
『Reportage: Essays on the New Media』James Corbett 2025
『レポタージュ:新世界秩序に関するエッセイ』ジェームズ・コーベット 2025
目次
- 著者による序文 / Author’s Preface
- 前書き / Foreword
- レポタージュ:新メディアにおける冒険 / Reportage: Adventures in the New Media
- 9.11 テロ取引 / The 9/11 Terror Trade
- 上向き/下向きの政治 / Up/Down Politics
- 彼らはあなたの遺伝子を遺伝子プールに望んでいない / They Don’t Want Your Genes in the Pool
- Ptechストーリー / The Ptech Story
- マトリックス・ステーキのために魂を売る / Selling Your Soul for a Matrix Steak
- グローバリズムに本当に打ち勝つ方法 / How to Really Defeat Globalism
- バイオテク億万長者とGMO終末論 / Biotech Billionaires and GMO Doomsday
- あなたの隷属を楽しむ方法 / How to Enjoy Your Servitude
- 三つのタイプ / The Three Types
- モーリス・ストロングの奇妙な人生 / The Strange Life of Maurice Strong
- 「独立」の真の意味 / The Real Meaning of “Independence”
- 9.11 内部告発者 / The 9/11 Whistleblowers
- なぜ我々はビルダーバーグに反対しなければならないのか / Why We Must Oppose Bilderberg
- 自生的秩序への短い手引き / A Brief Introduction to Spontaneous Order
- 環境運動を支配するのは誰か? / Who Controls the Environmental Movement?
- グランド・チェスボードからの脱出 / Escaping The Grand Chessboard
- そして今、まったく別のものを… / And Now For Something Completely Different…
- 未来への手紙 / A Letter to the Future
- 私が書く理由 / Why I Write
本書の概要:
短い解説:
本書は、9.11をはじめとする現代の重要な事件の隠された真実と、世界を支配しようとするエリート集団「新世界秩序」の実態を、15年にわたる調査と考察を通じて明らかにすることを目的としている。独立系メディア「ザ・コーベット・レポート」の創設者である著者が、権力の構造とそれに抵抗する方法を探求する。
著者について:
著者ジェームズ・コーベットは、カナダ・カルガリー生まれ。英文学を専攻後、2004年に来日。2006年、インターネットを通じて9.11の真相など隠された情報に触れ、独立系メディア「ザ・コーベット・レポート」を2007年に創設。以来、権力構造の分析と真実の情報発信を続けている。本書は15年にわたる調査と思考の集大成である。
主要キーワードと解説
- 主要テーマ:新世界秩序 [世界の支配を目指すエリート集団によるグローバルな権力構造]
- 新規性:上向き/下向き政治 [従来の左翼/右翼の二分法を超えた、権力集中(上向き)対個人の自由(下向き)という新たな政治軸の提案]
-
興味深い知見:暗号優生学 [公の場では消えたが、別の名称で続けられている人類の遺伝的「改良」を目指す思想と実践]
3分要約
本書は、独立系メディア「ザ・コーベット・レポート」の創設者であるジェームズ・コーベットが、15年にわたる調査と考察を経て、現代世界を支配する「新世界秩序」の実態を多角的に分析したエッセイ集である。
著者はまず、自身が2006年、日本の地方都市のアパートでインターネットを通じて9.11の真相など従来のメディアが報じない情報に触れ、世界観が一変する経験を語る。この「ウサギの穴」への落下が、独立系メディア創設の契機となった。
続くエッセイでは、9.11事件の不可解な点が詳細に検証される。事件前に行われた航空会社株などの不審な空売り(インサイダー取引)や、事件当日に崩壊した世界貿易センター7棟の謎、政府内部からの内部告発者たちの証言など、公式説明では説明のつかない事実が積み上げられていく。
著者は、これらの事件を理解するためには、従来の左翼対右翼という一次元的な政治スペクトラムでは不十分だと主張する。代わりに、権力の集中と中央集権化を目指す「上向き」の政治と、個人の自由と地方分権を求める「下向き」の政治という、新たな二次元的な政治モデルを提示する。ビルダーバーグ会議などの秘密会合や、国家を超えたEUのような地域統合体の創設は、この「上向き」の動きの具体例である。
この「上向き」の動きを推進するエリート層の思想的背景には、「優生学」があると著者は指摘する。ロックフェラー家などの富豪たちが資金提供した優生学は、表面上は消えたかに見えるが、「人口管理」や「持続可能性」といった別の名称でその思想は生き続け、人類の遺伝的「改良」と「支配」を目指している。遺伝子組み換え作物(GMO)の推進も、この暗号優生学的アジェンダの一環として捉えられる。
さらに著者は、環境運動の裏に潜むエリート支配の意図、通貨システムの本質的な欠陥、そして国際政治を「グランド・チェスボード」と見做して他国民を駒のように扱う地政学的戦略を暴く。我々一般市民は、このチェスボードの上で操られる「ポーン」(駒)に過ぎない。
しかし、著者は絶望しない。チェスボードのゲームそのものを拒否し、自生的秩序に基づく地域コミュニティの構築、代替通貨の利用、非暴力の不服従など、ボトムアップによる解決策を提唱する。技術の進歩により、かつてないほど多くの人々が政治的目覚め(グローバル政治覚醒)を経験している現在、支配のメカニズムを理解した個人が連帯すれば、変化は可能だと訴えかける。
本書は、単なる陰謀論の書ではない。膨大な資料と論理的な分析に基づき、読者に批判的思考を促し、個人として、そしてコミュニティとして、真の自由と独立を勝ち取るための行動を呼びかける、希望の書なのである。
各章の要約
著者による序文
本書は15年にわたって書かれたエッセイ集である。著者はこの間に自身の考え方も変化し、例えば国家主義者から自発的秩序を重視するボランティアリスト(自発的協調主義者)へと移行した。各エッセイは独立しているが、新世界秩序というテーマで有機的につながっており、読者の理解が反復的に深まるように配置されている。本書は子供たち、そして未来の世代へのメッセージである。
前書き
現代のメディア環境は大きく変化したが、メディアは依然として人心を巡る戦場である。権力者は人々を恐怖に導き、批判的思考を放棄させ、「信頼できる」声に従わせようとする。独立系メディアの台頭後も、権力者は新たな「主流派代替メディア」を使って同じ操作を行おうとしている。ジェームズ・コーベットは約20年にわたり、真に独立したメディアの最も一貫性があり、信頼できる声の一人である。彼は現在の危機を構成するあらゆる側面について語ることができる数少ない人物であり、読者に批判的で合理的な思考法を教え、より良い世界を築くための解決策を提示する。
レポタージュ:新メディアにおける冒険
2006年、著者は日本の地方都市の安アパートで初めて常時接続のインターネット環境を手に入れる。当時台頭しつつあったYouTubeなどのプラットフォームを通じて、9.11の真相に関する動画に触れ、公式説明とは異なる情報を自ら検証し始める。オクラホマシティ爆破テロやボヘミアン・グローブの儀式など、従来のメディアが報じない事実を知り、世界観が一変する。この数ヶ月間の「ウサギの穴」への落下が、独立系メディア「ザ・コーベット・レポート」の創設(2007年6月)へとつながった。この体験は、インターネットという新メディアがもたらした情報民主化の力を示している。
1 9.11 テロ取引
9.11直後、事件前に航空会社株などに対する不審な空売り(プットオプション)が行われたとして、米国証券取引委員会(SEC)をはじめ世界各国の規制当局が調査を開始した。多くの専門家や当局者がインサイダー取引の可能性を指摘したが、大規模な調査の結果、SECは「アルカイダに関連する者が情報に基づいて取引した証拠はない」と結論付けた。しかし、この結論は「アルカイダに関連する者」が事前知識を持っていたかどうかを前提としており、論点のすり替えである。その後の学術研究は、統計的に見て異常な取引活動があったことを示している。取引の背景にはCIAなど政府内部とのつながりが疑われる人物が関わっており、FBIの調査も不自然に打ち切られるなど、真相解明は妨げられた。
2 上向き/下向きの政治
著者は、従来の左翼対右翼という一次元的な政治スペクトラムでは、政権が変わっても根本的な問題が解決されないパラドックスを指摘する。代わりに、権力の集中と中央集権化を目指す「上向き」の政治と、個人の自由、地方分権、平和を求める「下向き」の政治という、新たな二次元的な政治モデルを提案する。歴史学者キャロル・キグリーの研究を引用し、ビルダーバーグ会議などの秘密会合を通じて、国際的なエリート集団(「上向き」勢力)が左と右の両方を操作し、自分たちに都合の良い政策だけが実行されるように仕組んでいることを明らかにする。我々大多数は「下向き」の利益を求めるが、メディア操作や分断統治によって「上向き」のアジェンダを支持させられている。真の変化のためには、この「上向き」対「下向き」という構図を見極め、左/右の二項対立を超えて連帯する必要がある。
3 彼らはあなたの遺伝子を遺伝子プールに望んでいない
古代の王族が「神の権利」を根拠に支配を正当化したように、現代の支配者層(ロックフェラー家などの富豪)は「優生学」という疑似科学を利用している。フランシス・ゴルトンやチャールズ・ダーウィンの親族らによって提唱された優生学は、富裕層や権力者層の「優れた」遺伝子を保存し、「劣った」遺伝子を排除することを目指した。この思想は米国で強制不妊手術法として具体化し、さらにロックフェラー財団の資金でナチス・ドイツの優生学プログラムを支えた。第二次大戦後、優生学は表立っては排斥されたが、「人口管理」「分子生物学」といった別の名称でその思想と実践は生き延び(暗号優生学)、現代の環境運動やGMO推進の背後にも見ることができる。支配層は自らを「遺伝的に優れた」存在と見做し、その支配を正当化しようとしている。
4 Ptechストーリー
9.11事件当日、FBI、FAA、ホワイトハウスなど米政府の最重要機関のコンピュータシステムに、サウジアラビアのテロ資金調達者ヤシン・アル=カディと関係のあるソフトウェア会社「Ptech」のエンタープライズアーキテクチャソフトウェアが導入されていた。このソフトウェアは組織全体のデータとプロセスを可視化・分析するもので、システムの弱点を特定でき、悪用すればサイバー攻撃にも利用可能であった。Ptechは9.11以前にFAAの危機対応プロトコルや、NORAD、国防総省との連携システムを分析する契約を得ていた。FBI内部では以前からPtechとテロ資金の関係を調査する動きがあったが、上層部によって調査は妨害され、事件後に行われた家宅捜索も不起訴に終わった。これは、米国の安全保障機関自体が史上最大のサイバーセキュリティ侵害に加担していた可能性を示唆している。
5 マトリックス・ステーキのために魂を売る
現代の通貨(不換紙幣)は、映画『マトリックス』の仮想現実の中で食べられるステーキのように、実体のない幻想である。その価値は人々の共同幻想に依存している。歴史的に貨幣は金や銀などの実体価値を持つ商品であったが、 templar騎士団の預り証システム、金細工商による預かり証の超過発行を経て、中央銀行制度へと発展した。現在の通貨は債務として創造され、利子とともに返済されることが運命づけられているため、債務を完済することは数学的に不可能である。このシステムは我々を銀行家に対する永久の債務奴隷としている。さらに、共同幻想が崩壊すれば、通貨の価値は瞬時に消滅する。この「マトリックス・マネー」のシステムから脱却するためには、補完通貨、地域取引システム(LETS)、信用組合、暗号通貨など、代替となる経済システムを構築し、幻想を見抜くことが必要である。
6 グローバリズムに本当に打ち勝つ方法
NSA(米国家安全保障局)が「ホームランド」(本土)を北米全体と定義する地図を使用した事例などから、米国、カナダ、メキシコの経済・安全保障統合(北米共同体)の計画が進められている。これはEUのような超国家的な地域政府の創設へ向けた動きである。しかし、著者は国家主義こそがグローバリズムに対する防波堤だとする見方を否定する。国民国家そのものが、プロイセンの教育モデルに代表されるように、国民を「国家の機械」として従順に育て上げるために設計された制度である。国家主義とグローバリズムは、個人の自由を集団(国家または地球)に従属させるという点で同根の collectivism(集産主義)である。真の解決策は、国家の権威そのものを否定する anarchism(無政府主義)の哲学にある。政府とは、人々が自らに課した危険な迷信に過ぎない。投票ではなく、非服従と自主的なコミュニティの構築を通じて、この迷信から自由にならなければならない。
7 バイオテク億万長者とGMO終末論
遺伝子組み換え作物(GMO)は、世界の食料問題を解決するとして推進されてきたが、その主張は事実と異なる。GMOは収量を増加させず、逆に除草剤の使用量を増大させ、スーパーウィード(除草剤耐性雑草)を生み出している。多くの独立した研究はGMOの健康リスクを指摘しているが、モンサント(現バイエル)などのバイオテク企業は、内部文書から明らかなように、科学者への圧力、ゴーストライティング、規制当局との癒着(回転ドア)など、あらゆる手段を使って都合の悪い研究結果を弾圧し、自社に有利な規制(実質的同等性など)を仕組んできた。この「遺子革命」は、ロックフェラー財団などが推進した「緑の革命」と同様、大企業が世界の食料供給を支配するためのアジェンダである。ノルウェーのスバールバル世界種子貯蔵庫は、彼ら自身の計画が地球規模の災害を招く可能性を暗に示している。GMOに対抗する最も有効な手段は、消費者によるボイコットと、非GMO食品への切り替えである。
8 あなたの隷属を楽しむ方法
監視社会化が進み、政府が個人のあらゆる行動を掌握する時代において、人々はなぜこれほどまでに平然と自由を放棄しているのか。その理由は、ジョージ・オーウェルの『1984年』的な暴力による支配ではなく、オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』的な娯楽と満足による支配が行われているからである。テレビやソーシャルメディアなどの「ソーマ」(ハクスリーが描いた幸福をもたらす薬)によって、人々は distraction(気晴らし)と amusement(娯楽)へと誘導され、矛盾に気づかず、思考停止状態に陥っている。NSAの監視、無人機による殺人リスト、銀行情報の国際共有など、かつてなら考えられなかった権力の濫用も、この「テロとは無縁の技術」によって人々は「自発的に」受容してしまう。
9 三つのタイプ
世界貿易センター7棟(WTC 7)の崩壊について、人々は三つのタイプに分かれる。事務所火災による崩落と信じる者、制御爆破による解体と信じる者、そしてWTC 7が何であるかを知らない者である。この寓話は、9.11事件に対する人々の認識の違いを象徴的に表している。
10 モーリス・ストロングの奇妙な人生
モーリス・ストロングは、国連環境計画(UNEP)の初代事務局長、1992年リオ地球サミットの議長などを務め、「環境運動の父」と称される一方、石油会社の重役でもあったという矛盾した人物である。その異例の出世は、デイビッド・ロックフェラーとの出会いによるところが大きい。ストロングは、リオ地球サミットで採択された「アジェンダ21」や、地球環境ファシリティ(GEF)の創設に関与するなど、持続可能な開発と「地球的統治」の推進に中心的役割を果たした。しかし、その思想の根底には、ニューエイジ的な神秘主義と世界政府樹立への願望があり、イラクの石油食料交換プログラムでの汚職疑惑により失脚した。彼の生涯は、環境運動の裏側で動くグローバリスト・ネットワークの実態を浮き彫りにする。
11 「独立」の真の意味
独立記念日を祝うアメリカであるが、その自由の理想は危機に瀕している。スパルタクスの反乱やワット・タイラーの乱など、歴史は自由を求める者たちの犠牲の上に成り立ってきた。しかし、現代の専制は、暴力ではなく、中央集権化こそが問題の解決策だという心理操作によって人々を従わせようとする。我々は政治的な救世主を選ぶこと(投票)によってではなく、日々の生活における選択(誰と交わり、何に金を使うか)を通じて、真の独立を勝ち取ることができる。自由は祝日だけの概念ではなく、毎日実践されるべき決断なのである。
12 9.11 内部告発者
9.11の真相について「大規模な陰謀なら誰かが話しているはず」という反論があるが、実際には多くの内部告発者が存在する。ニューヨーク市住宅局のバリー・ジェニングスはWTC7棟内で爆発音を聞いたと証言した。元国務省官僚のJ・マイケル・スプリングマンは、サウジアラビアでのビザ発給においてCIAがテロリストをアメリカに招き入れていたと内部告発した。元アンダーライターズ・ラボラトリーズのケビン・ライアンは、WTCの鋼材の耐火試験に関する不備を指摘したことで解雇された。さらに、9.11委員会の委員たちでさえ、調査が妨害され、政治的動機による隠蔽工作が行われたと証言している。「誰も話さない」という主張は、事実に基づいていない。
13 なぜ我々はビルダーバーグに反対しなければならないのか
ビルダーバーグ会議は、毎年、北米とヨーロッパの財界、政界、学界、メディアのトップリーダー約150名が非公開で開催する会合である。その存在は長らくメディアで黙殺されてきた。参加者によれば、会議で議論された事項は、各参加者がその影響力の及ぶ範囲で実行に移されるという。歴史的に見て、ビルダーバーグ会議はEUの創設とユーロの導入を推進し、現在は北米共同体や大西洋横断貿易投資連携協定(TTIP)などの超国家的統合を推進する役割を果たしている。その目的は、国家の主権を奪い、企業と政府が融合したファシスト的な世界政府を樹立することにある。その非民主的かつ秘密主義的な性質から、我々はビルダーバーグ会議に反対し、その存在と議題を暴露し続けなければならない。
14 自生的秩序への短い手引き
「秩序」と聞いて我々が連想する「法と秩序」や「新世界秩序」は、トップダウンによる統制を前提としたヒエラルキー型の秩序である。これに対し、「自生的秩序」は、自由な個人が自発的な相互作用を行うことで自然発生する、分散型ネットワーク状の秩序である。F・A・ハイエクらが理論化したこの概念は、レナード・リードの『私は鉛筆である』というエッセイで示されるように、中央の計画者なしでも複雑な経済活動が成立することを説明する。オランダのハンス・モンデルマンが提唱した「共有空間」の道路デザインは、交通標識を撤去することで却って安全性と流動性が向上するという、自生的秩序の実例である。修復的司法も、被害者と地域社会が犯罪者との対話を通じて解決を図る、自生的秩序に基づく司法モデルである。政府による統制ではなく、個人の自由と自発的協力からこそ、真の秩序は生まれる。
15 環境運動を支配するのは誰か?
現代の環境運動のリーダーとして、ジョン・ミューアやレイチェル・カーソンの名が挙げられるが、その草創期にはマディソン・グラントのような人物がいた。グラントはアメリカバイソンやカリフォルニアのレッドウッドを保護するなど初期の保全活動に貢献した一方、北欧人種の優越を説く人種差別主義者でもあり、アドルフ・ヒトラーから賛辞を受けた。この一見矛盾した二つの関心は、当時の保全運動のエリートたち(セオドア・ルーズベルトなど)に広く見られた優生学的思想と結びついていた。彼らは「高貴で雄大な」種(自分たちを含む)の保存と、「劣った」種(貧困層、少数民族)の排除を同一視していた。この系譜は、ジュリアン・ハクスリー(ユネスコ初代事務局長)、ロックフェラー家、モーリス・ストロング、プリンス・フィリップ(世界野生生物基金創設者)といった現代の環境運動の推進者たちにも受け継がれている。彼らの動機は、地球資源の独占と、「劣った」生命の一掃にある。
16 環境運動を支配するのは誰か?
環境運動の指導的立場には、富裕層の慈善家や大企業の代表者が多く見られる。著者は、初期の自然保護運動が優生思想と密接に結びついていたことを指摘する。例えば、マディソン・グラントのような人種差別主義者がアメリカの自然保護活動の先駆者であった。現代においても、ロックフェラーやロスチャイルドといった財閥が環境団体に巨額の資金を提供している。この背景には、地球資源の独占と「劣った」人種の淘汰を目指す優生学的な動機があると著者は分析する。環境保護という崇高な理念の陰に、世界支配を企むエリートたちの思惑が潜んでいるのである。
17 グランド・チェスボードからの脱出
国際政治を将棋棋士が駒を動かすゲームに例え、大国がアフガニスタンやクルド人などを「駒」として利用し、犠牲にしてきた歴史を検証する。しかし、著者はこのゲームそのものが幻想であると説く。現実は国家間の二次元の対立ではなく、国際的な寡頭支配層(ディープステート)が三次元的に世界を操る構造である。投票や暴力革命、他国との同盟といった従来の対抗手段はすべて無効であり、唯一の解決策は「ゲームに参加しない」ことである。私たちは駒ではなく、主権を持つ個人であり、支配の論理そのものを拒絶することで初めて自由を獲得できると著者は主張する。
18 そして今、まったく別のものを…
歴史を変える発見や出来事の多くは、偶然や予期せぬ形でもたらされる「ワイルドカード」であることを、ペニシリンの発見やナポレオンの誕生、石油掘削の成功などの事例を通じて示す。著者は、現代の我々が未来を正確に予測することの難しさを指摘し、既存の知識や価値観に固執することの危うさを警告する。不確実性にあふれる世界において、我々が唯一確実に継承できるものは、技術や知識ではなく「人間性」そのものである。著者は、固定観念を捨て、謙虚さと驚きの感覚を取り戻すことの重要性を訴えかける。
19 未来への手紙
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を契機として、監視社会化と自由の剥奪が急速に進展した2020年の状況を、未来の読者に向けて記録する。大量失業、移動制限、免疫パスポートの導入など、著者は「コロナ世界秩序」の誕生を告げる暗黒の時代が訪れたと断じる。人々が羊のように従順に管理を受け入れる状況に警鐘を鳴らし、自由な生来の権利を想起させようとする。この手紙は、自由の灯が消えゆく時代の証言として、未来の世代がかつて人間が自由であったことを知るためのメッセージである。
20 私が書く理由
作家を志していた青年期から、世界の真実を探求するポッドキャスター兼作家へと至った経緯を、ジョージ・オーウェルのエッセイ「私がなぜ書くか」を参照しながら綴る。オーウェルがスペイン内戦での体験を経て、全体主義への抵抗という政治的使命を文学に結実させたように、著者もまた、現代の技術官僚主義という新たな全体主義の脅威に対峙することを自らの使命と定めた。文学的な虚構ではなく、現実の「嘘を暴き、事実に注意を向けさせる」ための筆を執る動機を、著者は静かに、しかし力強く説明する。
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