
英語タイトル:『Propaganda in the Information Age:Still Manufacturing Consent』Edited by Alan MacLeod, 2019
日本語タイトル:『情報時代のプロパガンダ:未だに「合意の形成」を生み出し続ける』アラン・マクロード編, 2019
目次
- 導入部 / Introduction
- 序論:情報時代のプロパガンダ / Introduction:Propaganda in the information age
- 第Ⅰ部 プロパガンダ・モデルの再考と更新 / Re-examining and Updating the Propaganda Model
- 第1章 未だに「合意の形成」を生み出し続ける:ノーム・チョムスキーへのインタビュー / Still manufacturing consent:an interview with Noam Chomsky
- 第2章 21世紀のためのプロパガンダ・モデル:構造・主体の力学と階級、ジェンダー、人種の交差 / A propaganda model for the twenty-first century:structure-agency dynamics and the intersection of class, gender and race
- 第3章 現代における五つのフィルターの有効性の評価 / Assessing the strength of the five filters today
- 第Ⅱ部 現代プロパガンダの事例研究 / Case Studies in Modern Propaganda
- 第4章 フェイクニュース、ロシア・ボット、そしてプーチンの操り人形 / Fake news, Russian bots and Putin’s puppets
- 第5章 偏向的情報源プロパガンダ:シリアの事例研究 / Deflective source propaganda:a Syrian case study
- 第6章 プロパガンダ・モデルをエンターテイメント産業に拡張する:マシュー・アルフォードへのインタビュー / Expanding the propaganda model to the entertainment industry:an interview with Matthew Alford
- 第Ⅲ部 グローバル化した世界でのプロパガンダ・モデル / The Propaganda Model in a Globalized World
- 第7章 未だに情報を妥協させる:IL&FS金融スキャンダル報道におけるインドメディアの隠蔽と回避 / Still compromising news:obfuscation and evasion as dominant filters in Indian media’s coverage of the IL&FS financial scandal
- 第8章 国際広報とプロパガンダ・モデル:ボリウッド大作の批判的分析 / International public relations and the propaganda model:a critical analysis of Bollywood blockbusters
- 第9章 デジタル時代において未だに「合意の形成」を生み出し続ける:2017年ケニア選挙における誤報、「フェイクニュース」、プロパガンダ / Still manufacturing consent in the digital era:disinformation, “fake news” and propaganda in the 2017 elections in Kenya
- 第Ⅳ部 メディアの内側から / An Insider’s Perspective
- 第10章 権力構造の内部で働くこと:エリート・メディアへの内部視点 / Working inside the racket:an insider’s perspective to the elite media
- 結論 / Conclusion
- 結論:新しきメディア、変わらぬ旧きルール / Conclusion:New media, same old rules
本書の概要
短い解説:
本書は、ヘルマンとチョムスキーが1988年に提示したメディア分析の枠組み「プロパガンダ・モデル」を、インターネットとソーシャルメディアが支配的な情報時代において再評価し、その今日的妥当性を検証することを目的としている。メディア研究、ジャーナリズム、社会学、コミュニケーション学の学生・研究者、および現代メディアの構造的バイアスに関心を持つ一般読者に向けて書かれている。
著者について:
編者のアラン・マクロードは、グラスゴー大学メディア・グループのメンバーであり、ベネズエラ報道に関する研究で博士号を取得している。彼の研究関心はプロパガンダ、メディア理論、ソーシャルメディア、ラテンアメリカ政治に及ぶ。本書では、マクロード自身による分析に加え、ノーム・チョムスキー、オリバー・ボイド=バレット、マシュー・アルフォード、マット・ケナードなど、世界の主要なメディア学者、分析家、ジャーナリストたちが寄稿し、多角的な視点からプロパガンダ・モデルを現代に適用している。
テーマ解説
- 主要テーマ:情報時代におけるプロパガンダ・モデルの持続的妥当性。メディアの所有構造、収益源、情報源への依存などの「フィルター」が、デジタル化された現代のメディア環境でも依然として強力に作用し、エリート層の利益に沿った「合意」を形成し続けていることを論証する。
- 新規性:旧来のアメリカ中心のメディア分析を、ケニア、インドなどグローバルな文脈へと拡張。また、ハリウッドやボリウッドなどのエンターテイメント産業、ソーシャルメディア上の「フェイクニュース」キャンペーンなど、現代的なプロパガンダ手法に焦点を当てる。
- 興味深い知見:冷戦時代の「反共産主義」フィルターが、現代では「反ロシア」フィルターとして復活し、権力に挑戦する勢力を「プーチンの傀儡」として非難・排除する新たな統制メカニズムとして機能している点。
キーワード解説(1~3つ)
- プロパガンダ・モデル:エドワード・ハーマンとノーム・チョムスキーが提唱した理論。メディアは、所有構造、広告収入への依存、公式情報源への依存、フラック(批判的反応)、支配的イデオロギー(当初は反共産主義)という五つの「フィルター」を通じて情報を選別し、結果的に権力層の利益に奉仕する「合意の形成」(世論操作)を行うと説明する。
- フェイクニュースと誤報:単なる虚偽情報ではなく、政治的意図を持って組織的に流布され、選挙結果や世論に影響を与えることを目的としたプロパガンダ戦略の一形態。ソーシャルメディアのアルゴリズムと相まって、その拡散力と影響力が増大している。
- デフレクティブ・ソース・プロパガンダ:情報の真の出所(政府や諜報機関など)を隠蔽し、あたかも独立した信頼できる情報源(NGOや活動家、人権団体など)からのものであるかのように装ってプロパガンダを流布する手法。シリア紛争での「ホワイト・ヘルメッツ」などが事例として挙げられる。
3分要約
本書『情報時代のプロパガンダ』は、30年以上前に発表されたヘルマンとチョムスキーの画期的な著作『製造された合意』の核心をなす「プロパガンダ・モデル」が、インターネットとソーシャルメディアが席巻する現代においても、あるいはそれゆえに、いかに強力な分析ツールであり続けるかを明らかにする。
プロパガンダ・モデルは、メディアが「合意」を世に生み出す装置であると喝破した。その出力は、メディアの巨大企業化と寡占化、広告収入への依存、権力者や公式情報源への接近と依存、権力側からの「フラック」、そして時代に応じて形を変える支配的イデオロギー(反共産主義、市場原理主義、反テロリズム、そして今日の反ロシア感情)という五つの構造的「フィルター」によって系統的に歪められ、選別される。
多くの人が、デジタル革命がこのメディア独占を崩し、多様な声と情報への民主的アクセスをもたらすと期待した。しかし、本書が各章で詳細に論証するのは、その期待が裏切られた現実である。メディア所有はますます集中し、グーグルやフェイスブックといった新たな巨大独占企業が生まれた。新聞・テレビの衰退と広告収入の激減は、ジャーナリズムの質と独立性を蝕み、権力者や広告主への依存を深めている。時間的圧力に追われるジャーナリストたちは、PR情報や「公式発表」をそのまま流す「チャーナリズム」に堕している。ソーシャルメディアは、一方で新しい公共圏を生んだが、他方で「フェイクニュース」やターゲティング広告、アルゴリズムによる情報操作の温床となり、ケニアやアメリカの選挙では実際に世論操作に利用された。冷戦後の「反共産主義」フィルターは消えたかのように見えたが、それは「反ロシア」フィルターとして復活し、政治的異議申し立てを「プーチンの傀儡」というレッテルで封じ込める新たな弾圧装置として機能している。
本書は、このモデルがアメリカのみならず、インドやケニアといった多様なメディア環境でも有効であることを示す。インドの大手メディアは所有権と広告の圧力のもとで重要な金融スキャンダルを曖昧に扱い、ケニアでは政府がケンブリッジ・アナリティカを雇い、ソーシャルメディア上で組織的な偽情報キャンペーンを展開した。また、プロパガンダはニュースだけでなく、ハリウッドやボリウッドの映画、さらにはビデオゲームにも深く浸透しており、アメリカ国防総省がエンターテイメント作品の内容に介入している実態が明らかにされる。
結論は明確である。メディア技術が激変しても、情報をフィルターにかけ、権力に都合の良い物語を構築し、大衆の「合意」を「製造」するというメディアの基本的な社会的役割は変わっていない。むしろ、経済的・時間的圧力の増大、新たな監視・操作技術の登場により、そのプロセスはより精緻に、より不可視化されつつある。だからこそ、権力の構造的批判を提供するプロパガンダ・モデルは、現代のメディアを理解し、それに対抗するための、かつてなく重要な知的武器なのである。
各章の要約
導入部
序論:情報時代のプロパガンダ
アラン・マクロードは、マスメディアが公衆の友ではなく、エリート層が大衆の意識を操作するための武器であると断じる。今日、メディアはかつてないほど少数の巨大企業に集中し、その役割はエリートの政策への「合意を形成」することにある。1988年に発表されたヘルマンとチョムスキーの『製造された合意』は、このメディアの機能を「プロパガンダ・モデル」として理論化し、五つの「フィルター」を通じてニュースが選別・歪曲されると説明した。本書の目的は、新聞衰退とインターネット台頭という劇的に変化した現代のメディア環境において、このモデルがなお有効か、むしろその重要性を増しているかを検証することである。世界各地の研究者が、フェイクニュース、シリア戦争、ロシア疑惑、ボリウッド、ケニア選挙などの事例を通じて、プロパガンダ・モデルの現代的な適用可能性を探る。
著者はこう述べる。「メディアは、あなたの味方ではない。メディアは、エリートがあなたの心を巡る戦いで用いる武器である。」
第Ⅰ部 プロパガンダ・モデルの再考と更新
第1章 未だに「合意の形成」を生み出し続ける:ノーム・チョムスキーへのインタビュー
チョムスキーは、プロパガンダ・モデルの核心は変わらないと断言する。ソーシャルメディアは主要メディアの情報を流用するだけであり、独自の調査はほとんど行わない。真の問題は、グーグルやフェイスブックのような新たな独占企業が、広告主のために個人を監視・操作する能力を持つことにある。ロシア疑惑について、チョムスキーはそれが企業献金による巨大な選挙介入に比べれば取るに足らない「悪いジョーク」であり、気候変動などの本質的危機から目を逸らす民主党政権の崩壊の現れだと批判する。また、シリア報道では、アサド政権の残虐行為は批判するが、トルコのクルド人地域侵攻などはほとんど報じられない「価値ある/価値なき犠牲者」のパターンが繰り返されていると指摘する。ジャーナリズムの未来については、サンダース現象に見られるような大衆の真の関心に応える独立したメディアの可能性に言及する。
第2章 21世紀のためのプロパガンダ・モデル:構造・主体の力学と階級、ジェンダー、人種の交差
フロリアン・ツォールマンは、プロパガンダ・モデルに関する近年の研究を概観し、その現代的有効性を確認するとともに、理論的洗練を提案する。五つのフィルター(所有、広告、情報源、フラック、イデオロギー)はデジタル時代も健在だが、その現れ方は国の文脈によって異なる。技術は補助的なフィルターとして作用し、主体(ジャーナリスト)の役割や、メディアと諜報機関の癒着といった「ブラックボックス」内の力学をより深く探る必要性を論じる。さらに、モデルの階級分析の基盤を拡張し、構造的フィルターとしての「性差別」と「人種差別」を追加することを提唱する。メディア産業における女性と少数民族の体系的排除、およびニュース内容におけるそれらのグループの偏った表現は、階級と同様に、メディアが支配的社会秩序(この場合は家父長制と白人優位)を正当化する機能の一部であると主張する。
第3章 現代における五つのフィルターの有効性の評価
アラン・マクロードは、各フィルターの現代的な強度を詳細に検証する。メディア所有はより集中・巨大化し、メディア企業はより広範なコングロマリットの一部となった。広告収入の激減はメディアを弱体化させ、広告主への従属を強めている。人員削減と24時間ニュースサイクルは「チャーナリズム」を助長し、PR情報や公式情報源への依存を深めた。ソーシャルメディアは「超フラック」を可能にし、異論を唱えるジャーナリストを脅迫や解雇に追い込む。第五のフィルター「反共産主義」は冷戦後形を変え、「市場の奇跡」への信仰や「反テロリズム」として作用してきたが、近年では「反ロシア」フィルターとして復活し、エスタブリッシュメントに挑戦する勢力を「プーチンの傀儡」として非難する新たな弾圧装置となっている。結論として、インターネット時代はフィルターの力を弱めず、むしろ多くの点で強化した。
第Ⅱ部 現代プロパガンダの事例研究
第4章 フェイクニュース、ロシア・ボット、そしてプーチンの操り人形
マクロードは、冷戦期の「反共産主義」フィルターが現代の「反ロシア」フィルターとして再生し、政治的な統制メカニズムとして機能していると論じる。2016年米大統領選後の「ロシア疑惑」は、民主党政権と主流メディアによって大々的に報道され、トランプだけでなく、バーニー・サンダース、ジル・スティン、ブラック・ライブズ・マター運動に至るまで、エスタブリッシュメントに挑戦する幅広い勢力が「プーチンの操り人形」としてレッテル貼りされた。このレトリックは、有権者の怒りの真の原因(経済格差、政治腐敗)から目をそらし、民主党内の自己批判を回避し、巨大IT企業がアルゴリズムを操作して反体制的メディアを排除する口実を提供した。それは、ロシアへの新冷戦を正当化し、核戦争の危機を高めると同時に、対立を「善玉アメリカ対悪玉ロシア」という単純な図式に還元することで、国内の深刻な分断を覆い隠す機能も果たしている。
第5章 偏向的情報源プロパガンダ:シリアの事例研究
オリバー・ボイド=バレットは、プロパガンダ・モデルの第三のフィルター(情報源依存)に焦点を当て、権力側が「信頼できる情報源」を装った偽の情報源(NGO、活動家、人権団体など)を作り出し、メディアを介してプロパガンダを流布する手法「デフレクティブ・ソース・プロパガンダ」を分析する。シリア紛争を事例に、反体制派支配地域で活動する「シリア人権監視団」や「ホワイト・ヘルメッツ」といった組織が、欧米政府から多額の資金提供を受け、反アサド・プロパガンダの発信源として欧米メディアに頻繁に引用される実態を暴く。これらの組織は「独立した人道団体」として報道されるが、その背景やテロリストグループとの関係はほとんど報じられない。危機的状況下で現地取材が困難なジャーナリストたちは、こうした一方的な情報源に依存せざるを得ず、結果として戦争プロパガンダを再生産してしまう構造が明らかにされる。
第6章 プロパガンダ・モデルをエンターテイメント産業に拡張する:マシュー・アルフォードへのインタビュー
マシュー・アルフォードとのインタビューで、ハリウッドとアメリカ国防総省(DOD)/中央情報局(CIA)の深い癒着関係が明らかにされる。DODは脚本の変更やロケ地の提供と引き換えに、数千本の映画やテレビ番組に協力し、軍のイメージを美化し、アメリカの外交政策を支持する内容を保証してきた。『トップガン』から『アベンジャーズ』まで、娯楽作品は「国家安全保障シネマ」として機能する。アルフォードは、プロパガンダ・モデルのフィルター(特にフラックと情報源)がエンターテイメント産業にも適用可能だと指摘する。軍の協力がなければ大作アクション映画は制作困難であり、そのため制作側は脚本段階からDODの意向をくみ、批判的内容を自主規制する。同様の関係はボリウッドとインド政府の間にも見られ、ビデオゲームやスポーツイベントにもプロパガンダが浸透している。
第Ⅲ部 グローバル化した世界でのプロパガンダ・モデル
第7章 未だに情報を妥協させる:IL&FS金融スキャンダル報道におけるインドメディアの隠蔽と回避
タバッスム・ルヒ・カーンは、インドの英字紙が大規模金融スキャンダル(IL&FS)をいかに報道したかを分析する。インドメディアは急成長しているが、所有権の集中、広告依存、政商癒着による「有料ニュース」が深刻で、批判的報道は萎縮させられている。IL&FS破綻は一般市民に甚大な影響を与える重大事件であったが、主要紙の一面を飾ることは稀で、専門的な経済面や意見面に追いやられた。その結果、問題は複雑で専門的という「フレーム」が作られ、一般読者の関心と理解から遠ざけられた。一方で、「#MeToo」運動などのセンセーショナルな話題が一面を占め、国民の注意をそらす役割を果たした。主流メディアは、オンラインメディアの台頭で完全に無視することはできなくなったが、重要な問題を「曖昧化」し「回避」する新たな手法を用いて、権力への挑戦を無力化している。
第8章 国際広報とプロパガンダ・モデル:ボリウッド大作の批判的分析
アズマット・ラスルは、インド政府が「ソフトパワー」としてボリウッドを活用する国際広報戦略を、プロパガンダ・モデル(特に「フラック」のフィルター)を用いて分析する。1998年に「産業」として公認され、税制優遇や融資を受けるボリウッドは、政府の外交政策に沿った内容を制作することで「フラック」を回避する。インド・パキスタン関係を描いた映画は、両国関係が緊張している時には愛国主義的・好戦的な内容(『LOC Kargil』)に、和平プロセスが進む時には融和的・友好的な内容(『Veer Zara』)になる。映画産業は政府の意向に反する内容を避け、愛国心をアピールすることで、観客と政府の両方からの反発を恐れず、経済的利益を確保する。このように、エンターテイメント産業もまた、国家イデオロギーを伝播し、国民の「合意」を形成する装置として機能している。
第9章 デジタル時代において未だに「合意の形成」を生み出し続ける:2017年ケニア選挙における誤報、「フェイクニュース」、プロパガンダ
ジャシンタ・ムウェンデ・マウェウは、2017年ケニア大統領選挙を事例に、ソーシャルメディアが組織的な偽情報・プロパガンダキャンペーンに如何に利用されたかを検証する。与党ジュビリーは、ケンブリッジ・アナリティカを雇い、フェイスブックやWhatsApp上で、現職ウフル・ケニヤッタを称賛し、対立候補ライラ・オディンガを暴力と破壊の象徴として描く偽動画やフェイクニュースを流布した。#GOKDelivers(政府は成果を出している)キャンペーンは政府広告を通じて主流メディアも動員した。一方、主流メディア自身も、政府広告を盾に取った圧力や自己検閲により、選挙の不正疑惑や警察の暴力を十分に追及せず、「平和」と「現状受容」を強調する報道に終始した。ソーシャルメディアは市民の声を拡大する可能性も秘めるが、金と権力はその空間も支配し、アルゴリズムと偽情報を通じて世論を操作し、「合意」を「製造」し続けている。
第Ⅳ部 メディアの内側から
第10章 権力構造の内部で働くこと:エリート・メディアへの内部視点
元フィナンシャル・タイムズ記者マット・ケナードは、権力の「ラケット」(巨大企業・銀行・政府の複合体)の内部から見たメディアの実態を暴露する。エリートメディアはラケットによって所有され、その利益を代弁する。批判的思考はコロンビア大学ジャーナリズム大学院のようなエリート養成機関で早期に淘汰され、新聞社では「良きジャーナリスト」とは無意識のうちに支配的ナラティブを受け入れ、境界線を越えようとしない者である。彼自身、ハイチの災害資本主義やベネズエラへの介入の実態を報道しようとして却下された経験を語る。「中立」を装うリベラルメディア(ガーディアンなど)も、企業スポンサーシップと記者の階級的背景から、体制批判の許容範囲を狭める「左翼の番人」として機能する。金融メディアの報道は、人命より株価を憂う「資本主義の病理」を露わにする。しかし、インターネットは権力のメディア独占を崩し始めており、新たな政治運動と独立メディアの台頭が希望である。
結論
結論:新しきメディア、変わらぬ旧きルール
アラン・マクロードは、インターネット時代にもプロパガンダ・モデルの核心は色あせていないと結論づける。メディア技術と経済モデルは激変したが、五つのフィルターを通じた情報の選別と、エリートの利益に沿った「合意の製造」というメディアの根本的役割は変わらない。むしろ、広告収入の減少によるジャーナリズムの弱体化、ソーシャルメディアを用いた新たなプロパガンダ手法の出現、反ロシア・フィルターのような更新されたイデオロギー統制により、そのプロセスは強化・先鋭化されている。本書が示すように、このモデルはアメリカだけでなく、インド、ケニア、ヨーロッパなど多様なメディア環境でも有効である。メディアに対する信頼が低下し、権力への挑戦が世界的に高まる今、権力の構造的批判を提供するプロパガンダ・モデルは、メディアの本質を見抜き、それに対抗するための不可欠な知的武器として、かつてなく重要性を増している。
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