LEDで海馬を治そう(アルツハイマー病・認知症)

低反応レベルレーザー照射療法 LLLT(Low  Reactive Level Laser Therapy)

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免責事項を先にお読みください。

概要

はじめに

光治療について

光による治療といっても多くの種類、用い方があるのだが、一般的に光治療(光線療法)といわれるときは、睡眠障害だったり季節性のうつ病を治すために高照度の光を浴びる、間接的な療法を意味することが多い。

そういった光を用いる間接的な治療方法とは別に、光には細胞やミトコンドリアといった組織へ直接作用して組織の修復を促す光活性による治療もある。

光を増幅させるレーザーが開発されたことで、1960年代からレーザー治療が研究されるようになり、レーザー光が組織に直接働きかけて、傷ややけど痛み、炎症などを軽減する作用があることが知られてきた。

LLLT治療

ただ、レーザー治療というとエネルギー密度が高い光を中心に、直接患部へ照射して治療するニュアンスの強い広い概念なのだが、それとは対照的に、ここで紹介する低反応レベルレーザー照射療法/LLLT(Low Reactive Level Laser Therapy)は、低いエネルギー密度の光を用いて痛みを緩和したり、細胞機能を活性化したりする治療法を意味する。

遠赤外線ヒーターのような加熱を与えることによる治療効果と混同されやすいのだが、そうではなく植物が太陽から受ける光化学的な反応に近い。

波長域としては、赤色の可視光線や近赤外線が一般的にLLLTでは用いられる。

LLLTの研究

LLLTが分子レベル、細胞レベル、組織レベルで幅広い生体への影響を与える研究報告は積み重なってきており、これまで研究者の間ではさまざまな疾患の治療研究がなされてきた。

LLLTの二重盲検試験は230以上あり、5000近くの研究レポートが公開されており、そのうち90%以上がLLLT療法の臨床的価値を検証している。

多くのパラメーター

しかし、その基礎となるメカニズムがあまり理解されていないこと、また疾患に応じて光の波長、エネルギー密度、照射量、パルス構造、コヒーレンス、タイミング(治療の間隔)など多くのパラメーターの調整が必要であり、その調整方法も不明瞭であったことから、標準医療としてはこれまで採用されてこなかったものと思われる。

LLLTの否定的な研究は数十あるが、いくつか見た限りではパラメーターの設定に欠陥があるか、不適切な疾患対象、適応症の誤りなど、個別的な問題であるように思う。

LLLTのパラメーター

LEDの普及

ここ数年(といってもまだごく一部ではあるが)見直されるようになった理由には、LEDの存在が大きいように思う。

レーザーやLEDの特質でもあるのだが、波長、位相、方向性、といった光の特性を取り出すことができる。そのため、この光の波長だとこういう効果を生体に及ぼすということがLED高輝度化、性能向上と低価格によって臨床研究も行いやすくなり、そこから多くの知見が得られるようになってきた。

ちなみに、LEDのそういった不自然な波長特性が、今のブルーライト問題にもつながっているとも言える。

発毛促進だったり、関節炎、皮膚のアクネ治療などについては、安価な製品も出回っており、まさに今家庭レベルで広がりだそうとしている状況だ。

アルツハイマー病などの神経変性疾患についての応用は、ほんとこれからという状況で、海外のごく一部の活動を行っているグループをのぞけば、ほとんど知られていないといっていいだろう。

ミトコンドリアへの賦活作用

ヒトへの臨床研究は少ないもののいくつかあり、少数事例ではあるがけして無視できない結果が散見できる。

LLLTは臨床結果を見るかぎり根治治療ではなく対症療法的ではあるのだが、(そもそもアルツハイマー病に根治療法は存在しないので、この表現にも違和感はあるが)ミトコンドリアへの賦活作用という点において、アルツハイマー病の障害要因のひとつとしてきわめて重要な深部の因子へ働きかける。

マイナーではあるが「アルツハイマー病のミトコンドリア仮説」があることが、その重要性を示唆している。

空間的なスポット作用

また特定部位へ物理的に働きかけるという強みも非常に大きい。

当サイトでは多くの治療法を紹介しているが、アルツハイマー病の脳障害部位を、空間的にスポットで作用をおよぼし、かつ家庭で実行できる治療法はLLLTをおいて他にない。

そういった面からも、他の治療法ではカバーしきれない面を補完し、「MENDプログラム」または「ReCODEプロトコル」のひとつとして極めて重要な役割を担うであろうと思う。

以前のMEDNプログラムではLLLT治療は取り上げられていなかったのだが、今回ブレデセン博士の提唱する「ReCodeプロトコル」の中で、新たにプログラム治療のひとつとして取り上げられており、あらためて注目することにもなった。

LLLTのメリット

日光浴 vs LLLT

LLLTは、言ってみれば太陽などの雑多な光の集まりから抜き出した光成分ともいえる。

用いられる光のエネルギー密度は、太陽光と比べて、必ずしもよりパワーがあるというわけではない。

治療に有効な照射密度も探っていくと、ちょうど太陽を自然に浴びる(その特定の波長の)光の照射密度と同じか数倍あたりが基準になりそうだ。

ならば、何もそんなお金と手間暇をかけて治療を受けなくても、太陽の光を浴びればいいのではないかということにもなる。

例えるなら太陽などの自然環境から浴びる光とLLLTの光は、食事とサプリメントの関係に似ている。

食事は必ずしもその含まれているすべての化合物が、治療効果を発揮するわけではない。中には有害な作用をもつ栄養素も含みうるだろうが、トータルで見たときに有利な効果を及ぼすもの栄養度の塊が、人間の選別による自然淘汰で残ってきたものだと思っている。

その比喩で言うならLLLTは自然の産物なり食品などから有効な成分を抽出したもので、「LLLTは光のサプリメント」のようなものといえるかもしれない。

この比喩を広げるなら、波長の広いハロゲンライトのような光線療法は「光の漢方薬」?

コントロール性

純粋に治療効果をもつ波長を抜き出して、そして照射量も太陽のように曇りだとか、季節性、地域性など外部環境に影響されないため、治療に必要な有効量をコントロールすることができるというメリットがある。

また治療として用いるLLLTのエネルギー密度は、特定の波長域に限って言うなら真夏の太陽の数倍程度にはなるため、時間を数分の1に節約することもできる。

特異性

また、紫外線の害や日焼けを避けることができることは当然としても、ホメオスタシス作用を期待するものなので、疾患への効果と関係のない波長の光を浴びてしまうと、本来目的としたい効果の回復作用が減じる可能性もある。

※疼痛を抱えている人が、LLLTと同一の波長、同一の照射量を太陽から浴びても痛みが消えるわけではない。

太陽には太陽のメリットがある

しかし、別の見方をすれば、太陽を浴びるということも単一波長のLLLTでは得られない多くの利益をもつ、ということもいえるかもしれない。

LLLTの比喩でいうなら「日光浴は光の食事」とも言えるため、日光とLLLTはどちらかを選ぶようなものではなく、お互いに補完し合うものと見るべきだろう。

日照度の低さとアルツハイマー病の発症率には相関関係がある。ビタミンD合成不足、BDNF産生低下などの関与も示唆されているが、さらには頭皮からの近赤外線波長が足りないのかも!

もし太陽のある特定のスペクトル自体が、直接的に脳組織へ影響を及ぼし認知機能の低下を防ぐ可能性があるのであれば、特に日照時間の短い冬などは、帽子などををかぶらないほうが良いということにもなる。

男性なら坊主にすべきか? ここまで言うと怪しまれそうだなあ…

(赤と近赤外線だけを通過する帽子を、だれか開発してくれないだろうかw)

LLLTは運動効果に似ている

LLLTは運動に似ているようなところがあり、運動が一種のホメオスタシス作用への賦活によって健康効果をもたらすように、LLLTも軽い炎症や酸化を組織に引き起こし、その恒常性の仕組みによって改善をもたらすような側面がある。(恒常性作用ではなくダイレクトに改善する作用も多くある。)

そのため、例えば腰痛持ちの人が筋トレで改善していこうとするときに、体全身をくまなく鍛えようとするよりも、足腰を中心にスクワットなどで鍛えたほうがより効率良く腰痛の改善につながるように、特定の波長を用いて部分的に照射することで、特異的な疾患に対しては、特異的な照射がより大きな治療効果を発揮するという見方も可能だろう。

日の目を見ない体の部位を修復

また、LLLTが特に力を発揮するのは、光を浴びにくい身体の部位でもある。

研究報告を見ていると鼻腔内照射による海馬や嗅内皮質組織への活性効果以外にも、鼻腔内の炎症、アレルギー緩和、口腔内の歯周病治療だったり、外耳道による耳鳴り治療、表層的な痔への照射治療など、生活環境からの光では届きにくい部位で、LLLTの有効性が発揮されている。

※思いつきだが、LEDカプセルのようなものが開発されれば、カプセルを飲み込んでLEDが消化管を通過する過程で、光を上皮に継続的に照射することで、小さな腫瘍や潰瘍ぐらいだったら治療が可能になるといったこともありえるかもしれない。

近赤外線を得るためにわれわれは無毛になった?

ちょっと話しは変わるが、人間にはなぜ他の動物のように体毛がほとんどないのか、多くの仮説があるが、まだよくわかっていない。

そんな中で、ヒトが無毛であるのは、赤色および近赤外線の利益を多く享受できることの自然選択ではないかという興味深い仮説がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25703782

この論文によると、日光、つまり赤外線と近赤外線が皮膚に照射されることでATPは皮膚下組織で外合成され、ミトコンドリアの呼吸鎖活性が増加することができるとされている。

ある時代に突然変異によって無毛で生まれたわれわれの祖先は、そのことによって脳代謝の増強をもたらし、転写因子NFκBが活性化され100以上の遺伝子発現にも影響を与えることになった。引き続いて選択的淘汰が始まり200万年の間に急激な脳の進化が続いたというものである。

実際、ヨーロピアンや北国に住む人は日照時間が短いがゆえに、体内のビタミンD合成が平均的に不足している。

この説が正しければ、われわれは、日光で賢くなるために、リスクを背負って、身を守ってくれる体毛を捨てたということになる。そして、そのせっかく得た無毛というご利益を、むざむざと服を来ることで無駄にしているともいえるのかもしれない。

われわれは服を身につけるようになってから賢くなったじゃないかという人もいるかもしれないが、過去5万年間の進化はソフトウエアの進化によるものであって、実はハードウェアである脳の容量は20万年前をピークに小さくなっているのだ!

※現代の脳容量は3万年前から10%も縮小している。

※人が衣服を着用し始めたのは7万年前頃といわれている。

そういうわけでLLLTは、ひょっとすると現代生活で失われてしまった、ホモ属のアドバンテージを取り返す試みなのかもしれない。

LLLTの研究

作用機序(認知症・アルツハイマー病)

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LLLTは広い範囲の生物学的な効果をおよぼす。大きく分けると以下の3つ

1 細胞内光受容体の活性 → 生理的な変化

2 細胞内のシグナルカスケードの変化

3 遺伝子発現調節

アルツハイマー病と関連するであろうメカニズムに絞ってピックアップしてみる。

図2

・アミロイドβの凝集を防ぐ。

・ミトコンドリアへの作用によるATP産生、および電子輸送の増加

・細胞内光受容体であるシトクロムCオキシダーゼの増加 mtの膜電位が上昇、酸素使用量が増加→ATP

・ニューロン細胞死を減少させる。Aβ誘導の樹状細胞萎縮を抑制

・活性酸素種(ROS)の調節作用 SODの増加

※酸素の代謝を促進し、ROSを生成する。

・転写因子の活性 NFκB、p53、cAMP活性、HIF-1、Ref-1

※NF-κBは微量活性化される。

・血流の増加  内皮細胞の平滑筋の緩和を誘発することにより、血管拡張が引き起こされる。→ 障害部位の酸素利用濃度を高める。

・アポトーシスの阻害

・血管新生を活性化 VEGF

・神経成長因子 NGF、NT-3の増加、ERK/CREB活性→BDNF

・神経新生を増加

・ヒートショックプロテインのアップレギュレーション

図1

近赤外線の脳保護作用機序

図2

近赤外線への曝露は、ミトコンドリア膜電位の一時的な変化を引き起こし、ATP産生を増加させ、シトクロムcオキシダーゼの酸化還元に影響を与える。

このことは、内因性の細胞保護および修復メカニズムをまとめて刺激する、二次下流シグナル伝達経路のカスケードをひきおこす。

この複数のカスケード作用により、ニューロン調整作用が働き、損傷したニューロンの修復を促進する。

また、マウスモデルでは、このニューロン保護、修復作用に加えて、海馬領域、その他の領域において脳由来神経栄養因子のアップレギュレーションが含まれる。

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はfnins-09-00500-g0003.jpgです。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4707222/

低出力レーザー照射がPC12細胞のアポトーシスを阻害

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18769048

作用機序 その他

マウスの胸腺領域に照射することで、NOとHSP70産生が増加。10日間を超えない場合には免疫細胞の活性誘導さようがある。長期使用で免疫系に深刻な問題が生じる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16436179

LLLTは気道および肺の初期、および後期の炎症症状を緩和する。

リポ多糖類と酸化ストレスによる肺胞マクロファージの刺激によって発現するMIP-2mRNAへ、NアセチルシステインとLLLTの相乗効果がある。

NアセチルシステインがNF-κBを抑制。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21142721

臨床研究

症例報告 810nm 10Hz 軽度、中程度の認知症患者の認知機能を改善

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5568598/

被験者の平均MMSEの推移

少数事例とはいえ、MMSE10あたりの被験者も混じって平均2.5ポイントも上昇させている。おそらく、アルツハイマー病初期の患者だけで試験を行っていれば有意差である3ポイントを超えていたのではなかろうか。

12週間後LLLTを治療後、中止をして4週間後の計測で1.5ポイント下落。

継続して治療を行わなければならないようだ。

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はfig-2.jpgです。

※現在同一団体が、同じデバイスを用いて、二重盲検プラセボ数百名規模の臨床試験をトライアルしている。

ロシアの論文 メマンチン及びリバスチグミン(43人の患者)とPBM(46人の患者)または標準治療を受けたADを有する89人の患者を治療するための血管内PBMを使用。PBMは、動脈瘤の中の陰唇穿刺術を通し、前方および中間大脳動脈の遠位部位に前進させ、20〜40分間、20mWの赤色レーザーを送達することからなっていた。PBM群は、脳微小循環

file.scirp.org/pdf/WJNS_2015060513075344.pdf

動物モデル

脳卒中マウスに対してのLLLTの効果が現れるには2~4週間が必要。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16444697

LLLTが、ADマウスの骨髄の間葉系幹細胞を刺激して、アミロイドβ蓄積を低減、認知機能を向上させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27294393

その他

www.emersonww.com/InfraredHelmet.htm

www.science20.com/news_releases/can_this_infra_red_helmet_cure_alzheimers_in_10_minutes_a_day

vielight.com/wp-content/uploads/2017/02/Vielight-Inventors-Notes-for-Neuro-Alpha-and-Neuro-Gamma.pdf

その他

LLLT 関連動画

LLLTの専門家であるハンブリン博士へのインタビュー (SelfHacked)

マイケル・ハンブリン博士の経歴

光療法、特に低反応レベルレーザー照射治療を代表する専門家

マサチューセッツ総合病院光医学ウェルマンセンターの主任研究者

ハーバード大学医学部附属皮膚科教授

SIPEフォトニクスウエストで「低反応レベルレーザー照射療法のメカニズム」というカンファレンスで議長を過去10年務める。

ハンブリン博士へのインタビュー ピックアップ

・光線療法は数日から数週間後に効果がある。

・教授はLLLTを一週間に2回、15分間を額を使っている。(頭部は髪の毛が遮ると考えている)

・エネルギー密度の上限は100mw/cm2であるべき

・太陽のエネルギー密度は20~30mw/cm2

・太陽の問題は紫外線が多すぎること

・継続的に使用して効果を感じれない場合、過剰に使用している可能性がある。

・光線療法はグルタミン酸を減少させる。

・光線療法は睡眠抑制を開放する。

・脳損傷を持つ人は一般的にLLLT治療後疲労感を感じる。

・健康な人では疲労感を感じない

・LLLTによって炎症が一時的に引き起こされるのは健康な人だけであり、すでに酸化状態にある人にはLLLTは抗炎症効果をもつ。

・特定の光の波長のみが治療効果をもつ。700~760nm、800nm、1500nm、10000nm

・LEDは電球よりも良いように思えるが、その原因はわからない。

・赤外線LEDは目を損傷しない。おそらく目にいいはず。白内障など

・赤外線サウナは効果をもつであろう

・パルス化は10~100hzであれば良いかも、しかし細胞は混乱するかもしれない。

・鼻腔内のLLLT使用は、血小板経由で成長因子を増やしているのではないか。

マコーラ博士によるハンブリン博士へのインタビュー

LLLTのパラメーター

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