
Deception: The Great Covid Cover-Up
英語タイトル:『DECEPTION:The Great Covid Cover-Up』Rand Paul, M.D. 2023
日本語タイトル:『欺瞞:巨大なCOVID隠蔽工作』ランド・ポール 2023年
目次
- 序文 / Preface
- はじめに / Introduction
- 第一部 隠蔽工作 / The Cover-Up
- 第二部 致命的な思い上がり / Fatal Conceit
- 第三部 欺瞞との対決 / Confronting Deception
- 第四部 真実の主張 / Asserting the Truth
- 第五部 欺瞞への責任追及 / Holding Deceit Accountable
- 第六部 欺瞞の余波 / The Aftermath of Deception
- 結論 / Conclusion
本書の概要
短い解説:
本書は、COVID-19パンデミックをめぐる公式見解に疑問を呈し、ウイルスの研究所起源説とアメリカ政府高官による隠蔽工作を告発することを目的とする。政府の科学アドバイザー、メディア、公衆衛生機関の行動を批判的に検証する内容であり、パンデミック対応に疑問を持つ一般読者を対象としている。
著者について:
著者ランド・ポールは、ケンタッキー州選出のアメリカ合衆国上院議員であり、眼科医としての医学的訓練も受けた人物である。COVID-19パンデミック期間中、アンソニー・ファウチ博士や国立衛生研究所(NIH)の政策に対し、最も早くから公の場で異議を唱えた政治家の一人として知られる。本書では、上院公聴会での経験や政府内部資料に基づき、公衆衛生当局の欺瞞を暴露する立場を取る。
テーマ解説
- 主要テーマ:公衆衛生当局による情報操作と科学的議論の抑圧
- 新規性:NIHによる武漢研究所への資金提供と「機能獲得研究」の隠蔽工作
- 興味深い知見:自然免疫の軽視とワクチン政策の偏り
キーワード解説
- 機能獲得研究:ウイルスの感染性や病原性を人為的に高める実験手法。パンデミックの原因となった可能性が指摘される。
- 武漢ウイルス研究所:中国武漢にあるBSL-4レベルの高度な隔離施設。コロナウイルス研究の中心地。
- 自然免疫:過去の感染によって獲得される免疫防御システム。ワクチン接種のみを重視する政策を著者は批判する。
3分要約
本書『欺瞞』は、COVID-19パンデミックの起源と対応をめぐる大規模な隠蔽工作を暴露する内容である。著者ランド・ポールは、ウイルスが武漢ウイルス研究所から漏洩した可能性が高く、その研究がアメリカ国立衛生研究所(NIH)から資金提供されていたと主張する。
パンデミック初期から、公衆衛生当局やメディアは研究所起源説を「陰謀論」として排除し、反論する科学者を検閲・排除した。特にアンソニー・ファウチ博士は、機能獲得研究への関与を否定しながら、実際にはそのような研究に資金を提供していたとする矛盾を著者は追及する。
本書は六部構成で展開される。まず中国当局による初期の隠蔽工作から始まり、アメリカ政府高官の「致命的な思い上がり」が招いた政策失敗を分析する。著者は上院公聴会などでの直接対決を詳述し、自然免疫の重要性やロックダウンの弊害など、主流メディアが軽視した事実を提示する。
最終的には、ファウチ博士やNIH関係者の責任追及と、将来のパンデミックに向けた制度改革の必要性を訴える。著者は「科学に従え」というスローガンが、実際には特定の政治的アジェンダに従うことを意味していたと結論づけ、政府による健康情報の独占に対する根本的な疑念を読者に喚起する。
各章の要約
第I部 隠蔽工作
前書き
著者は、武漢でCOVID-19患者を治療し、パンデミックの到来を世界に警告しようとして中国政府に「虚偽情報流布」で弾圧された眼科医、李文亮に本書を捧げる。彼の勇気と、中国や米国政府による情報隠蔽を対比し、真実を求める抵抗の精神の重要性を強調する。
はじめに
武漢ウイルス研究所の「コウモリ研究の女性」として知られる石正麗博士の視点を想像的に描く。パンデミック発生時、彼女が研究所で育てていたウイルスが流出したのではないかと恐れ、証拠隠滅に走った可能性を示唆する。2019年9月、彼女が長年かけて構築したコロナウイルスのデータベースが削除されたことが、隠蔽工作の始まりであったと述べる。
第1章 新型コロナウイルスの隠蔽工作は旋風のように始まった
2020年1月、CDC長官だったロバート・レッドフィールド博士は、ウイルスのヒトへの適応の速さから研究所流出の可能性を疑い、ファウチに警告するが、却って会議から排除される。1月31日夜、ファウチに近いウイルス学者たち(アンダーセン、ホームズ、ギャリーら)が、COVID-19のゲノム配列が自然進化とは一致せず、研究所で操作された可能性が高いとファウチに緊急メールを送る。しかし、その数時間後、ファウチは同調者に「自然起源」を主張する論文を準備するよう指示し、隠蔽工作が本格化した。NIHは、武漢研究所への「機能獲得研究」資金提供の事実を隠すために動き出す。
第2章 ファウチが組織的な隠蔽工作を開始
ファウチとフランシス・コリンズ(NIH所長)は、自分たちが資金提供した研究の責任を回避するため、「近接起源」論文の作成を指示する。1月31日には研究所流出を強く疑っていたアンダーセンら著者たちは、2月4日には一転して「ウイルスは研究所で構築されたものではない」と結論づける論文を書き上げる。この論文は科学的根拠に乏しい政治的声明であり、メディアを通じて「研究所起源説は陰謀論」という世論を形成するためのプロパガンダとして利用された。
第3章 『ランセット』誌の政治化
2020年2月19日、ファウチらの資金を受け取るピーター・ダスザクらが、『ランセット』誌に声明を発表し、研究所起源説を「陰謀論」として非難する。この声明の署名者の多くが武漢研究所との金銭的利害関係を隠していた。科学誌が政治的主張の場となり、科学的議論が封殺される状況を批判する。また、武漢研究所がパンデミック発生地から極めて近い場所に位置するという偶然性や、初期ウイルスの遺伝的多様性の欠如など、自然発生説の矛盾点を指摘する。
第4章 研究所起源説の根拠
自然発生説を支持する主要な論拠が次々と崩れていく。武漢の海鮮市場で売られていた動物からウイルスは発見されず、動物取扱者に抗体も検出されなかった。一方、COVID-19にはサルベコウイルスでは前例のないフーリン切断部位があり、その配列は研究室でよく使われる人工的なものであった。また、ウイルスが最初からヒトACE2受容体にほぼ最適化されていたことから、研究室での「継代培養」による人為的適応の可能性が高いと論じる。
第5章 『ランセット』委員会
『ランセット』誌はダスザクの利害関係隠しを認め、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授を委員長とする調査委員会を設置する。サックスは当初、自然発生説を受け入れていたが、調査を進めるうちにNIHやダスザクが情報を隠蔽・妨害していることに気付き、考えを改める。彼は、米国政府資金による危険な機能獲得研究がパンデミックを引き起こした可能性が高いと結論し、透明性のある徹底的な調査を要求する。
第II部 致命的な思い上がり
第6章 ファウチとの最初の対峙
2020年3月3日の上院公聴会で、著者はファウチと初めて対峙する。ステロイドの有効性や子供の感染リスクについて質問するが、ファウチの回答は後に誤りと判明するものが多かった。著者は、ファウチの独断的で誤ったアドバイスが医療現場を縛り、命を救う治療を妨げたと批判する。政府の一律的なロックダウン政策が健康被害と経済的打撃をもたらしたことも指摘する。
第7章 身近なところで迫る新型コロナ
2020年3月、著者自身が無症状ながらCOVID-19陽性と判明する。メディアや政治的反対派から、「隔離を怠っている」などと非難と中傷を浴びる体験を赤裸々に描く。回復後、自然免疫を得たとしてもマスク着用を拒否したことで、さらに激しいバッシングを受ける。この時期のヒステリーと分断が、科学的議論を不可能にしたと述懐する。
第8章 自然免疫と政治的弾圧
自然感染による免疫の有効性について、過去の医学的知見や研究結果を提示しながら、ファウチやCDC、メディアがこれを意図的に無視・否定した経緯を詳細に描く。YouTubeが著者のマスク無効論動画を「誤情報」で削除したことなど、ビッグテックと政府による言論統制の実態を告発する。ワクチン万能主義が、個人の医療的判断や自然免疫を軽視する危険なイデオロギーへと変質したと批判する。
第9章 議会によるロックダウンと巨額支出
パンデミック発生後の議会が、巨額の経済対策法案をほとんど審議もなく次々と可決していく様子を批判する。著者は、ロックダウンそのものが経済危機の原因であり、借金を積み上げる無分別な支出は国家の将来を危うくすると主張し、ほぼ単独で反対票を投じる。政府の恣意的な事業規制(レストランの営業時間制限など)の非科学性も痛烈に批判する。
第10章 ファウチ、子供の学校再開に難色
2020年5月の公聴会で、著者は欧州諸国での学校再開後も感染が急増していないデータを示し、子供の重症化リスクが極めて低いことを指摘して学校再開を迫る。しかしファウチは、稀な小児疾患「川崎病」を持ち出して恐怖をあおり、慎重な姿勢を崩さない。著者は、ファウチの過剰な警戒が、子供たちの教育と健全な発達を著しく損なったと断じる。
第11章 ファウチ、ハイエク、そして致命的な思い上がり
2020年6月の公聴会で、著者は経済学者フリードリヒ・ハイエクの「致命的な思い上がり」の概念を引用する。中央計画者(ファウチら)が、複雑な現実を全て把握できると過信し、全国民に一律の対策を強制することの危険性を説く。学校再開の安全性を示す国内外のデータを提示しながらも、ファウチが専門家の独断を変えようとしない姿勢を非難する。科学は絶対ではなく、謙虚さと分散された意思決定が必要であると主張する。
第3部 欺瞞との対決
第12章 スウェーデン、ニューヨーク、そしてロックダウン
2020年9月の公聴会で、ポール議員はロックダウン政策の効果を検証。厳しいロックダウンを実施したニューヨーク州の死亡率が、緩やかな対策のスウェーデンよりも高いことを指摘し、ロックダウンが必ずしも「曲線を平らにする」効果を持たなかったと主張。ファウチ博士は、スウェーデンを他の北欧諸国と比較すべきだと反論した。ポール議員はまた、過去のコロナウイルス感染(風邪)による交差免疫の可能性について言及したが、ファウチ博士はこれを否定した。ポール議員は、ロックダウンという「人間による介入」がパンデミックの経過を変えられるという前提自体に疑問を投げかけた。
第13章 パンデミックを利用した窃盗の蔓延
2020年末までに、COVID-19関連の巨額経済対策プログラム(PPPなど)を悪用した詐欺が多発。死者への給付金支払いや、実体のない会社への融資詐欺などが明らかになった。また、2020年12月には2.3兆ドル規模の新たな経済対策法案が可決され、ポール議員はこれに反対し、借金を重ねる政策が国家を破綻させると訴えた。一方、トランプ政権末期のポンペオ国務長官は、武漢ウイルス研究所で2019年秋に複数の研究者が発症していたとする情報を公表し、研究所流出説の調査を促した。
第14章 ファウチと自然免疫
2021年3月の公聴会で、ポール議員は自然免疫の持続性を示す研究を引用し、回復者やワクチン接種者がマスクを着用し続ける必要性に疑問を呈した。ファウチ博士は、変異株の出現を理由にマスクの必要性を主張したが、変異株による再感染で重症化・死亡する証拠は乏しいとポール議員は反論。このやりとり後、科学誌『サイエンス』の編集長はポール議員を批判する論説を掲載し、ファウチとNIH長官に事前に知らせていたことがメールで明らかになった。公衆衛生当局とメディアの癒着が、科学的議論を歪めていた。
第15章 ファウチ、武漢での機能獲得研究に資金提供
2021年5月11日の公聴会で、ポール議員は、NIHが武漢研究所での機能獲得研究に資金提供したと直接ファウチ博士を非難。石正麗博士とラルフ・バリック博士の共同研究が、動物ウイルスをヒト細胞に感染しやすくする「機能獲得」実験であることを示す論文を提示した。ファウチ博士は「NIHは武漢研究所での機能獲得研究に資金提供したことはない」と強く否定。しかし、後に開示された2018年のDARPAへの資金申請書(DEFUSE)には、コロナウイルスにフーリン切断部位を挿入する計画が明記されており、ファウチ博士の証言と矛盾していた。
第16章 ファウチの追及
2021年7月20日の公聴会で、ポール議員は前回の証言を引き合いに出し、議会への虚偽証言は犯罪であると警告しつつ、武漢での機能獲得研究資金提供についての見解撤回を迫った。ファウチ博士は激怒し、「あなたは何も分かっていない」と反論。ポール議員は「400万人の死者の責任の一端があるかもしれない」と追及した。ポール議員はその後、ファウチ博士の議会証言が虚偽であるとして司法省に刑事告発状を送付したが、Garland司法長官による捜査は期待薄であった。真相解明のためには、NIHの助成金審査体制(P3CO委員会)の不備と、ファウチ博士によるその無力化がカギであった。
第4部 真実の主張
第17章 機能獲得研究とファウチ
2021年秋までに、COVID-19の死亡率は当初予想よりはるかに低い約0.3%であることが明らかになった。しかし、メディアの恐怖あおりと政府の権威主義的な対策により、特に民主党支持者の間ではリスクが過大評価され、ワクチン義務化など強硬策への支持が高まっていた。ポール議員は、アーロン・ロジャースやノバク・ジョコビッチなど、個人の選択権を主張するアスリートを支持。2021年11月の公聴会では、NIHが「機能獲得研究」の定義をウェブサイトから削除したことを指摘し、ファウチ博士が責任逃れをしていると非難した。ファウチ博士は、定義は外部委員会によるものだと弁明したが、ポール議員は彼の責任を問い、辞任を要求した。
第18章 ファウチと子どものCOVIDブースター接種
2022年6月の公聴会で、ポール議員は、子どもへのCOVID-19ブースター接種の有効性(入院・死亡予防効果)を示す研究が存在しない点を追及。ファウチ博士は、イスラエルのデータを引用し高齢者では効果があると主張したが、子どもへの効果は認められなかった。また、ポール議員は、ワクチン諮問委員会のメンバーが製薬会社からロイヤルティ(特許使用料)を受け取っている可能性と、その情報開示の必要性を強く訴えた。ファウチ博士自身の資産がパンデミック中に増加していたことも、利益相反の疑いを強めた。
第19章 本物のファウチは立ち上がるか…
2022年9月の公聴会で、ポール議員は2004年のC-SPANインタビュー(感染後の免疫は最も強力なワクチンと発言)の映像を流し、ファウチ博士が自然免疫の重要性を過去には認めていたことを示した。ファウチ博士は「文脈を無視している」と反論したが、ポール議員は、現在の政府のガイドラインが自然免疫を考慮していない点を批判。また、ワクチン委員会のメンバーのロイヤルティ情報開示を再度要求し、共和党が議会で多数派になればこれを実現すると宣言した。
第20章 機能獲得研究のシェルゲームを暴露
2022年8月3日、ポール議員は上院委員会で初めて「機能獲得研究」をテーマとする公聴会を主催。リチャード・エブライト、スティーブン・クエイ、ケビン・エスベルトの3氏が専門家として証言。機能獲得研究がもたらすパンデミックリスクは極めて高く、市民生活への実用的な利益はほとんどないことが示された。NIHの審査体制(P3CO委員会)は形骸化しており、武漢研究所への危険な研究資金提供を見逃していた。証言者は、この研究分野の厳格な監視と、パンデミック病原体同定プロジェクトのリスクについて警告した。
第21章 SARS-CoV-2の起源
公聴会では、COVID-19の起源についても議論。クエイ博士は、研究室流出説を支持する多くの状況証拠(武漢研究所への地理的近接性、フーリン切断部位の人工的な特徴、初期クラスターと地下鉄ライン2号線の関連など)を提示。自然界からの中間宿主は未発見であり、ウイルスが最初からヒトへの感染に高度に適応していた点は不自然だと指摘した。また、武漢研究所が致死率60%以上のニパウイルス研究も行っていた可能性があるという重大な疑念も示された。
第22章 機能獲得研究と生物テロ
エスベルト博士は、すべてのウイルスを同定する「パンデミックウイルス同定プロジェクト」が、それらの遺伝子配列を公開することで、生物テロの危険をむしろ高める可能性を警告。合成生物学の進歩により、テロリストがパンデミックを引き起こすウイルスを作製することが技術的に可能になりつつある。ウイルス同定プロジェクトはパンデミック予測やワクチン開発にほとんど貢献しておらず、mRNAワクチン技術の進展もあり、そのリスクはメリットを上回ると主張した。この危険な研究から世界を守るためには、国際的な規制と透明性が不可欠である。
第5部 欺瞞への説明責任
第23章 機能獲得研究からアメリカと世界を守る
2022年12月、米議会は総額1.7兆ドルの包括支出法(オムニバス法案)を可決した。この法案には、懸念国での病原体研究に対する米国政府資金の提供を禁止する条項が含まれていた。著者は、この危険な研究を規制するためには、はるかに多くの措置が必要だと考える。機能獲得研究改革グループ(GoF Reform Group)を含む専門家らは、研究提案の特定、リスク評価と緩和策の審査、決定事項の遵守の強制という効果的な監視の三要素や、「効率的なヒト間伝播性」を付与する実験の規制などを提言した。現在の規制では、例えばワクチン開発を名目にすれば事実上あらゆる実験が免除される可能性があるため、たとえワクチン追求であってもキメラウイルス作成を規制すべきだと主張する。著者はまた、研究の監視・承認と資金提供の明確な分離、審査委員会への市民代表の参加、研究助成の透明性向上(BASIC Research法)、原子力規制委員会をモデルとした単一独立機関による監視、国際的な統制の強化などを提唱する。合成DNA販売の規制やパンデミック責任保険の導入など、危険な研究を抑制し、次のパンデミックを防ぐための具体的な改革案が示される。
第24章 真実に向かう潮流
2022年秋、バイデン大統領はパンデミックが終わったと発言したが、その後も公衆衛生上の緊急事態宣言は更新された。しかし、上院では両党議員が緊急事態終結に賛成するなど、変化の兆しが見え始めた。著者は、大統領に過度な権限を付与する国家緊急事態法の問題点を指摘し、緊急事態を自動的に終了させるREPUBLIC法の必要性を訴える。一方、2022年10月に下院共和党が発表した報告書は、米国政府が武漢の研究所だけでなく、中国軍の研究施設にもコロナウイルス研究資金を提供していたことを明らかにした。特に、2020年2月にCOVID-19ワクチンの特許を申請した直後に死亡した中国人民解放軍の科学者、周育森(Zhou Yusen)との関係が注目された。米国政府が中国軍の生物兵器専門家に資金提供していた可能性は、研究の危険性と監視の欠如を浮き彫りにした。情報機関が議会の要求に応じないことに著者は強い懸念を示し、民主主義の真の脅威は政府の秘密主義であると断じる。
第6部 欺瞞の余波
第25章 周育森と中国のゼロコロナ政策
中国・ウルムチでの火災事故をきっかけに、中国政府の厳格すぎる「ゼロコロナ政策」に対する抗議活動が中国各地で発生した。中国政府はこれを「治安妨害」として弾圧し、参加者を逮捕した。著者は、中国のような権威主義国家の対応は驚くに値しないとしつつ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、そしてアメリカといった自由民主主義国ですら、ワクチン強制接種や移動制限など、市民の身体的自律権を侵害する権威主義的な対応を見せたことに驚きを示す。カナダでは、抗議するトラック運転手の銀行口座が凍結され、アメリカでは、ワクチン未接種者に対する誹謗中傷や社会的排除がメディアや政治家によって煽られた。ケンタッキー州知事など民主党の知事たちは、教会の礼拝禁止や移動制限など、多くの裁判で違憲と判断される命令を出した。著者は、全体主義を強制するのに独裁者は必要なく、ただ「集団思考」があれば足りると指摘する。コロナへの対応は、多くの人々が客観的なリスク分析ではなく、恐怖と恥のプロパガンダに影響され、服従を選んだことを露呈したと結論づける。
第26章
2023年1月、共和党が下院を掌握した新議会において、COVIDパンデミック起源の本格的な調査が始まる可能性が出てきた。ハーバード大学の疫学者マーティン・クルドーフの証言は、感染によって得られる免疫の重要性が長年知られていたのに、2020年から3年間「忘れ去られていた」と指摘し、潮目が変わり始めていることを示唆した。一方、イーロン・マスクによる「ツイッターファイルズ」の公開は、連邦政府とツイッターが結託して、ワクチンの副作用を含む真実の情報を検閲していたことを暴露した。著者は2023年2月、国務省のウェンディ・シャーマン副長官に対し、国務省が中国でのコロナウイルス研究に資金を提供している事実と関連文書の開示を求めたが、回答は得られなかった。その後、エネルギー省とFBIが「COVID-19は武漢研究所からの漏出である可能性が高い」との結論に達したことが報道されたが、その根拠の多くは依然として機密扱いだった。著者は、国防脅威削減局(DTRA)などの政府機関が調査を妨害し、情報開示を拒み続ける「ディープステート」の存在を痛感する。パンデミックの真相究明を阻むのは中国政府の隠蔽だけではなく、危険な研究に資金を提供した責任を問われることを恐れる米国政府機関の「利害の一致」であると断じる。
第27章 情報封鎖が崩れ始め、正気の光が見える
2023年2月下旬、ウォール・ストリート・ジャーナルがエネルギー省の「研究所起源説」結論を報じ、翌日にはFBI長官も同様の見解を公表した。これを受けて、これまで調査を妨げてきた民主党のチャック・シューマー上院院内総務でさえ「真相を解明する必要がある」と発言するなど、政治的な風向きが変化し始めた。イーロン・マスクは、ファウチ博士がエコヘルス・アライアンスを通じて武漢研究所の機能獲得研究に資金提供したとツイートし、著者の主張を支持した。主流メディアは長らく著者を「ファウチ博士を攻撃する人物」として描き、その主張を軽視してきたが、真相が明らかになるにつれ、その姿勢が誤りであったことが示されつつある。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ブレット・ステファンズは、厳格なシステマティックレビュー(コクランレビュー)に基づき「マスク義務化は無意味だった」と認め、マスクに懐疑的だった人々が正しかったと述べた。著者は、かつて自身が「マスクは効かない」と発言してYouTubeから削除されたことを、今では名誉の勲章のように感じていると記す。
第28章 機関と専門家への信頼が崩壊する
ステファンズは、CDC(米疾病予防管理センター)が科学的証拠に反するマスクガイダンスに固執し続けることが、かえって陰謀論者や疑似科学の peddler(売り手)を利することになると警告した。ベン・シャピロは、メディアや専門家が「誤った人々」(主に保守派)が支持する説を最初から否定するため、研究所起源説やマスクの有効性に関する実際の証拠を無視したと分析する。その結果、専門家の信用は地に落ち、公衆衛生に対する国民の信頼は史上最低レベルに達した。2023年3月、上下両院は全会一致でCOVID-19と武漢研究所関連文書の機密指定解除を求める法案を可決した。しかし著者は、官僚機構が依然として非機密文書すら開示を拒むだろうと危惧する。一方、バイデン政権はWHOと「パンデミック協定」に署名し、国家主権を国際機関に委譲する動きを見せた。著者は、国務長官アントニー・ブリンケンに対し、国務省が中国で行ったコロナウイルス研究に関する文書開示を強く求めるが、頑なに拒否される。モデルナCEOの公聴会では、ワクチンと心筋炎の関連性や、利益相反(NIHがワクチンから巨額のロイヤルティーを得ていること)について厳しく追及する。パンデミック緊急事態は終結したが、病院や大学でのワクチン義務化は続き、科学的合理性を欠いていると著者は批判する。そして、武漢研究所の研究者ベン・フー(Ben Hu)が「患者ゼロ」であった可能性が新たに報じられ、真相究明への期待が高まる。
第29章 結論
著者は、パンデミック初期から年齢別リスクに基づいた対策を訴えたハーバード大学のマーティン・クルドーフ博士がLinkedInでしか研究成果を発表できなかったこと、富裕層や権力者には適用されない厳しいロックダウンが一般市民に課されたことなど、科学と常識が無視された「狂気」を振り返る。それでも、政府の嘘が明らかになるにつれ、一般市民の間には反発と独立心が芽生え、著者に対する支持の声が全米で聞かれるようになった。アンソニー・ファウチ博士は「私はよく眠れる」と公言するが、著者は、彼を含む関係者の良心は、数百万人の死をもたらした可能性がある研究への関与を問い続けているはずだと考える。多くの専門家と同様に大多数のアメリカ人が研究所起源説を信じるようになり、ファウチ博士の支持率は下落した。しかし、民主党は依然として彼を擁護し、機能獲得研究の規制や真相調査を妨げ続けている。著者は、次の実験室からの漏出は5~50%という致死率のウイルスであり得ると警告する専門家の声を紹介し、それにもかかわらず監視を怠る姿勢を「ファウチ崇拝」と呼んで批判する。C.S.ルイスの言葉を引いて、ファウチ博士は「被害者のためを思って誠実に行使される専制」の具現者であり、メディアに守られて難問に答えずに済んできたと断じる。歴史は、パンデミック隠蔽に関与したファウチ、石正麗、ダズザックらを厳しく裁くだろうと結論づける。
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