書籍要約『魔術の理論と実践』 クロウリー、アレイスター著 1992年

官僚主義、エリート悪魔主義・悪魔崇拝・秘密結社・オカルト

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Magick in Theory and Practice by Crowley, Aleister (1992)

目次

  • 第0章 魔術的宇宙論 / The Magical Theory of the Universe
  • 第1章 儀式の原則 / The Principles of Ritual
  • 第2章 元素の武器の公式 / The Formulae of the Elemental Weapons
  • 第3章 テトラグラマトンの公式 / The Formula of Tetragrammaton
  • 第4章 アルヒムとアリムの公式 / The Formula of Alhim, and that of Alim
  • 第5章 I.A.O.の公式 / The Formula of I.A.O.
  • 第6章 新参者の公式 / The Formula of the Neophyte
  • 第7章 聖杯、アブラハダブラなどの公式:および魔術的記憶 / The Formula of the Holy Graal; of Abrahadabra:and of certain other Words. Also:The Magical Memory
  • 第8章 均衡、および神殿の備品と技法の道具の準備方法について / Of Equilibrium, and of the General and Particular Method of Preparation of the Furniture of the Temple and of the Instruments of Art
  • 第9章 沈黙と秘密、ならびに喚起のバーバラス・ネームについて / Of Silence and Secrecy:AND OF The Barbarous names of Evocation
  • 第10章 身振りについて / Of the Gestures
  • 第11章 我が貴婦人ババロンと彼女が騎る獣について。また、変身について / Of Our Lady Babalon and of the Beast Whereon she Rideth. Also concerning Transformations
  • 第12章 血の生贄と関連事項について / Of the Bloody Sacrifice:and Matters Cognate
  • 第13章 祓いと浄化について / Of the Banishings:And of the Purifications
  • 第14章 聖別について:魔術的リンクの性質と養育に関する記述を伴う / Of the Consecrations:With an account of the Nature and Nurture of the Magical Link
  • 第15章 召喚について / Of the Invocation
  • 第16章 (第一部) 誓約について / Of the Oath
  • 第16章 (第二部) 霊への指令と、時に必要な束縛と呪詛に関する記述を伴う / Of the charge to the spirit with some account of the constraints and curses occasionally necessary
  • 第17章 退去の許可について / Of the license to depart
  • 第18章 千里眼と光の身体について:その力と発展。また、占いについて / Of clairvoyance and of the body of light Its power and its development Also concerning divination
  • 第19章 演劇的儀式について / OF DRAMATIC RITUALS
  • 第20章 聖餐と錬金術の技法について / OF THE EUCHARIST AND OF THE ART OF ALCHEMY
  • 第21章 黒魔術、魔術技芸の操作の主要類型、そしてスフィンクスの力について / OF BLACK MAGIC OF THE MAIN TYPES OF THE OPERATIONS OF MAGICK ART AND OF THE POWERS OF THE SPHINX

本書の概要:

短い解説:

本書は、銀行家、詩人、数学者、主婦など、あらゆる職業と階層の人間が、自らの潜在的可能性を完全に発現するための実践的科学・芸術としての「魔術」の体系的な理論と実践を提供することを目的としている。アレイスター・クロウリー自身の「偉大なる業」の達成に基づく、現代的かつ包括的な魔術入門書である。

著者について:

著者アレイスター・クロウリーは、20世紀を代表する魔術師、神秘思想家であり、「獣666」を自認し、新たなエオンのロゴス(言葉)として『法の書』を受信した。ケンブリッジ大学で学んだ知性と、世界中での探求・修行で得た実践的経験に裏打ちされ、魔術を宗教や迷信から解放し、「汝の意志することを行え」を基本律とする「セレマ」の法に基づく科学的・実践的体系として再構築した。本書は、その集大成であり、魔術の民主化を宣言する書である。

テーマ解説

  • 主要テーマ:意志による変化の科学・芸術としての魔術の理論と実践的体系化。
  • 新規性:魔術をあらゆる人間の日常生活と自己実現の鍵として位置づけ、難解な用語を排し普遍的理解を目指した点。
  • 興味深い知見:魔術的操作は「小宇宙(ミクロコスモス)」である個人が「大宇宙(マクロコスモス)」と合一するプロセスである。

キーワード解説(2~7)

  • セレマ:クロウリーが提唱した新たな法。「汝の意志することを行え」がその全体である。個人の真の意志の発見と遂行を核心とする。
  • 真の意志:各個人が本質的に有する、宇宙における固有の運命・役割・方向性。魔術の目的はこの真の意志の発見と成就にある。
  • 聖守護天使との知識と対話:魔術修行の核心的目標。個人の超越的・神的な根源的自我との合一・霊的交流を意味する。
  • 小宇宙と大宇宙の合一:魔術儀式の究極的目的。個人(小宇宙)が宇宙(大宇宙)と調和・合一し、その力を意志の道具とすること。
  • 公式:特定の魔術的効果を達成するための構造化された原理・プロセス。テトラグラマトン、I.A.O.など、宇宙の根本原理を象徴的に表す。
  • 儀式:魔術的意志を具現化し、力を操作するための構造化された一連の行為。浄化・聖別・召喚などの段階からなる。

3分要約

本書は、魔術を「意志に適合せる形で変化を引き起こす科学かつ芸術」と定義し、その理論と実践を体系的に解説する。導入部で掲げられた魔術の基本定理は、あらゆる意図的行為が魔術的行為であるとし、成功は適切な条件の整備に、失敗はその不備に起因すると述べる。個人はそれぞれ固有の真の意志(True Will)を持つ星であり、それを自覚し遂行することが、宇宙の秩序との調和と個人の完全な発現につながる。

魔術の理論的基礎は、聖カバラ、特に「生命の樹」の図式に依拠する。これは宇宙と個人(大宇宙と小宇宙)を分類・理解するための体系的言語として機能する。魔術儀式の本質は、この小宇宙と大宇宙を合一させることであり、それは聖守護天使との知識と対話の達成という形をとる。そのための主要な方法として、祈願に基づく神秘合一、階層的力の召喚に基づく儀式魔術、神話の劇的再現による交感の三つが提示される。

魔術実践の核心は、意志の純化と集中である。魔術師はまず自身と作業場、道具を徹底的に浄化・聖別し、外界の雑多な影響(バニシング)を排した聖域(サークル)を構築する。そこで特定の「公式」(例えば、死と再生を表すI.A.O.)に沿った儀式を行い、神や霊的存在を召喚・召霊する。召喚の成否は、魔術師自身の「エンフレイム・ユアセルフ(祈祷において汝自身を燃え上がらせよ)」という、自我を超越した恍惚状態への没入にかかっている。成功裡に力が顕現した後は、それを目的に従って指令・形成し、最後に適切に退去させる。

本書はまた、アストラル体(光の身体)の開発と旅行による透視能力の獲得、適切な「魔術的リンク」の構築による力の物質界への影響、様々な占術体系の実践と解釈、さらには聖餐や錬金術を魔術的変容の一形態として捉えるなど、多岐にわたる実践的技術を詳細に論じる。最終章では、聖守護天使との合一という唯一至上の儀礼から逸脱し、低次の物質的利益や他者支配に魔術力を用いることを「黒魔術」と定義し、その危険性を警告する。全体を通じ、魔術は特殊な才能のためのものではなく、万人が自己の真の意志を発見し、宇宙の中にその正当な場所を占めるために学び実践すべき「偉大なる業」であると結論づける。

各章の要約

第0章 魔術的宇宙論

魔術の理論的基盤として、聖カバラの「生命の樹」の体系が提示される。これは10のセフィラと22の小径からなる図式で、神の顕現から物質世界までを含む宇宙全体の構造を表す。ヌイト(無限空間)、ハディト(無限小の点)、ラー=フール=クイト(その合一)というクロウリー独特の神観も紹介される。この体系は絶対的な真理の主張ではなく、魔術師が多様な経験を分類・理解し、最終的に「多を一に」統合するための実用的な言語・地図として機能する。著者はこう述べる。「生命の樹は宇宙の骨組みである、と真面目に主張するのは、CATという文字を順に並べることで猫が創造されると主張するようなものだ。」

第1章 儀式の原則

あらゆる魔術儀式の単一かつ主要な目的は、小宇宙(ミクロコスモス)と大宇宙(マクロコスモス)の合一である。この至上の儀式は「聖守護天使との知識と対話」の召喚、つまり神との合一にほかならない。他の全ての儀式は、魔術師の性質の特定の欠けた部分を補い、全体としてのバランスを取るための特殊な事例である。召喚の方法には、(1)神への献身的祈願による神秘的方法、(2)神的階層(神・大天使・天使など)を順次呼びかける直接的な儀式魔術、(3)神話を劇的に再現し演者として同一化する演劇的方法、の三種がある。いずれの本質も、魔術師自身が神と同一化することにある。

第2章 元素の武器の公式

杖、杯、短剣、パンタクル(円盤)という四大元素の武器は、それぞれ異なる魔術的「公式」、つまり力の操作原理に対応する。最も重要なのは杖の公式であり、これは神的階層を順に召喚・命令する直線的で能動的なプロセスを象徴する。杯は受動的で最高位への祈りに、短剣は分散・破壊に、パンタクルは固定に適する。神と同一化するための儀式的技法として、まず神の属性を讃え(第一部)、次に神の言葉を聞き・語り(第二部)、さらに「彼は我の中に、我は彼の中に」と宣言して一体化し(第三部)、最後に一体化した神の意志として目的を宣言する(第四部)という四段階の方法が、トート神の召喚を例に詳細に説明される。

第3章 テトラグラマトンの公式

ユダヤ教の神聖四文字詞YHVH(テトラグラマトン)は、火(ヨッド)・水(ヘー)・風(ヴァヴ)・地(ヘー・ファイナル)の四元素に加え、創造・展開・完成という発展的プロセスを表す根本公式である。最初のヨッド(父)とヘー(母)の結合がヴァヴ(子)を生み、その子が最終のヘー(娘)と結合することで完全なサイクルが完結する。この公式は聖守護天使との合一(小=大)からさらに進み、双子の結合による宇宙の完成という「偉大なる業」全体を象徴する。魔術儀式においては、意志の急速な創造(火)、静かな流れ(水)、意識の拡大(風)、結晶化(地)という心的段階として体験されるべきである。

第4章 アルヒムとアリムの公式

アルヒム(エロヒム、神々)は女性的な複数形で、五という数と、四大元素に霊を中心に据えた構造を持つ。これは均衡ある発展というより、荒々しく弾力的な諸力の併置を表し、主に道具などの「聖別」の公式として働く。それに対し、アルイム(力ある者たち)は男性的複数形だが、創造の霊を欠いた中性の存在の集合を意味する。その公式は月と関連し、本質的に変化をもたらさない単なる「再配置」、すなわち「魔女術」の領域に属する。真の創造的魔術は、聖霊がその神殿に宿ることを前提とする。

第5章 I.A.O.の公式

I(イシス、自然)・A(アポフィス、破壊者)・O(オシリス、再生者)から成るこの公式は、オシリス的救済、つまり死を通じた再生の原理を表す。あらゆる神秘修行や神話に遍在する「苦難・死・新生」の三幕構成である。魔術においては、儀式的自己犠牲と再生(例えば、王として装い、殺され、天使と合一する)として実践される。しかし、クロウリーはホルスの新エオンに合わせ、この公式を拡張・再構築する。新たな言葉「VIAOV」は数値93(セレマ、アガペー)を持ち、男性と女性の原理を個人内で完全に統合し、あらゆる経験が意志の表現であるという、より動的で連続的な存在の公式を示す。これにより、「悪魔」サタン(土星、山羊座)も、単に南の太陽として誤解された創造的意志の表現として再解釈される。

第6章 新参者の公式

この公式は、無知無力な状態(目隠しをされ縛られた「候補者」)から、浄化・聖別・宣誓・周行・啓示を経て、方向性と力を与えられた「新参者」へと変化させるプロセスを体系化したものだ。黄金の夜明け団の新参者儀式がその典型である。それは無秩序な「第一物質」を整え統一するための、多数の操作からなる複雑な公式であり、魔術師自身の武器の聖別や、初期の導入儀式としても用いられるべきものとされる。

第7章 聖杯、アブラハダブラなどの公式:および魔術的記憶

聖杯を捧げ持つ「我が貴婦人ババロン」の御者の象徴は、放棄と犠牲の公式を表す。魔術師はその全血(全生涯)を聖杯に捧げねばならず、それに見返りを求めることは黒魔術である。アブラハダブラは偉大なる業の完成を表す言葉であり、五芒星(小宇宙)と六芒星(大宇宙)の均衡(5°=6°)を意味する。その他、様々な神的名称が特定の魔術操作の公式を内包している。

後半では、過去世の記憶(魔術的記憶)を獲得する重要性と方法が論じられる。真の意志を知るためには、その意志が辿ってきた道筋(過去世)を理解する必要がある。瞑想や逆向きの記憶などの練習を通じてこの能力を開発し、得られた記憶が現在の自己を説明するかどうかによってその真偽を検証すべきである。記憶の客観的真実性よりも、自己理解と統合のための有効な象徴形式としての価値が重視される。

第8章 均衡、および神殿の備品と技法の道具の準備方法について

魔術の第一原理は「均衡」である。小宇宙と大宇宙が合一するためには、双方が完全にバランスされねばならない。神殿の布置や儀式の動作はすべて左右対称であり、あらゆる概念も能動と受動、男性性と女性性を含む三角形として把握・破壊されるべきである。第二に、魔術に用いるあらゆる物品は「処女」であり、他の目的に使われたことがなく、魔術師自身の手で、ためらいなく、値切りもせずに準備されるべきである。第三に、各道具は新参者同様、浄化(素材の純化)、聖別(特定の力への奉献)、導入(内的生命の賦与)という三段階のプロセスを経て完全に人格化されねばならない。これにより、道具は魔術師の意志の生きた延長となる。

第9章 沈黙と秘密、ならびに喚起のバーバラス・ネームについて

古代や異国の、あるいは無意味に聞こえる「野蛮な名前」は、最も強力な召喚の言葉であることが経験的に知られている。その理由は定かではないが、精神を高揚させ通常の意識を超えさせる効果があるためとされる。エノク語、エジプト語、ギリシャ語のほか、クロウリー自身による英詩の形式も用いられる。最も重要なのは、儀式の頂点で、意志の圧力に抗いきれずほとんど無意識に迸るような「一語」を発することである。こうした言葉の効力は、反復による刷り込みと、秘密による保持という、相反する二つの公式によって維持される。魔術の作用機序は科学的因果律と矛盾せず、意志と結果は宇宙の単一の状態として理解できる。魔術は科学と同じく経験的な探求の領域である。

第10章 身振りについて

魔術儀式における身体動作には、(1)姿勢(自然な跪拝や人工的な魔術的印)、(2)周行や螺旋運動などの移動、(3)神殿内の特定の位置への移動、(4)打撃や鈴の音、がある。周行はサークル内の力を活性化し、螺旋はより舞踏的な動きで高揚を誘う。神殿の各位置(生命の樹のセフィラに対応)には固有の象徴的意味があり、魔術師は儀式の目的に合わせて意図的に位置を変える。打撃は儀式の区切りを告げると共に、打たれる対象(祭壇、鈴など)に意志を刻印する行為である。特に11回の打撃は魔術と新エオンを象徴し、様々な操作に適応可能な基本型とされる。

第11章 我が貴婦人ババロンと彼女が騎る獣について。また、変身について

我が貴婦人ババロンに関する内容は極めて神聖なため、本書には記されず、師より選ばれた弟子に私的に伝えられる。

後半では、アストラル体(光の身体)による変身の技法が論じられる。発達したアストラル体でも物質に直接影響を与えるのは難しいため、既存の生物の身体を利用する方法がある。これを力づくで奪うのは不正だが、元素霊などの棲む動物と契約を結び、そのカーマ(業)を引き受ける代わりに身体を借りることは可能である。これにより、魔術師は鷲や狼などの形態をとって物質界を活動できるが、保護下に置いた元素霊の運命に対する責任も同時に負うことになる。

第12章 血の生贄と関連事項について

血の生贄は古代魔術の核心をなす。血は生命の力(プラーナ)の乗り物であり、その瞬間に解放されるエネルギーを儀式に利用する。生贄は儀式の性質に合った健全な動物でなければならず、最高の精神的作業のためには、完全な無垢と高知能を持つ男児が最も純粋な力を持つ犠牲とされる。喚起の儀式では、この血を三角の中に置き、霊がそれから物質的形態を構築する手助けとする。より安全だが効果は劣る代替として、香料の煙を用いる方法もある。しかし、最大の秘儀は「薔薇十字の公式」と呼ばれる、魔術師自身を犠牲とする生贄である。これは最高位の修行者がのみ行いうる。また、新しいエオンの宣言という世界的魔術儀式においては、全地球を血で洗うような大戦争が不可避の生贄となることが予言される。

第13章 祓いと浄化について

魔術作業の第一歩は、あらゆる不純物と外来の影響を排した「不可侵のサークル」を構築することである。そのためには、魔術師自身、道具、作業場の三つの徹底的な浄化が必要となる。古代のように数か月に及ぶ禁欲や断食による事前の修行も行われるが、現代では内的純化がより重視される。すべての行動が一つの意志に従属しているかどうかの不断の自己分析が求められる。実際の儀式では、この浄化と聖別の二重のプロセスが繰り返される。最初の祓いの儀式(例えば五芒星のバニシング・リチュアル)で邪悪な影響を追い払い、守護の大天使を呼び寄せてサークルを守護させる。全ての準備が整った後、最終的な聖別へと進む。

第14章 聖別について:魔術的リンクの性質と養育に関する記述を伴う

聖別は、あるものを単一の目的に能動的に奉献する行為である。祓いが他の用途を禁じる消極的操作ならば、聖別は積極的に力を込める操作であり、通常は「火」や聖油によって象徴される。杖や油で対象に神聖な記号を描き、言葉をもって適切な神の内在を祈請する。

後半では、魔術的操作を成功させるために不可欠な「魔術的リンク」の概念が詳説される。どんなに強力な意志も、対象に影響を及ぼすための適切な物理的・霊的媒体(リンク)がなければ無効である。これは、呪いたい相手の持ち物を使う、広告を出す、新聞や政界といった社会的装置を「タリスマン」として用いるなど、多様な形を取りうる。魔術的リンクの構築には三つのクラスがある:(1)自己の内部でのリンク(自己啓発)、(2)他者との既存のリンクを用いるもの(説得、交渉)、(3)自然界のような直接的なリンクのない対象に働きかけるもの(気象操作など)。最後のクラスは高度な神秘的理解と技術を要する。魔術的リンクの確立なくして、魔術的操作の成功はない。

第15章 召喚について

召喚の成功の秘訣は、「祈祷において汝自身を燃え上がらせよ」という一言に尽きる。魔術師は、詩人や芸術家が創造的熱狂に駆られるように、自我の意識を失うほどに精神を高揚させねばならない。儀式は劇的な頂点へ向けて構成され、その瞬間に至高の命令が発せられる。一つの方法は、意志の努力によって何度も高潮の淵で停止を試み、最後には抑制そのものが考えられなくなるまで我を忘れることである。この状態で合一が達成される。召喚後の下位の段階は努力を要さない。真に偉大な魔術師は、部分的な神の召喚を捨て、自分を貫く唯一の神、そして最終的には聖守護天使のみを召喚するようになる。このように、召喚と瞑想の本質的な区別はない。

第16章 (第一部) 誓約について

儀式の第三段階は、宇宙への宣言である「誓約」である。魔術師はサークル中央に立ち、自らの魔術的履歴(位階とその印・言葉)を公言し、儀式の目的とその必要性を述べ、宇宙の主の前でそれを成し遂げることを誓う。続いて、無限に高くされながらも無限に矮小な存在であるという矛盾の中に自らを置く「懺悔」を行う。苦悶の中、「父よ、可能ならばこの杯を過ぎ去らせたまえ。されど、我が意志ならずして汝の意志の成らんことを」と祈るのである。そして、それが「ならねばならぬ」という答えを受けることで聖なる熱情に満たされ、改めて誓約を更新し、もはや一個人ではなく宇宙の宿命を担う魔術師として、召喚へと進む準備が整う。誓約は永遠を縛るものであり、異なる誓約間の矛盾は魔術的行為を不能にする。高次の魔術師になるほど、その純粋な意志(真の意志)のみが可能となり、それに反する些細な操作さえもできなくなる。

第16章 (第二部) 霊への指令と、時に必要な束縛と呪詛に関する記述を伴う

霊が顕現したら、それを召喚に用いた神々の名によって服従と忠誠を誓わせ(「誓約」)、儀式の目的に沿った具体的な「指令」を与えねばならない。この時、魔術師はサークルから武器を伸ばして力を流す側であり、逆に力が流れ込まぬよう注意が必要である。霊が従わない場合、時間や場所が不適切でないか、作業が宇宙の業として真に必要なものか再考すべきである。それでも抵抗するなら、妨害する黒魔術的勢力の存在が疑われる。その場合、まず一般的な呪いで一時的に追い払い、改めて厳しい調子で霊を召喚する。最後の手段として、霊のシジルを悪臭を放つ物質と共に黒箱で焼くという拷問的方法もあるが、これは稀である。逆に、霊が偽りの服従を示して魔術師を陥れようとする場合もあり、注意が必要だ。指令は多くの場合「タリスマン」という形で具体化され、貨幣や国旗、さらには妻に至るまで、あらゆるものがタリスマンとなりうる。

第17章 退去の許可について

儀式の頂点後には反頂点が必然であり、その力は吸収されるが、残留物や共鳴した存在を適切に分散(退去)させねばならない。さもなければ、それらは悪化し邪悪となる。通常、「平和のうちに汝が住処へ去れ」などと穏やかに退去を命じるが、霊が従わない場合は深刻な問題を示す。祓いの儀式を繰り返し、それでもだめなら強制的な退去の呪文を用いる。霊が不可視となって潜伏する可能性もあるため、慎重を期すべきである。儀式後、どれほど疲れていても、正確な「魔術的記録」を直ちに書き留める習慣が最も重要である。記録は魔術師の最良の資産であり、進歩は記録を解読する過程そのものである。師が弟子を指導する上でも、この記録が不可欠な判断材料となる。

第18章 千里眼と光の身体について:その力と発展。また、占いについて

人間の体内には、より微細な物質から成る「アストラル体」(光の身体)が存在する。これは物質を透過し、アストラル界を旅行・知覚できる。透視能力を開発するには、この身体を意識的に分離・操作する訓練が有効である。まず自身の前にアストラル体を想像し、意識を移して周囲を見、上昇練習でアストラル界を探検する。熟達すれば、肉体を動かさずにアストラル体の感覚を使えるようになる。アストラル体を物質界で活動させる「変身」の技法もある。ただし、アストラル体の分離・復帰は注意深く行わねばならず、さもなければ obsession(憑依)や精神障害を招く。

「平面登攀」の実践は、アストラル体を高次元へと貫通させる重要な修行である。意図的に上方へ上昇を続け、あらゆる誘惑や障壁を意志で突破し、ついに消耗しきって無意識に落ちるまで続ける。これにより高次平面への耐性が養われる。

後半では、占い(卜術)の理論と実践が論じられる。占いは、魔術師が判断に必要な情報を、水晶やタロット、易経などの象徴体系を媒介として、上位の知性から得る技術である。成功のためには、(1)問題への完全な集中と、(2)自身の筋肉を媒介知性の意志に委ねること、が同時に必要という難しい条件を満たさねばならない。最も重要なのは、占いの結果に対する個人的な偏見や願望を一切排した、絶対的な精神的「中立」を保つことである。易経は特に優れた体系として推奨される。占いはあらゆる判断の補助として有用だが、「偉大なる業」そのものについては、聖守護天使以外に相談すべきではない。

第19章 演劇的儀式について

古代の密儀で用いられたこの方法は、神話を劇として再現し、演者(特に主役)が神と同一化することで召喚を達成する。参加者は同じ神秘に導入された者に限り、詩と音楽をふんだんに用いて念入りにリハーサルされる。ただしクライマックスのみは練習せず、即興性を保つ。頂点に達した後は、舞踏などの自由な儀式(インブロンプトゥ)で締めくくられる。この形式は、儀式の精神を理解できる者にとって極めて有効である。

第20章 聖餐と錬金術の技法について

聖餐は、普遍的な魔術儀式の最も単純で完全な形の一つである。それは普通の物を神的なものに変容させ、それを消費(再吸収)する行為であり、あらゆる魔術の型である。元素の数に応じて、一元素から七元素までの様々な聖餐が可能である。最高の聖餐は一元素からなり、それは「賢者の石」「生命のエリクシル」にほかならない。二元素の聖餐(ワインとパン)はキリスト教のミサに、三元素以上はより複雑な象徴体系に対応する。聖餐は魔術師の日々の魔術的生命を支える主要な栄養となり、漸次的にその身体を神の顕現の殿堂へと変えてゆく。

後半では、錬金術が魔術の一分支として位置づけられる。錬金術の本質は、ある「第一物質」からその隠された真実・完全性(哲学者の石、エリクシルなど)を抽出・顕現させることにある。それは魔術師が自己の真の自我を啓発する「導入」のプロセスと完全に相似しており、物質の「死と再生」(黒化・白化・赤化)は修行の試練と苦難に対応する。錬金術の産物は常に「生けるもの」であり、それはちょうど聖餐における「神の身体」のごとき生ける力なのである。したがって、聖餐は錬金術的変容の最重要ケースである。

第21章 黒魔術、魔術技芸の操作の主要類型、そしてスフィンクスの力について

唯一至上の儀礼(聖守護天使との合一)からのあらゆる逸脱は、程度の差はあれ「黒魔術」となる。無理解から行われる他者治療などの「無害な」魔術から、物質的利益と引き換えに霊的能力を売るプロの霊能者、そして「左の道の兄弟」と呼ばれる、アビスを越えることを拒み自己に閉じこもった者たちまで、その階梯は多岐にわたる。悪魔という統一的存在はなく、無知な分散の寄せ集めに過ぎない。悪魔を呼ぶとは、単に自己の意志の低レベル部分に降りてフラタナイズすることである。

魔術的操作の類型としては、霊の喚起、タリスマンの聖別、占い、幻惑・変身の術、愛憎の術、破壊の術、創造と溶解の術などが列挙されるが、熟達した魔術師は必要に応じて適宜これをなしうる。

最後に、魔術師の基礎訓練としての「スフィンクスの四力」(知れ、敢えてせよ、意志せよ、沈黙せよ)の養成が強調される。これは単なる標語ではなく、魔術師という一個の有機体の機能として統合的に発達させねばならない。そのためには、神秘修行における瞑想の技術と同様、魔術においてもアストラル体の組織的・体系的な訓練が不可欠である。特定の興味ある領域だけを探求するのでなく、可能な限りあらゆる平面・領域を経験し、いかなる課題にも柔軟に対応できる「弾力性」を身体と精神に植え付けることが、真の魔術的成長の基礎である。


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