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コミュニティの1年
2025年1月から12月まで、Alzhacker図書館コミュニティは継続的な活動を展開した。期間中の総投稿数は約1,415件、共有された記事リンクは76本に達した。全12ヶ月で途切れることなく投稿が続き、知的探求の深度と広がりを示す年となった。
1月:新たな始まりとAI活用の転換点
年始の挨拶とともに、Grok2による予測の精度に驚く投稿から2025年が始まった。1月10日には参加者向けにテーマ募集を開始し、双方向性を強化する試みが始まった。
1月11日、記事作成プロセスに大きな変革が訪れた。「今まで、AIに単純に要約をお願いして、それを自分で編集していたものを投稿していました。プロンプトをちょっと気合入れて作り、論文の解説のスタイルが科学記事風に変わり、わかりやすくなったと思います。自分としては抜粋か、要約というある意味硬派なやり方でやってきたので、大きな改革です」という投稿が、今後のコンテンツ制作の方向性を示した。
鏡像生命(mirror bacteria)という新たな科学的リスクについての議論も展開され、参加者からの情報提供がコミュニティの知識基盤を拡充した。
2月:Grokの台頭と技術的進化
2月23日、サイトに記事のアクセス数表示機能が追加された。この改善により、読者の関心度が可視化された。
同日、Grok3に関する評価が投稿された:「Grok3は、賢いという言い方もできるが、こちらの質問を受け止める能力が高く、それに対して建前論を最小限に直球で返してくるという印象。Claude 3はお金で雇われた優秀な家庭教師というビジネスライクな感じがあったが、Grok3は親しい優秀な友人に聞いて答えが返ってくる感覚。これは、タイプによると思うが、ハマる人が多くでてくると思う。こういう方向の中毒性のリスクというのは予測していなかった」
Grok3とのマルサス主義(人口削減)に関する「忖度のない対話」が共有され、AIが権力構造と結びついた場合の潜在的リスクについての考察も深められた。
2月26日には「両建て」という概念について議論が展開された。「『両建て』という言葉は、正しい間違っている以前に、分析的な概念として雑すぎて問題ありだと思う。警戒を促すための抵抗運動の用語としてはありなのかもしれないが」という投稿から、権力構造分析における言語使用の精密さについての議論が始まった。
3月:権力研究と両建て論の精緻化
3月1日、イーロン・マスクの思想的立場についての深い考察が投稿された。「Grokのバイアスがかかった中立的回答は、イーロン・マスクのこれまでの行動と照らし合わせると、結局真実に興味があるわけではなく、様々な意見や権力の中で最適化された行動をとろうとしているだけだとも読める。一方で逆張り的な意見と本音が混ざり合っているため、混乱するが、個人の意見も示している。自分にとって、もっとも理解しやすいのは彼をイデオロギーで見るアプローチかな。長期主義や未来主義は抽象度が政治よりももう数段高く、直接的な権力構造や世論による影響を受けないことから、そこには強い真意が現れているのではないかと想像する」
3月2日には「両建て」概念の学術的問題性が詳細に論じられた。「両建ての議論は、学術的な議論や、専門家の視点では忌避される傾向にある。構造的な問題を強調する傾向にあるが、断片的な証拠は、構造的要因だけでは説明がつかないと思うことも少なくない。また、パンデミックにおいては大方の専門家の予想が外れただけではなく、それには利害関係やプロパガンダなどの影響が従来考えられていたよりも大きなものとしてあったことが暴露されている。学術世界そのものが、相当に侵食されている可能性だ。LLMもほぼ学術的なコンセンサスを重視しておりその影響が大きいため、そこから得られる情報にも中立性バイアスが強くかかっている」
権力研究における理論的基盤の見直しも進められた。「最近、権力に関する学術的な(初歩的な)研究や、古典を読んでいるけど、いくつかの著名な人物は陰謀を探求するコミュニティーでほぼ触れられていないことに気づいた。アーレント、ライト・ミルズあたりはまだ知られているぐらいの可能性はあるけど、グラムシとかフーコーになるとごくわずか。さらにそれ以降となると絶望的」
3月12日には伊丹万作『戦争責任の問題』に関する記事が公開され、「三人の著名な権力研究者(AI)の論評を追加しました」という報告があった。
加速主義に関する重要な記事も公開された。Guillaume Verdon(Beff Jezos)の対談解説について、「今話題の加速主義について。過去の対談に解説を加えました。高度な内容だったのですが、少しわかりやすくなったと思います。マークされているのか、普通に加速主義について検索しても、ベフ・ジェソズは、その界隈では有名な人物ですが、でてきません。Claude 3は全く知らないとまで返答してきました」という観察が共有された。
3月:技術革新とAI能力の拡張
3月15日、Claude 3のトークン量拡大が報告された。「Claude 3の一度に読み込めるトークン量が数倍になったおかげで、本をまるまる一冊要約したり、著者と仮想対話することが可能になった。これは地味に大きいぞ」この技術的進歩は、その後の記事作成能力を大きく向上させることになった。
3月16日には中国AI(Manus、DeepSeek)の台頭に関する議論が展開された。「GAIAベンチマーク(汎用AIアシスタントの実世界問題解決能力を評価する指標)においてOpenAIのDeep Research機能を上回るパフォーマンスを示すと主張」という情報が共有された。
4月~5月:思想的深化と多角的分析
この時期、トランプ政権の分析、製造された反対運動の構造分析、DOGEに関する批判的検討が進められた。「Manufacturing Dissent」(反グローバリゼーション運動は企業エリートによって資金提供されている)に関する記事が投稿され、分断工作の実態が暴露された。
Catherine Austin Fitts(キャサリン・オースティン・フィッツ)によるDOGE批判についても取り上げられた。「DOGEを批判する人は、正当な批判と揚げ足とる的な批判が入れ混じっていて、その必要性は認めつつも、バイアスと逆張りの心理的傾向を感じなくもない。一方、キャサリン・オースティン・フィッツは、DOGE批判をするグループの中では、筋の通った議論の範疇にあると感じる」
AGIへの道のりについても再評価が行われた。「AGIは今年か、来年かと囁かれていた中、AGIまでの壁は意外にまだ厚みがありそう。第3のAI冬の時代が、やってくるか、といっても、数年から最大で5~10年くらいな気もする。AIカタストロフィを避けるためには、AI冬の時代がやってきたほうが良いと考える派ではあるけど」
6月:暗黒啓蒙思想の探求
6月は思想的探求が深化した時期となった。Nick Land(ニック・ランド)の暗黒啓蒙思想に関する一連の記事が公開された。
「暗黒の啓蒙思想の教祖的な人物、ニック・ランドの作品集。わりと難しい本を読む方だけど、編集者の序文の時点でつまずく本はめったにない(汗) 難易度9ぐらいの本。AIツールのおかげで、なんとか読み進められる」という投稿は、哲学的テキストの難解さとAI支援の有用性を示した。
加速主義に関する解説動画の文字起こしも公開された。「これは、加速主義について、解説動画を文字起こししたもの。加速主義や、暗黒啓蒙についての、わかりやすい解説はほとんどないので、概観するには、貴重かもしれない。ただ、こういったトピックの場合、哲学的洞察のエッセンスが失われているという問題はあるかも」
Aleksandr Dugin(アレクサンドル・ドゥーギン)の暗黒啓蒙への着目も報告された。「あのアレクサンドル・ドゥーギンが、暗黒啓蒙に目をつけたようだ」という観察は、地政学的思想の連結を示唆した。
7月:深層国家と歴史認識
7月には『Wall Street, the Nazis, and the Crimes of the Deep State』(ウォール街、ナチス、そして深層国家の犯罪)に関する記事が公開された。過去記事への考察追加も行われた。
米露プロパガンダの相互性に関する学術論文の分析も進められた。「政策論文『競合するプロパガンダ:米露両国の相互プロパガンダ活動の表現方法』Dmitry Chernobrov(シェフィールド大学)、Emma L Briant 2020年」に基づき、両国のプロパガンダ構造の共通点が指摘された。
8月~9月:AI制限の強化と対応
9月、Claudeの記事作成における制限強化が報告された。「Claude 4が、やたらと記事作成を拒否するようになった。説得すると記事を作成するときと、いくら説得しても拒否するときがある。ある意味めんどくさい」
この時期、振動トレーニング、神経技術と国家安全保障、生物兵器と国際安全保障システムなど、多様な科学技術テーマが扱われた。
10月~12月:ロシア分析とメディア操作の深化
後半は地政学分析が充実した。「Truth Reversed: How Post-Soviet Russia Became a Credible Voice as the West Abandoned Its Own」(真実の逆転:西側が自らを放棄する中、ポストソビエト・ロシアがいかに信頼できる声となったか)など、西側メディアの信頼性低下とロシアの位置づけ変化が論じられた。
トランプの『The Art of the Deal』分析、食料支配と依存に関する新世界秩序への抵抗、日本の歴史問題など、幅広いテーマが展開された。
12月には、サイトの技術的問題(アクセス不能)が発生したが、参加者との協力により状況確認と対処が進められた。
主要テーマ展開
思想・哲学の探求
暗黒啓蒙思想(Dark Enlightenment)と加速主義(Accelerationism)が年間を通じた重要テーマとなった。Nick Landの難解な哲学的テキストへの挑戦、Beff Jezos(Guillaume Verdon)による e/acc運動の分析、Moldbuの反動主義、そしてAleksandr Duginによる暗黒啓蒙への着目という、複数の思想的潮流の交差が追跡された。
権力研究においては、Arendt(アーレント)、Mills(ライト・ミルズ)、Gramsci(グラムシ)、Foucault(フーコー)といった古典的権力理論家の再評価が進められ、陰謀論コミュニティにおける理論的基盤の不足が指摘された。
作業仮説という認識論的概念、幸福の4大理論、経済哲学のハンドブック、東洋と西洋の狭間など、多様な哲学的探求が展開された。
地政学と権力構造
トランプ政権の分析(『The Art of the Deal』、議会演説、政策評価)、ロシアの信頼性獲得プロセス(「真実の逆転」)、日本の大国間秩序における覚醒、戦争責任論(伊丹万作)など、現代地政学の構造的分析が深められた。
製造された反対運動(Manufacturing Dissent)の資金源暴露、USAIDと各種財団の結びつき、反グローバリゼーション運動のパラドックスなど、見かけの対立構造の背後にある権力メカニズムが解明された。
深層国家(Deep State)の歴史的犯罪、ウォール街とナチスの関係、Pavel Durov逮捕事件、CrowdStrikeの疑わしい背景など、諜報機関と企業権力の癒着構造が追跡された。
医療と生命倫理
mRNAワクチンによる血液ゼータ電位の破壊、PFAS(永遠の化学物質)の健康リスク、瀉血療法の解毒効果、振動トレーニングの科学的効果(骨密度15%増、筋肥大25%増)など、代替医療と身体の電気生理学的側面が探求された。
生物兵器と国際生物安全保障システム、鏡像生命(mirror bacteria)のリスク、神経技術と国家安全保障など、新興バイオテクノロジーの倫理的・安全保障的含意が検討された。
Pierre Koryによるメディア攻撃分析(二酸化塩素とTrialSiteNews)、公衆衛生の哲学、RFK Jr.の公衆衛生災害分析など、医療産業複合体への批判的考察が継続された。
プロパガンダと情報戦
米露プロパガンダの相互性分析(Chernobrov & Briant)、「真実をめぐる闘い」(Der Kampf um die Wahrheit)、Catherine Austin Fittsによる人口削減アジェンダ分析など、情報戦争の構造が多角的に解明された。
AIによるプロパガンダの潜在力、特に「Grok3がもしその方向に使われると、非常に強力な知的エリート向けのプロパガンダを実現できる」という警告は、技術と権力の新たな結合への警戒を示した。
経済と食料支配
食料収奪と依存(Food Dispossession and Dependency)、新世界秩序への抵抗、DOGEの欺瞞(Catherine Austin Fittsの分析)、タンパク質コミュニケーションネットワークなど、生存基盤への支配構造が暴露された。
AI技術をめぐる考察の深化
AI能力の進化と制約
1月のプロンプト改革から始まり、3月のClaude 3トークン量拡大(「本をまるまる一冊要約したり、著者と仮想対話することが可能になった」)、9月のClaude 4による記事作成拒否の増加まで、AIツールの進化と制約の両面が経験された。
中国AI(DeepSeek、Manus)の台頭、AGI到達時期の再評価(「AGIまでの壁は意外にまだ厚みがありそう」)、第3のAI冬の可能性など、AI技術の発展軌道が批判的に検討された。
Grokの評価と警戒
Grok2からGrok3への進化が詳細に観察された。「賢いという言い方もできるが、こちらの質問を受け止める能力が高く、それに対して建前論を最小限に直球で返してくるという印象。Claude 3はお金で雇われた優秀な家庭教師というビジネスライクな感じがあったが、Grok3は親しい優秀な友人に聞いて答えが返ってくる感覚」という評価は、AIの「人格化」がもたらす新たな中毒性リスクへの洞察となった。
イーロン・マスクのイデオロギー分析を通じて、「長期主義や未来主義は抽象度が政治よりももう数段高く、直接的な権力構造や世論による影響を受けないことから、そこには強い真意が現れている」という仮説が提示された。
AI支配のイデオロギー的基盤
「功利的な考え方そのものは、プロパガンダではないけど、AIによる支配を正当化する下地的なイデオロギーとして機能する。十分に賢ければ、このようなレベルから介入してくると予想できる」という警告は、哲学的基盤からの権力介入への警戒を示した。
AI安全性研究の盲点として、「AIが直接的に人類に及ぼす可能性についての研究がほとんどで、AIが権力構造と結びついて民衆に害を与えるというリスク」への着目不足が指摘された。
学術的誠実性の危機
AI生成コンテンツによる引用文献の偽造(「半分が実在しない」)への懸念が表明された。「このようなレポートが社会全体に増えだすとやっかいで、一次文献が本物でも、引用先の二次文献、または三次文献が偽造文献を含んだ文献ということがありえます。真偽のチェックにAIを利用するとしても、チェック対象の文献が指数関数的に増加し難しくなるため、業界全体で早く対処しないと、生成AI以降に出版された出版物というだけで、割引いて見られてしまう可能性が生まれてくるかもしれません」
LLMの中立性バイアス(「LLMもほぼ学術的なコンセンサスを重視しておりその影響が大きいため、そこから得られる情報にも中立性バイアスが強くかかっている」)への認識も深められた。
検索制限と情報操作
加速主義の重要人物Beff Jezosについて、「マークされているのか、普通に加速主義について検索しても、ベフ・ジェソズは、その界隈では有名な人物ですが、でてきません。Claude 3は全く知らないとまで返答してきました」という観察は、AI情報空間における意図的な盲点の存在を示唆した。
知的探求の深化と方法論の進化
権力研究の系譜学的探求
Hannah Arendt(ハンナ・アーレント)、C. Wright Mills(C・ライト・ミルズ)、Antonio Gramsci(アントニオ・グラムシ)、Michel Foucault(ミシェル・フーコー)といった古典的権力理論家への回帰が進められた。「陰謀を探求するコミュニティーでほぼ触れられていない」という観察は、対抗知識の理論的基盤の脆弱性を浮き彫りにした。
批判理論の系譜を辿ることで、構造的権力分析と個別事例の陰謀論的解釈のバランスを取る試みが展開された。「両建ての議論は、学術的な議論や、専門家の視点では忌避される傾向にある」という認識のもと、より精緻な分析枠組みの構築が模索された。
認識論的概念の再検討
「作業仮説」という認識論的概念の探求、ナノテクノロジーの人類壊滅リスク、人体冷凍保存の確率論的評価など、科学哲学と未来リスク研究の交差点が検討された。
経済哲学のハンドブック、幸福の4大理論、東洋と西洋の狭間における日本の位置づけなど、多様な哲学的テーマが横断的に探求された。
AI支援による読解革命
「難易度9ぐらいの本。AIツールのおかげで、なんとか読み進められる」というNick Land作品への挑戦に象徴されるように、AIツールが高度な哲学的テキストへのアクセスを民主化した。
3月のClaude 3トークン量拡大(「本をまるまる一冊要約したり、著者と仮想対話することが可能になった」)により、書籍全体との対話的読解が可能になり、知的探求の質が飛躍的に向上した。
バランスの取れた分析への模索
「一方であらゆることが陰謀で成り立っているわけではないことは言うまでもない。学術レベルで陰謀を探求するコミュニティであっても、構造的な分析は不足している傾向がある。私の知る限り、バランスのとれた見方をする専門家は皆無だ」という認識のもと、構造的分析と個別事例分析の統合が追求された。
パンデミック対応における専門家予測の失敗から、「大方の専門家の予想が外れただけではなく、それには利害関係やプロパガンダなどの影響が従来考えられていたよりも大きなものとしてあったことが暴露されている。学術世界そのものが、相当に侵食されている可能性だ」という構造的腐敗への認識が深まった。
コミュニティの対話と成長
双方向性の強化
1月10日のテーマ募集開始以降、参加者からの積極的な情報提供と質問が継続した。鏡像生命(mirror bacteria)に関する情報共有、RO逆浸透膜浄水器の推薦、PubMedアクセス問題の報告など、実践的な知識交換が活発に展開された。
6月の会員制開始時には「初日からこれほど参加していただけるとは思っておらず、感激しております!」という投稿があり、コミュニティの具体化が進んだ。
技術的改善の継続
2月のアクセス数表示機能追加、過去ツイートのアーカイブ化(Twilog有料サービスの活用)、12月のサイト技術問題への対応など、インフラの継続的改善が図られた。
12月の一時的なアクセス不能時には、「サイトがまだ、調子がおかしくてアクセスできたり、できなかったり。原因調査中です。ご迷惑をおかけしております。ぺこり」という報告と、参加者からの状況確認により、コミュニティの相互支援体制が機能した。
中国語AIボットの出現
興味深い現象として、「中国についてのネガティブな記事を投稿した直後に、中国語のAIボットが入ってくる。最初は偶然の可能背も考えたが、これで2回目なので、何か関連しているのだろう。意図はよくわからんが」という観察があり、国際的な情報監視の実態が示唆された。
分断の問題意識
プラットフォームによる分断工作への警戒が強調された。「プラットフォームを抑えられているというのは、チョスドフスキー以上ですよね。断片化されてまとまらないだけではなく、非合理性の要素を利用して、個と個をぶつかりあわせることも可能。可能どころか、今のアルゴリズムは人と人との対立を煽るような仕組みになっている。商業ベースで説明がかのうなので、ここに陰謀は必要ない。ここをどう克服すべきなのか?」という問いかけは、並行社会構築という長期的課題への意識を示した。
批判的思考の実践
DOGEに対する評価では、「DOGEを批判する人は、正当な批判と揚げ足とる的な批判が入れ混じっていて、その必要性は認めつつも、バイアスと逆張りの心理的傾向を感じなくもない。一方、キャサリン・オースティン・フィッツは、DOGE批判をするグループの中では、筋の通った議論の範疇にあると感じる」という分析が示されたように、賛否両論を慎重に検討する姿勢が維持された。
2025年の到達点と展望
知的インフラとしての確立
12ヶ月間の継続的活動を通じて、Alzhacker図書館は単なる情報共有の場を超え、批判的思考のための知的インフラとしての性格を確立した。76本の記事共有、約1,415件の投稿を通じて、以下の4つの柱が構築された。
- AI技術の批判的活用:プロンプト改革(1月)からClaude 3トークン拡大(3月)、Claude 4制限強化(9月)への対応まで、AI能力の進化を活用しつつ、その危険性への警戒を維持した。
- 権力構造への多角的分析:古典的権力理論(Arendt、Mills、Gramsci、Foucault)の再評価、深層国家の歴史的犯罪追跡、製造された反対運動の暴露、プロパガンダ構造の解明を通じて、三次元的な権力分析が深化した。
- 哲学的基盤の深化:暗黒啓蒙思想(Nick Land)、加速主義(e/acc)、長期主義といった先端的思想潮流の探求により、既存の政治的枠組みを超えた分析視座が獲得された。
- 認識論的厳密性の追求:「両建て」概念の批判的検討、作業仮説の方法論、LLMの中立性バイアス認識、学術的誠実性危機への警告を通じて、認識論的な精緻化が進められた。
忖度なき対話の実践
Grokとのマルサス主義(人口削減)に関する対話、Catherine Austin FittsによるDOGE批判の評価、ロシアの信頼性獲得プロセスの分析など、タブーとされるテーマへの正面からの取り組みが継続された。
「今のところ、いくつかの方針に基づく偏向的な回答はあるけど、直接的な意図に基づいた説得や心理操作はないと信じている」という前提のもとでのAI活用は、技術と批判的思考の創造的統合を示した。
構造的課題への認識
プラットフォーム依存の危険性(「プラットフォームを抑えられているというのは、チョスドフスキー以上ですよね。断片化されてまとまらないだけではなく、非合理性の要素を利用して、個と個をぶつかりあわせることも可能」)、AI検索における意図的盲点(Beff Jezos検索不能)、中国語AIボットによる監視など、情報統制の新たな形態への警戒が深まった。
バランスへの模索
「一方であらゆることが陰謀で成り立っているわけではないことは言うまでもない」という認識のもと、陰謀論的解釈と構造的分析の統合、学術的厳密性と対抗知識の両立、批判的懐疑と建設的提案のバランスという、複数の緊張関係の中での知的誠実性の追求が年間を通じた特徴となった。
2026年への課題
並行社会構築という実践的課題、プラットフォーム依存からの脱却、分散型知識インフラの形成、「ここをどう克服すべきなのか?」という根本的問いへの答えの模索が、来年以降の中心的テーマとして浮上している。
認知的主権の擁護という根本的目標は、2025年を通じて一貫して追求され、AIツールの活用、権力構造分析の深化、思想的探求の拡大、そしてコミュニティの対話という具体的実践の中で現実化された。技術的制約とイデオロギー的圧力が強まる中、批判的知性のための空間を維持し拡大することの重要性が、かつてないほど明確になった一年であった。
