グローバル・エンターテインメント・メディア:批判的入門

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Global Entertainment Media: a Critical Introduction: A Critical Introduction

『Global Entertainment Media: A Critical Introduction』Lee Artz 2015年

目次

  • 序章 エンターテインメント、テレビ、文化的ヘゲモニー / Entertainment, Television, and Cultural Hegemony
  • 第1章 21世紀資本主義と超国家的関係 / Twenty-First Century Capitalism and Transnational Relations
  • 第2章 主導権を握る:超国家的計画 / Leading the Charge: Transnational Planning
  • 第3章 超国家的メディア / Transnational Media
  • 第4章 地域からグローバルへ:超国家的メディアリーダー / From Regional to Global: Transnational Media Leaders
  • 第5章 文化的ヘゲモニー:同意に基づくリーダーシップ / Cultural Hegemony: Leadership with Consent
  • 第6章 分散化する権力:支配的多様性 / Power Decentered: Dominant Diversity
  • 第7章 スーパーヒーローの救出:文化的ヘゲモニーのための行動組織化 / Superheroes to the Rescue: Organizing Action for Cultural Hegemony
  • 第8章 メディア、民主主義、政治的権力 / Media, Democracy, and Political Power
  • 結論 新たなメディア、新たな社会 / Conclusion: New Media, New Society

本書の概要

短い解説:

本書は、グローバルエンターテインメントメディアが超国家的資本主義の文化的ヘゲモニーを構築するメカニズムを批判的に分析する。メディア研究、国際関係、批判理論に関心を持つ読者に向け、現代のエンターテインメントメディアがどのように消費主義と超国家的資本の利益を促進しているかを明らかにする。

著者について:

著者リー・アーツは、政治的経済学とメディア研究の専門家として知られ、国際メディアと文化的ヘゲモニーに関する研究で実績を持つ。本書では、グラムシ的ヘゲモニー理論とマルクス主義的政治経済学の視点から、超国家的メディア企業の構造と影響力を批判的に分析する。

テーマ解説

  • 主要テーマ:超国家的資本主義とメディアの関係性 [超国家的メディア企業が資本主義的ヘゲモニーを構築する過程の分析]
  • 新規性:文化的ヘゲモニー概念の現代メディアへの応用 [従来の文化的帝国主義論を超えた超国家的ヘゲモニーの理論化]
  • 興味深い知見:多様性なき多様化 [メディアコンテンツの表面的多様性が民主主義的アクセスを妨げる逆説]

キーワード解説(1~3つ)

  • 文化的ヘゲモニー:支配階級が被支配階級の同意を得て権力を維持する社会的・文化的プロセス
  • 超国家的資本主義階級:国境を越えて資本と生産を統合する新たな支配階級の形成
  • 消費者主義:個人の消費行動を通じたアイデンティティ形成と資本主義的社会関係の再生産

3分要約

本書『Global Entertainment Media: A Critical Introduction』は、現代のグローバルエンターテインメントメディアが、超国家的資本主義の文化的ヘゲモニーを構築・維持するメカニズムを批判的に分析する。著者は、超国家的メディア企業(TNMCs)が単なる娯楽提供者ではなく、消費主義と市場価値観を促進する政治的・文化的装置として機能していると論じる。

序章では、現代のメディア環境がエンターテインメントに支配されている現状を指摘する。ニュースでさえも「インフォテインメント」化し、深刻な社会的・政治的課題から人々の注意を逸らす役割を果たしている。このエンターテインメント中心のメディア環境は、民主的な議論の場としての公共圏を侵食している。

第1章と第2章では、21世紀の超国家的資本主義の構造と、超国家的資本家階級(TNCC)の形成過程を分析する。従来の多国籍企業を超えた新たな超国家的企業のネットワークが、国境を越えた生産と利益の共有を通じて、世界的な資本の統合を推進している。

第3章と第4章では、メディア産業自体がこの超国家的資本主義の一部であることを示す。主要なメディア企業は合併、買収、合弁事業を通じて超国家的なネットワークを構築し、ローカルなコンテンツを包装しながらも、普遍的な消費主義的価値観を普及させている。

第5章では、グラムシの文化的ヘゲモニー概念を現代のメディア環境に適用する。TNMCsは強制ではなく同意を通じて支配を維持しており、人々が自発的に消費主義文化を受け入れるように仕向けている。

第6章では、文化のハイブリッド化や多様化が、実際には支配的な資本主義的価値観を強化する手段となっている逆説を論じる。表面的な文化の多様性が、民主的なメディアアクセスの欠如を覆い隠している。

第7章では、アクション映画を事例に、TNMCsのコンテンツがどのように現状維持のイデオロギーを伝達しているかを分析する。これらの物語は社会問題を個人化し、超人的な個人の行動に解決を求めることで、集団的な政治的変革の可能性を否定する。

第8章では、ベネズエラのコミュニティメディアを民主的メディアのモデルとして提示する。参加型のメディア生産が、新たな社会的関係と文化的ヘゲモニーを構築する可能性を示唆する。

結論では、真に民主的なメディアのためには、メディアの生産と分配に対する民衆のコントロールが必要であると論じる。TNMCsの消費主義的エンターテインメントに対抗するには、参加型のメディア実践を通じた新たな文化的ヘゲモニーの構築が不可欠である。

各章の要約

序章 エンターテインメント、テレビ、文化的ヘゲモニー

現代のグローバルメディア環境はエンターテインメントに支配されている。ニュースでさえも「インフォテインメント」化し、人々の注意を社会的・政治的課題から逸らす役割を果たしている。超国家的メディア企業(TNMCs)は、多様な文化的表現を包装しながらも、消費主義と個人主義の価値観を普遍化している。このプロセスは文化的ヘゲモニーとして理解できる。つまり、支配階級が被支配階級の同意を得て権力を維持する社会的メカニズムである。著者はこう述べる。「エンターテインメントメディアは、物語を語ることで、なぜ法があるのか、法を破ると何が起こるのかを表現し評価する。」

第1章 21世紀資本主義と超国家的関係

21世紀の資本主義は、国境を越えた生産と所有の関係を通じて根本的に変容している。超国家的企業(TNCs)は、合併、買収、合弁事業により、複数の国の資本家階級を統合している。この超国家的資本主義の構造は、新たな国際的分業と超国家的資本家階級(TNCC)の形成をもたらした。この階級は、自らの利益のために国家機関や国際機関を利用しながら、世界的な生産と消費のパターンを再編成している。伝統的な国民国家を基盤とした資本主義から、国境を越えた資本の統合へと移行しているのである。

第2章 主導権を握る:超国家的計画

超国家的資本家階級は、世界経済フォーラムや三極委員会などの政策計画グループを通じて、自らの世界的プロジェクトを調整している。これらのグループは、新自由主義的政策——規制緩和、民営化、商業化——を推進し、超国家的資本の自由な移動を促進する。この政治的・経済的プロジェクトは、消費主義のイデオロギーによって補完されている。消費主義は、人々の欲望を商品の購入に向けさせ、資本主義的社会関係の再生産を確保する。超国家的資本主義のヘゲモニーは、物質的利益、政治的妥協、文化的説得の組み合わせを通じて構築されている。

第3章 超国家的メディア

メディア産業は、他の超国家的産業と同様の経済的論理と組織構造に従っている。超国家的メディア企業(TNMCs)は、国境を越えた合弁事業と生産ネットワークを通じて、ローカルなコンテンツを包装したグローバルなエンターテインメントを生産・分配している。これらの企業の主な商品は、広告主に販売される「視聴者」である。したがって、プログラミングの決定は、視聴者を消費者として準備するコンテンツを優先する。TNMCsは、文化的ヘゲモニーの構築に重要な役割を果たしており、消費主義と市場価値観を自然で普遍的なものとして表現している。

第4章 地域からグローバルへ:超国家的メディアリーダー

主要なメディア企業——ディズニー、ニューズ・コープ、ソニーなど——は、超国家的なネットワークを通じて、グローバルなメディア環境を支配している。これらの企業は、合弁事業と戦略的提携を通じて、地域市場に参入し、ローカルなコンテンツを資本主義的テーマで包装している。例えば、インドのリライアンス・エンターテインメントは、ドリームワークスや中国の映画製作者との提携を通じて、超国家的な存在となっている。これらの超国家的メディアの戦略は、ジャンルの多様性をもたらしたが、民主的なメディアアクセスは減少させている。

第5章 文化的ヘゲモニー:同意に基づくリーダーシップ

グラムシの文化的ヘゲモニー概念は、超国家的資本主義の持続を理解するための枠組みを提供する。TNMCsは、人々が消費主義文化に自発的に参加するように仕向けることで、同意を構築している。このヘゲモニーは、物質的報酬、政治的妥協、文化的説得の組み合わせを通じて維持されている。メディアコンテンツは、人々の日常生活の経験と共鳴する物語やイメージを提供することで、現状を自然で不可避なものとして表現する。ハイブリッド化されたメディアコンテンツは、ローカルな文化の感触を保持しながらも、普遍的な消費主義的価値観を促進する。

第6章 分散化する権力:支配的多様性

文化のハイブリッド化とメディアの多様化は、超国家的メディアの支配に対する抵抗の形態としてしばしば称賛される。しかし、これらの現象は実際には資本主義的ヘゲモニーを強化する可能性がある。TNMCsはローカルな文化表現を取り入れ、消費主義的テーマで包装することで、グローバルな市場への訴求力を高めている。文化的近接性の理論は、人々がローカルなコンテンツを好むと論じるが、TNMCsはこの好みをローカルな包装でグローバルなテーマを提供するために利用している。表面的な多様性が、民主的なメディアアクセスの欠如を覆い隠しているのである。

第7章 スーパーヒーローの救出:文化的ヘゲモニーのための行動組織化

アクション映画は、TNMCsの文化的ヘゲモニーを構築するメカニズムを明確に示す例である。これらの映画は、遍在する危険、無力な市民、暴力を通じて正義をもたらす個人の英雄、法の制約からの自由、富と権力の正当性といったテーマを繰り返し表現している。これらの物語は社会問題を個人化し、超人的な個人の行動に解決を求めることで、集団的な政治的変革の可能性を否定する。アクション映画のスペクタクルは、視聴者を政治的受動性へと誘いながら、現状維持のイデオロギーを強化する。

第8章 メディア、民主主義、政治的権力

ベネズエラのコミュニティメディアは、民主的メディアの代替モデルを提供する。参加型のメディア生産は、新たな社会的関係と文化的ヘゲモニーを構築する可能性を示している。ベネズエラのボリバル革命は、メディアアクセスを人権として認め、コミュニティラジオやテレビ局を支援する法律を制定した。カティアTVのようなコミュニティメディアは、「テレビを見るな、テレビを作れ!」というスローガンの下、市民が自身の物語を生産し分配することを奨励している。この参加型のメディア生産は、消費主義に対抗する新たな文化的ヘゲモニーの基盤を構築する可能性を秘めている。

結論 新たなメディア、新たな社会

真に民主的なメディアのためには、メディアの生産と分配に対する民衆のコントロールが必要である。TNMCsの消費主義的エンターテインメントは、人々を受動的消費者として位置づけるが、参加型メディアは能動的市民を育成する。ベネズエラのコミュニティメディアは、この変容の可能性を示している。しかし、メディアの変革は、より広範な社会的・経済的変革と結びついていなければならない。著者はこう述べる。「革命はテレビで放映されることはない。革命は作られるのであって、見られるものではない。」民主的なメディアへの変革は、新たな社会的関係と文化的ヘゲモニーの構築を通じてのみ達成できるのである。


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