アンドリュー・ウェイクフィールド博士 完全インタビュー The High Wire (2018)

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英語タイトル『The High Wire with Del Bigtree』:Full Interview with Dr. Andrew Wakefield (2018)

日本語タイトル『ハイワイヤー(デル・ビッグトゥリー司会)』:アンドリュー・ウェイクフィールド博士完全インタビュー(2018年)

『科学者対ジャーナリスト』:ワクチン安全性論争20年の記録

https://thehighwire.com/ark-videos/andrew-wakefield-the-real-story/

https://childrenshealthdefense.org/chd-conference/the-real-story-of-dr-andy-wakefield-session/

対談の基本内容

短い解説:本番組は、MMRワクチンと自閉症の関連性を示唆した1998年のランセット論文著者ウェイクフィールド博士への詳細なインタビューを通じ、医療権威とメディアによる科学者攻撃の実態を検証することを目的とする。

※このインタビューは2018年に収録され、2025年1月のハイワイヤー番組で再放送(振り返り特集)として紹介された。

著者について:デル・ビッグトゥリー(Del Bigtree)は、医療ジャーナリスト兼活動家として知られ、インフォームド・コンセント・アクション・ネットワーク(ICAN)を設立。映画「Vaxxed」の制作総指揮を務め、ワクチン安全性の透明化を求める活動を30年以上継続している。

登場人物の役割と肩書

  • デル・ビッグトゥリー(Del Bigtree):司会者、医療ジャーナリスト、ICAN創設者
  • アンドリュー・ウェイクフィールド博士(Dr. Andrew Wakefield):元胃腸科医、ロイヤルフリー病院元研究者
  • ブライアン・ディア(Brian Deer):サンデータイムズ記者
  • ジョン・ウォーカー・スミス教授(Professor John Walker Smith):小児胃腸科専門医
  • リチャード・バー(Richard Barr):MMR訴訟担当弁護士

主要トピック(時系列順)

  • 00:06 番組の独立性とスポンサーシップ ICANが非営利組織として企業スポンサーなしで運営される意義
  • 01:02 2025年の政治的変化への期待 ロバート・ケネディ・ジュニアの厚生長官候補指名への言及
  • 02:07 メディアによるウェイクフィールド攻撃の再燃 主流メディアがウェイクフィールドを「反ワクチン運動の首謀者」として描く構図
  • 06:26 ウェイクフィールドとの初回インタビュー開始 2018年時点での包括的な事実検証の試み
  • 10:00 ウェイクフィールドの研究者としての経歴 胃腸科専門医としてクローン病研究に従事した背景
  • 16:35 最初の親からの相談 1995年、MMRワクチン接種後に自閉症を発症した子供の母親からの連絡
  • 21:04 ランセット研究の開始過程 12名の患者を対象とした症例研究の設計と実施
  • 29:12 MMRワクチンへの懸念表明 単独ワクチンの継続使用を支持する立場の表明
  • 36:39 ブライアン・ディアによる告発 GMC(一般医事委員会)への告発状の内容分析
  • 54:53 GMCでの医師免許剥奪 ウォーカー・スミス教授との処分の相違
  • 1:01:20 ウォーカー・スミス教授の免許復活 高等法院での勝訴とその意義
  • 1:04:03 患者11番をめぐる詐欺疑惑 ディアによる最重要証拠の検証
  • 1:11:55 BMJの利益相反問題 メルクとGSKからの資金提供の隠蔽
  • 1:14:11 ディアとの公開討論への意欲 科学的真実の追求に向けた姿勢

主要キーワードと解説

主要テーマ

  • 医療権威による科学者弾圧:独立研究者への組織的攻撃と免許剥奪の実態
  • メディア操作と利益相反:製薬会社とメディアの癒着構造による世論操作
  • 患者の権利と医療倫理:症状を訴える患者への適切な医学的対応の重要性

新規性

  • 症例研究の曲解:仮説生成を目的とした症例研究を因果関係証明研究として誤解釈
  • 倫理委員会承認の隠蔽:告発者による重要証拠の意図的隠匿
  • 共著者による部分的撤回:研究の核心部分は支持しつつ解釈のみを撤回

興味深い知見

  • 製薬会社重役の息子の関与:ルパート・マードックの息子がGSK取締役として利害関係者
  • 法廷での完全勝訴:ウォーカー・スミス教授の85ページにわたる勝訴判決
  • 父親による証言の矛盾:患者11番の父親自身がディアの主張を否定

本書の要約

本インタビューは、MMRワクチンと自閉症の関連性を示唆した1998年のランセット論文をめぐる20年間の論争について、著者ウェイクフィールド博士への詳細な検証を行った記録である。

ウェイクフィールドは元々、胃腸科の研究者としてクローン病と麻疹ウイルスの関連性を研究していた。1995年、MMR接種後に自閉症を発症した子供の母親からの相談を受け、同様の症状を持つ12名の子供について症例研究を開始した。研究は世界的権威である小児胃腸科のジョン・ウォーカー・スミス教授との共同で行われ、13名の共著者による査読を経てランセットに掲載された。

論文は症例研究として、これらの子供に新しいタイプの腸疾患があることを報告し、多くの親がMMR接種後に行動変化が始まったと述べていることを記載した。因果関係は証明しておらず、「さらなる研究が必要」と結論していた。

しかし2004年、サンデータイムズの記者ブライアン・ディアが、ウェイクフィールドに対して複数の疑惑を提起した。主な指摘は、①法的訴訟のために研究を行った、②競合ワクチンの開発を企図していた、③患者データを改竄した、というものであった。

検証の結果、これらの指摘には深刻な問題があることが判明した。訴訟弁護士リチャード・バーは「ランセット研究は訴訟とは無関係で、法的援助による資金提供は一切受けていない」と証言している。競合ワクチンとされた特許は、免疫不全児童向けの治療法であり、MMRの代替品になり得ない性質のものだった。

最も重要な患者11番のデータ改竄疑惑については、患者の父親自身が電子メールで「息子の自閉症症状はMMR接種の数か月後に始まった」とディアの主張を否定している。ディアは「自閉症の最初の症状」と「最初の行動症状」を意図的に混同し、誤った印象を作り出していた。

GMC(一般医事委員会)での審理では、ウェイクフィールドとウォーカー・スミス教授の免許が剥奪された。しかしウォーカー・スミス教授は高等法院に控訴し、85ページの判決で完全勝訴を果たした。判事は倫理委員会の承認が適切に得られていたことを認定し、GMCの判断を「根拠なし」として覆した。

さらに、ディアの記事を掲載したBritish Medical Journalは、メルクとGSK(両社ともMMRワクチン製造会社)から資金提供を受けていたことを後に認め、利益相反の開示を怠っていたことを謝罪している。

ウェイクフィールドの共著者10名による「撤回」も実際には、論文の核心である腸疾患の発見は支持し、「この研究が継続されることが重要」と述べており、単に因果関係の証明が不十分であったという当初からの立場を再確認したものに過ぎない。

現在、UC Davis等の研究機関が同様の腸-脳軸の病態について研究を進めており、ウェイクフィールドの当初の観察が科学的に注目を集めている。

特に印象的な発言

「私は全て彼らが持っているものです。もしその話が成り立たないなら、彼らには何も残らないのです。」

「ウィリアム・トンプソン自身が言ったように、『もし我々が嘘をつかなければ、アンディ・ウェイクフィールドはまだキャリアを持っていただろう』。それは真実です。」

「ブライアン・ディアは社会病質的な嘘つきで、彼は自分の仕事において極めて優秀です。彼の仕事とは、予め決められた結論を達成することであり、そのためにストーリーを操作するのです。」

「私たちは攻勢に出ています。もはや守勢ではありません。」

サブトピック

00:06 番組の独立性とスポンサーシップ

ビッグトゥリーは番組が企業スポンサーを持たず、非営利組織ICANによって運営されることで、調査報道の独立性を確保していると説明する。製薬会社等からの影響を受けない報道姿勢の重要性を強調し、視聴者に直接的な支援を求めている。この独立性こそが、権威的な医療体制に対する批判的視点を維持する基盤となっている。

02:07 メディアによるウェイクフィールド攻撃の再燃

ロバート・ケネディ・ジュニアの厚生長官候補指名を機に、主流メディアが再びウェイクフィールドを「反ワクチン運動の首謀者」として攻撃している状況を分析する。チェルシー・クリントンによる発言等を例に、いかにウェイクフィールドが「恐怖の象徴」として利用されているかを指摘。医療政策の転換期において、既存権力構造を維持したい勢力による情報操作の典型例として位置づけている。

16:35 最初の親からの相談

1995年5月、MMR接種後に発達退行を示した子供の母親からの相談がウェイクフィールドの研究の出発点となった。この母親は「反ワクチン派」ではなく、適切に予防接種を受けさせた上で、子供の消化器症状が自閉症に付随するものとして軽視されることへの懸念を表明していた。ウェイクフィールドは医師として患者の症状を真摯に受け止め、調査する責任があると判断した。

29:12 MMRワクチンへの懸念表明

ウェイクフィールドは研究発表前に、MMRワクチンの安全性試験の質について250ページの詳細な検討を行った。その結果、承認前の安全性試験が「一様にひどい」状態であることを発見し、単独ワクチンの継続使用を推奨する立場を表明した。これは「反ワクチン」ではなく、より安全なワクチン接種方法を求める科学的判断であった。

36:39 ブライアン・ディアによる告発

2004年2月、サンデータイムズ記者ブライアン・ディアがGMCに提出した告発状の詳細を検証する。ディアは「MMRに関する公衆のパニック」への懸念を表明し、高侵襲的検査を障害児に対して行ったとしてウェイクフィールドを告発した。しかし告発の動機には、ルパート・マードックの息子がGSK取締役に就任していたという利害関係が背景にあった。

54:53 GMCでの医師免許剥奪

2010年、GMCはウェイクフィールドとウォーカー・スミス教授の医師免許を剥奪した。主な理由は倫理委員会承認の欠如とされたが、実際にはウォーカー・スミス教授が適切な承認を得ていた証拠が存在していた。ディアがこの重要な証拠を隠匿していたことが後に判明し、「司法妨害」に相当する行為であったことが明らかになった。

1:01:20 ウォーカー・スミス教授の免許復活

2012年、ウォーカー・スミス教授が高等法院に控訴し、85ページの詳細な判決で完全勝訴を果たした。判事は教授が適切な倫理委員会承認を得ていたことを認定し、GMCの判断を「根拠なし」として覆した。同じ患者群に対して同じ検査を行っていたウェイクフィールドは、資金不足により控訴を断念せざるを得なかった。

1:04:03 患者11番をめぐる詐欺疑惑

ディアによる最重要な詐欺告発は患者11番のデータ改竄疑惑であった。ディアは父親に対し「ウェイクフィールドは自閉症がMMR接種1週間後に始まったと主張した」と虚偽の説明を行った。しかし実際の論文では「最初の行動症状」がMMR接種1週間後としており、父親自身が電子メールでディアの主張を明確に否定している。これはディアによる意図的な情報操作であった。

1:11:55 BMJの利益相反問題

2011年、BMJ(British Medical Journal)がディアの記事を掲載した際、メルクとGSKからの資金提供を開示していなかった。ジャーナリスト、ジョン・ストーンがこの問題を指摘すると、BMJ編集長フィオナ・ゴドリーは「競合する利害として宣言すべきだった」と認め、訂正を約束した。MMRワクチン製造会社から資金提供を受けた雑誌が、MMR研究者を詐欺として告発する構図の問題性が浮き彫りになった。

1:22:11 現在の展望と科学の復権

トランプ政権下でのロバート・ケネディ・ジュニア起用により、自閉症の真の原因究明に向けた包括的研究の実施が期待されている。ウェイクフィールドが当初観察した腸-脳軸の病態について、UC Davis等の研究機関が追加的研究を進めており、科学的探究の再開が現実のものとなりつつある。医療権威による検閲体制から、透明な科学的検証への転換点を迎えている。


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