COVID-19ウイルスが数ヶ月間持続したりするのはなぜなのか？

理由3：免疫システムを回避するために唾液の中に潜伏している。それが免疫力にとって何を意味するのか

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ウイルスのクリアランスには個人差がある。また、感染症からの回復が早い人がいる理由の一つでもある。そして、回復という言葉は厄介で、臨床症状の消失、またはウイルス要素の消失、あるいはその両方を指すことがある。

この記事では、回復ではなく、ウイルスクリアランス（すなわち、検査で陰性になること）に焦点を当てていきたいと思う。

持続感染

SARS-CoV-2の陽性診断状態は、無症状であるにもかかわらず、数ヶ月間続くことがあるという報告が発表されている。これは持続性の感染症であり、決して目新しいものではない。

「持続感染とは、ウイルスがクリアされずに感染者の特定の細胞に残っているものとして特徴づけられる。」と医学微生物学の教科書では定義されている。

「持続感染は、宿主細胞を急速に死滅させることなく、あるいは宿主細胞に過剰なダメージを与えることなく、無症候性感染と生産性感染の両方の段階を含むことがある。」

 

ウイルスが宿主の中で持続することは珍しくないが、多くの場合、過剰な害を引き起こすこともない。

 

ウイルスは、持続感染のほとんどのケースを引き起こする。例としては、単純ヘルペスウイルス、HIV、麻疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、B型肝炎ウイルスなどが挙げられる。

これらから推測すると、科学者たちは、どのようにして持続的な感染の仕組みを支える唯一のメカニズムはないことに同意している。

COVID-19についても同様で、これまでに科学者たちは少なくとも4つの理由を考え出している。

理由１　共存

5月に印刷された中国の研究で、彼らは軽度のCOVID-19の症状を持つ47歳の女性を記録した。彼女は2-3週間後には症状がなくなったが、2ヶ月以上にわたってRT-PCRによる陽性の診断状態を維持していた。

そして、症状のない人がまだウイルスを感染させる可能性があるため、病院は彼女を隔離した。彼女が今日までSARS-CoV-2の陽性であるかどうかは報告されていない。

 

患者の免疫システムとSARS-CoV-2ウイルスがバランスよく共存する状態に達した可能性がある。

 

彼女の症状が再発しなかったということは、彼女の免疫系がウイルスの複製を止めるための炎症誘発性モードになっていないことを意味する。

「患者の免疫系と SARS-CoV-2 のバランスのとれた共存の状態に達した可能性がある」と研究は指摘している。

「そして、患者は臨床症状や画像診断での症状もなく、無症状のウイルスキャリアのままである。」

研究者らが示唆したもう一つのもっともらしい理由は、ウイルスのクリアランスに予想以上に時間がかかったことであるが、これは共存の可能性に立ち返っている。

理由２　抗体産生の低下

ポルトガルで6月に発表された研究では、210人を対象に診断用RT-PCR検査を行ったが、そのうち116人（55.2%）は25日後に2回連続して陰性となった。残りの94人（44.8%）は、ウイルスがクリアになるまでに1週間以上かかった。

なぜであろうか？

研究者らは、ウイルスクリアランスが遅かった患者は症状が軽く、抗体レベルが低かったことを発見した。効果のない抗体免疫反応は、したがって、持続的で軽度のCOVID-19感染につながる可能性があった。

理由３　免疫の回避

4 月に中国で行われた研究では、11 日後に回復し、RT-PCR で陰性となった 44 歳の男性が報告された。しかし、臨床的寛解から3日後、喉の綿棒と唾液でSARS-CoV-2の陽性が再び現れ、1ヶ月以上持続した。抗ウイルス療法や伝統的な漢方薬ではウイルスを除去することができなかった。

SARS-CoV-2の潜伏期間である5-6日は、新たな感染を確立するには3日では短すぎる。

「したがって、ウイルスRNAの再出現は、新規感染ではなく、再潜伏であると推論しだ。」 患者はまた、ウイルスに対する抗体を産生し、免疫反応がウイルスをクリアできないことを示した。

 

唾液中に存在する SARS-CoV-2 は、免疫システムによって保護されている可能性がある – したがって、潜在的なウイルスの貯蔵庫となっている。

 

なぜか？著者らは、SARS-CoV-2が免疫に有利な部位-すなわち、唾液中に存在することによって、免疫システムを回避していると考えている。

「特に、非常に高いレベルのウイルスRNAが唾液中に検出された」と彼らは発見した。

免疫優位部位とは、炎症反応を起こさずに異物を許容できる組織のことである。先のSARS-CoVも唾液腺に感染することができる。そして、サイトメガロウイルスは唾液腺を悪用して持続感染を確立することができる。

以下のように、唾液中に潜伏していたSARS-CoV-2が飲み込まれ、呼吸器や消化器に再侵入する可能性がある。その後、宿主は再びCOVID-19の陽性検査を受けることになる。ウイルスを含む唾液はまた、感染性の飛沫の隠れたソースとしての結果を負う、と中国人は警告した。

ジャーナル オブ デンタルリサーチのレビューは、「唾液腺　COVID-19 無症候性感染の潜在的な貯水池 」と題したレビューはまた、SARS-CoV-2 の隠れた供給源としての唾液の問題を提起した。

唾液腺は肺よりもはるかに高いACE2発現を持っている、彼らのバイオインフォマティクスデータが明らかにした。そして、小さなコホート研究では、患者の91.7%が唾液中に生きたまま感染性のSARS-CoV-2を保有していることがわかった。

「このことは、無症状感染によって感染するCOVID-19が感染した唾液から感染する可能性があることを示唆している」とレビューは述べている。

理由４　再活性化または再感染

退院した患者が症状が軽快し、COVID-19の状態が陽性になって病院に戻ってきた例は数多くあるが、これについてはここで詳しく説明した。現在の科学では、COVID-19は再感染よりも再活性化する可能性が高いことに同意している。

再活性化とは、同じ初期ウイルスが（しばらく休眠した後に）再び複製されることを意味するが、再感染とは新たな別の感染源を意味する。

例えば、スイスの研究では次のように結論づけている。

「当院の地域ではCOVID-19の感染率が低く、患者が治療を受けた時点で新規感染の傾向が低下していたため、再感染は考えにくいと思われる」と結論づけている。

 

再活性化とは、最初の同じウイルスが適切に排出されておらず、再び複製を開始したことを意味する。

 

ソウル大学の疫学教授であるファン・スンシク氏は、「これが実際には再感染のケースであるとか、検査キットの精度の問題であると考える研究者はほとんどいない」と述べ、「多くの研究者は、これをむしろ再感染と見ている」と同意した。

「多くの人はこれをより多くのウイルスの再活性化として見ている。」 、そうではなく再感染であった場合、体の免疫力が二次感染を防ぐことができないことを意味するため、これはむしろ良いニュースである – ワクチンの設計を複雑にする。

しかし、これは再感染が可能ではないということではない。もし、異なる変異体が十分に異なる免疫反応を引き出すことができれば、再感染が起こる可能性がある、と教授は付け加えた。

永続的な感染は、最初のウイルスが完全に排出されていないことを意味する、したがって、宿主に永続的にCOVID-19感染によって再活性化させることができる。

理由５　断続的なウイルスの脱落

もう一つの可能性として考えられるシナリオは、6月の研究で示唆されたように、間欠的なウイルス脱落であり、これは無症状で伝染しない再検査陽性者を説明するものであろう。

しかし、間欠的なウイルス脱落の生物学的メカニズムは、文献ではかなり曖昧である。体が定期的にウイルスを排出する場合は、最初の複製ウイルス（後に排出）は、RT-PCR 診断テストによって検出されるべきである。

COVID-19持続の良い面と悪い面

ウイルスの残骸

RT-PCR検査で陽性の結果が出たからといって、伝染性があるかどうかを確認することはできない。検出された遺伝物質は、単に非感染性の残骸や臨床的回復後の残留物である可能性がある。

このようなウイルスの残骸は、免疫反応を引き起こす可能性があり、程度によっては、ウイルスの後遺症を引き起こす可能性がある。例えば、アトランティック紙は、数人の人が数ヶ月間COVID-19の症状を再発させたと報告している。

研究者たちは、これは筋痛性脳脊髄炎や慢性疲労症候群(ME/CFS)と呼ばれる、疲労、睡眠や集中力の問題、痛み、めまいなどの慢性的な症状を伴う病気である可能性があると考えている。

 

一方、他の研究者は、ウイルスの残骸が長期的な免疫力を誘導するのに役立つかもしれないと考えている。再生能力の弱いニューロンなど、免疫系が破壊することができない細胞の一部であっても、ウイルスの遺伝子を保持し、それをタンパク質に転写することが可能である。

ジョン・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院のダイアン・E・グリフィン教授は、これらの残存ウイルスタンパク質が免疫システムを警戒させている可能性があると説明した。例えば、体内に永続的に存在する麻疹ウイルスの遺伝子は、生涯免疫を誘導する上で同様のメカニズムを共有している可能性がある。

 

人々がCOVID-19にどのように対処するかについてのこれらの多様な免疫反応は、ワクチンの設計を難しくしている。

「同じウイルス粒子がすべての人に同じ効果をもたらすわけではない」と、現在COVID-19の免疫学を研究しているニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの腫瘍学者であるサントシュ・バルダーナ氏は言う。

これが、ほとんどのワクチンが普遍的な免疫を付与しない理由でもある、と同氏は付け加えた。