙幣で貿易不均衡を調整することを提案する。
結論:経済制度の根本的転換
フリーランドとフリーマネーの二重改革により、特権を排除し自由競争の下で労働者が労働の完全収穫権を実現できる。不労所得は消滅し、労働収益は倍増または三倍増するが、平等化は起こらず、競争の法則により最も効率的な労働者が最高の収益を得る自然的経済秩序が確立される。この改革は生産手段の国有化を必要とせず、市場メカニズムを活用して社会主義の経済目標を達成する革新的な提案である。
各章の要約
導入
Introduction
本書は、現在の経済秩序の自然性を人間の本性への適応という観点から論じる。真の自然的経済秩序とは自発的に生じるものではなく、意識的に意志された行為である。人間が繁栄する経済秩序こそが最も自然的であり、技術的効率性は二次的重要性しか持たない。自然法則のもとでの選択には競争が必要であり、特権のない自由競争のみが真の進歩と人間の発達を可能にする。
第一部 分配 – 導入
DISTRIBUTION – Introduction
すべての社会主義運動の経済的目標は、不労所得(剰余価値、利子、地代)の廃止である。一般的にはその手段として生産の国有化・社会化が提案される。しかし著者は、プルードンの研究に従い、資本の本質を再検討することで別の解決策があることを示す。資本を物質的商品ではなく市場状況として捉え、土地の私有制と不合理な貨幣制度という人為的障害を除去することで、現在の経済秩序の根本的に健全な原理を完全に実現できると論じる。
第1章 目的と方法
Aim and Method
本章では、不労所得の廃止という社会主義の経済目標を、生産手段の国有化ではなく、土地私有制と不合理な貨幣制度の改革によって達成できることを論証する。マルクスの資本理論が誤った前提に基づいていることを示し、プルードンの正しい洞察に基づいて、資本を物質的商品ではなく市場条件として理解すべきことを主張する。フリーランドとフリーマネーの二つの根本的改革により、特権を排除し、自由競争のもとで労働者が自らの労働によって資本の支配を短期間で終わらせることができると説明する。
第2章 労働の完全収穫権
The Right to the Whole Proceeds of Labour
労働者とは労働の成果で生活するすべての人を指し、農民、雇用者、職人、賃金労働者、芸術家、聖職者、兵士、役人、王も含まれる。労働の生産物、収穫、収益を区別し、個人的な完全収穫権は実現不可能だが、集合的な完全収穫権、すなわち労働収益が労働者間でのみ分配され、資本家に利子や地代として渡されないことは可能である。この権利の実現により、個々の労働収益は倍増または三倍増するが、平等化は起こらず、競争の法則により最も効率的な労働者が最高の収益を得る。
第3章 土地地代による労働収穫の削減
Reduction of the Proceeds of Labour Through Rent on Land
地主は土地を耕作するか休閑させるかを選択でき、土地所有は耕作と独立している。土地は休閑によって改良されることさえある。したがって地主は、補償なしに他人に土地利用を許可する動機を持たない。地代は借地の不可避的条件である。地代の額は、最良の土地と最悪の利用可能な土地との差異によって決定される。もし全地表が必要で、自由な土地が得られず、集約的耕作が増産をもたらさないなら、農奴制時代のような「鉄の賃金法則」が成立するが、現実にはそのような条件は存在しない。
第4章 運送費の地代と賃金への影響
Influence of Transport Costs on Rent and Wages
自由土地(フリーランド)での労働収益が地代と賃金を決定する。農業労働者は自由土地での労働収益と同等の賃金を要求でき、小作農も同様である。自由土地での労働収益の変動は賃金と地代に転移される。運送費は労働収益に大きく影響し、1873年から1884年にかけてシカゴ・リバプール間の穀物運賃が17ドルから6ドルに低下したことで、自由土地定住者の労働収益が向上し、ドイツの農業賃金上昇と地代低下をもたらした。運送費の節約分は定住者と産業労働者で分担され、最終的に地主の地代を減少させる。
第5章 社会状況の地代と賃金への影響
Influence of Social Conditions on Rent and Wages
労働の物質的収益以外の要因も移住決定に影響する。国民的・社会的生活の魅力が移住を抑制すれば、地主はその分だけ地代を引き上げることができる。禁酒法や母性保護制度など、労働者の生活を向上させる政策はすべて最終的に地代の形で地主に吸収される。地代は詩、科学、芸術、宗教を資本化し、ケルン大聖堂からゲーテ・シラーまで、あらゆるものに課税する。労働者は常に「金地点」にあり、故郷への愛着が強いほど地主が要求する代償は高くなる。
第6章 フリーランドのより正確な定義
More Precise Definition of Freeland
第一級フリーランドは北南米の未開拓地で、ヨーロッパ人に適した気候を持ち、移民は到着後すぐに土地を選択できる。第二級フリーランドは私有地だが名目的な地代で借用・購入可能な土地。第三級フリーランドは最も重要で、どこでも利用可能な身近なフリーランドである。例えばベルリンでは建築規則により4階建てまでしか許可されないが、アメリカ式に40階建てが可能なら、現在の建築面積の1/10で足り、残りは余剰となる。科学的発見により新たな土地利用が可能になることで、フリーランドは日々創造されている。
第7章 フリーランド第三級の地代と賃金への影響
Influence of Freeland of the Third Class on Rent and Wages
粗放的耕作では12人が100エーカーを耕作して600トンを収穫(一人当たり50トン)、集約的耕作では50人が同面積で2000トンを収穫(一人当たり40トン)する。面積当たりでは集約的耕作が有利だが、労働当たりでは粗放的耕作が有利である。地代は粗放的耕作と集約的耕作の労働生産性の差から生まれる。この例では120トンが地代となる。農業は労働節約のため粗放的耕作を、土地節約のため集約的耕作を志向し、この緊張関係から地代が発生する。第三級フリーランドは賃金と地代を均衡させ、恣意的な賃金設定を不可能にする機能を持つ。
第8章 技術進歩の地代と賃金への影響
Influence of Technical Improvements on Rent and Wages
技術改良が粗放的耕作と集約的耕作に等しく利益をもたらすなら、賃金と地代は等しく上昇し、分配比率は変わらない。しかし技術改良は両方の耕作様式に等しく利益をもたらすことは稀である。モーター鋤のような大型機械は粗放的耕作にのみ有用で、集約的耕作では無用である。第一級・第二級フリーランドでの技術進歩は労働収益を向上させるが、産業労働者との交換比率の変化により利益は半減する。国内での粗放的耕作に利益をもたらす技術進歩は、集約的耕作に利益をもたらさない場合、地代により多くの利益をもたらす。
第9章 科学的発見の地代と賃金への影響
Influence of Scientific Discoveries on Rent and Wages
科学的発見は機械以上に強力な要因として、近年ドイツの土地収量を3倍にした。カリ塩、塩基性スラグ、窒素固定植物の肥料利用、人工窒素肥料の製造、植物・動物の伝染病予防・治療などが含まれる。これらの発見は土壌を等しく肥沃化したわけではなく、以前は不毛とされた泥炭地、湿地、砂地に最大の利益をもたらした。これらの土地では収量が3倍以上になり、新しい土壌の創造を意味した。自然に肥沃な土地は既に豊かな収量を持つため3倍にはならず、第一級・第二級フリーランドへの影響はさらに小さい。
第10章 地代と賃金への立法干渉
Legislative Interference with Rent and Wages
立法が地代受益者と労働者の間の労働生産物分配に与える影響は多面的で広範囲に及ぶ。政治の大部分は賃金と地代への攻撃と防御措置から成るとしばしば言われる。土地税の影響を調査するには、税収の使途が決定的に重要である。土地税が地主の利益のために使用されるなら、それは資本投資として扱われ、地主は利子まで含めて回収を期待する。しかし税収が借地人や労働者の利益(教育費軽減など)に使われ、かつフリーランド農民も同様の利益を受けるなら、地主は税負担を転嫁できず、税は地代を二重に打撃する。
第11章 保護関税、地代と賃金
Protective-Duties, Rent and Wages
保護関税は一般に考えられているような税金とは根本的に異なる。小麦関税では、国家が徴収する100万に対して、地主は消費者から1000万をパン価格上昇の形で徴収する。関税は地主の地代を保護・拡大し、抵当権に安全性を与えることが目的である。関税は第一級・第二級フリーランド農民の労働収益を減少させ、これが保護国の賃金決定の基準となるため、関税の全負担は最初は地主への無償贈与となる。しかし関税は反作用を引き起こし、産業の海外移転を促進し、最終的に賃金上昇により地主の利益は吸収される。第三級フリーランド農民は関税保護を受けるため、その労働収益増加は賃金上昇圧力となり、関税効果を相殺する。
第12章 最高給与までの全賃金体系はフリーランド耕作者の労働収穫に基づく
The Entire Wage-Scale up to the Highest Salaries is Based on the Labour-Proceeds of Cultivators of Freeland
地主が土地から1000ドルの地代を絞り取れるなら、自ら農業を営む場合でもそれ以下では満足しない。日雇い労働者は小作農や定住者の労働収益を上回ることはなく、逆に下回ることもない。産業労働者の賃金も明らかにこの一般賃金率に支配される。フリーランドでの労働収益は農業労働者の賃金交渉、小作農の地代交渉における唯一の支えであり、同時に賃金の最高限と最低限を決定する。既存の労働収益の大きな個人差は、労働者階級内での競争法則により自動的に調整される。より困難で不快な仕事ほど高い賃金となり、この基準に基づいて最高給与職まで含む全賃金構造が構築される。
第13章 地代と賃金に対する資本利子の影響
Influence of Capital-Interest on Rent and Wages
フリーランド定住者も借地農民も、必要な資本に対して同じ利子率を支払うなら、利子率は地代に影響しないと考えられるが、これは誤りである。労働と生産手段により新しい土地を創造できるが、利子率が低いほど荒地開拓が容易になる。利子率の低下は耕作面積を拡大し、より集約的な土地利用を可能にする。利子率が1%に下がれば、砂漠の灌漑、湿地の排水、ヒースへの温室設置なども採算が合うようになる。運送手段への投資利子も運賃の重要な構成要素であり、利子率低下は運賃を半減させ、フリーランドを経済的に50%近づける。利子と地代の密接な同盟関係により、高利子率は資本家の理想であると同時に地主の防波堤でもある。
第14章 これまでに達成された結果の要約
Summary of Results Attained So Far
平均的労働者の賃金はフリーランドの平均的耕作者の労働収益と等しく、完全にそれによって決定される。したがって「鉄の賃金法則」は幻想である。全賃金体系はフリーランド耕作者の労働収益を基礎とする。土地地代は、賃金と資本利子を差し引いた土地生産物の残余であり、これもフリーランド農民の労働収益によって決定される。利子は地代の密接な同盟者である。技術進歩が常に地代に利益をもたらすとは断言できず、逆に進歩と一般的繁栄が両立することも多い。土地税の負担転嫁の可否は、税収の使途によって決まる。土地価格は、品質・農業価格の上昇、賃金率・利子率の低下によって上昇する。
第15章 原材料と建設用地の地代、および一般賃金法則との関係
Rent of Raw Materials and Building Sites, and its Relation to the General Law of Wages
すべての商品について、品質が同じなら価格も同じであり、生産費の違いは問われない。原材料の所有者は、最も遠い無料の採石場までの距離と運送費を計算して価格を決定する。最も貧しい、最も遠い、したがって往々にして所有者のない原材料供給源の製品が、運賃と賃金を加えた価格が、より恵まれた供給源の類似材料の価格基準を形成する。都市の地価も同じ原理で決定される。1901年のベルリンの土地価値は2911百万マルクと評価され、4%の利子で年間1億1600万マルクの地代に相当した。都市地代は相互扶助、組織、教育の全利益を地主が獲得し、都市の産業・商業従事者の収益を孤立した地方の生産者レベルに引き下げる。
第16章 賃金法則の最初の一般概要
First General Outline of the Law of Wages
地代と資本利子を差し引いた残余が、全労働者(日雇い労働者、聖職者、商人、医師、使用人、王、職人、芸術家)で分け合う賃金基金を形成する。職業選択が自由なとき、分配は各人の個人的能力により需要供給によって決定される。相対的賃金額は個人に依存するが、絶対的賃金額は賃金基金の大きさによって決定される。賃金基金を拡大するには寄生虫から保護し、労働生産物全体から地代と利子の控除なしに、最後のパン屑まで賃金基金に投入し、創造者間で分配することが必要である。これはフリーランドとフリーマネーの二つの改革によって達成可能である。
第二部 フリーランド –
第1章 フリーランドという言葉の意味
The Meaning of the Word Free-Land
人間間の競争が公正に、その高い目的に従って行われるには、土地に対するすべての特別な私的・公的権利を廃止しなければならない。すべての人は人種、宗教、文化、身体的構成に関係なく地球への平等な権利を持つ。フリーランドの理念は限定を認めず絶対的である。地球に関して国家の権利、主権の特権、国家の自決権は存在しない。地球への主権は人間にあり、国家にはない。土地は公開競売により耕作者に貸与され、その地代は公共財政に入り、幼い子供の数に応じて母親に月割りで平等に分配される。現在の地主には政府証券の形で完全な補償が支払われる。
第2章 フリーランド財政
Free-Land Finance
国家は農地、森林、建設用地、鉱山、砂利採取場、水力発電などの土地私有財産をすべて購入し、地主に補償を支払う。購入価格は各土地が従来産出したか産出可能であった地代に基づき、抵当利子率で資本化された金額を利付き国債で支払う。国家はこの巨額の利子を土地地代で支払うことができる。なぜなら債務は単に地代を資本化したものであり、収入と支出が等しいからである。貨幣改革と同時実施により市場利子率が低下すれば、国有化証券の利子率も自動的に減少し、20年以内に全債務が完済される。この制度により国有化に伴うリスクは実質的に存在しない。
第3章 フリーランドの実践
Free-Land in Practice
土地国有化後、農業、住宅、工業の必要に応じて土地を分割し、1年、5年、10年または終身の契約で最高入札者に公開競売で貸与する。借地人には、契約基礎となった経済要因の安定性について一定の保証が与えられる。賃貸農業の実行可能性は経験により実証されている。土壌枯渇に対する懸念は、終身借地権、適切な契約条項、人工肥料の発見により解決可能である。土地国有化により、農業は政治との結びつきを失い、国会は科学的会議となり、各専門問題の専門家が選出される。経済的独立により、すべての人が頭を上げ、女性は経済的考慮に圧迫されることなく配偶者選択の自由を回復する。
第4章 土地国有化の効果
Effects of Nationalisation of the Land
土地国有化の効果は法律による収用が宣言された日に現れる。議会代表者たちは突然互いを認識できなくなり、新しく高い目標を持って故郷に戻る。私人が地代から利益を得ることはもはや不可能となり、議会は地代の上下をめぐる証券取引所ではなくなる。土地地代が安全になれば万事良好である。地主政治は解放された土地の太陽の下で雪のように溶け去り、私的利益に触発されない政治は政治ではなく応用科学となる。土地国有化により政党政治は消失し、農業と工業の政治的対立も終わり、すべての土地が等しい条件で万人の処分に委ねられる。国境を越えた自由な移住と定住により、民族間の理解が深まり、世界平和が実現する。
第5章 土地国有化の論拠
The Case for Nationalisation of the Land
正常な人間は全地球を自分のものと主張する。地球の分割は不可能であり、全員が全体を必要とする。相続による分割は交換の障害となり、移転税により土地所有者は生涯の間に5回移住すれば全財産を税金で失う。国家間の地球分割は征服欲を生み、軍事力により統一を図る試みは必然的に失敗する。分割は戦争をもたらし、戦争は分離をもたらす。人類は地球の破片ではなく全体を必要とする。フリーランド改革により、国境内のすべての土地が各住民に開放され、彼の財産となる。土地登記簿に記載された署名は偽造か、武力により強要されたか、酩酊状態で署名されたものである。現在の土地所有の起源は略奪、強盗、殺人、大逆罪、遺産狩りにある。
第6章 フリーランドにできないこと
What Free-Land Cannot Do
土地国有化の重要性は誇張してはならない。ヘンリー・ジョージは利子、経済恐慌、失業がフリーランドにより解消されると考えたが、これらは分配ではなく交換・商業の問題である。利子も分配に影響するが本質的には交換の問題である。失業、経済恐慌、資本利子の諸問題は交換条件の検討なしには解答できない。ヘンリー・ジョージはこの検討を行わず、ドイツの土地改革者も同様である。彼らの資本利子理論は粗雑な「結実理論」で、恐慌理論(富者の消費と所得の不均衡)も表面的である。土地改革運動の弱点は、経済制度の最も深刻な欠陥についての理論的説明と実践的救済策を提供できないことにある。
第三部 現在の貨幣
導入
Introduction
現在の金属貨幣は古代の製品交換に使用された貨幣と本質的に同一である。アテネ、ローマ、カルタゴの遺跡から出土した金貨は現代のヨーロッパやアメリカの貨幣と自由に流通する。我々の貨幣の知識はその古さに比例していない。リュクルゴスは貴金属製貨幣が国民を富者と貧者に分裂させることで国家を破綻させることを認識したが、今日でも我々は貨幣の認識された害悪をリュクルゴスと同程度にしか理解していない。貨幣理論への調査が不足する理由は、主題自体が調査者を拒むこと、不幸な研究方法、価値論との結びつき、出版の困難、大学教授による論争的基礎の除外、実業における理論調査能力の欠如にある。
第1章 貨幣の本質はどのように明らかになるか
How the Nature of Money is Revealed
硬貨の銘刻は貨幣の本質について乏しい情報しか提供しない。旧プロイセンターラー銀貨の銘刻「XXXターラーは1ポンドの純銀」は、ターラーを単に銀の重量単位として示すが、銀の貨幣化廃止により、ターラーと銀は別個の概念であることが判明した。ターラーは国家により製造された製品であり、銀はその任意に選ばれた原材料に過ぎない。金の自由鋳造権も立法の産物であり、いつでも撤回可能である。したがって貨幣とその材料を明確に区別しなければならず、その間には今日結合しているが明日は分離するかもしれない法律が存在する。
第2章 貨幣材料に対する貨幣の不可欠性と公衆の無関心
The Indispensability of Money and the Indifference of the Public to the Money-Material
分業により我々は消費以上に生産し、即座の必要から解放されて生産手段の完成・増殖に時間を費やせる。分業なしには現在の生産手段の蓄積は不可能で、これらなしには労働は現在の百分の一の生産性も持たなかった。分業の産物は生産者にとって交換手段としてのみ有用な商品(ware)である。商品は絶対的に売却を強制され、販売の妨害があれば仕事は直ちに中断される。しかし商品の売買は貨幣の媒介により行われ、貨幣の介入なしには商品は消費者に到達できない。物々交換は可能だが極めて煩雑で、生産者は通常それより仕事停止を選ぶ。貨幣は分業の必要不可欠な条件であり、すべての商品所有者は貨幣に対する強制的需要を創造する。
第3章 いわゆる「価値」
So-called “Value”
価値理論の支持者たちは「価値」という用語を明確な定義なしに使用するが、ゴットルが証明したように「価値」は幻覚、想像の産物である。マルクスは価値を「幻影」と呼びながら3巻の大著でこの幻影を呼び起こそうとした。商品から物質的性質をすべて抽象すると価値という性質だけが残るとマルクスは言うが、物質から完全に分離された抽象は人間の理解を逃れる。実業界では「価値」は未知で、価格のみが存在し、需要供給により決定される。価値理論に基づく科学は完全に不毛で、実践的経済生活に何の指針も与えない。労働者階級のみがこの幻影を信じ、実践的事項で価値理論に導かれている。
第4章 なぜ貨幣は紙で作ることができるか
Why Money Can Be Made of Paper
紙幣は不可能とされるが、実際には世界の巨大な製品交換は金に部分的にしか裏付けられない紙幣または銀行券でほぼ独占的に行われている。世界中を旅行して紙幣以外は使わないことができる。銀行券は金への転換約束により流通するとされるが、流通銀行券の3分の2は金で裏付けられておらず、他の原因により存在し性質を持つ。貨幣は分業にとって絶対必要で、分業は商品を創造し、商品交換には交換媒体が不可欠である。交換媒体は国家貨幣としてのみ可能で、国家が紙幣以外の貨幣を作らなければ、商品所有者は紙幣を受け入れるか分業を放棄するかの選択を迫られる。飢え、渇き、寒さが人々に紙幣の受諾を強制し、これにより紙は紙幣に変貌する。
第5章 紙幣の安全性と保証
The Safety and Covering of Paper-Money
金属貨幣は国家権力の濫用から金属内容により保護されないことは、銀の貨幣廃止の歴史により証明される。グレシャムの法則により、国家が望めば金は他の貨幣形態により国外に駆逐される。金の内容が提供する保証は、流通硬貨にのみ適用され、抵当権、政府証券など契約全体の千倍以上の量には適用されない。紙幣の法的地位はより強固である。国家は紙幣所有者に補償することなしに紙幣から貨幣特権を奪うことはできない。紙幣は国民を国家に結合するすべての利益と理想により保証され、国家とともに滅びるのみである。貨幣の経済的保証は分業にある。分業が存在する限り商品の絶え間ない流れが生まれ、交換媒体への絶え間ない需要が生じる。
第6章 貨幣の価格はどうあるべきか
What Should the Price of Money Be?
貨幣の価格変動は売買間の時間差により人々に異なる影響を与え、特に債権者と債務者にとって重要である。債務者の資産は通常商品、機械、土地、家畜から成るが、債務は常に一定の貨幣額である。商品と貨幣の交換比率が変化すれば、債務者の資産と債務の比率も同比例で変化する。小麦価格が関税により上昇すれば農民は収穫の4分の1で税金、保険、利子を支払えるが、関税撤廃により価格下落すれば3分の1を犠牲にしなければならない。ドイツの債務者はドイツの債権者に3000-4000億マルクを負い、1%の価格下落は50億の戦争賠償金以上の負担を債務者に課す。私的利益は貨幣管理において考慮されてはならず、貨幣は時と場所に関係なく常に同じ価格を獲得すべきである。
第7章 貨幣の価格を正確に測定する方法
How the Price of Money Can Measured with Precision
貨幣価格が一定に保たれるには、実際に一定に保たれたことの証明が必要である。貨幣価格は商品でのみ表現でき、変化したかを知るには商品の平均価格を決定し以前の時期と比較する必要がある。統計学者はジェボンズ、ザウアーベック、ゼートベーアなどの「指数数値」を提案したが、数百万の商品価格を正確に把握し相対的重要度により分類することの困難により、主要商品の限定された数を選択している。しかし完全な精度は得られない。より良い方法は、すべての生産者に生産量と価格の報告を義務付ける法律の制定である。これにより国家は価格を決定せず重要度も評価せず、人民自身が作業を行い、貨幣価格が公正に政治外で確定される。
第8章 紙幣の価格を決定するもの
What Determines the Price of Paper-Money?
紙幣は労働を要さずに価格を持つが「価値」を持たない。価格決定の力は需要供給に要約される。貨幣に対する需要は、交換媒体を必要とする場所、すなわち分業が商品を市場に投げ、交換のために交換媒体を必要とする場所に存在する。貨幣を求めるのは市場に産品を持参する農民、商品を売る商人、労働を提供する職人である。商品供給が最大の場所で交換媒体需要も最大となる。需要と欲求を明確に区別しなければならない。貨幣への欲求は人間から生じるが、需要は商品、売却待ちの商品から生じる。需要は物質的であり、分業により市場に絶えず流れる商品の流れである。商品は交換媒体への需要の体現された形態であり、すべての商品は例外なく貨幣への需要を表している。
第9章 需要と供給が受ける影響
Influences to Which Demand and Supply are Subject
商品は市場向けに生産され、生産者には交換手段としてのみ有用である。供給は商品在庫と同一であり、商品なしには供給行為は実行できず、商品があれば実行されなければならない。商品は生産者に供給を命じ、反抗を許さない。貨幣需要(商品供給)は分業により市場に流入する商品流と市場から流出する消費財流に依存する。商品流入は人口増加、分業拡大、生産手段改良、労働者効率向上により増加する。商品流出速度は商業組織の効率に依存し、改良により加速される。信用取引は商品交換から貨幣を回避し、信用の拡大収縮により貨幣需要は変動する。日々の貨幣需要は市場への商品流入から信用による交換商品を差し引いた量に等しい。
第10章 貨幣の供給(財の需要、すなわち需要)
The Supply of Money (The Demand for Wares or, simply, Demand)
貨幣は最も特徴的な商品で、売るためだけに買われる。すべての商品は貨幣に対する体現された需要を表し、貨幣は商品に対する需要を表す。貨幣在庫の増加は商品需要の増加を意味する。貨幣を持たない者は商品需要を創造できない。商品需要は主として貨幣在庫に依存するが、常に一致するわけではない。貨幣は商品であり、所有者にその交換を遅かれ早かれ強制する。貨幣は循環運動を行い、所有者の手を離れるときにのみ有用となる。商業組織の改善により貨幣流通速度が向上すると、同じ硬貨がより早く出発点に戻って再び仕事を始める。需要は貨幣在庫の量と流通速度により決定され、両者の増加に正確に比例して増加する。
第11章 現在の貨幣形態の流通法則
The Laws of Circulation of the Present Form of Money
現在の伝統的貨幣の性質により、需要(貨幣の申出)は日、週、月、年単位で遅延可能だが、供給(商品の申出)は一日たりとも延期できない。シュパンダウの1億8000万マルクの金は40年間一度も市場に現れていないが、スイス連邦の「小麦」は年10%の物質的損失を被る。商品は錆、湿気、腐敗、害虫などと絶えず戦い、時代遅れにもなる。商品所有者は性質により売却を強制され、遅延すれば商品自体により処罰される。新聞売りは数時間で商品が売れなくなるため叫んで走る。対照的に金は破壊不可能で変質せず、所有者に売却を強制しない。金の所有者は需要を犬のように手綱で繋ぎ、選択した獲物に向けて放つ。商品は強制下にあり、貨幣は自由であり、この強制と自由が共に価格を決定する。
第12章 経済恐慌とそれを防ぐ必要条件
Economic Crises and the Conditions Necessary to Prevent Them
経済恐慌は価格下落のときのみ発生可能である。価格下落の原因は三つある:金の生産条件が貨幣供給を商品供給に適応させない、実物資本生産増加により利子率が低下し新資本形成に貨幣が提供されない、繁栄により貨幣が宝飾品に転用される。これらの原因はそれぞれ単独で恐慌を引き起こすに十分で、一つが機能しなくなると他が代替する。金の発見が継続的に大量であっても(年5%以上の価格上昇)、実物資本への利子低下による貨幣流通阻害も価格上昇により強制的に流通される。しかしそのような価格上昇は通貨基準の崩壊を構成する。恐慌防止の条件は、いかなる状況下でも価格が下落してはならないことである。これは金からの貨幣分離と市場需要に応じた貨幣生産、あらゆる状況で商品と交換される物質的強制を持つ紙幣により達成できる。
第13章 紙幣発行の改革
Reform of the Note-Issue
3000年以上にわたり文明が経済恐慌により繰り返し下降を強制されなければ、資本主義はとうに過去のものとなっていただろう。フリューアシャイムの提案は、物価水準により貨幣発行量を調整するものだが、貨幣の交換媒体と貯蓄媒体としての使用を区別しない根本的欠陥を持つ。利子率低下により貯蓄者が貯蓄銀行への預金をやめ、自宅保管を始めると、国家は印刷機で新貨幣を発行してこれを補わなければならない。利子率が1%に低下すると、国民の貯蓄全体が貯蓄箱に流れ込み、国家は年間数千億を発行する必要がある。この膨大な需要が何らかの理由で市場に現れれば、対応する商品供給は存在せず、価格は急騰する。国家は抵当証書や約束手形しか保有せず、現金回収は不可能である。
第14章 貨幣の品質の基準
Criterion of the Quality of Money
金本位制支持者は過去数十年の経済発展を金本位制の成果とするが、貨幣制度が商品交換を促進したなら、交換の安全性、速度、廉価が向上し、商業従事者数の減少となるはずである。しかし実際には逆の発展が観察される。シュモラーによれば、仲介業活動は労働者の3-5%から13-15%、時には31%まで増加した。ドイツ統計では1882年から1907年にかけて総労働者数は95%増加したが、商業従事者は146%増加した。これは金が交換媒体として採用されて以来、商業がより困難になったことの明確な証拠である。商業組織や教育の改善にもかかわらず、商業従事者の割合が増加したことは、金本位制の利点という主張に対する証拠となる。
第15章 粗い量理論が貨幣に適用される際に失敗する理由
Why the Crude Quantity Theory Fails When Applied to Money
すべての商品について、需要供給が価格を決定し、供給は在庫に依存する。量理論は「需要と商品在庫が価格を決定する」と表現できる。この理論は重要な制限を伴いながらすべての商品に適用されるが、貨幣への適用では貨幣供給が貨幣在庫にそれほど依存しないことが経験により示された。シュパンダウの軍資金は40年間一度も供給として提供されず、他の貨幣は年間10回や50回手を変える。信用の存在時には市場に貨幣があり、信用欠如時には貨幣は撤退する。貨幣供給が常に貨幣在庫に対応しないなら、貨幣価格は在庫と独立であり、粗い量理論は適用できない。金のような製品は、何十年も地下の湿った金庫に損失なしに保管でき、その供給は内在的必要性ではなく人間の判断に依存するため、価格は風のように自由で計算不可能である。
第四部 自由貨幣(あるべき姿の貨幣)
Free-Money, or Money as it Should Be
序論:抽象的な貨幣から具体的な貨幣へ
Introduction
人類は3000年間、貨幣について盲目的に行動してきた。従来の貨幣は完全に抽象的で、比較対象がなかったため理論構築が不可能だった。自由貨幣の登場により、初めて貨幣に比較の基準点が与えられ、背景と限界面を持つ具体的な対象となった。アルキメデスが「支点を与えよ、そうすれば地球を動かしてみせよう」と言ったように、比較点があれば人間はあらゆる問題を解決できる。自由貨幣は貨幣理論構築の測鉛線を提供し、垂直からのあらゆる逸脱を即座に明らかにする。
第1章 自由貨幣:商品交換の完璧な道具
Free-Money
貨幣は交換の道具であり、それ以外の何物でもない。その機能は商品交換を促進し、物々交換の困難を排除することである。良い貨幣の基準は、交換の安全性、迅速性、安価性である。従来の貨幣形態は、必要な時に引き込み、過剰な時に市場に氾濫するため、詐欺と高利貸の道具にしかならない。自由貨幣は、商品と同じように腐敗し、価値を失う性質を持つ。新聞のように期限切れになり、ジャガイモのように腐り、鉄のように錆び、エーテルのように蒸発する貨幣だけが、これらの商品の交換手段として機能できる。貨幣を商品として悪化させることで、交換手段として改善する。
第2章 国家による自由貨幣の流通開始
How the State Puts Free-Money in Circulation
貨幣改革により発券銀行から紙幣発行特権を剥奪し、国家通貨庁がその役割を担う。通貨庁は銀行業務を行わず、単に貨幣の発行と回収のみを行う。すべての公的金庫で従来の金属貨幣や紙幣を自由貨幣と1対1で交換する。誰も交換を強制されないが、一定期間後、金属貨幣は単なる金属となり、国家が認める貨幣は自由貨幣のみとなる。国家は受け取った金を溶かし、全国の花嫁への結婚記念品として加工することを提案する。これは金を売却して他国を困らせるよりも合理的である。
第3章 自由貨幣の管理:価格水準の安定化
How Free-Money is Managed
自由貨幣が流通を開始した後、国家通貨庁の唯一の機能は、貨幣と商品の交換比率を観察し、流通量を増減して一般物価水準を安定化することである。物価水準が上昇傾向を示せば貨幣流通を縮小し、下降傾向を示せば拡大する。流通量を増やすには、新貨幣を公的財庫に支払い、税収の比例的減少で支出する。流通量を減らすには何もしない。自由貨幣は年5%自動的に減価するからである。必要な設備は印刷機とストーブのみ。このシンプルな装置で金採掘の困難な労働、造幣の精巧な機械、銀行の運転資金、発券銀行の激務に代替できる。
第4章 自由貨幣の流通法則:強制的需要の創出
The Laws of Circulation of Free-Money
自由貨幣の保有者は年末に5%の価値を失う。これは他のすべての商品に起こることと同じである。個体は消滅に向かうが、種は永続する。保有者は貨幣を他者に渡そうと努力する。しかし彼も同じ制約の下で貨幣を受け取った。この「悪い」貨幣を受け取るのは、同様に制約下にある商品生産者のみである。買手と売手は同等に武装が貧弱で、同じ緊急性で取引成立を望む。こうして公正な条件での迅速な取引が実現する。貯蓄家や銀行家も貨幣の減価から逃れるため、利子に関係なく貸出を強制される。需要はもはや貨幣保有者の意志に依存せず、貨幣量と流通速度の積で決まる物質的な力となる。
第5章 自由貨幣への各職業からの評価
How Free-Money Will be Judged
本章では小売商人、出納係、輸出業者、製造業者、高利貸、投機家、貯蓄者、協同組合員、債権者、債務者、失業保険事務所、プルードン主義者、利子理論家、経済危機理論家、賃金理論家の視点から自由貨幣を評価している。小売商人は客が現金払いし、大量購入するようになり、商業が簡素化されたと報告する。出納係は労働時間短縮と銀行の大半が閉鎖されたことを述べる。製造業者は安定した販売と現金支払いを歓迎する。高利貸は商売の終焉を嘆く。投機家は証券市場への影響力を失ったと不満を述べる。貯蓄者は貯蓄能力の向上を喜ぶ。各職業の反応を通じて自由貨幣の社会的影響を多角的に描写している。
第6章 国際貿易:為替安定化の仕組み
International Trade
外国貿易は金なしでも紙幣で可能である。レモン輸入業者と傘輸出業者の例で、手形を通じた決済の仕組みを説明する。為替レートは需要と供給で決まり、一国の物価上昇は輸入増加と輸出減少を招き、為替レート下落で自動調整される。国際ヴァルータ協会(IVA)による為替安定化を提案する。加盟国は統一通貨政策で物価安定化を図り、特別な国際紙幣(IVA券)を発行して小規模な貿易不均衡を調整する。IVA券は加盟国で法貨として通用し、その流出入が通貨政策の指標となる。金本位制の自動調整は限定的で費用がかかるが、紙幣制度下では意識的政策により即座に効果的な調整が可能である。
第五部 自由貨幣による利子理論
The Free-Money Theory of Interest
第1章 ロビンソン・クルーソーの物語:利子の本質
A Story of Robinson Crusoe
ロビンソン・クルーソーが3年間の運河建設のため食料備蓄を準備していた時、難破した見知らぬ人が現れ、無利子での食料貸与を求める。見知らぬ人は、衣服は虫害、小麦はカビと害虫、道具は錆と損傷に晒されるため、クルーソーが保管労力と損失を免れることで利益を得ると説明する。実際にクルーソーは商品の自然な劣化から解放されることで、無利子貸与を喜んで受け入れる。見知らぬ人は、本国では貨幣が交換の媒介であるため、商品保有者は貨幣貸与者に利子を支払わされると説明する。貨幣は鼠、虫、錆の心配がないため、商品保有者は貨幣保有者の立場に対抗できない。利子の原因は貨幣の性質にあると結論する。
第2章 基本利子:貨幣が創出する独立した利子
Basic Interest
正統派・マルクス主義経済学者は、利子を生産手段の私的所有の不可避的随伴物とみなす。しかし利子は生産手段の私的所有とは無関係に、プロレタリアートの存在なしにも発生する。利子は古代バビロニア、ヘブライ、ギリシア、ローマから受け継いだ伝統的貨幣形態の物理的・法的優位性から生じる。貨幣は分業の本質的条件である。伝統的貨幣は無期限に市場から引き上げ可能だが、生産者は商品の継続的損失により貨幣需要を創出せざるを得ない。商人は貨幣の供給を任意に延期・遅延・阻止でき、その対価として特別支払いを要求できる。この基本利子は年4-5%に相当し、貨幣の競争相手(物々交換、手形、原始生産)との効率性格差により制限される。
第3章 基本利子の商品への転嫁
Transfer of Basic Interest to the Wares
商品が基本利子を負担するには、販売価格が原価に基本利子を加えた額を回収できる市場条件が必要である。伝統的貨幣は本質的に資本であるため、すべての商品は利子を要求する資本として流通に参入せざるを得ない。商品は消費者には資本として現れるが、生産者には負の資本として現れる。貨幣は商品から基本利子を徴収する取立人の役割を果たす。貨幣が交換媒体の中断権力を奪われれば(自由貨幣により)、商品は物々交換と同様に利子なしで交換される。国家が現在金貨製造を無償で行うように、年5%の貨幣税を課せば、貨幣は真に無償の交換手段として機能する。
第4章 基本利子のいわゆる実物資本への転嫁
Transfer of Basic Interest to So-called Real Capital
商人が貨幣で商品を購入し転売して基本利子を獲得するのは定期的収益源である。しかし煉瓦、石灰、手押し車で賃貸住宅を建設すれば、定期的収益を放棄することになる。そのため住宅は商業で貨幣が要求するのと同等の利子を賃借人から徴収できなければ建設されない。貨幣は住宅、工場、船舶の建設条件として、商品から徴収するのと同等の利子獲得を設定する。利子なしには建設用貨幣は提供されず、貨幣なしには建設は不可能である。こうして住宅、工場等のいわゆる実物資本も基本利子と同等の利子を生み出すよう市場条件が整備される。実物資本は貨幣の創造物であり、貨幣から資本の称号を受け取る。貨幣の特権を奪えば、実物資本の供給は需要を充足するまで増加し、資本の性格を失う。
第5章 自由貨幣利子理論の完成
Completion of the Free-Money Theory of Interest
実物資本の利子が基本利子を上回れば、競争により基本利子まで下落する。下回れば、自然の破壊作用と貨幣による新規生産阻止により基本利子まで上昇する。基本利子は実物資本利子が振動する均衡点である。人為的障害が除去されれば、実物資本の供給は需要を充足し、世界的に利子はゼロまで下落する。資本家は利子下落時により厳格な節約を強いられ、より多くの実物資本形成に向ける。利子がゼロになっても、住宅等は減価償却費、修繕費、税金等の負担は残るため、建設動機は存続する。節約の動機も利子なしに十分強く、利子は節約の障害でもある。自由貨幣導入後も当面は実物資本不足により利子は存続するが、基本利子は即座に消失し、継続的労働により実物資本の海で利子を溺死させることができる。
第6章 資本利子説明の従来の試み
Former Attempts at Explaining Capital Interest
ベーム・バヴェルクは利子理論を6つに分類した:生殖理論、生産力理論、効用理論、禁欲理論、労働理論、搾取理論。生殖理論は土地の地代から貨幣利子を演繹するが、不生産的な貨幣が利子を生む土地を購入できる理由を説明できない。生産力理論は生産手段の生産補助を主張するが、需要と供給を無視し、効率向上が利子増加ではなく供給増加による利子減少をもたらすことを見落とす。禁欲理論は資本不足を人間の浪費性に帰するが、実際の浪費者は利子徴収を通じて他人の労働力を消費する資本家である。労働理論は利子受取を経済的職業とみなす。搾取理論は利子を労働生産物からの強制的控除とするが、賃金決定の「道徳的・歴史的要因」という曖昧な概念に依存する。
第7章 総利子の構成要素:基本利子、危険料、上昇プレミアム
The Components of Gross Interest
利率には基本利子以外に危険に対する保険と物価上昇期待に基づく上昇プレミアムが含まれる。物価上昇が予想される時、借り手は商品購入後の転売で借金返済と利益獲得を期待し、貨幣需要が急増する。貨幣保有者は物価上昇による損失を避けるため、より高い利率を要求する。物価が年5%上昇すると予想され、基本利子が3-4%なら、利率は8-9%に上昇する。上昇プレミアムは物価上昇の実現ではなく期待により生じ、期待が消失すれば利率から消失する。物価下落が予想される時は上昇プレミアムは完全に消失する。アルゼンチンでは紙幣増刷期に利率が15%に達し、増刷停止後5%に下落した。上昇プレミアムは10%だった。このプレミアムの認識は利率と貯蓄銀行預金の同時増加等の現象説明に不可欠である。
第8章 純資本利子は固定値:2000年間の歴史的証明
Pure Capital-Interest a Fixed Magnitude
物価変動期の利率から上昇プレミアムを除去すれば、純利子は固定値であることがわかる。ビレターの研究によると、スッラ時代(紀元前82-79年)から東ローマ皇帝ユスティニアヌス時代(527-565年)まで600年間、利率は4-6%で推移した。この期間は物価下落期で上昇プレミアムは存在しなかった。アダム・スミスの記録でも1546年の法定利率10%から段階的に下降し、18世紀には3-5%となった。これは16-17世紀の価格革命終了と対応する。現在でも基本的に同水準である。2000年間、経済・政治・社会情勢の変化にかかわらず利子水準が一定であることは、利子が生産手段の効率性とは無関係で、古代から継続する特定の事情によることを証明する。利子が3%を下回らない理由は本書で説明された通りである。
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