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ニール・ネイサン博士の著書「TOXIC HEAL YOUR BODY」による、マイコトキシン治療ガイドラインをまとめたもの。ニール・ネイサン博士とは若干アプローチが異なるCIRSによるカビ毒治療などの情報も追加しているため、書籍の内容が100%反映された記事ではない。より詳しく正確な記述については原著を当たってほしい。
なにから治療を開始するべきか?
毒性症状を引き起こす要因
- カビ毒性、バルトネラ感染
- マスト細胞活性化症候群
- ポルフィリン症
- 一酸化炭素中毒
マスト細胞活性とポルフィリン症
異常な過敏症状を示す患者では、マスト細胞の過剰活性化、ポルフィリン症があるか検査し、どちらかが陽性である可能性がある場合は、それらを治療することから始める。
肥満細胞が活性化している場合治療の早い段階で肥満細胞に対処することで、患者の治療への副作用症状が低くなり、残りの治療プログラムをはるかに容易に対応できるようになる。ポルフィリン症が存在する場合も同様。
カビ毒とバルトネラの共感染
敏感な患者でカビ毒性とバルトネラの両方が疑われる場合、例外を除いてカビ毒から治療を始める。その理由は以下の通り。
- カビの治療は全体的に穏やかで忍容性が良好である。
- カビの治療には大量の抗生物質は必要ない。
- 抗生物質はほとんどのバルトネラ患者に必要なため、治療の初期段階で抗生物質に敏感な腸内微生物叢への影響を最小限に抑制することができる。
- カビの毒性とバルトネラ感染症は、症状の発現が非常に類似している。カビが正常に除去されると、バルトネラに起因する可能性のある症状が完全に消失する可能性がある。つまり、カビ毒を治療することでバルトネラの治療を必要とする病因ががなくなる可能性がある。
上記の治療完了後
カビ毒性、マスト細胞の活性化、および/またはポルフィリン症の治療が完了した後、患者の症状は改善したものの、まだ完全に解決されていない症状がある場合次の原因を探す。
次の段階では、患者は治療開始時よりも敏感な反応は低下しており、次の治療にはるかに耐えることが容易なはずだ。
カビ毒 3つの基本アプローチ
- カビ曝露の環境から抜け出す(または修復)
- 毒素結合剤を服用する(検査→毒素結合剤の服用)
- 抗真菌薬とバイオフィルム溶解剤で副鼻腔と腸を治療
1. カビ曝露の環境から抜け出す(または修復する)
カビ毒の評価 ERMIテスト
2. 毒素結合剤を服用する
検査
カビ毒の尿検査 Great Plains(GPL-MycoTOX)、RealTime を行って、どの毒素結合剤が適切かを決定する。分析方法と検査対象の毒素が一部異なるため、複数の検査機関を利用でいればより包括的な理解ができる。
・Great Plains(GPL-MycoTOX) 国内の一部クリニックで取り扱いあり
www.greatplainslaboratory.com/gplmycotox
・REALTIME
realtimelab.com/mycotoxin-testing/
検査精度を高める
グルタチオン
カビ毒の尿検査テストの一週間前からグルタチオン500mgを一日二回摂取
サウナ
遠赤外線サウナ(または熱いお風呂)に入って30分後に検査。
サウナとグルタチオンチャレンジテストの両方を行うことで診断精度がかなり上昇する。
毒素に対する最適な毒素結合剤
- オクラトキシン:コレスチラミン、ウェルコール、TM>活性炭
- アフラトキシン:ベントナイトクレイ>活性炭
- トリコテセン:活性炭、クロレラ(低い証拠)、ベントナイトクレイ(低い証拠)
- グリオトキシン:ベントナイトクレイ、N-アセチルシステイン
コレスチラミン / Colestyramine
ウェルコール / Welchol
635mg錠の4分の1錠/日から開始、2錠×3回/日にまで増やす。
食事の30分前に摂取。医薬やサプリメントを摂取している患者は食事の90分前に摂取。
活性炭 / Activated charcoal
一錠500mgのカプセルからスタート。一日一回。3錠/日にまで増やしていく。
ベントナイトクレイ / Bentonite clay
液体 大さじ16分の1からスタート、一日一回 理想的なタイミングは空腹時または食前2時間と食後2時間
カプセルは、500mgのカプセルからスタート。感覚過敏の患者は1カプセルでも強く反応するかもしれない。その場合はすぐに摂取を中止し、副作用症状が無くなってから半~1カプセルを摂取する。
クロレラ / Chlorella
200mgのクロレラ錠8分の1錠から始め、3錠にまで増やしていく。
理想的なタイミングは空腹時、食前2時間または食後2時間
温室栽培のクロレラを使用する。天然の屋外の池で育てられたクロレラはしばしば汚染されており、過剰なヒ素やアルミニウムを含むことがある。
サッカロマイセス・ブラウディ / Saccharomyces boulardii
4分の1カプセル(30~100億CFU) 食後が理想的
グレイト プレーンズ ベントナイト / Great Plains Bentonite
Yerba Prima Great Plains Bentonite Clay
大さじ8分の1~16分の1/日からはじめ、少しずつ大さじ一/日まで増やしていく。同様に症状が悪化したらすぐに中止し、悪化症状がなくなってから同量または半量を摂取する。
オプチファイバー リーン / OptiFiber Lean
4分の1杯を水にかき混ぜ一日一回摂取 1杯×3回/日にまで増やす。
理想的なタイミングは空腹時、食前2時間または食後2時間
すべてのタイプのマイコトキシンに適合する感覚過敏の患者に適した毒素結合剤
www.xymogen.com/formulas/products/535
Trichosporon mycotoxinivorans(TM)
マイコトキシンの解毒に役立つと考えられている酵母種
オクラトキシンA、ゼアラレノン
onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jsfa.8533
副作用
毒素結合剤を摂取して悪化を示す場合、たとえそれがわずかな悪化であっても耐えてはいけない。時間経過によって毒素を処理する能力を上回る毒素が増加し、症状はますます悪化していく。早く良くなりたい(解毒したい)と我慢して摂取を続けて良くなったケースは数百人診てきて誰一人いない。
3. 抗真菌薬とバイオフィルム溶解剤で副鼻腔と腸を治療
毒素結合剤と同様鼻腔スプレー(抗真菌薬・バイオフィルム溶解剤)を使用して症状が悪化しないか注意深く観察する。我慢して使用することに価値はなく、耐えた期間が長いほど治療をやめた後回復に時間がかかる。
抗真菌薬
アムホテリシンB鼻腔スプレー
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18953552
ナイスタチン鼻腔スプレー
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3914414/
ケトコナゾール点鼻薬2% or イトラコナゾール点鼻薬1%
ケトコナゾールはFDAによる仕様の制限がある。
バイオフィルム溶解剤
ハイドロゾルシルバースプレー
抗真菌薬を使用する前に、鼻腔にハイドロゾルシルバースプレーを点鼻することで感受性の高さを知ることができる。
ハイドロゾルシルバーと抗真菌剤は相乗効果がある。この併用治療の忍容性が高い場合、バイオフィルムの融解スプレーを追加する。
EDTA含有キレート化鼻腔スプレー
キレート化スプレーは、容認できない鼻詰まりを引き起こすことがある。
海外ではEDTAスプレーを自作して利用する人も存在する。
biotoxinjourney.com/even-more-marcons/
BEG鼻腔スプレー(EDTA、Bactroban、Gentamicin)
BEG鼻腔スプレーは感覚過敏の患者には穏やかに作用する。
ゲンタマイシンは長期的には副鼻腔細菌耐性を引き起こす可能性があるため、ゲンタマイシンが除去されたBEGスプレーも販売されている。
www.woodlandhillspharmacy.com/compounds/biotoxin/beg-i-nasal-spray/
カビ毒治療の経過
回復期間
カビ毒治療について良いニュースと悪いニュースがある。
良いニュースは、カビ毒に苦しんでいる患者のほとんどが健康な状態にまで回復可能なこと。
悪いニュースは、その回復までには時間がかかることだ。
早ければ半年、長い場合で4~5年、、
カビ毒性の治療に関する米国環境医学会の2018年の専門家会議で、この分野で長年働いてきたほとんどの講演者は、完全な治癒には4〜5年かかるかかもしれないということで同意した。
私の経験では、一部の患者は非常に迅速に反応し、6か月以内に回復する。 患者の大多数は1〜2年以内に十分に回復する。 より割合は少ないが3〜5年で元気になる患者グループもいる。
共感染・カビ毒環境では長引く
改善に時間がかかる人の多くは、カビのある環境を離れることができないか、回復プロセスを複雑にさせる他のライムや微生物などに同時感染しているケースだ。
また、15~20年と長い期間病気であった患者が元気になるにはさらに数年かかる。
忍耐と根気は回復のプロセスに不可欠な要素である。