書籍『シルビオ・ゲゼル:アナキストたちの「マルクス」?』クラウス・シュミット編 1989年

トランスナショナル資本家階級(TCC)・資本主義ポスト左派アナーキー・ポスト左派リバタリアンリバタリアン思想・アナーキズム経済・代替経済

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日本語タイトル:『シルビオ・ゲゼル:アナキストたちの「マルクス」?』クラウス・シュミット編 1989年

英語タイトル:『Silvio Gesell – “Marx” of the Anarchists?』Klaus Schmitt (ed.) 1989

目次

  • 序文 / Foreword
  • 第1部:市場経済資本主義なき―アナキスト的概念 / Market Economy without Capitalism – An Anarchist Concept
  • 第1章 アナキスト的経済理論は存在するか? / Does an Anarchist Economic Theory Exist?
  • 第2章 利子―社会的、経済的、生態的問題 / Interest – A Social, Economic and Ecological Problem
  • 第3章 通貨投機と「マモン」の力 / Currency Speculation and the Power of “Mammon”
  • 第4章 もしお金が「腐敗」したら!―理論と実践における「錆びる」交換手段 / If Money Does “Stink”! – “Rusting” Exchange Media in Theory and Practice
  • 第5章 「減価貨幣」の「絶対通貨」 / The “Absolute Currency” of “Demurrage Money”
  • 第6章 J.M.ケインズのゲゼル批判と彼の利子説明 / J.M. Keynes’s Gesell Critique and His Explanation of Interest
  • 第7章 自由貨幣理論の発展 / Development of Free Money Theory
  • 第2部:地代からの児童手当―母権制的概念 / Child Benefits from Ground Rent – A Matriarchal Concept
  • 第8章 土地私有制に反対して… / Against Private Property in Land…
  • 第9章 すべての子どもと母親への地代の再分配のために! / For the Redistribution of Ground Rent to All Children and Mothers!
  • 第3部:いくつかの重要な問題へのアナルコ・重農主義的回答 / Anarcho-Physiocratic Answers to Some Important Questions
  • 第10章 誰が資本家か? / Who is a Capitalist?
  • 第11章 剰余価値理論にはどのような使用価値があるか? / What Use Value Does the Theory of Surplus Value Have?
  • 第12章 生産手段の社会化と自主管理―解放への道か自己搾取への道か? / Socialization and Self-Management of Means of Production – A Path to Emancipation or Self-Exploitation?
  • 第13章 お金は階級闘争にとってどのような意味を持つか?―「主要戦線」はどこを通るか? / What Significance Does Money Have for Class Struggle? – Where Does the “Main Battle Line” Run?
  • 第14章 左翼のゲゼル批判はどれほど論理的で一貫しているか? / How Sound and Consistent is Left-Wing Gesell Criticism?
  • 第15章 資本主義から解放された市場経済―共産主義共同体と自由結社のアナルコ・重農主義的基盤? / Market Economy Freed from Capitalism – An Anarcho-Physiocratic Foundation for Communist Communities and Free Associations?

各章の要約

第1章 アナキスト的経済理論は存在するか?

Does an Anarchist Economic Theory Exist?

著者は幼少期に出会ったシルビオ・ゲゼルの「減価貨幣」理論を振り返りながら、プルードンから始まるアナキスト的経済理論の系譜を辿る。ゲゼルの理論は私的資本主義と国家社会主義の両方を超越した「第三の道」として位置づけられる。プルードンの「相互主義」から発展したこの理論は、金利、地代、独占利潤という三つの搾取手段を批判し、「交換正義」の実現を目指す。現代のアナキストたちがこの重要な経済理論的伝統を無視していることを著者は批判し、ゲゼルがマルクスに匹敵する理論的意義を持つと主張する。

第2章 利子―社会的、経済的、生態的問題

Interest – A Social, Economic and Ecological Problem

利子が家賃の50-80%を占めるという具体例から始まり、利子が社会全体に与える影響を分析する。1982年の西ドイツでは、すべての商品価格の26-28%が利子負担であった。利子の複利効果により資本が指数関数的に集中し、極少数の金融資本家が巨大な不労所得を得る構造が明らかにされる。第三世界の債務危機も同様のメカニズムの結果である。さらに利子制度が経済成長圧力を生み出し環境破壊を促進すること、そして自動化の進展により「ロボット収益」への所得再分配が進行していることを論じる。利子は景気循環の主要因でもあり、その解決なくして社会革命は不可能だと結論する。

第3章 通貨投機と「マモン」の力

Currency Speculation and the Power of “Mammon”

金本位制下での通貨政策が景気変動の原因となってきたことを歴史的に検証する。特に1907-08年の米国経済危機における金融資本家モーガンとロックフェラーの意図的な通貨操作を詳細に分析し、彼らがいかに人工的な不景気を作り出して競合企業を買い叩いたかを示す。現代においても金融資本の政治的影響力は継続しており、ロックフェラー一族の事例を通じて、銀行支配、大学への影響、政治家への資金提供などの手法が明らかにされる。指数関数的に成長する金融資本とその政治的権力が、成長志向と環境破壊を推進する主要因であると論じる。

第4章 もしお金が「腐敗」したら!―理論と実践における「錆びる」交換手段

If Money Does “Stink”! – “Rusting” Exchange Media in Theory and Practice

ゲゼルの「減価貨幣」概念の理論的基盤を説明し、古代ギリシャのディオゲネスやスパルタのリュクルゴスの貨幣改革にまで遡る歴史的系譜を辿る。実際の減価貨幣実験として、1930年代のドイツのヴェーラ実験とオーストリアのヴェルグル実験を詳述する。これらの実験は限定的な規模ながら経済活性化と失業削減に成功したが、国家権力により禁止された。中世ヨーロッパのブラクテアート貨幣制度についても言及し、この「錆びる」貨幣が存在した1150-1450年頃が異例な経済繁栄期であったことを示す。現代的な実施方法として、段階的紙幣交換や電子マネーへの手数料課金などの技術的改良案を提示する。

第5章 「減価貨幣」の「絶対通貨」

The “Absolute Currency” of “Demurrage Money”

減価貨幣だけでは貨幣問題は解決せず、安定した価格水準の「絶対通貨」が必要であることを量的貨幣方程式P=(GM×GU):Hで説明する。中央銀行は金本位制ではなく商品生産量に基づいて貨幣供給量を調整すべきであり、減価貨幣により貨幣の流通速度を確保する必要がある。理想的な状態では、貯蓄者が負の金利を支払い、借り手はほぼ無利子で資金調達できる。「完全投資」状態に達すれば、資本の限界効率がゼロとなり、資本家は「穏やかな死」を迎える。ゲゼルは当初中央通貨庁を構想したが、後に母親組合による分散的管理を提案した。多様な自由貨幣制度と中央銀行通貨の併存も可能である。

第6章 J.M.ケインズのゲゼル批判と彼の利子説明

J.M. Keynes’s Gesell Critique and His Explanation of Interest

ケインズはゲゼルの理論を高く評価しながらも、「流動性選好」概念の欠如を指摘した。ケインズの利子方程式z=q-c+lにより、利子が収益性、保有費用、流動性価値の三要素から構成されることが明確になる。貨幣、資本、土地それぞれの利子率をこの方程式で比較することで、各経済要素の特性が浮き彫りになる。減価貨幣制度下では宝石などの代替流動性手段の利子率も低下し、貨幣の交換機能と貯蓄機能の分離が達成される。ケインズの国際清算同盟構想は、世界規模でのプルードン的交換銀行とゲゼル的減価貨幣の統合を目指したものであったが、米国の金融資本の反対により実現しなかった。

第7章 自由貨幣理論の発展

Development of Free Money Theory

現代においてインフレーションが一時的に減価貨幣の機能を果たしたが、1970年代のスタグフレーションによりその限界が露呈した。ズーアは貨幣の「ジョーカー」的地位に着目し、流動性価値と取引費用優位性を重視する理論展開を行った。貨幣が市場で非対称性を生み出し、「需要なき現金」と「現金なき需要」の分離を招くことを指摘した。現代の問題は貨幣退蔵よりもむしろ貨幣の市場支配的地位にある。銀行振込貨幣への流動性手数料課金など、技術的により実現可能な方法も提案されている。自由貨幣理論は、資本主義を「口座から引き落とす」ことで克服可能かという疑問を残しながらも、重要な理論的発展を遂げている。

第8章 土地私有制に反対して…

Against Private Property in Land…

土地は貨幣と並ぶもう一つの搾取手段である。土地は自然の希少性と保有費用の不要性により市場で優位に立つ。土地私有制は全人類の自然権に反する不当な制度であり、歴史的には封建制や奴隷制の暴力的遺産である。第三世界では小作農が収穫の50-80%を地主に納めねばならず、これが社会紛争の主因となっている。ユナイテッド・フルーツ・カンパニーのグアテマラ介入の事例は、土地利権と国家権力、軍事力の癒着を示している。西ドイツでも地価は1950年以降実質8%の年成長率を示し、土地所有者に莫大な不労所得をもたらしている。土地の年間賃貸料60億マルクと価値上昇120億マルクを合わせた180億マルクの不労所得は、社会保障費の12倍に達する。

第9章 すべての子どもと母親への地代の再分配のために!

 For the Redistribution of Ground Rent to All Children and Mothers!

土地の社会化と地代の母親・子どもへの再分配というゲゼルの革新的提案を詳述する。土地は母親組合が管理し、地代収入は「母親年金」として子どもを養育する女性に分配される。これにより母親の経済的自立が実現し、父権制からの解放が可能となる。現在の出生率低下は経済的理由によるものであり、母親年金により子育ての経済負担が軽減される。ゲゼルの構想では、土地は競売により最高額入札者に貸し出され、入札価格が地代として徴収される。この制度は土地投機を不可能にし、土地の最適利用を促進する。フェミニズム的観点から見ても、この提案は女性の経済的独立と性的自由を保障する画期的なものである。

第10章 資本家とは何者か?

Who is the Capitalist?

マルクスと同様にゲゼルも資本主義社会を階級社会として理解し、階級闘争を不可欠と考える。しかし重要な違いは、ゲゼルが労働者対企業家ではなく、全生産者対資本家の対立を主張することである。「ブルジョア」経済学でも企業家は生産要素の組み合わせを行う者と定義され、資本提供者とは区別される。マルクスも企業家を「機能する資本家」として労働者と位置づける。資本家とは金融資本や実物資本の所有者として利子を得る者であり、企業家の雇用労働者数は資本家であるかの基準ではない。

第11章 剰余価値理論にはどのような使用価値があるか?

What Use Value Does the Theory of Surplus Value Have?

マルクスの剰余価値理論は労働力の価値が生産コストによって決まるとするが、これは自由な市場経済では成り立たない。賃金は需給関係によって決定され、時間給は社会生産物と並行して成長している。理論の核心的弱点は、マルクスが貨幣利子と資本利子の質的差異を認識せず、利潤から利子を、利子から利潤を導出しなかったことである。ゲゼルとプルードンの理論に従えば、貨幣の「王」的地位から貨幣利子が生まれ、それが資本利子を生み出す。マルクスの三位一体公式を四位一体公式(労働-賃金、土地-地代、資本-利潤、貨幣-利子)に拡張することで資本主義の秘密が解明される。

第12章 生産手段の社会化と自主管理 – 解放への道か、自己搾取への道か?

Socialization and Self-Management of the Means of Production – A Path to Emancipation or Self-Exploitation?

生産手段の集団化は、貨幣・利子システムが存続する限り、搾取問題を解決しない。二つのモデル例(地代集約的企業と資本集約的企業)を通じて、集団化は社会的解放をもたらすが経済的搾取を克服しないことを示す。重要なのは利子率をゼロに下げることであり、これにより資本は非資本化され、所有形態に関係なく利潤を生まない。エンゲルスは既に100年前に、貨幣システムが存続する限り集団でも「利子高利貸し」が復活し、金融資本家が生産者を支配することを警告していた。真の解放には貨幣改革が不可欠である。

第13章 貨幣は階級闘争にとってどのような意味を持つか? – 「主要戦線」はどこを通るか?

What Significance Does Money Have for Class Struggle? – Where Does the “Main Battle Line” Run?

主要な対立線は労働者対企業家ではなく、全生産者対利子・地代・利潤で生活する寄生虫的資本家の間にある。ワイマール共和国の失敗例が示すように、通貨・金融危機の理解不足は破滅的結果をもたらす。SPDとKPDが通貨問題を軽視した結果、ナチスが危機を利用して権力を握った。ナチスは「利子隷属の打破」を掲げて小市民・労働者・辺縁層の連合を形成した。現在の世界金融危機に対しても、ゲゼルの自由土地・自由貨幣理論が「第三の道」として全生産階級を統合する可能性を持つ。ただしゲゼルは最終的には武力によって決着がつくと予想し、全人民の武装を要求した。

第14章 左派のゲゼル批判はどれほど完璧か?

How Watertight is Left-Wing Gesell Criticism?

左派からのゲゼル批判は多くが根拠薄弱である。人格攻撃では、ホルスト・ブルーメが文脈から切り離した引用でゲゼルをファシストとして描こうとするが、ゲゼルは個人の権利を集団の権利より上位に置く個人アナーキストである。反ユダヤ主義の疑惑も根拠がない。経済理論批判では、ハンヨルク・ヘルが利子を些細な問題とするが、商品価格の利子負担は26-28%にも達する。ヘルは減価貨幣理論の基本を理解せず、インフレーション問題なども誤解している。左派批判者の多くはゲゼルの著作を十分に研究せずに批判を展開しており、その批判は理論的に破綻している。

第15章 資本主義から解放された市場経済 – 共産主義的共同体と自由な結社のためのアナルコ重農主義的基盤?

Market Economy Freed from Capital-ism – An Anarcho-Physiocratic Foundation for Communist Communities and Free Associations?

ゲゼルの「自然な経済秩序」はすべての問題を解決するわけではないが、利子を強要する貨幣と土地私有制という資本主義の根幹に迫る。市場経済は最も強制の少ない経済運営システムであり、競争と協力の自然法則に基づく。ゲゼルは大規模共産主義に懐疑的だが、小規模コミューンは否定しない。自然界の自己組織化原理のように、市場も階層的統制ではなく自律的部分の協力によって機能する。「自然な」経済秩序とは人間の本性に適応した秩序であり、技術的効率性より人間の繁栄を重視する。資本主義から解放された市場経済は、個人経営と集団経営の両方に活動空間を提供し、真の選択の自由を実現する。

 

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