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ビタミンB6
概要
ビタミンB6は、ピリドキサール(PAL)、ピリドキシン(PIN)、ピリドキサミン(PAM)、またはそれらのリン酸化形態の酵素をまとめた総称。
体内ではそのほとんどが、PALとPAMの活性型であるPLPとPMPの形態で存在する。
体内でビタミンB6の活性型として作用するピリドキサール5リン酸(PLPまたはP5P)は、生体内での140以上の酵素活性に関与しており、知られている触媒活性の4%を占める。
ビタミンB6の多彩な作用
アミノ酸の合成、代謝、分解
神経伝達物質の合成
一炭素単位移転機構
生体アミンの代謝の補酵素
ホルモンの調節因子
テトラピロール化合物、アミノ糖、
免疫機能の発現と調節
効果・作用機序(認知症関連)
糖化作用に対する阻害効果(P-5-P)
ホモシステインの低下(葉酸、B12と併用で)
炎症抑制
神経伝達物質の合成 セロトニン、ドーパミン、アドレナリンノルアドレナリン、GABA
脂質代謝 スフィンゴ脂質生合成に関わる必須酵素(P5P)
血小板の凝集阻害
ビタミンB6過剰
非常に高レベルのビタミンB6は、毒性作用を有する可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18060778
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18754531
ビタミンB6の推奨される食事からの許容量は2mg/日(米国)で、ビタミンB6の過剰症は200mg/日を超える場合に観察される。
link.springer.com/article/10.1007/BF02834268
ビタミンB6代謝図
ピリドキサール/pyridoxal(PAL)
ピリドキサール(PL)
ピリドキサールは、ピリドキサールキナーゼにより活性型のピリドキサールリン酸に代謝される。
緑黄色野菜に含まれる。
検査
ピリドキサール(PL)は、ピリドキサールリン酸(PLP)の追加マーカーとして検査される。
血症PLはPLPと強い相関を示し、枯渇に数週間を要する。
全身性炎症を有する重症患者では対照群と比べPLPとPLの比率はより低い。
血清アルブミンが低下した重症患者では、血漿PLP:PL比が50%以上減少する。
PLはPLPの代理マーカーとなる可能性が示唆されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18614734
参考値
男性6.0~40.0ng/ml 正常範囲
女性4.0~19.0ng/ml 正常範囲
2.0mg/ml以下 低レベル
参考
30nmol/L = 7.4ng/ml
ピリドキサールリン酸(PLP、P5P)
ビタミンB6の活性型
140以上の異なる酵素反応において補因子として作用する。
ピリドキサール>ピリドキサールリン酸>(ピリドキサミン、ピリドキシン)
検査
PLPは、ビタミンB6の状態を調べるもっとも一般的な指標。
しかし、ビタミンB6と関連しないいくつかの要因がPLPに影響を与える。
・炎症(アルブミン結合によりPLPが減少すると考えられている)
・アルブミン濃度(アルブミン高値はPLPと結合しPLPの減少を示す)
・アルカリホスファターゼ活性(低ホスファターゼではPLPが上昇)
・アルコール消費量
これらは血症PLPの変動(30~40%)となる可能性がある。
PLPのTmaxは10時間程度。ビタミンサプリメントの摂取はPLへも急速な応答を示す。
ピリドキサール5リン酸欠乏
ビタミンB6(PLP)の欠乏は、いくつかの神経学的および非神経学的障害にも関与する。
ビタミンB6欠乏と関連する炎症関連疾患、脳血管障害
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21486513
アルツハイマー病患者の低いP5P
43人のアルツハイマー病患者の血清ピリドキサール5リン酸濃度が、37人の対照群と比較して低い可能性が12倍高かった。2002年カリフォルニア大学
www.lifeextension.com/Magazine/2009/7/B6-Vitamers/Page-01
ピリドキサミン/pyridoxamine(PAM)
en.wikipedia.org/wiki/Pyridoxamine
ピリドキサミン
効果
・メイラード反応を阻害し糖化最終産物を形成をブロックすることができる。
・糖尿病性腎症の治療、糖尿病性神経障害、網膜症
・脂質過酸化反応による脂肪酸化生成物の形成を阻害
一般基準値 男性・女性
0.6ng/ml以下(正常レベル)
0.2ng/ml以下(低レベル)
ピリドキサミンリン酸(PMP)
ピリドキシン/pyridoxine(PIN)
役割
・赤血球産生の促進
・ナトリウムとカリウムのバランスを調整
・ホモシステインとメチオニンの比率を減少させる。
・酸化によって有害なシュウ酸を変換するグリオキシル酸をグリシンへの変換に傾ける。
ピリドキシンの解毒作用
ピリドキシンはアルミニウム毒性によるアルツハイマー病などの神経変性障害に対して解毒作用をもつ可能性がある。in vivo
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12576137
ピリドキシンの抗酸化作用
ピリドキシンの抗アルツハイマー病効果は、Nrf2/HO-1経路のしげきによる抗酸化特性に起因する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30084803
ピリドキシン摂取量
参考値
男性・女性 3.0ng/ml以下
ピリドキシン欠乏
通常は食事からの摂取量で供給され、腸内細菌によっても合成されるため欠乏症まれ
皮膚炎、口唇炎、貧血、脂肪肝
アミノ酸の代謝異常
ピリドキシンの過剰
不活性型であるピリドキシンは、活性型ビタミンB6であるピリドキサール5リン酸塩を競合的に阻害する。
ピリドキシンは細胞モデルにおいて濃度依存的に細胞死を誘導する。その他の形態のビタミンB6では細胞生存率に影響を与えなかった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28716455
補給源
野菜、果物、穀物などに不活性型として含まれる
ピリドキシンリン酸(PNP)
ピリドキシン酸(PA)
ピリドキシン酸はPLPと強い相関
尿中のピリドキシン酸は、ビタミンB6剤の90%を占める。
食事中のタンパク質摂取量と逆相関するが、タンパク質の種類にも影響される。
尿中ピリドキシン酸は、枯渇に1~2週間以内の期間を要する。
ビタミンBの補充により血漿PLPは数ヶ月間上昇したままとなるが、尿中ピリドキシン酸は数日以内に低下するため、尿中ピリドキシン酸はビタミンB6の必要性の評価に有用である。
ビタミンB6の補給
食品
牛肉、鶏肉、ひまわりの種、ピスタチオ、養殖でない魚、かつお、バナナなど。