Contents
はじめに
事前の備えで生死は決まる
阪神淡路大震災による直接死5500 人のうち4400 人(80%)が倒壊家屋による窒息死・圧死。90%の人が圧死で亡くなった。(3960人) 彼らは15分以内の即死だった。
熊本地震では、死亡41人のうち圧死20人、窒息死10人、家屋倒壊の犠牲がほとんど[R]
東日本大震災では圧死よりも津波の死者が多かった。しかし家具の転倒などによって逃げ遅れた人たちも、相当数いたはずだ。
死者は教訓を語らない
トイレや食事で困ったという教訓は”生き残った人の教訓”。
死者はけして「防災ベッドを用意しておけば良かった」「耐震補強をしておけば良かった」などとは語らない。
調査と耐震補強
腐れ・シロアリによる倒壊リスク
調査とメンテナンスの重要性
生物劣化(腐朽菌による腐れとシロアリによる食害)
生物劣化は地震被害を大きくしている一因であると考えられる。
リフォームの際に防腐防蟻処理と耐震補強も含めて実施することによって、被害をもう少し低減できるのではないか。
早期に発見して対応することでその損傷をほぼ回復できることも示した。そのため、調査とメンテナンスを実施することが重要であることを示した。
www.rish.kyoto-u.ac.jp/logos/wp-content/uploads/2016/10/14af23eaf919bd859d1e7b56d6f03c7a.pdf
www.cmckai.com/images/kyoto.pdf
南縁側の大きな開口部が弱点
新耐震の木造住宅では壁を北側に集中させているものや筋かいの根元が釘で留まっているだけというものが多く見られている。
南側の窓が大きいと、大地震時に南側が大きく揺すられたり、筋かいが外れたりするような被害が大きく見られた。
防災シェルター・防災ベッド
防災ベッド
耐震改修には木造建築の場合一般的に100~150万円がもっとも多い。そのため予算的に踏み切れない人も多い。
ベッドでは3分の1以上の時間を過ごし無防備であるため、もっとも倒壊による死亡リスクの確率が高い。
耐震ベッドは一個25万円~程度のため、居住者の数が少ない、予算が厳しい、借家で改修ができないなどといった人はセカンドチョイスとして検討してみてほしい。
確率的には地震リスクの高い地域に住まいの木造住宅において、耐震補強または防災ベッドなしで床につくのはヘルメットをつけずにバイクに乗るよりも危険性が高い。
防災ベッドは最も命の費用対効果が高い
防災ベッドは地震対策でもっとも対費用効果が高い震災対策のひとつであり、確率から考えれば一部の人では義務化してもいいぐらい。(自治体で購入補助があるのには理由がある)
水や食料の確保が重要であることを否定はしないが、健康な成人であれば3日飲まず食わずで死ぬことはない。割合として水や食料の備蓄をしていなかった人が多かったが、過去に地震で餓死したという人がどれだけいただろうか。
圧死した人の人数と冷静に比べれば、一般の人が地震対策でもっとも資源を注ぐべき対象は家の倒壊リスク。優先順位を間違えてはいけない!
多くの自治体で防災ベッドやシェルターの補助金を出しているため、購入を考えている場合は問い合わせてみてはどうだろうか。
防災用品はベッドの下に隠しておこう。防災用品をいくら揃えておいても、家が倒壊して下敷きになってしまえば使えなくなる。
自作単管シェルター(火災報知器の300倍のコスパ)
単管自作できれば3~4万円のコストで簡易の災害シェルターを作る事が可能。
防災ベッドシェルター・天蓋ベット 単管パイプDIY工作 LABO(ラボ)継手金具直販
火災にあう確率は一般家庭で30年で0.7%、 火災警報器の作動率は13%。
警報機の設置費用は3万円~、10年ごとの交換で9万円。 0.1%で9万円。
首都の地震発生確率は30年以内で70%と言われている。
震災ベッドの使用確率は寝ている間と、起床時あわせて50%と仮定
家の倒壊確率を、熊本地震の木造建築(旧耐震基準)28.2%(新耐震基準)10.9%。とするなら単管シェルターの損失期待値は火災報知器の約100~300倍優れる。
「単管の無骨さが」気になる人はカーテンや布などでカバーしよう。一度自分がむき出しの状態でリスクにさらされながら寝ていること気がつけば、無骨さも安心感につながるはずだ。
津波シェルター
津波の危険性が高まったら、とにかくすずめのごとく高台へ逃げる。「津波てんでんこ」
津波の間違った逃げ方は、津波が結果的に来なかったときに無駄足だと考えること。
津波で逃げずに結果的に津波が来なかったときに、逃げなくて良かったと考えるのも間違っている。
これはヘルメットをかぶらず運転をして事故に合わなかったからから、ヘルメットは不要だと言っているようなもの。
その他の例を引き出すなら、ロシアンルーレットを一回行うのと、高台まで走って逃げることのどちらかを選ばなければならないと迫られれば、まともな思考能力をもっていれば100人中100人が高台まで走って逃げる方を選択するはずだ。
一方で、寝たきり、障害者、防災業務などに関わる人など、逃げることがむずかしい人も一定数いる。(そういった多くの人が東日本大震災では津波に巻き込まれて亡くなった)そういう人はシェルターを用意しておくことも選択肢のひとつ。
- 津波シェルター ライフアーマー ~4人 39万円
- 津波シェルター ヒカリ ~4人 55万円
- 防災津波シェルター ~6人 217万円
- 津波避難シェルター ~6人 まんぼう 561万円
- 津波シェルター セーフプラス ~8人 398万円
家具の固定
転倒防止した家具だけは倒れず、やっぱりやっておけば良かったな
宮城県北部を震源とする地震(平成15年7月)
(東松島市:60代女性)[R]
負傷原因のほとんどが家具転倒
阪神大震災の負傷原因の70%が家具(46%)とガラス(25%)。
家具による圧死は10%、また家具による圧死は回避できたとしても、挟まれて身動きがとれなかったり、怪我で避難が遅れ津波に巻き込まれる可能性もあるため、潜在的にはより大きな震災時の死亡原因となっている可能性がある。
家具固定とガラスの飛散防止は、個人で行えるコスパの高い取り組み
家具の固定
・出入り口の大きな家具がある場合、家具が転倒し逃げられなくなることがある。
・冷蔵庫は100kg以上の重量がありもっとも凶悪、必ず固定しておく。
・揺れの大きい地震では、電子レンジや薄型テレビは倒れずに吹っ飛んでくる。20kgの重量物を投げつけられるとどうなるか想像してみてほしい。
・低い家具でも、固定していないとスライドして打撲被害を受けることがあるため、油断できない。
・食器棚は皿を割ってはいけないとつい支えてしまい、そこでガラスや陶器のシャワーを浴びることがある。食器棚を固定しておくことは当然として飛散防止フィルムも貼っておく。
家具固定方法
家具の固定は壁がベスト、天井は弱いことが多い。[R]
効果的な方法はL字金具での壁へ固定。[R]
突っ張り棒は天井に強度がないと効果がない。使うなら専用のものを最低二本、壁側両サイドに使う。[R]
食器棚には飛散防止フィルムをはっておく。地震による負傷の3割はガラスによる。