講義録『想像力の進化史:文明が失った人間性の根源』江学勤

ゲーム理論・進化論歴史学江学勤

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  • 英語タイトル『Jiang Xueqin: The Dawn of Humanity and Critique of Darwinism』
  • 日本語タイトル『江学勤:人類の夜明けとダーウィニズム批判』


講義の概要

講義の目的と対象

本講義は、人類史全体を通して概念理解を重視する連続講義の第1回である。氷河期における初期人類の精神性、創造性、社会組織を検証し、進化論的な唯物論的人間観に対する根本的な再考を促す。

講師について

Jiang Xueqin講師は、主流の歴史観・人類学的解釈に批判的な視点を持ち、初期人類の精神性と想像力を重視する独自の歴史観を展開する。講義では権威的ナラティブへの対抗視点を明確に示し、学生との対話を通じて思考を深める教育スタイルを採用している。

主要キーワードと解説

  • ダーウィン進化論への批判:進化論を「神学」として捉え、帝国主義・人種主義・優生学を正当化するイデオロギーとして批判。偶発性・唯物論・創発性という三つの前提を問題視する。
  • 前文字社会の直観力:文字以前の人類は、より強い直観力、想像力、共感力を持っていたという主張。洞窟壁画や儀式遺跡がその証左とされる。
  • 精神世界と物質世界の一体性:初期人類にとって精神と物質は分離されておらず、すべての存在が神聖性を帯びていた。洞窟は精神世界への入口として機能した。
  • 文字の拒否:初期人類は文字を書く能力を持ちながらも、それが神聖な歌や語りの「堕落」であると考え、意図的に文字使用を避けた。
  • 社会化による神聖さの喪失:現代社会は教育システムを通じて人間を「機械」「奴隷」に変え、本来持っていた神聖な想像力や直観力から切り離している。

3分要約

本講義は、ダーウィン進化論を「最も影響力ある思想」としながらも、それが19世紀ヨーロッパの帝国主義を正当化するための神学であったと批判する。進化論は偶発性・唯物論・創発性を前提とし、キリスト教的な「神の前の平等」という概念を破壊し、人種主義と優生学を生み出した。しかし講師は、人類が「単なる猿」ではなく、本質的に想像力と創造性を持つ存在であると主張する。

氷河期の人類は、文字を持たなかったにもかかわらず、高度な直観力、共感力、想像力によって複雑な社会組織を形成していた。洞窟壁画はその証左であり、これらは単なる記録ではなく、精神世界と物質世界をつなぐ宗教的儀式の一部であった。シャーマンが精神的指導者として機能し、音楽や歌は言語の起源となった。人類は言語を経済的必要性からではなく、創造的表現の欲求から発展させた。

初期人類は、文字を書く能力を持ちながらも意図的にそれを使用しなかった。なぜなら、文字は共同体的な歌や語りの「堕落」であり、神聖な体験を個人化してしまうからである。洞窟壁画に見られる幾何学的記号は、文字システムの萌芽であったが、完全な文字体系への発展は意識的に回避された。

講師は、多様性と差異を神からの贈り物として祝福した初期社会の例として、イタリアで発見された小人症の埋葬を挙げる。この人物は手厚く埋葬され、宝飾品とともに葬られた。これは、障害や差異が神聖な特別性の印と見なされていたことを示している。対照的に、現代社会は「適者生存」の原理で人々を選別し、数学ができない者、標準化されたテストで高得点を取れない者を「無価値」とみなす。

講師は、アルツハイマー患者や自閉症児、サヴァン症候群の事例を引用し、社会化から解放された人々が本来の神聖な自己を取り戻すと主張する。アルツハイマー患者は言語能力を失う一方で、突然宗教性、歌、絵画への衝動を示す。これは、社会化によって抑圧されていた神聖な想像力が解放された結果である。ゴッホやベートーヴェンのような芸術家も、社会的規範から逸脱することで、より深い創造性にアクセスできた。

現代社会は、学校教育、企業組織、社会システムを通じて人々を「平凡さ」に社会化し、神聖な自己から切り離している。しかし人間の本質は、物質的欲望ではなく、宗教的・精神的表現、多様性への欲求、探求心にある。講師は、人類が本来持っている共感力、直観力、創造力を取り戻すことの重要性を強調し、「進化によって賢くなった」という神話を否定する。むしろ、文明の発展とともに、人類の想像力は減退したのである。


各講義セグメントの要約

導入部:ダーウィン進化論とその影響

ダーウィンは過去20年間で最も影響力のある思想家とされるが、その進化論は三つの前提—偶発性、唯物論、創発性—に基づく。進化論はキリスト教的な「神の前の平等」という概念を破壊し、人種主義と優生学を生み出した。白人種の優位性を主張することで、19世紀ヨーロッパの帝国主義と植民地支配を正当化する神学として機能した。驚くべきことに、1859年の出版からわずか20年で、進化論は西洋世界全体の支配的パラダイムとなった。

進化論への疑問

進化論には多くの説明困難な現象がある。なぜ人類は唯一の人類種なのか。なぜ世界中に移住したのか。霊長類は移住しない。太平洋諸島への移住は特に説明困難である。数ヶ月間の航海は危険であり、島が存在する保証もない。また、ネアンデルタール人の宗教的儀式遺跡や、ホモ・サピエンスの洞窟壁画は、生存と無関係な活動である。これらは功利主義的説明では理解できない。

氷河期の人類の創造性

氷河期の人類は、マンモスを殺して住居、衣服、食料として利用した。しかし、どうやってそれを知ったのか。講師は「彼らはただ知っていた」と答える。10人の人間が言葉を交わさずに壁に絵を描く思考実験を行うと、直観的に協力し、美しい絵が生まれる。これは人間の想像力と共感力の証である。初期人類は、上司や計画なしに、直観的に協力して生活していた。

洞窟壁画の意味

3万〜4万年前の洞窟壁画は、細部まで精巧に描かれており、単なる遊びではなく、成人が長時間をかけて制作した。絵は夢や想像の中で見たビジョンを表現したものである。壁画は生と死、破壊と再生の循環を描く神話的物語である。動物を殺した場合、その犠牲を記念する必要があり、それがバランスと調和を生む。洞窟は精神世界への入口であり、そこで儀式を行うことで、殺した動物の魂を呼び戻すことができると信じられていた。

シャーマンと宗教性

4万年前のドイツで発見された「ヒョウ人間」の壁画は、シャーマンの存在を示す。シャーマンは精神世界とのつながりを持つ知恵ある指導者であった。音楽も重要であり、言語の起源は経済的必要性ではなく、歌と創造的表現の欲求にあった。音楽に言葉を加えることで物語が生まれ、それが言語へと発展した。

文字の意図的拒否

カナダの考古学者Genevieve von Petzingerは、ヨーロッパの洞窟に見られる幾何学的記号を数十年かけて調査した。これらは文字システムの萌芽であったが、初期人類は文字を書く能力を持ちながらも、意図的に使用しなかった。なぜなら、書くことは神聖な歌の「堕落」であり、共同体的な体験を個人化してしまうからである。すべては共同体的な体験であるべきであり、書くことは孤独な行為であった。

現代のストリートアート

現代のストリートアートは、洞窟壁画と同じ機能を持つ。スペインの壁画は、コミュニティに意味を与え、共同体の物語を語る。ある壁画では母親が中心に描かれ、家族がコミュニティの基盤であることを示している。芸術は世界に目的と意味を与える。

前文字社会の能力

前文字社会の人々は、より直観的、想像的、共感的であった。イヌイットの芸術は、神々と人間が一体となった世界観を示す。家自体が神殿となる。彼らは現代的な言語で自分たちの世界観を説明できないため、「愚か」と見なされるが、実際には共感力、想像力、直観力に焦点を当てているだけである。

共感力の例

アメリカには数学ができる馬がいたが、実際には馬は観客の反応を読み取っていた。観客が興奮すると、馬はそれが正解だと理解した。これは共感力である。もう一つの例は、自閉症児が親の心を読めるという主張だが、実際には母親が声のピッチで数字を伝えていた。この母親は教育を受けていなかったが、息子を愛し、息子の特別な能力(ピッチの識別)を見出し、それを活用するスキームを考案した。これは人間の想像力の力を示している。協力的な絵画でも、言葉を交わさずに協力することで、素晴らしい絵が生まれる。

馬上の戦士

ポロの試合を見ると、馬は騎手の心を読む。騎手が考える前に、馬は行動する。遊牧民社会では、戦士は馬の上で生まれ育ち、馬との深い感情的つながりを築いた。そのため、馬上の戦士は無敵であった。犬も同様にテレパシー能力を持ち、飼い主が帰宅する前に玄関で待っている。

想像力の回復力

人間は表現への衝動を持つ。感覚を失った人は、他の感覚が強化される。聴覚障害者は視覚が強化され、手話を使用する。中国では、聴覚障害者のグループはより深い感情的知性を持ち、より幸せである。ベートーヴェンは聴覚を失ったが、音楽を「見た」。音楽は振動であり、波である。彼は音楽を視覚的に捉え、ユニークな作品を生み出した。ジョン・ミルトンは盲目であったが、『失楽園』を「聞いた」。彼は秘書に歌ったものを書き留めさせた。そのため、『失楽園』は音楽のように美しい。

アルツハイマーと神聖な自己

アルツハイマー患者の自画像シリーズは、心を失っていく過程を記録している。しかし、これは社会化を脱ぎ捨て、真の自己を明らかにする過程でもある。アルツハイマー患者は三つの特徴を示す。突然の宗教性、歌への衝動、絵画への衝動である。医学的には「幻覚」と呼ばれるが、実際には氷河期時代に人類が持っていた精神性への回帰である。霊や妖精は常に存在していたが、社会化によってそれを忘れさせられただけである。

サイケデリックと芸術

サイケデリックを使用したアーティストの作品は、社会化を脱ぎ捨て、精神的領域に入る。猫の絵は、猫のエネルギー場、記憶、直観を示す。別の作品では、時間と空間の概念が消失し、ヘリコプターと猫が同時に存在する。これが人間の本来の姿である。ゴッホの作品は、社会化を脱ぎ捨て、絵そのものに焦点を当てた結果である。

五つの神話の否定

神話1:人間は物質的欲望に駆動される。真実は、人間は根本的に想像的であり、宗教的表現、多様性、探求を求める。

神話2:家族が最も自然な単位であり、男性が財産(女性を含む)を守る。真実は、人類史の大部分で女性が身体の自律性を持ち、多くの男性と関係を持つことで社会的結束を生み出した。

神話3:人間は「適者生存」という自然の鉄則に従う。真実は、人類史の大部分で人間は互いに思いやりを持ち、最も弱い者が最も神聖であると信じていた。

神話4:人間は世紀を経るごとに賢くなった。真実は、文明の発展とともに人間の想像力は減退した。前文字社会の人々は、より優れた記憶力、感覚、共感力、感情的回復力を持っていた。

神話5:人間は類人猿から進化した。真実は、人間は独自に想像的であり、自らの進化を選択できる。

結論:ロメート2世の埋葬

イタリアで発見された1万年前の小人症の男性、ロメート2世は、宝飾品とともに手厚く埋葬された。現代では小人症の人は価値がないと見なされるが、当時は神聖で特別な贈り物と見なされていた。三つの可能性がある。宇宙的バランスと調和の維持、前文字社会のより強い共感力と道徳性、多様性と差異への評価である。小人症の人は、より優れた物語、音楽、知恵、直観、神とのつながりを持っていたかもしれない。現代では、最高の物語作家や音楽家は、社会から疎外された人々である。彼らはより大きな想像力、直観力、共感力を持っている。


講義の核心メッセージ:現代社会は教育システムを通じて人々を機械化し、本来持っていた神聖な想像力、直観力、共感力から切り離している。しかし、人間の本質は物質的欲望ではなく、宗教的・精神的表現、多様性への欲求、探求心にある。初期人類の精神性と創造性を理解することで、現代人は失われた神聖な自己を取り戻す可能性がある。


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