書籍要約『またもや騙された:選挙改革の真の論拠』 マーク・クリスピン・ミラー 2005年/2007年

民主主義・自由

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英語タイトル:Fooled Again:The Real Case for Electoral ReformMark Crispin Miller 2005/2007

日本語タイトル:『またもや騙された:選挙改革の真の論拠』 マーク・クリスピン・ミラー 2005年/2007年

目次

  • 序文 / Preface
  • 第1章 奇跡 / The Miracle
  • 第2章 票の集計を管理する / Taking Care of the Counting
  • 第3章 必要とされる熱狂 / The Requisite Fanaticism
  • 第4章 相手からされる前に相手にせよ / Do Unto Others Before They Do Unto You
  • 第5章 最も制御不能ながん / The Most Uncontrollable Form of Cancer
  • 第6章 整然とした選挙 / An Orderly Election
  • 第7章 最後のスキャンダル / One Last Scandal
  • エピローグ:/ Epilogue

本書の概要

短い解説:

本書は、2004年のアメリカ大統領選挙における組織的な不正と選挙制度の脆弱性を詳細に検証し、抜本的な選挙改革の必要性を訴えることを目的とする。特にオハイオ州を焦点に、有権者排除、投票機の操作、メディアの沈黙など、民主主義の根幹を揺るがす問題を明らかにする。政治や民主主義の健全性に関心のある一般読者に向けた告発の書である。

著者について:

著者マーク・クリスピン・ミラーは、ニューヨーク大学のメディア研究教授であり、『The Bush Dyslexicon』などの著書で知られる批評家・政治評論家である。ブッシュ政権の言説やメディア操作を批判的に分析してきた。本書では、膨大な証言、文書、データを駆使して、2004年選挙が「盗まれた」ことを主張し、党派を超えた民主的制度の防衛を呼びかける。

テーマ解説

  • 主要テーマ:選挙不正と民主主義の危機 – 2004年大統領選挙を事例に、制度的・技術的・人的要因が組み合わさった大規模な選挙不正の実態を暴く。
  • 新規性:包括的な不正の「青写真」の提示 – 単発的な違反ではなく、全国規模で調整された、有権者登録から投票集計・再集計に至るまでの体系的妨害工作を描き出す。
  • 興味深い知見:神政主義的運動と選挙不正 – 選挙不正を、原理主義的キリスト教右派の「神政主義的運動」による民主主義への攻撃として位置づける視点。

キーワード解説(2~7)

  • 選挙改革:電子投票の廃止、紙の投票用紙の標準化、選挙日の連邦休日化、メディア改革など、民主的な選挙を確保するための具体的政策提言。
  • オハイオ州:2004年選挙の帰趨を決した激戦州。著者が不正の核心として最も詳細に分析する舞台。
  • 投票機械会社:(Diebold, ES&S, Triad):選挙インフラを提供する企業と共和党との緊密な関係、およびその機械・ソフトウェアを介した不正操作の疑い。
  • 有権者抑圧:登録抹消、投票所での過少配置・長待ち行列、脅迫、虚偽情報の流布など、特定(主に民主党支持)層の投票を阻害する多様な手法。
  • メディアの失敗:不正の証拠を無視・嘲笑し、政権の主張を無批判に伝える「リベラルメディア」とされる主要メディアの姿勢を批判。
  • 投影 (プロジェクション):著者が用いる心理学用語。不正を行う側が、自分たちの不正を「相手がやろうとしている」と主張して先制攻撃を正当化する心理機制。

3分要約

本書は、2004年のブッシュ大統領再選が、広範で組織的な選挙不正によって「盗まれた」と主張する、詳細な調査報告である。著者は、この不正が単なる違反行為の集合ではなく、共和党とキリスト教右派による「神政主義的運動」が民主主義そのものを蝕むための体系的企てであったと断じる。

序文で著者は、2004年の選挙の真実を検証する目的は、ケリーを大統領にすることではなく、選挙制度の完全性を取り戻し、2008年以降の選挙が同様に操作される未来を防ぐためだと述べる。第1章「奇跡」では、出口調査と公式集計の乖離、ブッシュの低い支持率にもかかわらずの「圧勝」など、統計的に不可解な点を「奇跡」と皮肉り、不正の疑いをほのめかす。

第2章以降、分析の焦点はオハイオ州に絞られる。同州の州務長官であり、同時にブッシュ陣営の共同議長でもあったケネス・ブラックウェルを中心に、有権者登録用紙の受理拒否、暫定投票の制限、投票機の不適切な配分による民主党支持地域での長時間待機など、投票前に有権者を排除する様々な「合法的」手段が明らかにされる。選挙当日には、投票機の故障、票の転換、共和党支持地域での異常な得票率など、無数の不審事象が発生した。

さらに不正は投票後も続いた。トリアド社などの投票機業者が再集計の過程で機械を操作し、手集計と機械集計が一致するよう「カンニングペーパー」を配布したとされる。著者は、下院司法委員会民主党スタッフによる報告書『民主主義を守る:オハイオ州で何が間違ったか』を主要な典拠とし、その内容がマスメディアによってほぼ完全に無視されたことを、メディアの重大な怠慢として批判する。

第3章「必要とされる熱狂」と第4章「相手からされる前に相手にせよ」では、不正を可能にした思想的・心理的背景に迫る。著者は、不正に関与した者たちが、自分たちは「悪魔的存在」である民主党から選挙を「守る」ための「先制攻撃」を行っていると信じ込む、一種の妄想的熱狂に駆られていたと分析する。クラレンス・トーマス最高裁判事の承認公聴会やトム・ディレイ議員らの言動を例に、自己の不正を相手に投影し、激怒しながら否認する「投影」の心理機制を指摘する。彼らは、民主党が大規模な不正を計画しているという虚構を喧伝することで、自らの不正を正当化した。

最終章とエピローグでは、このような選挙不正がアメリカ民主主義に対する「最も制御不能ながん」であると警告し、電子投票の廃止、連邦選挙制度の確立、選挙 ファイナンス改革、メディア改革など、抜本的な改革案を提言する。著者の結論は明確である。2004年の不正を「水に流す」ことなく真実を直視し、民主的制度を「神政主義的過激派」の手中から奪還しなければ、民主主義は終わりを迎えるだろう。

各章の要約

序文

著者は、2008年およびそれ以降の選挙の健全性が、抜本的な選挙改革の実現にかかっていると問題提起する。2004年選挙を振り返る目的は、ケリーを大統領に据えることではなく、不正の実態を明らかにし、党派を超えて選挙制度そのものを守るための改革運動の礎とすることである。ブッシュ陣営が選挙を「盗んだ」可能性に心を開き、新たな調査を要求することは、この共和国の健全性のための認知上かつ道徳上の重要な行動であると訴える。

第1章 奇跡

2004年のブッシュ大統領の「圧勝」は、その低い支持率、民主党の結束と高い投票率、共和党内の離反、出口調査との矛盾などから見て、統計的に「奇跡的」であり、不可解である。キリスト教右派の台頭や「道徳的価値観」だけでは説明がつかない。この章では、これらの不可解な点を列挙し、選挙結果そのものに重大な疑問が投げかけられていることを示唆する。著者はこう述べる。「ブッシュの勝利は、その規模において奇跡的であった。」

第2章 票の集計を管理する

この章では、オハイオ州で発生した具体的な選挙不正の事例を、下院司法委員会民主党スタッフ報告書『民主主義を守る』に基づいて詳細に検証する。州務長官ブラックウェルによる有権者登録妨害、暫定投票制限、投票機の不平等配備など、選挙前・選挙当日の組織的な有権者排除工作が明らかにされる。さらに、トリアド社などの企業が再集計過程で機械を操作し、不正を隠蔽した疑いが示される。報告書の重大性にもかかわらず、主要メディアがこれを無視したことが、不正を看過させる役割を果たしたと批判する。

第3章 必要とされる熱狂

大規模な選挙不正を持続させるには、単なる打算以上の「熱狂」が必要であると著者は論じる。クラレンス・トーマスの公聴会での演説やトム・ディレイら共和党過激派の言動を分析し、彼らが自己の攻撃性や不正を「敵」に投影し、激しい怒りとともに否認する心理機制(投影)に着目する。この「必要とされる熱狂」は、自分たちは悪との聖戦を戦っているという妄想的確信に支えられており、選挙不正も「邪悪な民主党」から国を守るための「先制攻撃」として正当化される。

第4章 相手からされる前に相手にせよ

この章では、2004年選挙不正を可能にした思想的背景として、「投影」のメカニズムが具体的に検証される。共和党および右派メディアは、2000年選挙以降、一貫して「民主党が選挙を盗もうとしている」という主張を喧伝してきた。2004年においても、実際には共和党側が大規模な不正工作を行いながら、その一方で民主党の些末な不正を誇張し、「民主党が選挙を盗む計画」があるとプロパガンダを展開した。著者は、この「先制攻撃」のレトリックが、イラク戦争の正当化と同根の心理に基づくものであると指摘する。彼らは自分たちが「邪悪な相手」から攻撃される前に、先に相手を叩くことが正当であると信じ込んでいる。

第5章 最も制御不能な癌

人種的マイノリティ(特にアフリカ系アメリカ人とヒスパニック)と学生に対する、組織的な投票妨害に焦点を当てる。テキサス州での黒人大学生への投票権否定、偽のNAACPレターによる脅迫、ヒスパニック有権者票の「スポイル」(無効化)など、具体的な事例を詳細に検証する。これらの行為を、選挙制度に対する「最も制御不能な癌」と表現し、民主主義の根幹を蝕むと訴える。

第6章 整然とした選挙

投票日当日に全国で発生した混乱と不正を、各州の報告に基づいて描き出す。民主党支持地域での長い列、頻発する投票機の故障と票の転換、共和党員による投票所での挑発的行為などが記録される。フロリダ州では、不在者投票の未配布やゴミ箱行き、電子投票機の「不具合」が特に深刻だったと指摘する。当局が「整然とした選挙」と称したものの実態は、広範な有権者抑圧だったと結論付ける。

第7章 最後のスキャンダル

海外に居住するアメリカ人(在外投票者)の投票権が、国防総省の連邦投票支援プログラム(FVAP)ウェブサイトの不当な停止や、州の事務処理の遅延によって体系的に妨害されたことを明らかにする。特に軍人以外の在外市民(多くがケリー支持と予想された)が投票用紙を受け取れなかった事例を詳述し、これが最終的な票差に影響を与えた可能性を示唆する。全世界のアメリカ人投票という「最後のスキャンダル」が隠蔽されたと主張する。

エピローグ

ブッシュ政権が「4年の延長」を勝ち取った直後の政治的風景を描く。保守派団体ヘリテッジ財団が、ケリーが正式に敗北を認める前に勝利宣言のメールを送信したことに象徴されるように、共和党は速やかに「勝利」の物語を定着させようとした。一方で、民主党とメディアは、不正の証拠を真剣に追及せず、むしろ「陰謀論」として一笑に付した。著者は、改革運動が起こるためには、まず2004年のスキャンダルを直視する必要があると訴える。不正を「乗り越える」のではなく、それを改革の原動力としなければならないと主張する。

アフターワード:否定の状態

本書刊行後の展開を記す。著者はジョン・ケリー上院議員と会い、ケリー自身が選挙が「盗まれた」と確信しながらも「負け惜しみ」と見られることを恐れて公に発言できないと語ったことを報告する。しかし、ケリー事務所はこの会話を否定した。このエピソードは、民主党指導部が選挙不正の問題を政治的リスクとして避け続けている「否定の状態」を象徴していると論じる。また、ロバート・F・ケネディ・ジュニアやガバメント・アカウンタビリティ・オフィス(GAO)の報告など、その後も不正の証拠が提示され続けたにもかかわらず、主流メディアと政治エスタブリッシュメントがこれを無視し続けた状況を批判する。2006年中期選挙でも不正は継続したが、その結果が政権与党への大きな打撃となったことで、ようやく不正の実態が部分的に明るみに出たと述べる。結論として、真の民主主義を回復するためには、有権者自身が目を覚まし、選挙制度の根本的な改革を要求し続ける必要があると強く訴える。


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