学術書『標的殺害:戦争の未来』アーミン・クリシュナン 2012年

CIA、NED、USAID、DS・情報機関/米国の犯罪アーミン・クリシュナンナノ病理学・ナノ技術・酸化グラフェンパレスチナ(ガザ)、イスラエル、シオニズム合成生物学・生物兵器指向性エネルギー兵器(DEW)暗殺

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英語タイトル:『Gezielte Tötung: Die Zukunft des Krieges』Armin Krishnan 2012

日本語タイトル:『標的殺害:戦争の未来』アーミン・クリシュナン 2012

目次

  • はじめに 新たな戦争形態 / Introduction: A New Form of Warfare
  • 第1章 戦争と個人の「標的殺害」/ War and the ‘Targeted Killing’ of Individuals
  • 第2章 「標的殺害」の現在の実践 / The Current Practice of ‘Targeted Killing’
  • 第3章 グローバル監視網 / The Global Search Network
  • 第4章 「標的殺害」の倫理的ジレンマ / The Ethical Dilemma of ‘Targeted Killing’
  • 第5章 軍事的効果性の問題 / The Question of Military Effectiveness
  • 第6章 危険性と未来 / Dangers and Future

本書の概要

本書は、21世紀の戦争における新たな現象として「標的殺害」を分析した軍事学の研究書である。標的殺害とは、特定の個人を対象とした意図的な殺害行為で、主にテロリストや危険人物の排除を目的として行われる。

著者のアーミン・クリシュナンは、この標的殺害が従来の戦争概念を根本的に変化させていると論じる。従来の戦争が国家対国家の大規模な軍事衝突であったのに対し、現代の戦争は国家対個人の構図となっており、戦場も全世界に拡散している。特に9.11テロ以降、アメリカとイスラエルが主導する「テロとの戦い」において、ドローン攻撃や特殊部隊による作戦が標的殺害の主要な手段となった。

クリシュナンは標的殺害を6つの観点から詳細に検討している。まず歴史的経緯として、冷戦期の対テロ作戦から現代のドローン戦争に至る発展過程を追跡する。次に現在の実践として、イスラエルのモサドやアメリカのCIAによる具体的な作戦事例を分析し、諜報機関による暗殺、特殊部隊による急襲、軍事攻撃、そしてドローン攻撃という4つの手法を類型化している。

技術的側面では、グローバルな監視システムの発達が標的殺害を可能にしていることを指摘する。衛星監視、通信傍受、生体認証データベース、位置情報システムなどが統合され、世界規模での個人追跡・特定システムが構築されている。さらに将来的にはマイクロドローンやナノ兵器、エネルギー兵器などの新技術により、より精密で秘匿性の高い殺害が可能になると予測する。

倫理的観点からは、標的殺害が国家による合法的な軍事行動なのか、それとも司法手続きを経ない処刑に過ぎないのかという根本的問題を提起する。国際法上の位置づけは曖昧であり、戦争法パラダイムと刑事司法パラダイムの狭間に位置している。また標的選定プロセスの不透明性や民間人被害の問題も深刻である。

軍事的効果性については、戦術・作戦・戦略の各レベルで分析し、短期的には一定の効果があるものの、長期的・戦略的には逆効果となる場合が多いと結論づけている。特にパキスタンでのドローン攻撃は、テロ活動の抑制よりもむしろ反米感情の拡大と地域の不安定化をもたらした。

最後に将来展望として、標的殺害技術の拡散による国際秩序への影響を懸念する。より多くの国家がこの能力を獲得し、テロ対策の名目で政治的反対派を排除する可能性がある。また技術の発達により、選択的大量殺戮や秘密戦争の常態化という悪夢的未来も想定される。

クリシュナンは標的殺害を単なる軍事技術の問題ではなく、戦争の本質的変化を示すパラダイムシフトとして捉えている。個人化された戦争、グローバル化された戦場、そして技術による殺害の自動化という3つの要素が組み合わさることで、人類は全く新しい形態の暴力と直面することになる。本書は、この新たな戦争形態の実態と危険性を包括的に分析した重要な研究である。

各章の要約

はじめに 新たな戦争形態

標的殺害は過去10年間で、特に武装ドローンの発達により、全く新しい戦争形態として確立された。テロ対策として語られることが多いが、実際はより複雑な現象であり、政治・軍事紛争における国家の新たな暴力行使手段である。従来の政治的暗殺との境界は曖昧で、同じ国家機関が同様の手法を用いる。標的殺害の特徴は、正当な政府による命令、法的手続きに基づく標的選定、対象者は主にテロリストなど非国家アクター、自国領域外での実行、正式な戦争状態の不在、予防的性格、国際刑事司法と戦争の中間領域での実施である。これは個人化された戦争の出現を意味し、19-20世紀の物量・機動力・火力中心の西欧戦争実践からの根本的転換を示している。

第1章 戦争と個人の「標的殺害」

現代戦争は第二次世界大戦型の大規模衝突ではなく、限定的介入が主流となった。敵は見えないパルチザンやテロリストで、戦場は民間人で溢れ戦闘員は僅少である。個人化戦争の歴史的根源は、革命・内戦の重要性増大、現代対反乱ドクトリンの発達、軍事革新(RMA)と「効果ベース爆撃」概念、そして敵の個人的悪魔化傾向にある。クラウゼヴィッツ・パラダイムでは戦争は国家間の政治手段だったが、新戦争では個人対国家の構図となった。冷戦終結後の覇権的世界秩序は「グローバル化した反乱」や「世界内戦」に脅かされ、グローバルな対反乱・テロ対策が西欧安保体制の主要任務となった。この文脈で「危険な個人」神話が生まれ、現代技術により少数のテロリストが前例のない破壊力を持つとされる。

第2章 「標的殺害」の現在の実践

標的殺害には4つの手法がある。諜報機関による秘密作戦は、毒物、爆弾、銃撃など多様な手段を用い、否認可能性を重視するが、外交危機のリスクがある。イスラエルの「神の怒り」作戦やコンドル作戦がその例である。特殊部隊による作戦は軍事的性格により正当防衛として説明可能だが、主権侵害のリスクが高い。フェニックス計画やIRAテロリスト殺害がこれに該当する。軍事攻撃はトマホーク・ミサイルや爆撃機を用い、リスクは低いが成功率も低い。ガダフィ攻撃やビン・ラディン攻撃が実例である。ドローン攻撃は現在最も使用される手法で、40時間の滞空能力と高精度を持つが、主権侵害と民間人犠牲の問題がある。パキスタンでの作戦が代表例で、2004年以降急増している。各手法は可視性、付随損害、地理的制約、リスクの面で異なる特徴を持つ。

第3章 グローバル監視網

個人化戦争は新たな地理学を持つ。グローバル(世界規模)、都市的(大都市中心)、国内的(内なる敵対象)である。危険個人の発見・監視・予測・排除のため、高度な技術が必要となる。エシュロン等のグローバル通信傍受システム、国家・民間データベースの連携、生体認証データ収集、携帯電話・GPS による位置特定が統合される。将来的には人体へのマイクロチップ埋め込みにより、完全な個人追跡が可能になる。新兵器として、ステルスドローン、マイクロミサイル、マイクロドローンが開発中である。指向性エネルギー兵器(レーザー、マイクロ波)は遠距離から個人を精密に攻撃可能で、痕跡を残さない。ナノ兵器は分子レベルの機械で、自己複製能力を持ち、最終的には「グレイ・グー」による世界破滅の可能性もある。これらの技術により、政府は世界中どこでも秘密裏に個人を排除する能力を獲得する。

第4章 「標的殺害」の倫理的ジレンマ

標的殺害の合法性は複雑で、状況に依存する。批判者は「司法外処刑」と呼び、支持者は「正当な戦闘行為」と主張する。実際の合法性より道徳性が重要である。標的選定プロセスは不透明で、イスラエルとアメリカでは諜報機関が主導し、民主的統制が不十分である。殺害対象は、テロリスト(戦闘員)、思想的指導者、兵站支援者、資金提供者、犯罪組織、大量破壊兵器開発者、敵国政治・軍事指導者、戦争犯罪者に分類される。道徳的に正当化されるのは、直接的敵対行為参加者のみである。付随損害について、イスラエルの第2次インティファーダでは民間人死者が33%、パキスタン・ドローン攻撃では13-33%とされるが、統計には大きな幅がある。戦争をより公正にする可能性はあるが、秘密性と透明性不足が濫用の危険を高める。背信行為の禁止により、毒殺等の手法は違法とされるが、遠隔殺害も本質的には背信的である。

第5章 軍事的効果性の問題

標的殺害の効果は戦術・作戦・戦略の3レベルで異なる。戦術レベルでは即座の脅威除去に有効だが、誤認のリスクが高い。作戦レベルでは、テロ活動減少と敵組織撹乱を狙うが、報復攻撃増加と手法の非効率化をもたらす程度に留まる。威嚇効果は限定的で、消耗戦略としても非効率である。戦略レベルでは「斬首戦略」による組織崩壊を期待するが、成功例は17%に過ぎない。指導者殉教化により敵の士気向上を招く場合もある。イスラエルの対パレスチナ作戦では標的殺害と自爆テロに明確な相関はなく、アフガニスタンとパキスタンでは暴力エスカレーションを招いた。費用対効果も問題で、パキスタンでの1人当たり殺害費用は90万ドル、高価値標的では1400万ドルに達する。失敗例として、リレハメル事件(誤認殺害)、リトビネンコ事件(外交関係悪化)、ドローン攻撃での民間人誤殺が挙げられる。総合的に見て軍事的効果は疑問視される。

第6章 危険性と未来

標的殺害の拡散により国際規範が弱体化し、権威主義国家による政敵排除の口実となる危険がある。ドローン技術は50ヶ国以上に普及し、中国・ロシア・イランも開発中である。民間軍事会社による標的殺害代行により、政府の否認可能性が高まる一方、民主的統制が困難になる。エスカレーション危険として、秘密戦争の拡大、国家間戦争への発展、「終わりなき戦争」がある。米統合特殊作戦コマンド(JSOC)は75ヶ国で秘密作戦を実施し、2011年末までに120ヶ国に拡大予定である。将来の戦争は暗殺決闘的性格を帯び、「火蟻戦争」では何百万もの小型センサー・兵器システムが自律的に標的を探索・攻撃する。ナノ戦争では従来の軍事目標(工場・兵器)が消失し、人間が唯一の標的となる。選択的大量殺戮の可能性も生まれ、自律兵器システムや遺伝子生物兵器により特定集団の排除が技術的に可能になる。国際的な標的殺害禁止条約により最悪の危険を回避すべきである。


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