3. 認知症治療について

認知症治療について

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「医学的に有効ではない」という言葉の微妙さ

統計が示すことを信じる前に、統計に示されていないことを注意深く考慮せよ。

ウィリアム・ワット

「medical evidence」の画像検索結果

少しむずかしい話しになりますが、認知症またはアルツハイマー病の薬剤が「医学的に有効ではない」と言われるとき、その意味は実は多義的なのですが、通常製薬の承認の最終試験において、ADAS-cogや面接などの臨床評価による指標(エンドポイント)という統計結果によって基準を満たさなかったことを意味します。

※EBMとエビデンス(医学的証拠)は混同されやすいのですが、ここではエビデンスの意味で使っています。

<EBMとエビデンスの違い>  http://spell.umin.jp/EBM.htm

医学的根拠は白黒で決まるのではない

試験結果の「医学的に有効ではない」という判定を受けた場合、それは統計情報として認められないということを意味しています。

これはどういうことかというと、ある薬剤が効果があるかどうかは白黒ではっきり決まるのではなく、P値という設定による可能性の高さ(通常95%以上)で判断されます。

つまり効果はグレーの濃さで決まるため、実際には改善する可能性が94%あったとしても、基準値以下とみなされ失格となってしまいます。

この95%という数字自体は線引にすぎず、その数字そのものに深い根拠があるわけではありません。あるのなら93.6%とかいった数字になっているでしょう。

20歳からあなたは成人です、というのとたいして変わりはありません。

p値の設定は科学の新発見と進歩に有害である。

www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2018.00699/full

線引が不要だと言っているのではありません。そうではなく疾患の深刻さ、治療法の経済性や利便性などは一切考慮されずに白黒でP値が確定的に決められてしまっており、そのことの制度的な是非はともかく、95%を下回るやいなや、

根拠がない > 効果がない > 治療として取り入れるべきではない。

までに医療の制度上ジャンプしてしまっていることです。

※一方で、世の中のごまんとある怪しいサプリメントを擁護する論法でもないことに注意してください。

何重もの階層

また最終的には、具体的な症状として改善されなければならない、というのはわかります。

しかし単体の化合物が代謝され > 神経生理学的な変化が起こり > さらには認知的な変化 > 行動レベルでの症状が改善 > 被験者全員の平均値が有意に改善

までの因果関係または相関関係に階層性がありすぎて、

そもそも論として、単体の化合物によって結果に反映しうるような性質の問題なのか?という疑念があります。

もう少しむずかしい言い方をすると、神経生理学的変化と認知的変化は1対1の関係にあるとは思えないのです。

この例えが妥当かわかりませんが、今医療がやっていることはペットボトルをリサイクルして、その結果温暖化が防止できたかをインタビューして指標化し判断しているみたいな感じです。

仮に大気中のCO2を精密に計測したとしても、おそらくペットボトルのリサイクルだけではCO2濃度低下の判定(有意差)はつかないでしょう。

その結果に基づいて、ペットボトルのリサイクルはすべきではないと判断すべきでしょうか?(ペットボトルリサイクル不要論もあるようですが、、)

短期的効果の優先

そして、試験期間は数ヶ月長ければ数年ということもありますが、試験の性格上、短い期間で判断せざるを得ないため、10年前後という病気の長さに対して短期間の間に一定の効果をあげなければ試験をパスしないということにも、ひっかかるものがあります。

代謝障害が認知症との発症に関連していることは疑いようがありませんが、創薬研究ではそういった病気の幹にある病因については、ほぼほったらかしです。

一部代謝障害の改善をターゲットにした認知症治療薬は存在しますが、やはりすぐには成果があがらないため失敗扱いされてしまいます。

この試験期間の短さと、P値をクリアしなければならないというプレッシャーのために、患者への規定投与量が全体的に過剰な投与量として設定されてしまっているという印象ももっています。

バイアス除去の原理的な矛盾

情報バイアス選択バイアスはもとより確証バイアス出版バイアス報告バイアスとまあ多くのバイアスが情報にはつきまといます。現代の医学はもとより科学の考え方はどれだけバイアスを除去できたかによって、その情報の客観性が担保されます。

しかし、実はこの考え方が通用するのは、バイアスの除去が全情報に対して均等に行える場合だけなのです。

つまりバイアスが本当にあらゆる情報に対して平等に除去できるのであれば、バイアスを除去しようという行為は正当性をもつのですが、事象には明らかに定量化が原理的に難しい、再現性が難しい情報とそうでないものが原理的に内在しており、かつ情報に対してのバイアス除去をどの情報に対してどこまで行うかということ自体にも研究コスト、ビジネス化、研究者の恣意性などが入らざるを得ません。

バイアスの除去という努力は尊重されるべきでしょうが、そこに潜むメタバイアスは(特に前者は)けして解決できないのです。

実用性の欠如

他にもまだいろいろあるのですが、こういった部分的な不備が目につきだすと、今の医学が、局所的な合理性と画一性を追求しすぎて、全体の合理性、または実際性(プラクティカリティー)がひどく失われているようにも見えます。

EBMのメリットとデメリット(英語)

pdfs.semanticscholar.org/4f21/538d99de73a784051b5789113d8b1224bb8c.pdf

ですので、「医学的に効果がない」もしくは「医学的に効果がある」と言われても、背景にある研究や、臨床試験の詳細内容がわからなければ、少なくとも個人が活用していく際には情報としてはほとんど役に立ちません。

こういった白とも黒とも判定できない情報を、個人が活用していくためには、その証拠の強さ、そして内容を理解する能力が求めれれます。

巷にはあまりにも怪しげな治療法が広がっているため、それらに傾倒する人たちと、それらに反発して強固確実なエビデンスばかりを主張する人たちに分かれてしまって、

その間に横たわる、

グレーゾーンの治療法が現実的に扱われていません!

ちなみに医学論文の検索サイトPubMedで、アルツハイマーの治療法を検索すると約4万件ヒットします!

そして、今市場に出回っている治療薬は4つです……

まずはエビデンスレベル

そういった臨床試験の厳格すぎる基準ではじかれてしまった治療方法にも、エビデンスレベルやエビデンスグレードと言われる評価手法があり、研究などの分類によって信頼度の基準がガイドラインとして作られたりもしています。

「エビデンス レベル wiki」の画像検索結果

ただし、ガイドラインにも多くの問題があることに気がついてきます。

つまるところはガイドラインで信頼されるものも、薬剤の臨床試験同様、再現性、実証性を重視することには変わりなく、証拠の厳格さと研究の数、そして専門家のコンセンサスで決まってしまいます。

あらゆる化合物が平等にテストされるのであれば、基準の高いものほど単純に良いと言えるかもしれませんが、信頼性の高い研究ほどコストがかかるため※ 研究対象を選択する時点で選択バイアスが入らざるをえません。

利益にならない薬は信頼性の高い証拠も少ない

薬の開発段階から承認に至るまでの費用は平均的に100億円以上の費用がかかります。このことが何を意味するか考えてもらいたいのですが、製薬会社はこの費用を販売によって回収していかなければならないわけです。

例えば、ココナッツオイルが仮に病院での処方薬として扱われるようになったとしても、多くの人は一般のお店で安く入手する可能性が高いため、製薬会社がそれによって利益をあげることが難しいことは容易に想像できます。

仮にココナッツオイルのに大きな治療効果がある可能性が高いということを見出されたとしても、100億といった費用をメーカーが拠出して開発研究を行うとは考えられません。

その他にも単一の化合物が特定できない、プラセボを除外できない伝統療法、特許がとれない化合物、リコード法のような多剤療法、単に知られていない薬物、医療倫理に反する、短期的な効果が現れない、等々多くの理由により研究対象が限られてしまう傾向があります。

治療効果があるのならとっくに病院で使われているはずだよっといった意見をたまに耳にするのですが、そういった医療の裏事情が完全に見過ごされているとしか思えません。

エビデンスガイドラインだけでも数年間なら抑制可能

とはいえ、医療情報に詳しくない人が、最初はガイドラインを基準に、推奨グレードの高いものを選んでいくことも1つの良い選択肢だと思います。

私自身も、今ほどには医療事情に詳しくなかった最初の頃は、エビデンスグレードからそこそこ高いものを抜き出して、改善策を実行していました。

今振り返れば、そういった医療情報だけでは十分では無かったとはいえ、母の命を数年は繋いだと思います。もし、なにもわからずに雑誌や新聞などの目につく改善策に飛びついていたらと思うと、今でもゾッとするものがあります。

そして、医療情報にもっと詳しくなっていくことで、上記図にあるピラミッドの階層を降りてゆき、証拠の弱い情報であっても、読み解くことで、独自に組み合わせて治療していくことができる世界があることに気づくようにもなってきました。

進行抑制の本当の理由

2年後に服が着れなくなる

最初に母が診断されて、慌てて病気がどう進行していくかを聞いたところ、医者から伝えられたのは

「あと2年で、自分では服を着ることができなくなります」

という言葉でした。

※若年性アルツハイマーのため高齢期のアルツハイマー病よりも進行が非常に早い。

6年後も日常生活を維持

しかし、同時期に発症した他の認知症の方々がみるみるうちに病態が進行、悪化していく中で、実際に2年が経過しても、日常生活を送る能力は維持したままで、医者からは首をかしげられていました。

現在は、それからさらに6年が経過しましたが、記憶障害の部分を除けば、会話をしてて違和感があるとかいったこともありません。

もちろん、今でも自分で服を着替えて日常生活を過ごしており、ともすれば病気であることを忘れてしまいそうなほどです。

医学的根拠に基づくマルチコンポーネント療法

なぜ進行抑制がこれほど続いているのか、厳密に、医学的な水準で聞かれるなら、「わからない」という答えになります。

しかし、結局ふり返って、なにをしてきたと言えば、医学的根拠、薬の仕組み(作用機序)などをある程度理解し、それらに基づいて改善方法を可能な限り多く多面的に実行した、ということだけです。

進行がおだやかに進む要因

若年性アルツハイマー病進行の進展に早いケースはあるものの、ちょうど人間の平均寿命は伸びたが絶対寿命はほとんど変わらないように、遅いケースというものはほとんど見られないといわれています。

とはいえ、まったくその例がないわけではなく、いくつか進行抑制が続く可能性、例について箇条書きにしてみます。

他のタイプの認知症との誤診

誤診の多いレビーなどでは、進行が緩やかに続くケースがある。

アルハカ母 → 臨床的にも画像診断でも明確なアルツハイマー型。

典型例ではない亜型のアルツハイマーである。

海馬温存型、亜型アルツハイマー病、当サイトで紹介している3型などには進行の遅い例がある

アルハカ母 → 海馬障害が著しく、臨床的にも亜型の可能性はありえない。

高学歴、知的労働に関わっていた。

知的労働に関わっている認知予備力がもともと高い人は、それだけ長く生きる可能性がある

アルハカ母 → 普通の主婦

なにか魔法の特効薬を摂っている

アルハカ母 → 初期の段階ではエビデンスに基づいたサプリメントと行動療法だけ。

認知症のリスク遺伝子であるApoE4が陰性

ApoE4陽性患者に比べると、個人差やプラセボ効果による進行遅延の可能性が若干見られる。

アルハカ母 → ApoE4/4(ApoEでもっとも厳しいタイプですorz)

治験を受けている、受けていた。

アルハカ母 → 治験を受けたが除外基準となってしまったため初期の段階で中止、また後になって、受けていた治験薬がApoE4陽性には有効ではなかったことを知る。

等々、考えつくかぎり書いてみましたが、他に進行が抑制される要因要素が「個人差」「運が良かった」的な事を含めたとしても、まったく思い当たらないのです。

馬鹿にできない代替療法

新規開発された薬や抗体のようなものは当然入手できないため、当時はそのほとんどがサプリメントや行動療法など個人で実行可能なものを選んでいました。

中にはサプリメントや、代替療法という言葉を聞くだけで怪訝な顔をする方もおられると思いますが、臨床研究をつぶさに見ていると、入手可能なサプリメント・ハーブレベルのものでも、一定の臨床的な改善効果を得ていると思うものも少なくありません。

ココナッツオイルの中鎖脂肪酸や玄米に含まれるフェルラ酸などが有名ですが、市場に出回っている薬と比べると、たしかに単体としての効果だけを見ると劣る面もあるのですが、それ以上のメリットが多く存在することが考慮されていないように思います。

「coconut oil」の画像検索結果

相乗効果

例えば、認知症の治療薬として有名なアリセプトとガランタミン、リバスチグミンという薬がありますが、これらはみな作用する仕組みが似ているため併用することができないとされています。

しかし、多くのその他の改善策は、異なる仕組みで認知機能の改善にむすびつくものが多いため、併用して用いることが可能であり(アドオン治療)単純な相加作用だったり、効果を増強し合う相乗作用をもたせることができます。

入手性

いくら効果があると言われても完全な新規開発薬、抗体薬、静注が必要といったような薬は当然入手できません。既存薬だとしても認知症と診断されていない認知症の一歩手前の段階の方や、ApoE4遺伝子をもつ高い認知症発症リスクを抱える方が予防目的では医薬を処方してもらうことはむずかしくなります。

実はアリセプトやメマンチンと似たような仕組みをもつ漢方薬、ハーブもあり、市場に流通しているため認知症予防を目的として誰でも入手ができます。

費用対効果

もちろん完治させる薬があるのであればお金の問題は二の次になってきますが、そんな薬はどこにも存在しません。

いくら効果があるといわれる薬やサプリメントであろうと、単体で見るならアリセプトなどの薬とそれほど直接的な効果に大差はありません。

そうなってくると、最終的には全ての治療方法は、効果に対するコストの問題になってくるのです。

よくあるサプリメントに対する批判として、費用対効果の観点でなされるものがあります。

これにはサプリメントにもよりますし知識と工夫が必要になってきますが、入手経路や摂取方法などの工夫によって、8~9割のサプリメントは十分に費用効果のある価格での入手が可能となってきます。

身もふたもないことを言うと、国内のサプリメント市場がぼったくり市場になってしまっているせいであるにすぎないとわたしは思っています。

そのことについては当ブログを読み進めていけば、理解されていくと思いますが、コストの問題は認知症治療を維持してくために本当に重要なため、当サイトはいかに本当に効果のある方法を低価格、または無料で実行できるかということに努力を費やしています。

はっきりいうと、コストの問題を論じない認知症改善策は、一般所得の人にとっては現実的ではない治療金額になるため、ほぼ実効性を失うと思ったほうがいいです。

副作用の低さ

医薬じゃないからといって副作用がないというわけではありません。しかし適切な用い方をする限り、例えばアリセプトなどと比べてみても有害事象が少ないのも事実です。

しかも、この副作用は効果と単純比例をしません。例えばサプリメントの効果がアリセプトの半分あるからといって、じゃあ副作用も半分になるのかというと、そうでもないのです。

医薬の有害な副作用(忍容性の低さ)は、その測定自体が実証性が求められるため、患者が薬を止めてしまうほどの有害事象ばかりがピックアップされがちですし、個人差で生じる副作用なども統計の影に隠れてしまいます。

低侵襲性、つまり多くのサプリメントや運動などの改善策は適切に実行することで、医薬よりも大きな効果をもたらし、生体的な恒常性の撹乱を最小限に抑えてくれます。

代替策は総合ポイントで既存薬を超える

そういうわけで代替策には、臨床試験上の臨床的な改善レベルに達していないというだけでは判断できないメリットを多く含むため、総合的に見ると既存薬を凌ぐものも少なくありません。

こういった評価が、臨床試験で承認にあたって深く考慮されることは通常ありません。

これは運動や睡眠、食事などについても同様、もしくはそれ以上のことが言えます。

現在母は、認知症適応外の医薬品なども使っていますが、そういったものはけっこう後になってからです。

言い換えれば、個人で実行可能なサプリメントと行動療法の組み合わせでも、適切に用いることで非常に大きな進行抑制効果を発揮します。

※このことについて後ほど詳しくMENDプログラムの紹介で説明していきますが、プログラム内容は運動や食事管理、サプリメントを主体としており体系的に実行することで、進行抑制といったレベルを超えて完全な改善回復をめざすものです。

ただ、病院での治療基準とは違って、個人が治療法を考えていく際には、個人レベルで実行可能かどうかといった現実的なことも含めていかないといけないため、改善方法を考えていく上で、臨床研究の信頼性だけを重視していくわけにもいかなかったりします。

実際には、臨床結果、作用機序以外にも、過去に使われてきた実績、副作用(忍容性)、エビデンス情報特有の偏り、入手性、実行の容易さ、コスト、など、それらを総合的に考えた上で、かつ計画的に実行していくことが重要となります。

あいさつ 目次

1. これまでの経緯

・はじめまして

・認知症介護の悲惨さと闇

・新薬には期待できない

・認知症という病気のやっかいさ

・医学的根拠の問題

・進行抑制の本当の理由

・進行が穏やかに進む要因

・開発者ブレデセン博士の記事・経歴

・アミロイドβとは何のか

・アルツハイマー病 3つのタイプ

・書籍の紹介

・ブレデセンプロトコル(リコード法)の特徴

・アルツハイマー病 36の要因

・ブレデセンプロトコル(リコード法)への批判

・ブレデセンプロトコル(リコード法)の課題

・個人で行う治療の内在的な課題

・組み合わせ治療の原理的な実証不可能性

・アルハカ改善策

・日常の改善策

・すでにあるアルツハイマー病治療薬

・伝統療法について

・検査では本当の進行はわからない

・認知症トラップ

・回復を遠のかせる4つの障壁

・キーパーソンが鍵をにぎる

・注意事項とお願い

・理解は信頼を超越する

・ブレデセンプロトコルは最後の希望

・社会全体の現実逃避

・認知症先進国ジャパン

・実存的問題

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