
対談分析:ブレント・ジョンソン「共和制の衰退と帝国の台頭」
タイトル
- 英語タイトル『Brent Johnson: Decline of the Republic, Rise of the Empire』
- 日本語タイトル『ブレント・ジョンソン:共和制の衰退と帝国の台頭』
主要トピック(時系列)
- 0:00 導入とブレント・ジョンソンの紹介
- 0:33 投資マネージャーとしての視点と地政学の重要性
- 1:42 アメリカ帝国の衰退論への反論
- 4:27 ドルミルクシェイク理論の説明
- 9:08 アメリカの相対的優位性
- 12:25 トランプ政権下の帝国戦略の継続
- 18:33 ステーブルコインとブレトンウッズ3.0
- 26:34 デバンキングと社会信用システムの危険性
- 31:28 ステーブルコインによる通貨覇権の強化
- 38:39 BRICSの限界と多極化の幻想
- 42:02 第三次世界大戦の可能性
- 44:56 ネオ封建主義と世界経済の展望
- 49:31 投資アドバイス:分散投資の重要性
登場人物
フルボイエ・モリッチ(Hrvoje Morić):Radio Geopolitics and Empireのホスト。アメリカ生まれの国際ジャーナリスト。20年間の海外在住経験を持ち、アメリカ帝国の衰退論を長年追跡してきた。
ブレント・ジョンソン(Brent Johnson):サンティアゴ・キャピタル(Santiago Capital)の投資マネージャー。プエルトリコを拠点とし、サンフランシスコとニューヨークでキャリアを積んだ。マクロ経済と地政学を統合した投資戦略で知られ、「ドルミルクシェイク理論」の提唱者として著名である。
対談の基本内容
短い解説
本対談は、投資マネージャーのブレント・ジョンソンが、アメリカ共和制の衰退と帝国の台頭が同時進行している現状を分析し、ドルミルクシェイク理論とステーブルコインによる新たな通貨覇権の可能性を論じるものである。
著者について
ブレント・ジョンソンは、サンフランシスコとニューヨークで投資キャリアを積み、現在プエルトリコを拠点とする投資マネージャーである。マクロ経済分析に地政学的視点を統合したアプローチで知られ、2018年に提唱した「ドルミルクシェイク理論」は、世界的な資本の流れを予測する枠組みとして注目を集めた。彼の分析は、アメリカ帝国の構造的優位性と、その力学が今後も継続するという見方に基づいている。
重要キーワード解説
- ドルミルクシェイク理論:金利上昇局面において、世界中の資本がドルに吸い上げられ、アメリカ資産価格を押し上げるという理論
- ステーブルコイン:ドルにペッグされたデジタル通貨で、新たなユーロダラー市場として機能し、アメリカの通貨覇権を強化する可能性を持つ
- 共和制の衰退と帝国の台頭:アメリカ国内の民主的制度が弱体化する一方で、対外的な帝国としての拡張が進行するという二重の過程
- 相対的ゲーム:覇権争いは絶対的な能力ではなく、他国との相対的な優位性によって決まるという認識
- ドル化経済:外国の国内経済においてドルが自国通貨に取って代わる現象
本書の要約
投資マネージャーのブレント・ジョンソンは、アメリカ帝国に関する一般的な衰退論に異議を唱える。多くの論者がアメリカの衰退を語るが、ジョンソンの見解では、我々が目撃しているのはアメリカ共和制の衰退と帝国の台頭の同時進行である。ローマの例を引き合いに出し、共和制の崩壊から帝国の崩壊まで400年かかったことを指摘する。アメリカの問題は確かに深刻だが、それは相対的なゲームであり、他国も同様かそれ以上の問題を抱えている。
ジョンソンの代表的な理論であるドルミルクシェイク理論は、2018年から2019年に提唱された。当時の低金利・マイナス金利環境において、世界的な債務が膨張していた。金利上昇局面では、この債務が問題を引き起こし、通貨危機につながると予測した。多くの人々は、この危機がアメリカに不利に働くと考えたが、ジョンソンは逆に、金利上昇が資本をドルに引き寄せ、アメリカ資産価格を押し上げると主張した。誰がお金を刷るかではなく、誰がそれを捕獲するかが重要であり、アメリカは最も太いストローを持っている。過去5〜6年の展開は、この枠組みを概ね裏付けている。アメリカ株式は上昇し、金は上昇し、ドルは外国通貨に対して上昇した。
ステーブルコインは、ジョンソンが当初見落としていた領域である。10年前から存在していたが、関係者への感情的反応から、その技術的可能性を過小評価していた。しかし、ジーニアス法の可決により、アメリカ政府がステーブルコインを公式に承認したことで、その戦略的重要性を再認識した。ステーブルコインはデジタル化されたドルであり、従来のユーロダラー市場よりも高速で効率的、そしてアクセスしやすい。スマートフォンとインターネット接続があれば、世界中の誰もがドル市場に直接アクセスできる。
この新システムの戦略的意味は深遠である。通貨は軍隊や警察と並んで、国家が持つ最も重要な統治手段である。外国政府が自国の国内経済で使用される通貨を支配できなくなれば、その政府は実質的に権力を失う。南アフリカ、トルコ、エジプト、ボリビアなど、自国通貨がドルよりも弱い国々では、住民が急速にステーブルコインを採用する可能性がある。これはドル化経済を加速させ、各国政府から通貨主権を奪う。アメリカ政府が、すべての取引をステーブルコインで行うと宣言すれば、世界中の企業や政府がこのシステムに参加せざるを得なくなる。
ヨーロッパはユーロのステーブルコインを、中国は人民元のステーブルコインを開発しようとしているが、自国通貨がドルより好まれない国々では、自国版を作っても住民はドル版を選択する可能性が高い。各国政府は検閲、法律の制定、インターネットの遮断などで対抗できるが、それは国内の社会的混乱を招く。イランの夜間抗議デモのように、政府が自国民と戦わなければならない状況は、政権にとって好ましくない。
デバンキングと社会信用システムの危険性についても、ジョンソンは認識している。国家はすでに通貨を支配しており、ステーブルコインはその支配を強化する手段である。これは長期的には非常に悪い結末につながる可能性がある。しかし、この問題を理解している人々は全体の1%程度であり、残りの99%は、便利で効率的だからという理由でステーブルコインを採用する。批判が正しくても、それが採用を止めることはない。
BRICSと多極化についてジョンソンは懐疑的である。毎年会議を開き、同じ内容の声明を繰り返すのは容易だが、実際の物質的変化はほとんど見られない。ブラジル、ロシア、中国は確かに強力な国家だが、相対的ゲームの観点から見れば、アメリカの優位性を覆すには至っていない。アメリカの罪を他国の徳と同一視する誤りを犯してはならない。すべての国が現在のシステムから脱却したいと望んでいるが、願望と能力は別物である。
第三次世界大戦の可能性については、ジョンソンも懸念を表明する。トゥキディデスの罠(既存の大国と新興勢力の間の構造的緊張)が現実化しつつあるように見える。歴史は、平和の時代が紛争の時代へと揺り戻すサイクルを示している。国家が困難に直面すると、自らの失敗を認めるのではなく、「邪悪な外国人」を非難する。軍事紛争は国家主義を煽り、資源を動員し、平時には不可能な法律を制定することを可能にする。これはゲーム・オブ・スローンズであり、暴力を伴わない権力闘争を想像するのは困難である。
世界経済の展望については、ジョンソンは大恐慌2.0論には与しない。政府の経済介入は自由市場主義者としては好ましくないが、それは特定の産業や国家目標に追い風をもたらす。トランプ政権が引き起こしている混乱は、最初のショックを乗り越えれば、実は安定性をもたらす可能性がある。中南米諸国がアメリカと協力し、中国の影響から脱却してリショアリングを進めれば、半球全体が成長できる。1年の混乱の後に5年の成長が来て、再び混乱が訪れるというシナリオも考えられる。
権威主義体制は、市場や投資家から必ずしも嫌われない。完全な自由市場では可能性の幅が広すぎるが、権威主義体制は結果の範囲を限定する。この確実性の減少を市場は好む。AIによるデフレ圧力が、インフレ効果を相殺する可能性もある。エネルギー資源が豊富で、原油価格が50ドル程度で安定すれば、今後4〜5年間は大きな成長が見込める。過去5年と同様に、資産価格の大幅な上昇と、途中2〜3回の恐ろしい下落が交互に訪れるだろう。
投資アドバイスとして、ジョンソンは分散投資を推奨する。すべての人が金を保有すべきであり、保険目的でも良い。不動産は自宅であれ賃貸物件であれ、生産的資産として重要である。現金または短期債券の準備も必要である。インフレ率6%の環境で3%しか得られなくても、暴落時に安値で買える乾いた火薬(ドライパウダー)を持つことの価値は大きい。また、スリープ・アット・ナイト・マネー(安心して眠れるお金)という概念も重要である。現金があれば市場が20〜25%下落しても冷静でいられ、明確な思考ができる。すべてに正しくある必要はなく、すべてに備えることが重要である。
特に印象的な発言や重要な引用
「我々が目撃しているのはアメリカ共和制の衰退ですが、まだ帝国は始まっていないと思います。共和制の衰退と帝国の台頭が同時進行しているという良い議論ができると思います。」
「重要なのは誰がお金を刷るかではありません。重要なのは誰がそれを捕獲するかです。アメリカは様々な理由で最も太いストローを持っており、その資本を吸い上げていくのです。」
「ステーブルコインは、当初帝国の壁を打ち破るために作られたと思われていましたが、今では壁をより高く、より厚く構築している、あるいはその可能性を持っていると私は主張します。」
「エルドアンの言葉は素晴らしい表現です。『テーブルについていない者は、メニューの上にいる』。これがまさに今起きていることです。」
申し訳ありません。完全に私のミスです。
指示では「回答文書はすべて、常体「~である」調で記述してください」と明記されていました。「スピーカーの発言は全員、敬体(ですます調)で翻訳してください」という指示は、対談者の直接発言を翻訳する場合の指示であり、サブトピックの要約文(私が書く解説文)には適用されません。
サブトピック部分を常体(である調)に修正いたします:
サブトピック
0:33 マクロ視点と地政学の融合
ブレント・ジョンソンは、投資における自身のアプローチを説明する。彼はマクロ経済の視点から資産を分析するが、現代においてマクロ環境を地政学抜きに理解することは不可能だと述べる。投資への興味が世界への興味から生まれたのであり、その逆ではない。現在の状況は狂気じみており、ある意味衝撃的だが、同時にエキサイティングでもある。投資の世界に身を置く者にとって、これは「スーパーボウル」、つまり最大の試合なのである。
1:42 共和制の衰退と帝国の台頭
アメリカ帝国の衰退論への反論として、ジョンソンは独自の視点を提示する。彼はアメリカ共和制の衰退と帝国の台頭が同時進行していると主張する。多くの人々がアメリカをローマと比較するが、共和制の崩壊から帝国の崩壊まで400年かかったことを見落としている。紀元前65年頃にカエサルがルビコン川を渡ってから350〜400年後も、ローマは超大国だった。アメリカの壮大な崩壊と、他国による真空の埋め合わせを期待する人々は、事態をあまりに単純化している。
4:27 ドルミルクシェイク理論の核心
ドルミルクシェイク理論は、特定のイベントの予測ではなく、枠組みに基づく予測である。2018〜2019年当時、世界中で金利がゼロやマイナスになり、債務が膨張していた。ジョンソンは金利上昇がこの債務に問題を引き起こし、深刻な通貨危機を招くと考えた。多くの人々は、これがアメリカに不利に働くと予想したが、彼は逆に、金利上昇が資本をドルに引き寄せ、アメリカ資産に流入すると考えた。誰がお金を刷るかではなく、誰がそれを捕獲するかが重要であり、アメリカは最も太いストローを持っている。
9:08 相対的優位性という視点
アメリカを単独で分析すれば、債務、人口動態、財政赤字、貿易赤字、政治的対立、社会的混乱など、悲惨な結論にしか至らない。しかし、同じレベルの精査を中国、ロシア、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリアに適用すれば、これらの場所も同じ問題を抱えており、多くの場合アメリカよりも深刻である。しかも、アメリカが持つ優位性を持っていない。システムは多くの点でアメリカに有利に作られている。覇権争いは相対的な戦いであり、絶対的なゲームではない。世界全体が下降しても、アメリカはその頂点に留まるだろう。
12:25 帝国戦略の継続性
過去1年間のトランプ政権下で見られた動きは今後も続くとジョンソンは予測する。民主党政権でも同様の動きが見られるはずだが、同じ熱意では受け入れられないかもしれない。すべての国が自国の立場を争っており、これは存亡の問題である。グローバリゼーションへの振り子が数十年間揺れた後、今は脱グローバリゼーションの方向に揺れ戻している。アメリカは間違いなく過ちを犯すが、戦闘に負けることと戦争に負けることは別である。ベネズエラ作戦は非常にうまくいったが、将来の作戦が同様に成功する保証はない。
18:33 ステーブルコインという革命
ジョンソンは当初、ステーブルコインを見落としていた。関係者への感情的反応が、技術の可能性を見誤らせたのである。しかし、ジーニアス法の可決により、アメリカ政府がステーブルコインを公式に承認したことで、状況が変わった。ステーブルコインはデジタル化されたドルであり、従来のユーロダラー市場よりも高速、安価、効率的で使いやすいシステムである。スマートフォンとインターネット接続があれば、発展途上国の個人や機関でも、新しいユーロダラーシステムに自由にアクセスできる。これは過去50年で最大級の通貨システムの革新である。
26:34 デジタル統治の暗黒面
ステーブルコインには重大な欠点がある。通貨は軍隊や警察に次いで、国家が市民を励ましたり制限したりする最大のツールである。別の国が自国の国内経済で使用される通貨を支配し始めれば、その国内政府は統制力を失う。通貨を支配できない国は、長期間権力を維持できない。南半球や発展途上国の機関や個人は、自国通貨がドルよりも弱いため、これらを急速に採用するだろう。これはドル化経済を加速させ、地方政府から権力を吸い上げる。デバンキングは記録的な高さに達しており、思想犯罪による排除が増加している。
31:28 ドル化の戦略的武器化
ステーブルコインの戦略的意味は深遠である。アメリカ政府がすべての取引をステーブルコインで行うと宣言すれば、アメリカとビジネスをしたい人々は、このウォレットを持たなければならない。突然、Fedシステムやユーロダラーシステムのデジタル表現ではなく、ステーブルコイン形式のドル残高を持つことになる。これは従来のユーロダラー市場よりも速く、安く、効率的で、使いやすいものである。プライベートな観点からは非常に魅力的だが、欠点は国家レベルでの統制が強まることである。これは世界的な善ではなく、武器として機能する可能性がある。
38:39 BRICSの限界と幻想
ジョンソンはBRICSの多極化言説に懐疑的である。毎年会議を開いて前年の声明を並べ替えただけの同じ内容を繰り返すのは簡単だが、実際に実施された物質的変化はほとんどない。いくつかの小規模プログラムが開発され、少数の取引が行われたが、それは広範なグローバル採用とは異なる。BRICS通貨の台頭に関する多くの議論は、率直に言えばナンセンスである。ブラジル、中国、ロシアは確かに強力な国々だが、これは相対的なゲームである。アメリカが勝てないと言う人々は、BRICSが負けるはずがないと言うが、それは論理的に一貫していない。
42:02 戦争という現実的脅威
第三次世界大戦の可能性については、ジョンソンも最大の懸念として認識している。トゥキディデスの罠が展開されているように見える。歴史は、平和の時代が紛争の時代へと揺り戻すサイクルを示している。17歳の息子が知らない人と戦うために世界の反対側に行くことは、個人的には最悪の事態である。しかし、感情を排除して客観的に見れば、そこに向かっているように感じられる。国々が困難に直面すると、自らの過ちの責任を取らず、「邪悪な外国人」を非難する。軍事紛争は国家主義を煽り、通常は制定できない法律を制定することを可能にする。
44:56 グローバル経済の展望
ジョンソンは大恐慌2.0論には与しない。その可能性を排除せず、準備する必要はあるが、すべてを賭ける必要はない。政府の経済介入は自由市場主義者として好ましくないが、それは特定の産業や国家目標に追い風をもたらす。トランプ政権の引き起こしている混乱は、最初のショックを乗り越えれば、実は安定性をもたらす可能性がある。中南米がアメリカと協力すれば、半球全体が利益を得られる。1年の混乱、5年の成長、そして再び混乱というシナリオも考えられる。権威主義体制は市場の不確実性を減らすため、投資家に好まれることがある。
49:31 賢明な投資戦略
ジョンソンは分散投資を推奨する。すべての人が保険目的でも金を保有すべきである。不動産は自宅であれ賃貸物件であれ重要である。現金または短期債券の準備も必要である。インフレ環境で損失を被っても、暴落時に安値で買えるドライパウダー(乾いた火薬)を持つ価値は大きい。また、現金があれば市場が20〜25%下落しても冷静でいられる。この精神的明晰さは測定できないが、否定的環境での意思決定を改善する。すべてに正しくある必要はなく、すべてに備えることが重要である。特定の見解にすべてを賭ける必要はない。
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