書籍要約『捕獣者ガイド:あらゆる種類の毛皮獣の捕獲と皮の保存に関する手引書;毛皮取引の観察、森林生活の心得、並びに罠猟と狩猟遠征の記録付き』スーウェル・ニューハウス 他著、J・H・ノイズ編集 1865年

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英語タイトル:『The Trapper’s Guide:A Manual of Instructions for Capturing All Kinds of Fur-bearing Animals, and Curing Their Skins; with Observations on the Fur Trade, Hints on Life in the Woods, and Narratives of Trapping and Hunting Excursions』Sewell Newhouse and Others, Edited by J. H. Noyes 1865

日本語タイトル:『捕獣者ガイド:あらゆる種類の毛皮獣の捕獲と皮の保存に関する手引書;毛皮取引の観察、森林生活の心得、並びに罠猟と狩猟遠征の記録付き』スーウェル・ニューハウス 他著、J・H・ノイズ編集 1865年

目次

  • 序論 / Introduction
  • 捕獣術:/ The Trapper’s Art
  • 第I章 予備知識 / Preliminaries
  • 第II章 動物の捕獲 / Capture of Animals
  • 第III章 皮の保存 / Curing Skins
  • 第IV章 森林生活 / Life in the Woods
  • 体験記:/ Narratives
  • ニューハウス式わな:/ The Newhouse Trap

本書の概要:

短い解説:

本書は、毛皮獣の捕獲を生業とする実践的な労働者を主な読者対象とし、鋼製わなを用いた効果的な捕獲方法から皮の保存技術、森林での生活術に至るまで、実地経験に基づく包括的な知識を提供することを目的とする。

著者について:

スーウェル・ニューハウスは、若年期に実際に罠猟師として活動した経験を持つ、優れた鋼製わなの製作者である。本書の編集者であるJ・H・ノイズは、ニューハウスの技術と知識を広く伝えるために、彼の知見を基に本書を編纂した。ニューハウス自身は現在、オナイダ・コミュニティの一員である。

テーマ解説:

本書は、鋼製わなを中核的な道具として、多様な毛皮獣の生態や習性に基づいた効果的な捕獲戦略、および捕獲後の皮の適切な処理方法と過酷な森林環境での持続可能な生活術を体系的に解説する実用技術書である。

キーワード解説:

  • 鋼製わな / Steel-trap:毛皮を傷めずに動物を捕獲するための、最も効果的で経済的な道具。
  • 仕掛けわな / Dead-fall:古くから使われる原始的ないわゆる「はこびし」。鋼製わなに比べ非効率で、捕獲した動物が他の動物に食い荒らされる欠点がある。
  • 跳ね上げ竿 / Spring-pole:捕獲した動物を地面から吊り上げ、他の動物による捕食や、動物自身による足の噛み切りを防ぐ仕掛け。
  • 滑り竿 / Sliding-pole:水辺に設置し、捕獲された動物が水中深くに潜ることで自動的に溺れ死ぬようにする仕掛け。
  • 房状乾燥台:/ Bow-stretcher:マスクラットなどの小型動物の皮を弓状に曲げた棒で広げて乾燥させる方法。板状乾燥台に比べ劣る。
  • 毒殺:/ Poisoning:ストリキニーネを用いる方法だが、毛皮の品質を損なうため現代の猟師はほとんど使用しない。

3分要約

本書は、19世紀半ばのアメリカにおいて、罠猟を生業とする者、あるいはこれから始めようとする実践者に向けて書かれた、毛皮獣捕獲と森林生活のための実用技術書である。著者のスーウェル・ニューハウスは、経験豊富な罠猟師であり、後に名高い「ニューハウス式わな」の製作者として知られる。本書の目的は、初心者でもすぐに実践できるよう、わなの選び方から仕掛け方、動物の生態、皮の処理法、さらには長期の森林滞在に必要な装備やキャンプ術に至るまで、具体的かつ詳細な指示を与えることにある。

ニューハウスはまず、毛皮獣の捕獲には鋼製わなが最も優れていると断言する。従来のいわゆる「はこびし」や毒殺、銃撃にはそれぞれ欠点があり、鋼製わなは運搬の容易さ、隠蔽性、毛皮への無害性などにおいて他を圧倒する。彼は特に、良いわなの要件として、刃が薄すぎないこと、受け皿が大きすぎないこと、バネの強度と焼き入れが適切であることなどを列挙し、不良品を見分ける知識を提供する。また、動物を捕獲した後の脱走や他の動物による捕食を防ぐための「跳ね上げ竿」や「滑り竿」といった補助的な仕掛けについても詳細に説明する。

続いて、マスクラット、ミンク、テン、フィッシャー、カワウソ、ビーバー、キツネ、オオカミ、クマなど、多種多様な毛皮獣それぞれについて、その外見や生態、習性を解説し、それに適したわなの設置場所や方法、効果的なベイト(誘引餌)の使い方を個別に説明する。例えば、水生のビーバーには滑り竿を用いて溺死させること、狡猾なキツネにはわなから鉄の匂いを消すために血を塗るなどの工夫が凝らされている。また、捕獲後の皮の保存方法についても、腐敗を防ぎ、市場で高値で取引されるための適切な剥ぎ方、肉や脂肪の除去方法、そして板状や房状、輪状の乾燥台を用いた正しい伸展・乾燥技術が詳細に述べられている。

さらに本書は、森林での長期キャンプに必要な装備品リストを、徒歩での移動と馬車やボートを使う場合に分けて提案する。テント、ストーブ、寝具、調理器具の具体的な作り方や携行方法に加え、虫除けの軟膏の作り方や、ジャーキー(保存肉)の製造法などの実用的な知識も提供する。後半には、60年にわたり罠猟を続けてきたジョン・ハッチンズやその息子たち、著述家のC・S・ジョスリンなど、複数の経験者による実際の罠猟体験記が収録されており、理論を補う具体的な事例や、森林生活の現実的な困難と魅力を伝えている。最後に、編者は本書の中心的な道具である「ニューハウス式わな」を紹介し、その品質に対する多くの罠猟師や問屋からの称賛の声を掲載することで、本書の内容の信頼性を裏付けている。

各章の要約

序論

本書は、単なる娯楽としての狩猟ではなく、生計を立てる手段として罠猟に取り組む実践的な労働者を主な対象としている。編集者は、罠猟の技術がわな製造と毛皮貿易という二つの産業の中間に位置し、それらが相互に影響し合う重要な経済活動の一环であることを指摘する。また、毛皮の取引価格は需要と供給、特にヨーロッパの市場動向によって変動し、捕獲に最適な季節は冬場であるが、地域や動物の種類によって異なることを述べる。

第I章 予備知識

この章では、罠猟の基本的な方法論として、鋼製わなが最も優れている理由を詳細に論じる。伝統的な「はこびし」は作るのに時間がかかり、捕獲した動物が他の動物に食い荒らされる危険性が高い。毒殺は毛皮の品質を著しく損ない、銃撃は毛皮に穴を開けるだけでなく、斜めに入った散弾が毛を根元から剃るように傷つけるため、毛皮商人から嫌われる。良質な鋼製わなの条件として、刃が薄すぎず鋭利でないこと、受け皿が小さく足を確実に捉えること、バネの強度と適切な焼き入れ、そして信頼できる自在継ぎ手(スイベル)付きの頑丈な鎖が不可欠であると述べる。また、跳ね上げ竿や滑り竿といった補助的な仕掛けについても図解付きで説明する。

第II章 動物の捕獲

本書の中心となるこの章では、約20種類の毛皮獣それぞれについて、外見や生態、習性を解説し、最適な捕獲方法を個別に示す。たとえば、カワウソは冬季に氷の下を移動する習性を利用した仕掛け、ビーバーは家族単位で行動するため一網打尽にするための戦略、キツネやオオカミのような狡猾な動物には鉄の匂いを消す工夫や発情期の雌の分泌物を利用した誘引法などが紹介される。クマに対しては、頑丈なわなと適切な重さの足枷(くさび)を用いることで安全に捕獲できると述べる。また、食用としても重要なシカやヘラジカの捕獲法にも触れ、銃がない場合や弾薬が尽きた時のための罠猟の有用性を強調する。

第III章 皮の保存

捕獲した毛皮の市場価値を最大限に引き上げるためには、適切な処理が不可欠である。この章では、皮が傷む前に素早く処理すること、余分な肉や脂肪を繊維を傷つけずに削ぎ落とすこと、直射日光や火を避けて風通しの良い日陰で乾燥させることなど、基本的なルールを提示する。特に乾燥方法として、動物の皮を丸ごと剥いで先細りの割れた板に被せ、くさびで広げて乾燥させる「板状乾燥台」、マスクラットなどに使われる「弓状乾燥台」、そしてビーバーやクマのような大型動物の皮をフープ状の輪で張って乾燥させる「輪状乾燥台」の3種類を紹介し、それぞれの利点と適した動物を説明する。

第IV章 森林生活

長期間にわたる罠猟遠征のため、本章では実践的な装備と生活術を提供する。徒歩での移動を想定した軽量な装備リスト(銃、斧、釣り道具、調理器具、食料、寝袋など)と、馬車やボートが利用できる場合のより充実した装備(大型テント、折りたたみ式ストーブ、快適なベッドなど)を区分して紹介する。また、虫除け軟膏の作り方、長時間保存可能なジャーキーの製造法、簡易的な小屋(シャンティー)の建築方法、そして効率的な罠猟のための「罠線」の設定や戦略的な補給基地の設置方法など、実地経験に基づく具体的なアドバイスが記されている。

体験記 / 罠猟用具としてのニューハウス式わな

本書の後半部分は、複数の経験者による罠猟の実話で構成される。ジョン・ハッチンズ親子の体験記は、60年にわたるキャリアの中で遭遇した危険な出来事や、フィッシャーという狡猾な動物にわなを盗まれた経験などを生々しく語る。ヘンリー・サッカーの記録は、冬の凍った沼でのマスクラット猟の詳細な方法を、C・S・ジョスリンの記録は、北の森林でのアマチュア猟師の経験をユーモアを交えて描き出している。最後に、本書の核となる「ニューハウス式わな」の歴史と特徴が述べられ、全米やカナダの罠猟師や問屋からの賞賛の声が多数掲載されている。これらの体験談と証言は、本書で解説された技術の有効性を実証するとともに、ニューハウス式わながいかにして当時の標準的な道具となったかを示している。