『プロパガンダの論理に関する認識論的考察』マイケル・バダラメンティ 2021

情報操作・社会工学

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『An Epistemological Account of the Logic of Propaganda』Michael Badalamenti 2021

『プロパガンダの論理に関する認識論的考察』マイケル・バダラメンティ 2021

https://note.com/alzhacker/n/n3cd573f301ee

目次

  • 序論 / Introduction
  • 背景とプロパガンダ定義への挑戦 / Background and Challenges to Defining Propaganda
  • プロパガンダの規定的定義 / Stipulative Definition of Propaganda
  • 論理的定義の実践:プロパガンダ作品の解釈 / The Logical Definition at Work: Interpreting a Piece of Propaganda
  • 論理的定義に対する潜在的な批判への弁護 / Defense of the Logical Definition Against Potential Criticisms
  • プロパガンディストの技法 / Propagandist Techniques
  • プロパガンダのカテゴリー / Categories of Propaganda
  • プロパガンダへの抵抗 / Resistance to Propaganda
  • 結論 / Concluding Remarks

本書の概要

短い解説:

本書は、プロパガンダを論理的推論の形式から分析し、その認識論的影響を評価することを目的とする。現代社会において遍在するプロパガンダが、個人の知識獲得能力にどのような影響を与えるかを探求する。

著者について:

著者マイケル・バダラメンティは、認識論の観点からプロパガンダの論理的構造を分析する研究者である。プロパガンダを「不適切な論証」として定義し、その識別可能性と抵抗方法について独自の理論的枠組みを構築している。

主要キーワードと解説

  • 主要テーマ:プロパガンダの論理的構造と認識論的影響 [プロパガンダを論証形式で分析し、知識獲得への影響を考察する]
  • 新規性:論理的強度に基づくプロパガンダ分類 [「論理的に弱い形式」と「論理的に強い形式」という新たな分類体系を提案する]
  • 興味深い知見:完全論理的思考者仮説 [プロパガンダの識別可能性を検討するための思考実験として仮想的な完全論理的思考者を想定する]

3分要約

本書は、プロパガンダを認識論的観点から分析し、その論理的構造を明らかにすることを目的としている。著者はまず、プロパガンダの歴史的変遷と定義に関する論争を整理し、独自の規定的定義を提示する。プロパガンダとは、「結論が適切であると人々に信じ込ませるが、実際には不適切な論証、または論証を喚起することを意図したもの」である。ここで「適切な論証」とは、論理的推論の規則に正しく従い、関連する利用可能な情報すべてを考慮したものを指す。

この定義に基づき、著者は第一次世界大戦中のアメリカの募兵ポスター「Destroy This Mad Brute」を具体例として分析する。ポスターが伝えようとする複数の論証を再構築し、それらが前提の虚偽性や論理的弱点を含むことを示す。例えば、「ドイツ人は狂った獣である」という前提は利用可能な証拠によって支持されず、「ドイツによるアメリカ侵攻の脅威」という前提も当時の軍事的現実から見て弱く支持されている。

著者は、この論理的定義に対する潜在的な批判にも応答する。プロパガンダが大衆向けだけでなく個人向けにも機能すること、意図が必ずしも必要ではないこと、命令形が論証を喚起しうることを論じる。また、反射心理学が示すように、プロパガンダが非論理的射程を通じて機能する場合でも、その効果を論証形式で分析できると主張する。

プロパガンダの技法については、誤導と誤情報という二つの大別を提案する。誤導は、感情への訴求、聖なる理念の援用、曖昧な言語、操作された統計など、プロパガンディーの論理的推論能力から注意を逸らす技法である。誤情報は、プロパガンディーの無知や不確実性を利用し、重要な情報を意図的に省略したり、信頼できるように見えるが実際には信頼できない権威に訴えたりする技法である。

プロパガンダは論理的強度に基づいて「弱い形式」と「強い形式」に分類される。弱い形式は、論証構造そのものが根本的に欠陥があり、前提が真と仮定しても結論に至らないもの、または前提の虚偽性や結論を否定する証拠が容易に利用可能なものである。強い形式は、プロパガンディーが論理的に完全に否定できないもので、特に「最も強い形式」は、信頼できる権威によって支持され、プロパガンディーには識別不能な完全に適切な論証のように見えるものである。

プロパガンダへの抵抗については、弱い形式の場合、論理的分析を通じて看破し、その不適切さに基づいて反論することが可能である。しかし、強い形式、特に誤情報技法を使用するものに対しては、個人レベルでの抵抗は極めて困難である。著者は、社会レベルでの解決策として、言論の自由と検閲のバランス、認識論的不平等の是減、公的教育の充実、プライバシー権の制限(倫理的問題はあるが)、認識論的美徳の育成などを検討する。

結論として、著者は、すべてのプロパガンダを完全に回避することは不可能に近いと認めつつも、論理的分析を通じてその影響を軽減することは可能だと主張する。技術の進歩はプロパガンダと教育の両方を強化する可能性があり、将来の認識論的展望は、社会がこれらの技術的変化にどのように文化的、社会的、政治的に反応するかによって決定されると結論付ける。

プロパガンダの形式の例(AI)

弱い形式のプロパガンダ

特徴: 論理的欠陥が明らか、虚偽の前提や証拠で容易に否定可能。「誤導」技法(感情訴求、論理的誤謬)を使用。
: 2020年のワクチン推進キャンペーン(架空)。

  • 内容: ポスターに「ワクチン未接種者は全員重症化!」と誇張し、恐怖を煽って接種を促す。
  • 論証:
  1. ワクチン未接種者は必ず重症化する。
  2. 重症化を避けるにはワクチンが必要。
  3. だからワクチン接種すべき。
  • なぜ弱いか: 前提1(全員重症化)は科学的証拠で否定可能(感染しても軽症の場合あり)。感情訴求(恐怖)に依存し、論理的分析で欠陥が明らか。

強い形式のプロパガンダ

特徴: 論理的に否定困難、部分的に真実の前提や検証困難な情報を使用。「誤情報」技法で情報操作。
: 2021年のワクチン安全性キャンペーン(架空)。

  • 内容: 政府が「ワクチンは99.9%安全で、副作用はほぼゼロ」と発表。まれな副作用データは公開せず、信頼できる医師の証言を強調。
  • 論証:
  1. 専門家がワクチンはほぼ完全に安全と言う。
  2. 安全なワクチンは接種すべき。
  3. だからワクチン接種すべき。
  • なぜ強いか: 前提1は部分的に真(ワクチンは一般に安全)だが、副作用の省略が検証困難。情報統制下では否定しづらい。

最も強い形式のプロパガンダ

特徴: 信頼できる権威に支持され、プロパガンディーにとって適切な論証と区別不能。完全論理的思考者でも識別困難。
: 2022年のワクチン強化キャンペーン(架空)。

  • 内容: 国際保健機関と著名科学者が「新ワクチンは全変異株に100%有効」と主張。効果の限界や不確実性を意図的に省略し、検証済みデータとして提示。
  • 論証:
  1. 信頼できる機関がワクチンは全変異株に100%有効と言う。
  2. 完全に有効なワクチンは接種すべき。
  3. だからワクチン接種すべき。
  • なぜ最も強いか: 信頼できる権威の裏付けと、検証困難なデータの省略により、プロパガンディーは欠陥を見抜けない。

各章の要約

序論

プロパガンダは現代社会において不可避の特徴であり、民主主義を脅かす誤情報キャンペーンなど、社会の福祉にとって危険な運動と関連付けられてきた。本研究は、プロパガンダが論理的推論の形式にどのように関与するかを検討し、認識論的観点からその価値を判断する。プロパガンダは論理的論証形式を通じて解釈できるが、これらの論証は常に不適切であり、無効な形式または虚偽の命題を含む。したがって、プロパガンダは直接的に真の知識を提供することはできない。著者は、論証の必然的に不適切な形式に基づいてプロパガンダの独自の定義を開発し、これにより個人が特定の種類のプロパガンダを識別し、分析し、回避する能力を高められることを目指す。

背景とプロパガンダ定義への挑戦

プロパガンダという用語は曖昧で感情的に訴えかける用語である。その歴史は17世紀のカトリック教会の布教活動にまで遡り、当初は中立的な意味合いを持っていた。しかし、第一次世界大戦における大規模な情報キャンペーンを通じて普及し、第二次世界大戦におけるナチスや冷戦期の共産主義者の使用により、否定的な意味合いが固まった。研究者間では、プロパガンダの定義をめぐり、意図の必要性、真実との関係、社会的影響、倫理的偏りなどについて意見の相違がある。著者は、認識論的分析を助けるやや広義の定義を確立することを目指し、ランダル・マーリンやジェイソン・スタンレーの定義からインスピレーションを得つつ、論理的推論の観点からその定義的特徴を捉える独自の定義を提案する。

プロパガンダの規定的定義

著者はプロパガンダを、「結論が適切であると人や人々に信じ込ませ、それによって信念や行動を喚起するが、実際には不適切な論証、または論証を喚起することを意図したもの」と定義する。適切な論証とは、論理的推論の規則に正しく従い、関連する利用可能な情報すべてを考慮したものである。これに対し、不適切な論証には、無効な演繹的論証、弱い帰納的論証、虚偽の前提に基づく論証、利用可能な反論を無視した論証などが含まれる。プロパガンダは意図なく拡散される可能性もあるが、その起源には何らかの意図が必要と考えられる。この定義は、プロパガンダキャンペーン、プロパガンダ体制、真の教育、マーケティング、広報といった関連概念とも区別される。プロパガンダ論証は、真の知識を直接的に付与することはできないが、二次的に知識を付与する可能性はある。

論理的定義の実践:プロパガンダ作品の解釈

定義の実践的適用として、1917年のアメリカ第一次世界大戦募兵ポスター「Destroy This Mad Brute」を分析する。ポスターから、複数の論証を再構築できる。例えば、「ドイツ人は害を及ぼす狂った獣である」「害を及ぼす狂った獣は破壊されるべきである」「したがってドイツ人は破壊されるべきである」「私の国はドイツ人を破壊するために戦争をしている」「もし私の国が…戦争をしており、…ならば、私は従軍すべきである」「したがって、私は従軍すべきである」という論証である。また、「ドイツ人は私の国を侵略するつもりである」「もし侵略されれば、私の生活様式が脅かされる」「生活様式を脅かすものに対しては戦うべきである」「したがって、私はドイツ人と戦うべきである(従軍によって)」という自己利益に訴える論証も見出せる。これらの論証は形式的には有効であるが、「ドイツ人は狂った獣である」や「ドイツによるアメリカ侵攻の脅威が差し迫っている」といった前提が、利用可能な証拠から見て虚偽または弱く支持されているため、不健全であり、プロパガンダと判断される。

論理的定義に対する潜在的な批判への弁護

この定義に対する批判として、プロパガンダは大衆向けであって個人向けではないという主張がある。著者はこれに対し、社会のリーダーなど特定の個人を標的とすることがプロパガンディストにとって有益でありうるため、個人向けの技法もプロパガンダに含まれると反論する。また、意図なくしてプロパガンダが生じうるかという問題については、誤解や誤認とプロパガンダを区別する必要性を強調する。非論理的過程を通じて機能するという反射心理学に基づく批判に対しては、プロパガンダの意図する効果を分析目的で論証形式で表現することの有効性を主張する。たとえプロパガンダが理性的思考を迂回するように設計されていても、そのメッセージを論証として再構築することで、批判的検討が可能になると考える。

プロパガンディストの技法

プロパガンダが論理的審査に耐えない信念を人々に採用させるために用いる技法は多岐にわたる。反射心理学に基づく技法では、個人を疲弊させ、プロパガンダに集中させ、特定の気分を表現して反射的連合を構築する。既存の神聖な理念や感情的に 訴えるアイデアを援用したり、 undermining propaganda(特定の理想を標榜しながら実質的にそれを侵食するプロパガンダ)を用いたりする。曖昧な言語、統計的操作、一見論理的だが詳細に検討すると欠陥がある形式(バンドワゴン、疑似専門家への訴え、各種の論理的誤謬など)も活用される。プロパガンダは真実を歪めて用いることが多く、明白な虚偽や「でたらめ」よりも危険が少ない。情報量でプロパガンディーを圧倒する「総力プロパガンダ」は、検閲と組み合わせることで、プロパガンディーが真理を見出す可能性を完全に閉ざすことさえある。

プロパガンダのカテゴリー

プロパガンダ技法は、「誤導」と「誤情報」の二つに大別できる。誤導は、感情や理念への訴求、言語操作、論理的誤謬などにより、プロパガンディーの適切な論理的推論能力から注意をそらすもので、関連する情報はすべて利用可能である。誤情報は、プロパガンディーの無知や不確実性を利用し、重要な情報を意図的に省略したり、検証不能な虚偽を流布したりするものである。プロパガンダ論証自体も、論理的強度に基づき「弱い形式」と「強い形式」に分類される。弱い形式は、論証構造そのものが根本的に欠陥があるか、前提の虚偽や結論を否定する証拠が容易に利用可能なもので、仮想的な「完全論理的思考者」であれば識別可能である。強い形式は、特に誤情報技法を用い、論理的思考者でも完全には否定できないもので、中でも「最も強い形式」は、信頼できる権威によって支持され、プロパガンディーの認識論的立場からは適切な教育的論証と見分けがつかない。

プロパガンダへの抵抗

弱い形式のプロパガンダへの抵抗は、論理的分析を通じて看破し、その不適切さに基づいて反論することである。しかし、あらゆる情報媒体を分析することの実践的困難さや、意図を直接知覚できないという問題がある。これらの問題は、情報媒体を影響力や起源、トピックに基づいて優先順位付けし、意図を内容や文脈から推測することで、ある程度回避できる。強い形式、特に最も強い形式のプロパガンダへの抵抗は個人レベルでは極めて困難である。社会レベルでの解決策としては、言論の自由と検閲のバランス、認識論的不平等の是減(経済的平等の促進、公的教育の充実)、プライバシー権の制限(倫理的懸念はある)、認識論的美徳(独断主義の代わりに健全な懐疑主義や思想的柔軟性)の育成などが考えられる。しかし、これらの解決策にはそれぞれリスクや実践上の課題があり、個人の知識獲得能力の価値と他の考慮事項を秤にかける必要がある。

結論

著者は、プロパガンダを決定的に識別する方法を見出したという点で一定の成功を収めたと評価する。論理的定義に基づく分析により、多くのプロパガンダを識別し、回避する道筋が明らかになった。しかし、すべての信念において安全を確保し、プロパガンダを完全に抵抗することは、ほぼ不可能である。弱いプロパガンダでさえ抵抗するのは困難であり、論証の欠陥を証明しても結論の虚偽が証明されるわけではない。技術の進歩はプロパガンダと教育の両方を強化する可能性があり、将来の認識論的展望は社会の対応如何である。著者は、利用可能な証拠に対する認識、反省、議論を通じて、より良い未来を実現するための解決策を見出すべきだと主張する。プロパガンダと共に生きる運命を受け入れつつも、その影響を抑制するために積極的に取り組む必要性を結論付ける。


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