書籍要約『民主主義を「安全」にすること:企業プロパガンダ対自由と解放』アレックス・ケアリー 1997

トランスナショナル資本家階級(TCC)・資本主義情報操作・社会工学

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『Taking the Risk Out of Democracy: Corporate Propaganda versus Freedom and Liberty』Alex Carey 1997

『民主主義を「安全」にすること:企業プロパガンダ対自由と解放』アレックス・ケアリー 1997

目次

  • 第一部 アメリカのマインドを閉ざすこと / Closing the American Mind
  • 第1章 アメリカ・プロパガンダの起源 / The Origins of American Propaganda
  • 第2章 初期の年月 / The Early Years
  • 第3章 最初のアメリカ化運動 / The First Americanization Movement
  • 第4章 マッカーシー十字軍 / The McCarthy Crusade
  • 第5章 真実の再形成 / Reshaping the Truth
  • 第二部 自由企業説得の輸出 / Exporting Free-enterprise Persuasion
  • 第6章 草の根および樹冠プロパガンダ / Grassroots and Treetops Propaganda
  • 第7章 説得の輸出 / Exporting Persuasion
  • 第8章 オーウェルの転換 / The Orwell Diversion
  • 第三部 社会科学におけるプロパガンダ / Propaganda in the Social Sciences
  • 第9章 人間関係アプローチ / The Human Relations Approach
  • 第10章 産業説教師たち / The Industrial Preachers
  • 第11章 ホーソン研究:批判 / The Hawthorne Studies: A Criticism

本書の概要

短い解説:

本書は、20世紀のアメリカを中心に、民主主義社会において企業利益を守るために大規模に展開されたプロパガンダの歴史と手法を実証的に分析する。民主主義がもたらす「リスク」から企業権力を守るために、いかにして世論操作がシステマティックに行われてきたかを明らかにすることを目的としている。

著者について:

著者アレックス・ケアリーは、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学で心理学と産業関係論を講じた研究者であり、オーストラリア人道主義協会の創設メンバーでもあった。ベトナム戦争反対運動で知られる公共知識人として、民主主義と社会正義に関する問題に深く関与した。本書では、膨大な一次資料に基づいて企業プロパガンダの実態を実証的に分析する。

テーマ解説

  • 主要テーマ:民主主義社会における企業プロパガンダの歴史的展開とその影響

  • 新規性:アメリカで発展した世論操作技術がオーストラリアなどへ「輸出」される過程の実証的分析

  • 興味深い知見:民主主義の手続きを維持しながら実質的に企業権力を保護する「管理された民主主義」の構築

キーワード解説

  • 企業プロパガンダ:企業が自らの利益のために世論を操作する組織的活動

  • 民主主義の管理:形式的な民主的手続きを維持しながら実質的な企業支配を確立する手法

  • 世論操作:広告、PR、経済教育などを通じて大衆の意識を形成する技術

3分要約

20世紀は、民主主義の成長、企業権力の成長、そして民主主義に対する企業権力を保護する手段としての企業プロパガンダの成長によって特徴づけられる。本書はこの三つの発展の相互作用を、主にアメリカとオーストラリアの事例を通じて検証する。

アメリカでは、20世紀初頭の参政権拡大により企業権力が民主的統制に晒される危険性が生じた。これに対応して、企業は世論を管理する大規模なプロパガンダ装置を開発した。第一次世界大戦での戦時プロパガンダの成功は、平和時の民主主義管理にも応用可能であることを示した。

1912年から始まった「アメリカ化運動」は、移民労働者の「文化的浄化」を名目としながら、実際には労働運動全体に対する攻撃として機能した。この運動は愛国心や国家の安全と企業利益を結びつける手法を確立し、後のマッカーシズム時代の先駆けとなった。

第二次世界大戦後、アメリカ企業はニューディール政策と労働組合の成長に対する反撃として、前例のない規模のプロパガンダキャンペーンを展開した。全国製造業者協会(NAM)や商工会議所を中心に、新聞、ラジオ、学校、職場を網羅する説得ネットワークが構築され、「自由企業システム」の美徳と「社会主義的」政府介入の危険性が繰り返し宣伝された。

この企業プロパガンダの体系は、1970年代以降、オーストラリアをはじめとする他の西側民主主義国へと「輸出」されていった。エンタープライズ・オーストラリアなどの組織を通じて、アメリカで開発された草の根レベルとエリートレベルでの世論操作技術が移植された。

社会科学、特に産業心理学と人間関係論は、この企業プロパガンダ装置に科学的正当性を提供する役割を果たした。ホーソン研究に代表される一連の研究は、労働者の動機づけにおいて経済的報酬よりも社会的満足が重要であるという結論を導き出したが、ケアリーはこれらの研究の方法論的欠陥と結論の作為性を批判する。

本書の核心的な主張は、オーウェルの『1984年』が警告したような左翼全体主義よりも、企業スポンサーによる「管理された民主主義」の方が西側社会にとって現実的な脅威であるという点にある。民主主義の形式的構造を維持しながら、プロパガンダを通じて実質的な企業支配を確立するというこの手法は、より洗練され、より危険な自由の侵害である。

各章の要約

第一部 アメリカのマインドを閉ざすこと

第第

民主主義社会におけるプロパガンダの重要性は、権力と特権の既存の分配が世論の変化に対して脆弱であることから生じる。アメリカでは、商業広告とPRの形をとったプロパガンダ活動が、他のどの国よりも長い間、比類のない技術と研究によって磨き上げられてきた。アメリカ社会に固有のマニチャイズム的世界観(善悪二元論)と実用主義的傾向が、プロパガンダに対する感受性を高めている。愛国的感情と反共産主義の操作が、アメリカのプロパガンダに並外れた心理的力を与えてきた。

第第

20世紀の三つの重要な政治的発展は、民主主義の成長、企業権力の成長、そして民主主義に対する企業権力を保護するための企業プロパガンダの成長である。アメリカ企業は、民主主義と労働組合からの潜在的脅威に対処する手段として、企業内外でのプロパガンダの使用法を学んだ。1919年の大規模な鉄鋼ストライキでは、企業による世論操作がストライキ敗北の決定的要因となった。1930年代の大恐慌期と第二次世界大戦後には、企業による大規模な世論への攻撃が展開され、アメリカ政治を保守化させるのに貢献した。

第第

第一次世界大戦前のアメリカ化運動は、移民労働者の政治的意見を管理する方法としてビジネス利益によって開始された。この運動は後に、移民労働者と急進的労働組合の連合というイメージを作り出すことで、自由主義者と組合全体を信用失墜させるのに利用された。この運動は愛国心の高揚と結びつき、7月4日の独立記念日として国民的祝典に変容していった。この運動は、外国生まれの労働者に対する文化的偏見を愛国的儀式に埋め込むことに成功した。

第第

マッカーシー時代の偏執と不寛容は、アメリカの歴史において独特な現象ではなかった。それは、第一次世界大戦前からアメリカ国民に課せられてきたプロパガンダとマインドコントロールの極端ではあるが典型的な形態を代表していた。マッカーシーの反共十字軍は、アメリカの国内政治と外交政策に5年間にわたって並外れたオーウェル的/カフカ的コントロールを行使した。このキャンペーンは、アメリカのマインドに批判的思考に対する耐性がないことを示すものだった。

第第

ウィリアム・ジェームズとジョン・デューイの実用主義哲学は、信念の真理性をその結果によって判断する立場をとった。この見方は、強力な個人や国家がどの信念を「良い」または「真実」と呼ぶべきかを決定する権利を与えるものだとバートランド・ラッセルは警告した。この実用主義的視点は、企業プロパガンダと驚くべき態度の一致を示しており、両者は社会的に有用な結果をもたらす限りにおいて虚偽の信念の促進を正当化する。

第二部 自由企業説得の輸出

第第

オーストラリアへのアメリカ式世論管理技術の導入は、時間的遅れを伴って発生している。草の根プロパガンダは一般大衆を対象とするのに対し、樹冠プロパガンダは社会の指導者層に影響を与えることを目的とする。企業が資金提供するシンクタンクは、公共討論の条件を設定し、政治課題を企業利益に有利な形で決定する役割を果たしている。この開発は、民主主義の核心である選挙過程そのものを支配しようとする試みである。

第第

オーストラリアにおける政治的リスクからの民主主義保護技術は、ほとんどすべてがアメリカから直接輸入されたものである。エンタープライズ・オーストラリアをはじめとする組織は、アメリカ経済財団などのモデルに基づいて設立され、学校、職場、一般社会を対象とした自由企業イデオロギーの普及に取り組んでいる。この企業スポンサーによる世論管理活動に対するオーストラリア社会の抵抗要因も存在するが、その歴史的優位性は侵食されつつある。

第第

ジョージ・オーウェルの『1984年』に関する警告は、自由民主主義に対する将来の脅威について大きく誤解されていた。オーウェルの作品は、世論操作の現実的な脅威が「尊敬すべき右翼」から来ているにもかかわらず、人々が間違った場所で「洗脳」を探すように仕向けるために利用されてきた。民主主義の形式的構造を維持しながらプロパガンダを通じて実質的な企業支配を確立するというこの手法は、より洗練され、より危険な自由の侵害である。

第三部 社会科学におけるプロパガンダ

第第

アメリカにおける労働者動機づけと行動に関する理論と研究は、1940年代から1970年代にかけて、「人間関係」学派によって支配されていた。この伝統は、労働者の動機づけと行動が金銭的・物質的報酬以外の何かによってより重要に影響されるとする理論と「証拠」を絶えず生産してきた。この研究の企業プロパガンダ装置への従属は、民主主義からの政治的リスクを取り除くことに貢献してきた。

第第

産業心理学者は、産業革命期のプロテスタント倫理の説教師たちの精神的子孫である。アメリカの産業心理学は、管理の基準への従属下で発展し、労働者と一般大衆の心を自由企業の経営者に有利に、また政府規制と組合主義に反対に保つための理論と技術を開発してきた。オーストラリアの産業心理学は、その知的基盤をアメリカから輸入してきたが、この輸入は批判的検討なしに行われてきた。

第第

ホーソン研究とエルトン・メイヨーは、四半世紀にわたって産業における社会科学に非常に大きな影響を行使した。しかし、これらの研究で生産された証拠の質とそこからの推論の妥当性は、綿密に検討され評価されることはほとんどなかった。客観的証拠は、「人間関係アプローチ」のさまざまな構成要素を支持するどころか、金銭的インセンティブ、指導的リーダーシップ、規律の価値に関するかなり旧来的な見方と驚くほど一致している。


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