学術書『生きている虹の水』メイ・ワン・ホー、2012年

水・EZウォーター・磁化水量子力学・多世界解釈・ファインチューニング

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タイトル

英語タイトル:『Living Rainbow H2O』Mae-Wan Ho, 2012
日本語タイトル:『生きている虹の水』メイ=ワン・ホー、2012年

目次

  • 第1章 虹がワームの中で踊る / Rainbow Dancing in the Worm
  • 第2章 奇妙で素晴らしい水 / Weird and Wonderful Water
  • 第3章 協調的で整合的な水 / Cooperative Coherent Water
  • 第4章 水とコロイド結晶:新しい錬金術の時代 / Water and Colloid Crystals: The New Age of Alchemy
  • 第5章 量子整合的な水 / Quantum Coherent Water
  • 第6章 QED水 I / QED Water I
  • 第7章 QED水 II:非熱的電磁場効果 / QED Water II: Non-thermal EMF Effects
  • 第8章 QED水 III:ホメオパシー / QED Water III: Homeopathy
  • 第9章 イオンと踊る / Dancing with Ions
  • 第10章 タンパク質と踊る / Dancing with Proteins
  • 第11章 DNAと踊る / Dancing with DNA
  • 第12章 固体界面の水 / Water at Solid Interfaces
  • 第13章 電気的な水 / Water Electric
  • 第14章 水+空気=生命 / Water + Air = Life
  • 第15章 水が空気と出会う / Water Meets Air
  • 第16章 水が膜と出会う / Water Meets Membranes
  • 第17章 虹のアンサンブル / The Rainbow Ensemble
  • 第18章 細胞の真の肖像 / True Portrait of the Cell
  • 第19章 ナノ空間の水 / Water in Nanospace
  • 第20章 ナノ空間のタンパク質と水 / Protein and Water in Nanospace
  • 第21章 火と水 / Fire and Water
  • 第22章 水が生命のダイナモを動かす / Water Fuels the Dynamo of Life
  • 第23章 電子誘導が生命を活性化する / Electronic Induction Animates Life

本書の概要

短い解説

本書は、水の量子物理学と化学を通じて、水がなぜ生命にとって極めて適合的であるかを解明することを目的とし、生物学、物理学、化学の境界を超えた統合的視点を提供する科学書である。

著者について

著者メイ=ワン・ホーは、英国科学社会研究所の研究者であり、生物物理学と量子生物学の先駆的研究者として知られる。1992年に偏光顕微鏡下でショウジョウバエの幼虫に「踊る虹」を発見し、生物が液晶状態であり量子整合的であることを示した。本書では、水が生命の媒体であり、メッセージであり、手段であることを30年以上にわたる研究成果に基づいて論証する。

主要キーワードと解説

  • 主要テーマ:液晶水(liquid crystalline water) – 生体内の水は高度に秩序化され、偏極した状態にあり、量子整合性を持つことで生命活動を可能にする
  • 新規性:量子整合的生物(quantum coherent organism) – 生物全体が巨視的な量子存在として、分子から細胞、組織まで整合的に振動し、「量子ジャズ」を奏でる
  • 興味深い知見:水の二状態モデル – 水は低密度水(LDW)と高密度水(HDW)の二つの状態の動的平衡にあり、この相互変換が生命の「自由エネルギー」源となる
  • 革新的概念:排除ゾーン(exclusion zone, EZ) – 親水性表面近傍に形成される巨大な構造化水層で、溶質を排除し、電荷分離を起こして「水の電池」として機能する
  • 統合理論:Lingの会合-誘導仮説 – 細胞内のタンパク質はATP結合により伸展し、偏極多層水(POM)を形成してK+を選択的に結合する;これが膜電位と細胞の生命状態を決定する

3分要約

本書は、水が単なる溶媒ではなく、生命そのものの本質であることを量子物理学と化学の観点から論証する。著者は1992年、偏光顕微鏡でショウジョウバエ幼虫内に「踊る虹」を発見した。これは生物が液晶状態にあり、水を含む全分子が整合的に運動していることを示す決定的証拠だった。

水分子は永久双極子であり、水素結合を形成する傾向が強い。この特性により、水は巨大な多様性の超分子構造を形成する。常温常圧下でも、水は協調的相互作用により長距離整合性を示す。最近の研究では、水分子間の励起エネルギーが水素結合ネットワークを通じて80フェムト秒という超高速で共鳴転移することが明らかになった。水は低密度水(LDW)と高密度水(HDW)の二状態の動的平衡にあり、Martin Chaplinは水分子が正二十面体クラスター(直径約100nm、280分子)を形成するモデルを提唱した。

量子電磁力学(QED)理論によれば、液体の水は整合領域(coherent domain, CD)と非整合領域の二相系である。CDでは水分子が12.06eVの励起状態と基底状態の間で整合的に振動し、ほぼ自由な電子のプラズマを含む。この整合水が光合成における水分解を可能にし、生命に必要な還元力を提供する。Gerald Pollackらは親水性ゲル表面に数十から数百マイクロメートルに及ぶ巨大な排除ゾーン(EZ)を発見した。EZ水は溶質を排除し、負に帯電して電位差を生じる。光、特に近赤外光がEZを厚くすることから、光エネルギーが水を励起して電荷分離を引き起こす「水の電池」として機能することが示された。

タンパク質の水和研究では、テラヘルツ分光法により、タンパク質表面から7-8層(約2nm)にわたる水が通常の水より構造化されていることが判明した。逆ミセル内に閉じ込められた単一タンパク質分子のNMR研究では、タンパク質-水相互作用が部位ごとに10桁以上の時間スケールで多様に変化することが明らかになった。DNAも水和により電気伝導性を獲得し、湿度55%で106倍もの伝導性増加を示す。これは塩基対間のπ軌道重なりと水分子の水素結合が組み合わさった効果である。

細胞内では、水は単なる溶媒ではなく、生命活動の中心的役割を果たす。Gilbert Lingの会合-誘導(AI)仮説によれば、細胞内タンパク質はATP結合により伸展し、ペプチド結合が水分子と相互作用して偏極多層水(POM)を形成する。この状態ではカルボキシル基がK+をNa+より選択的に結合し、これが膜電位の真の起源となる。細胞骨格は全体でフラクタル構造を形成し、液晶水のネットワークが細胞全体、さらには細胞外マトリクスを通じて全身に広がる。この液晶水ネットワークがプロトン跳躍伝導や共鳴エネルギー転移により超高速の情報伝達を可能にする。

水は光合成と呼吸という酸化還元ダイナモの燃料であり、潤滑剤であり、触媒である。シアノバクテリアが25億年前に水を電子源とする光合成を発明したことで、大気に酸素が蓄積し、好気呼吸と複雑な多細胞生物の進化が可能になった。整合水は単に励起電子とプロトンを供給するだけでなく、活性化エネルギーと特異的共鳴により化学反応を超促進する。

本書が示すのは、水が生命の「手段、媒体、メッセージ」であるという包括的ビジョンである。量子整合的な液晶水が細胞と生物全体に遍在し、電子誘導により全身を瞬時に連結する。これは「量子ジャズ」—膨大な数の多様な演奏者が最大限の自発性と自由を持ちながら、全体として完璧に調和する—という比喩で表現される生命の本質である。新しい細胞生物学は、分子の詳細を超えて、水の量子物理学と化学を中心に据えるべきだと著者は主張する。

各章の要約

第1章 虹がワームの中で踊る

1992年夏、著者は偏光顕微鏡下でショウジョウバエ幼虫内に踊る虹を発見した。干渉色は生物が液晶状態にあることを示し、細胞内の全分子が水を含めて液晶として整列し整合的に運動していることを明らかにした。最も活動的な部位が最も明るく輝き、死ぬと色が消える。この液晶水を含む量子整合的電気力学場が、分子レベルでのエネルギー転移を100%近い効率で可能にする。量子整合性とは時空を超えた整合的活動の量子重ね合わせであり、生物は「量子ジャズ」を奏でる。相互通信が鍵であり、それは主に電磁的である。水は手段であり、媒体でありメッセージである。

第2章 奇妙で素晴らしい水

水はH2Oという単純な化合物だが、最も複雑な性質と異常性を持つ。周期表の隣接化合物と比較すると、水の沸点は予想より遥かに高く、常温で液体である。氷は液体の水より軽く浮く。過冷却水は加熱すると4℃まで収縮する。水は双極子であり水素結合形成傾向が強く、異常に高い誘電率(約78)の原因となる。水素結合と分子の柔軟性により、膨大な多様性の超分子構造が可能になる。15種類の結晶氷、非晶質氷、ガラス状氷が知られる。液体の水は動的な超分子クラスターのネットワークとして存在し、常温下での顕著な長距離整合性の証拠が蓄積されている。

第3章 協調的で整合的な水

水素結合を通じた協調性が水の特性を決定する。量子化学計算により、5員環や6員環クラスター内の水素結合は二量体より強く短いことが示された。常温で約90%の水分子が水素結合し、O-H伸縮振動は3400cm-1付近の広いバンドを示す。二次元赤外フォトンエコー分光法により、励起エネルギーが水素結合ネットワークを通じて約80フェムト秒で共鳴転移することが発見された。これは水素結合寿命(約1ピコ秒)より遥かに短い。Chaplinは280分子からなる正二十面体モデルを提唱し、低密度拡張構造と高密度収縮構造間を水素結合を切断せずに変換できるとした。このモデルはX線動径分布関数と良く一致する。

第4章 水とコロイド結晶:新しい錬金術の時代

均一サイズのラテックス粒子が水中で自発的に秩序-無秩序相転移を起こしコロイド結晶を形成する。Iseらは同じ視野内に秩序領域と無秩序領域が共存することを示した。秩序領域では粒子はほとんど動かず分子超結晶を形成する。従来理論では同電荷粒子は反発するはずだが、対イオン存在により長距離引力が生じることが示された。これは界面水が鍵を握る。Mikhaelらはレーザービームで準結晶を成長させ、Försterらは両親媒性共重合体ミセルが水中で自発的に12回および18回対称の準結晶を形成することを発見した。これは細胞内外の複雑な構造が水ベースの自己組織化で生じることを示唆する。

第5章 量子整合的な水

水の動態を再現するには量子効果を含める必要がある。重水素や三重水素への同位体置換で多くの性質が大きく変化する。核量子効果は水の熱容量の「署名」である。常温常圧下で水が量子整合的である証拠がNMRから得られた。分子間多重量子整合性シグナルが検出され、試料内の全分子のスピンが相関し同じ電磁場で位相を揃えて振動していることを示す。最大10次までの量子整合性が検出された。Korugaのオプト磁気指紋装置は、水表面からの反射偏光光と拡散白色光の差から試料の磁気スペクトルを得る。純水のOMFは温度により特徴的パターンを示し、25℃で最も強いピークを示した。

第6章 QED水 I

量子電磁力学理論は物質と電磁場の相互作用を考慮する。Del Giudiceらによれば、常温常圧下の液体水は整合領域(CD、直径約100nm)と非整合相からなる二相系である。CD内では水分子が12.06eV(第一イオン化閾値直下)の励起状態と基底状態の間で整合的に振動する。CDは電磁場を自己捕捉し、ほぼ自由な電子のプラズマを含む。整合相は体積の約40%を占め、誘電率160と高い分極性を持つ。Kanziusが発見した「燃える水」現象は、RF放射が塩水に共鳴結合して水を分解することで説明できる。Pollackらの実験により親水性ゲル表面に排除ゾーンが形成され、-150mVの電位差が生じることが示された。EZ水は整合領域であり、界面は酸化還元パイルとして機能する。

第7章 QED水 II:非熱的電磁場効果

非熱的電磁場効果とは温度上昇を伴わない低強度場による効果である。従来の「熱閾値」論は熱力学平衡系にのみ適用されるため生体には妥当でない。生物は整合性が高く、極めて弱い場でも膨大な数の分子に同時に影響を与えうる。イオンサイクロトロン共鳴では静磁場と交流磁場の組み合わせでCa2+イオン濃度が変化する。Zhadinらはグルタミン酸水溶液で地球磁場程度の静磁場と0.02μTの交流磁場により4.18Hzで電流の鋭いピークを観察した。しかしエネルギーは熱閾値の11桁下であり古典物理学では説明不可能である。QED理論では水の非整合相でイオンの整合系が形成され、共鳴時にゼロ周波数の並進運動が生じて電流が増加する。

第8章 QED水 III:ホメオパシー

Montagnier(ノーベル賞受賞)らは特定の細菌・ウイルスDNA配列が高希釈時に電磁信号を放出することを発見した。さらにこのEM信号を純水に転写でき、その水からDNA配列を再構成できることを示した。DNA断片除去後も水中のナノ構造がEM信号を保持する。このEM信号を含む水を電磁場で18時間暴露すると純水にEM信号が転写される。この水にDNA合成の全要素を加えると元のDNA配列の98%と同一の配列が合成された。EM信号は地球磁場NMRによるものと考えられる。QED理論では整合領域が外部から供給されたエネルギーを整合渦として蓄積し「水の記憶」を構成する。シューマン共鳴(7.83Hz等)が重要な役割を果たす。

第9章 イオンと踊る

水は多くの物質にとって良好な溶媒である。水は酸としても塩基としても作用する両性物質である。イオンは生体内で必須であり9種の電解質が比較的大量に必要とされる。イオンはコスモトロープ(秩序誘導)とカオトロープ(無秩序誘導)に分類される。水分子は水素結合のパートナーを角度ジャンプ(60-70°)により約80フェムト秒で切り替える。両方のイオンが強いコスモトロープの場合、水分子は双極子相互作用と水素結合相互作用の両方により固定され、個々のイオンの和より遥かに多くの水分子が束縛される。異なる測定法は異なるベクトルを探査するため異なる結果を与える。

第10章 タンパク質と踊る

タンパク質は体重の約17%を占めほぼ全ての生命機能を担う。酵素は化学反応速度を10^10~10^23倍加速するがその機構は未解明であり水の役割が鍵である。タンパク質水和殻の水は過冷却されガラス転移点Tg~170Kまで凍結しない。タンパク質はT∆~225Kで動的転移を示しこれは水和殻の動態に関連する。テラヘルツ分光法によりタンパク質表面から約10Å(7-8層)の水和水が通常の水より長い水素結合寿命を持つことが示された。水和殻の水は強誘電性であり大きな実効双極子モーメントを持つ。LeBardとMatyushov はタンパク質水和殻が3-5分子厚の強誘電殻を形成することを数値シミュレーションで示した。重水素置換によりリゾチームの誘電緩和時間が劇的に変化し量子効果が明白である。

第11章 DNAと踊る

DNAは遺伝情報を運ぶが水和により特別な機能を獲得する。DNA水和殻の水は時間分解ストークスシフト分光法により通常の水とは異なる動態を示す。緩和が単一のべき乗則に従い全時間スケールで高度な相関を示唆する。水がDNAの緩和応答を全時間範囲で支配する。Yamahataらはナノピンセット間に懸濁したDNA束で相対湿度が0から55%に増加すると電気伝導度が10^6倍増加することを示した。電荷キャリアはH+とOH-である。BerashevichとChakrabortyは塩基が水分子と水素結合を形成すると非結合π電子が生じて正孔の量子トンネリング障壁が下がることを示した。A型DNAからB型DNAへの変換により電荷伝導が10^3倍増加する。湿潤DNAは低温で常磁性を示しこれも量子効果である。

第12章 固体界面の水

界面水は通常の水と異なる特性を持つ。Drost-Hansenは界面水の理想的性質を表にまとめた:密度0.96-0.97、粘度2-10倍、熱伝導度7-35倍、誘電緩和周波数1/10。和周波分光法と第二高調波分光法により界面を直接探査できる。石英-水界面では液体様ピークと氷様ピークが観察される。位相感受性SFVSによりO-H結合の向きが判別できる。Pollackらは親水性ゲル表面に数十~数百マイクロメートルの巨大な排除ゾーン(EZ)を発見した。EZ内では微小球が完全に排除され-150mVの電位差が測定された。EZ上部ではpHが低く過剰なプロトンが存在する。光特に3000nm近赤外光がEZを数倍厚くする。EZは「水の電池」として機能し電流を生成する。偏光顕微鏡下でEZは明るい複屈折帯として現れ液晶水である。

第13章 電気的な水

水素結合した水分子鎖に沿ったプロトン跳躍伝導は金属線を通る電子伝導より遥かに速い。生物膜のプロトンポンプの構造研究により膜を貫通する水分子鎖が存在することが示された。バクテリオロドププシンやシトクロムcオキシダーゼがその例である。しかしプロトンポンプの速度はバルク拡散で供給される速度より速い。Williamsらはプロトンが膜表面に沿って拡散することを提案した。膜上の界面水に沿った高速プロトン伝導が実験的に確認された。Pohlらは70μm離れた部位へのプロトン到達が速くD2O置換で著しく遅くなることを示した。拡散係数はバルク拡散の7桁速い。単層カーボンナノチューブ内の水は通常の水より40倍速くプロトンを伝導する。

第14章 水+空気=生命

水と空気の界面では特別な化学が起こる。海水表面は1~1000μm厚の有機膜で覆われ両親媒性分子を含む。光酸化反応が容易に起こりクロロフィル濃度はバルク海水の2倍である。二次元での高濃度と速い拡散により反応速度が大幅に増強される。分子認識が効率的に起こり生物系に匹敵する速度定数が得られる。生命前化学の合成においても水-空気界面が重要な役割を果たした可能性がある。Ruiz-Bermejoらはエアロゾルを発生させるフラスコで実験しエアロゾルありの場合に有機分子が37%増加しアミノ酸の多様性も増加した。アデニン等の塩基も合成された。高塩分濃度でアミノ酸生成が68%増加した。氷の凍結-融解サイクルでは多環芳香族炭化水素が生成され尿素存在下でシトシン、ウラシル、アデニンが合成された。

第15章 水が空気と出会う

水の表面張力(72.8mN/m)は非金属液体中で最高である。これにより昆虫や爬虫類が水面を歩ける。表面張力は分子間凝集力により生じる。水の高い表面張力は水素結合によるとされる。和周波分光法と第二高調波分光法により空気-水界面を直接探査できる。界面スペクトルは3700cm-1に遊離OH基のピークと3000-3600cm-1に水素結合OH基の広いピークを示す。界面は約1nm深く20-25%が遊離OH基で覆われる。イオンは界面から排除されるとされてきたが最近の研究で重いハロゲンイオン(Br-、I-)は界面に移動することが示された。KFとNaFでは界面水の配向が逆方向に変化する。界面水層の厚さは塩の種類と濃度により変化し表面張力とは相関しない。

第16章 水が膜と出会う

生物膜は細胞を囲み細胞内部を満たす。膜は脂質二重層とタンパク質からなる。リン脂質とグリコ脂質は両親媒性で二つの疎水性炭化水素鎖と親水性頭部基を持つ。コレステロールは膜の流動性維持に重要である。膜脂質の水和研究により水分子が脂質リン酸基やカルボニル基と強い水素結合を形成することが示された。和周波振動分光法により親水性頭部基が界面水を秩序化することが直接示された。位相感受性SFVSにより水双極子が脂質尾部へ向くか水中へ向くかが判別できる。負に帯電したリン脂質では水素原子が上を向き中性リン脂質でも同様のパターンを示す。Ca2+添加はリン酸基を脱水和させ界面水の秩序を減少させる。Ca2+は信号伝達で重要な役割を果たす。

第17章 虹のアンサンブル

タンパク質、イオン、水が一緒に出会うとき何が起こるか。Collinsの理論は水親和性の一致の法則を提案する:水親和性が似た対イオンは脱水和して直接対を形成し中性分子として沈殿する。K+とF-は水親和性が一致せず高濃度まで溶解するがNa+とF-は一致し低濃度で飽和する。タンパク質は強い負電荷のカルボキシル基を持ちNa+と対を形成しやすいためNa+はタンパク質を塩析する。細胞内イオンは水親和性の不一致に最適化されタンパク質の高溶解性を維持する。Wigginsは水の二状態の動的相互変換が生命の「自由エネルギー」源であると提案した。セルロースアセテート膜の孔内水はKClとCsClを蓄積しNaCl、LiCl、MgCl2を排除する。ATPがADPとPiから逆ミセル内で自発的に合成された。

第18章 細胞の真の肖像

細胞は膜と細胞質からなるとされてきたが実際には膜と細胞小器官および広範な細胞骨格で満たされている。19世紀の原形質理論は細胞より原形質を生命の単位とした。Max Schultzeは原形質が全生物の生命活動の基質であることを示した。しかし20世紀に細胞理論が優勢となり原形質概念は衰退した。Keith Porterは高電圧電子顕微鏡で微小柱格子(現在の細胞骨格)を発見した。細胞骨格はアクチン、チューブリン、中間フィラメントの3つの超家族のタンパク質からなり真核生物と原核生物の両方に存在する。多くの酵素が細胞骨格や膜に局在し代謝チャネリングが起こる。分子は電磁信号により共鳴して互いを見つける。細胞骨格はフラクタル構造を持つ。

第19章 ナノ空間の水

カーボンナノチューブ内の水を高解像度透過電子顕微鏡で観察すると、大きなナノチューブ(10-200nm)では通常の水の挙動を示すが小さなナノチューブ(2-5nm)では明るく珠状に見える高度に構造化された水が観察された。Maniwaらは単層カーボンナノチューブ内の水の相図を作成し、直径1.4nm以下で相転移温度が劇的に上昇することを示した。直径1.4nm付近で7員環や8員環の水ナノチューブが中心に水分子鎖を持つ構造が形成される。Kitamoriらは295-5000nmの拡張ナノ空間を持つガラスチップで水を研究し、プロトン伝導相が50nm厚であることを示した。逆ミセルは酵素の「超活性」を示すモデル系である。Fayerらの研究により直径4nm以下で水分子が集団として振る舞うことが示された。

第20章 ナノ空間のタンパク質と水

コラーゲンに関連する水は高度に秩序化されている。Fullerton とCameronは水がコラーゲン三重らせんの3つの溝に沿って6員環水ナノチューブを形成するモデルを提案した。NMR緩和時間測定により全ての構造化水間で速いプロトン交換が起こることが示された。逆ミセル内に閉じ込められた単一タンパク質分子のNMR研究により、タンパク質-水相互作用が部位ごとに10^10倍以上の時間スケールで多様に変化することが明らかになった。逆ミセルは生細胞内の状況により近い。タンパク質表面全体で水和水の相対的可動性が部位特異的に解析された。大多数の水和部位で実質的な運動または短い滞在時間が示された。最も遅い水和部位の滞在時間は10ナノ秒以上である。結晶構造の水とは相関が低い。

第21章 火と水

酸化還元反応は生命の基本化学であり、電子を供給源(ドナー)から受容体(アクセプター)へ移動させる。電子は水を分解することで得られ、太陽光エネルギーを利用して酸素を放出する。これが光合成である。シアノバクテリアが25億年前に酸素生成型光合成を発明し、大酸化イベントを引き起こした。大気酸素濃度が20億年前に2%に達し、その後10億年間停滞した。5億年前に酸素が急上昇し現在の20%に達した。これがカンブリア爆発を引き起こし全ての主要な動物門が進化した。酸素は安定で豊富であり生命に最も適合的である。酸素は炭素より電気陰性度が高くエネルギー移動を最大化する。酸素レベルの上昇は大型昆虫の出現と相関する。海洋温暖化は植物プランクトンを減少させ酸素枯渇を招く。酸素は代謝ネットワークの複雑性を増加させる。

第22章 水が生命のダイナモを動かす

呼吸は解糖系(嫌気的)とクエン酸回路(好気的)の2段階からなる。解糖系は細胞質で起こりグルコースを2分子のピルビン酸に分解し、2分子のATPを生成する。クエン酸回路はミトコンドリアのマトリックスで起こりピルビン酸をCO2と水に完全酸化し、6分子のNADH、2分子のFADH2、2分子のATPを生成する。酸化的電子伝達鎖は電子移動をプロトン移動と共役させATPを生成する。光合成は葉緑体で起こる。明反応では光エネルギーが電子を励起し水を分解してO2を放出し、ATPとNADPHを生成する。暗反応ではNADPHとATPを用いてCO2を固定する。緑色植物では2つの光化学系(PSIIとPSI)が連携して電子を必要な酸化還元電位まで押し上げる。

第23章 電子誘導が生命を活性化する

膜電位は何によって生じるのか。従来理論ではイオンチャネルとイオンポンプが異なるイオン濃度を作り出すとされる。しかし細胞内K+が高濃度なのはなぜか説明されない。Gilbert Lingの会合-誘導仮説によれば、細胞内タンパク質はATP結合により完全に伸展し、ペプチド結合が水分子と相互作用して偏極配向多層(POM)水を形成する。この状態でカルボキシル基がK+をNa+より選択的に結合する。Edelmannの電子顕微鏡研究により、K+が細胞質タンパク質のカルボキシル基に選択的に吸着されることが証明された。膜電位は細胞全体ではなく局所的な電位差である。ATP結合がタンパク質を伸展状態に保ちPOM水とK+選択的結合を誘導する。これが単位原形質である。Lingの理論は今日の細胞生物学と多くの接点を持つ。電子誘導が生命を活性化する。新しい細胞生物学は水の量子物理学と化学を中心に据えるべきである。

 


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