書籍『有毒な遺産:除草剤グリホサートがいかに私たちの健康と環境を破壊しているか』ステファニー・セネフ 2021年

GMO、農薬グリホサート

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『有毒な遺産:除草剤グリホサートがいかに私たちの健康と環境を破壊しているか』ステファニー・セネフ 2021

英語タイトル:『Toxic Legacy: How the Weedkiller Glyphosate is Destroying Our Health and the Environment』Stephanie Seneff 2021

https://note.com/alzhacker/n/n3930ee924230

目次

  • はじめに / Introduction
  • 第1章 被害の証拠 / Evidence of Harm
  • 第2章 失敗する生態系 / Failing Ecosystems
  • 第3章 グリホサートとマイクロバイオーム / Glyphosate and the Microbiome
  • 第4章 アミノ酸類似体 / Amino Acid Analogue
  • 第5章 リン酸パズル / The Phosphate Puzzle
  • 第6章 硫酸:奇跡の働き者 / Sulfate: Miracle Worker
  • 第7章 肝疾患 / Liver Disease
  • 第8章 生殖と初期発達 / Reproduction and Early Development
  • 第9章 神経学的障害 / Neurological Disorders
  • 第10章 自己免疫 / Autoimmunity
  • 第11章 健康な明日のため今日再起動を / Reboot Today for a Healthy Tomorrow

全体の要約

本書は、MIT上級研究員ステファニー・セネフによる、除草剤グリホサートの健康と環境への深刻な影響を科学的に検証した画期的な研究書である。グリホサートは世界で最も広く使用されている除草剤で、モンサント社の「ラウンドアップ」として知られているが、その安全性は長年疑問視されてきた。

セネフは、グリホサートが単なる除草剤ではなく、生体内でアミノ酸グリシンの代替物として機能し、タンパク質合成を妨害する「悪魔的で陰湿な」毒性メカニズムを持つことを明らかにする。この置換は、酵素機能を破壊し、免疫系を弱体化させ、肝機能を損なうなど、生物学的システム全体に広範囲な影響を与える。

著者は、自閉症、アルツハイマー病、糖尿病、炎症性腸疾患、癌などの現代病の急激な増加が、グリホサート使用量の増加と強い相関関係にあることを統計的に示す。特に、腸内細菌叢の破壊は深刻で、有益な乳酸菌やビフィズス菌を選択的に殺害し、病原菌の繁殖を促進する。

グリホサートの毒性は、シキミ酸経路の阻害から始まる。この経路は植物と腸内細菌が必須アミノ酸(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン)を合成するために使用するもので、グリホサートがこれを阻害することで、神経伝達物質の前駆体が不足し、脳機能に深刻な影響を与える。

さらに、グリホサートは強力な金属キレート剤として機能し、亜鉛、マンガン、鉄などの必須ミネラルを結合して生物学的利用能を低下させる。同時に、アルミニウムや砒素などの有毒金属を体内に運搬し、脳などの重要器官に蓄積させる。

硫酸塩の欠乏も重要な問題である。硫酸塩は血管の健康維持、ホルモン輸送、解毒など多くの生理機能に不可欠だが、グリホサートは硫酸塩の合成と輸送を阻害し、心血管疾患、神経疾患、自己免疫疾患の原因となる。

生殖機能への影響も深刻で、テストステロン合成を94%も阻害し、男性不妊の原因となる。妊娠中の曝露は胎児の発達に悪影響を与え、神経管欠損症などの先天性欠損症を引き起こす可能性がある。さらに、エピジェネティックな影響により、数世代にわたって健康被害が継承される。

神経系への影響では、グルタミン酸興奮毒性を引き起こし、特に海馬の損傷によって記憶と学習能力を低下させる。自閉症の子供たちに見られる脳内グルタミン酸レベルの上昇は、この毒性メカニズムと一致している。

自己免疫疾患の増加も、グリホサートによる自然免疫系の機能低下が原因である。補体系タンパク質やC反応性タンパク質の機能が損なわれることで、病原体や死細胞の除去が不完全となり、適応免疫系が過剰に活性化される。

最終章では、グリホサートの世界的禁止を求めるとともに、個人レベルでの対策を提示する。有機食品の摂取、硫黄含有食品の積極的摂取、腸内環境の改善、日光浴の重要性などが具体的に説明される。

本書は単なる警告書ではなく、現代の健康危機の根本原因を科学的に解明し、解決策を提示する希望の書でもある。グリホサートの使用中止と再生農業への転換により、人類と地球の健康を回復できることを示している。

各章の要約

はじめに / Introduction

著者セネフがグリホサート研究を始めたきっかけは、2012年のパデュー大学ドン・ヒューバー博士の講演だった。自閉症の環境要因を研究していた彼女は、グリホサートが植物のシキミ酸経路を阻害することで除草効果を発揮するが、ヒト細胞にはこの経路がないため安全とされていることを知った。しかし腸内細菌はこの経路を持ち、必須アミノ酸合成に使用している。グリホサートは金属キレート剤でもあり、植物からの必須ミネラル摂取を阻害する。著者の祖父はDDT近くで死亡しており、化学物質の安全性への疑問が研究動機となった。

第1章 被害の証拠 / Evidence of Harm

グリホサートは1961年に金属キレート剤として特許取得され、1968年に除草剤、2000年代に抗生物質として再特許化された。1996年のラウンドアップレディ作物導入で使用量が15倍に急増した。現在米国では年間約15万トンが散布されている。非GMO作物でも収穫前乾燥剤として使用され、小麦や豆類に高濃度残留する。蜂蜜の100%からグリホサートが検出され、アメリカ人の70%の尿から検出される。低用量曝露でも内分泌撹乱作用があり、ラットの長期実験では腫瘍や早期死亡が観察された。業界の安全性研究には重大な欠陥がある。

第2章 失敗する生態系 / Failing Ecosystems

グリホサート使用量の急増により生態系の破綻が進行している。土壌中では数年間残留し、有益な菌根菌を殺害して病原性フザリウム菌を優勢にする。水域では富栄養化を促進し、シアノバクテリアの増殖を引き起こす。昆虫個体数は76%減少し、オオカバマダラは99%減少した。ミツバチのコロニー崩壊症候群にも関与し、学習能力と帰巣能力を低下させる。ミミズの活動が劇的に減少し、両生類は96-100%が死亡する。海洋哺乳類の脳にもアミロイドβプラークが蓄積している。犬や猫の尿からも高濃度のグリホサートが検出され、心筋症の増加と関連している。

第3章 グリホサートとマイクロバイオーム / Glyphosate and the Microbiome

腸内細菌の54%がグリホサート感受性酵素を持ち、必須アミノ酸とビタミンB群の合成が阻害される。特に乳酸菌とビフィズス菌が選択的に殺害され、病原菌が繁殖する。腸のpHが上昇し、酢酸産生が減少することで、酪酸産生菌も減少する。乳児の腸内ビフィズス菌は1913年の「ほぼ純培養」状態から劇的に減少し、腸のpHが5.5未満から6.5まで上昇した。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの薬剤耐性菌は自然にグリホサート耐性を持つため優勢になる。炎症性腸疾患、便秘、自動醸造症候群などの増加と関連している。

第4章 アミノ酸類似体 / Amino Acid Analogue

グリホサートがタンパク質合成時にグリシンの代替として組み込まれる「悪魔的メカニズム」を解説。グリシンは最小のアミノ酸で、タンパク質の柔軟性に重要な役割を果たす。グリシン特異的tRNA合成酵素がグリシンの代わりにグリホサートを選択してしまう。モンサントの魚類実験では、タンパク質分解後に70%のグリホサートが検出され、タンパク質への組み込みが証明された。コラーゲンのGxyGxyパターンやアミロイドβのグリシンジッパーモチーフが破壊され、関節疾患やアルツハイマー病の原因となる。EPSPシンターゼでグリシンをアラニンに置換すると完全にグリホサート耐性になることから、置換メカニズムが確認される。

第5章 リン酸パズル / The Phosphate Puzzle

グリホサートは特にリン酸結合部位のグリシン残基を持つタンパク質を破壊する。グリホサート感受性モチーフの3原則:(1)高度に保存されたグリシン残基でのリン酸結合、(2)左隣に小さなアミノ酸、(3)近傍に正電荷アミノ酸。ATPase、キナーゼ、G6PD(グルコース6リン酸脱水素酵素)などが影響を受ける。G6PDは最も変異の多いヒトタンパク質で、男児に多い自閉症との関連が示唆される。酸化ストレス防御が破綻し、グルタチオンとNADPHの枯渇により細胞の抗酸化能力が低下する。メチル化経路やシトクロムP450酵素系も阻害され、解毒機能が損なわれる。

第6章 硫酸:奇跡の働き者 / Sulfate: Miracle Worker

硫酸塩は血管壁保護、ホルモン輸送、解毒に不可欠だが、グリホサートがその供給を阻害する。硫酸塩は水の第4相(ゲル状態)形成に必要で、血管内皮のグリコカリックスを維持する。eNOSは通常一酸化窒素を合成するとされるが、実際は膜結合時に二酸化硫黄を合成し、これが硫酸塩に酸化される。グリホサートはeNOSの機能を破壊し、硫酸塩欠乏を引き起こす。DHEA硫酸塩、コレステロール硫酸塩などのステロイド硫酸塩も減少する。タウリンは硫酸塩の貯蔵形態として機能するが、グリホサートはタウリン取り込みを阻害する。硫酸塩欠乏は心血管疾患、神経疾患、自己免疫疾患の共通要因である。

第7章 肝疾患 / Liver Disease

肝臓は500の機能を持つ重要器官だが、グリホサートに最も脆弱である。非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が世界的流行となり、米国では8000万〜1億人が罹患している。グリホサートはPEPCK(ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ)を阻害し、糖新生を妨害する。PEPCK欠損マウスは48時間以内に死亡し、脂肪肝を発症する。グリホサート曝露動物では血中乳酸、トリグリセリド、ALT、ASTが上昇し、グルタチオンが枯渇する。筋肉のPEPCK過剰発現マウスは「生まれながらのランナー」となり、逆に欠損は慢性疲労の原因となる可能性がある。米国の畜産業ではラクトパミンで代償している。

第8章 生殖と初期発達 / Reproduction and Early Development

グリホサートは強力な内分泌撹乱物質で、妊婦の93%の尿から検出される。低用量曝露ほど先天性欠損が多い逆用量反応を示す。テストステロン合成を94%阻害し、精子数を89%減少させる。PEPCK阻害により精巣のATP産生が低下し、ステロイド合成が不可能になる。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の原因となるアロマターゼ、H6PD、PAPS合成酵素を阻害する。ワシントン州では無脳症の異常発生が報告された。妊娠中の低用量曝露でも2〜3世代後に生殖器異常、腎疾患、肥満が発生する「7世代の影響」があり、エピジェネティックな毒性を示す。フランスの農夫の3人の子供全員に先天性欠損が発生した症例もある。

第9章 神経学的障害 / Neurological Disorders

ラウンドアップ自殺未遂者の海馬が23%萎縮した症例から、グリホサートの神経毒性が明らかになった。自閉症とアルツハイマー病には共通点が多く、両方とも増加している。グリホサートはグルタミン酸トランスポーターを利用して血液脳関門を通過し、NMDA受容体を過刺激してグルタミン酸興奮毒性を引き起こす。マンガン不足によりグルタミン酸合成酵素が機能せず、シナプスからのグルタミン酸除去が不能になる。コバラミン(ビタミンB12)欠乏によりプロピオン酸が蓄積し、神経幹細胞の85%がグリア細胞に分化する。オキシトシンの末端グリシン切断も阻害され、社会性行動が低下する。甲状腺ホルモン合成も阻害される。

第10章 自己免疫 / Autoimmunity

自己免疫疾患が急増し、4100万人のアメリカ人が罹患している。グリホサートは自然免疫系を弱体化させ、適応免疫系の過剰反応を引き起こす。抗菌ペプチド(AMP)の中央グリシンが置換され、病原体殺傷能力が低下する。補体C1q、マンノース結合タンパク質、食細胞受容体のコラーゲン様ストークが破壊され、マクロファージによる病原体・死細胞除去が不能になる。C反応性タンパク質も機能低下し、細胞壊死が進行する。全身性エリテマトーデス、セリアック病、慢性疲労症候群の病態と一致する。COVID-19重症化との関連も示唆される。ペットの自己免疫疾患も増加している。

第11章 健康な明日のため今日再起動を / Reboot Today for a Healthy Tomorrow

グリホサートの世界的禁止が必要だが、個人レベルの対策も重要である。有機食品の摂取、硫黄含有食品(十字花科野菜、ニンニク、魚介類)の積極摂取、プレバイオティクス・プロバイオティクスによる腸内環境改善が基本である。抗酸化物質(グルタチオン、ビタミンC)とミネラル補給も必要。日光浴は硫酸塩合成に不可欠で、日焼け止めは有害である。土壌との接触、アーシング、EMF回避も健康維持に重要である。微生物による分解、コンポスト、フミン酸・フルボ酸による解毒が研究されている。水処理では塩素・オゾンが有効だが、活性炭フィルターは無効である。完全菜食主義は栄養不足のリスクがあり、草食牛肉は持続可能な選択肢である。


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