「議論の3段階」仮説 Alzhacker
The Third Level of the Discussion

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認知バイアス遺伝子ワクチン反対運動

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少し長いですが読んでみてください。「Turtles All The Way Down」からお借りした「議論の3段階構造」は、ワクチンに限らず、その他の医療の分野においても常々感じていることです。(おそらく医療以外の学問分野においても)

様々な専門領域に関する議論で、レベル1とレベル2のバトルが延々と繰り広げられ、レベル3の議論が常に放置されているように見えることがあります。

議論の3段階(The Third Level of the Discussion )

ワクチンとワクチン接種が、現代で最も熱い議論の対象となっている問題の一つであることは間違いない。毎日、インターネット世界のほぼあらゆる場所で、無数のワクチン関連の議論が行われていると考えてよいだろう。これらの議論は、親が読者であり、参加者であることから、3つのレベルで行われ、その結果、どのレベルで議論が行われているかによって、予想がつく。

最初の段階(最も浅いレベル)では、通常、ワクチン批判者が優位に立つ。ワクチンで大怪我をしたという子供のビデオや写真、ワクチンメーカーの腐敗や犯罪の報告、医療制度の不正や無能の恐ろしい話などが多くの親の関心を引き、しばしばワクチン接種に関する自分の立場を立ち止まって考え直させる。

しかし、それで終わることはめったにない。通常、ワクチン推進派(一般に理系の学生や医学・医療分野の専門家)は、批判的な意見に反論するために、最も近い利用可能な科学を駆使してすぐに反論する。彼らはしばしば、ワクチンは本当に安全で効果的であるという制度上の主張を、明白に裏付けると思われる科学的証拠の数々を提供する。そして、彼らは自信と科学的熟練、そしてワクチン研究の専門家としての見かけをもってそうする。これが議論の第二レベルである。参加した親たちの多くは、この時点で熟練した専門家についていくことが困難であることに気づく。彼らは通常、ワクチンに関する科学的な論文を批評する専門知識を持っておらず、その内容や結論に異議を唱えることができるのはごく稀である。ワクチン推進派は、学問的な訓練を受けた人たちなので、自分たちの「ホームコート」で勝負していることになり、その結果は、ほとんど常に、素人の相手に対する自分たちの元々の優位性を反映したものとなる。

多くのワクチン議論はこの時点で、ワクチン接種賛成派が優位に立ち、終了する。しかし、すべてではない。時には、ワクチン批判者の中に、議論を次の段階、つまり第三のレベルに引き上げる人がいる。この段階では、専門家が自分たちの主張を証明するために提出した科学そのものが批判的に吟味される。そして、本書に記されているように、むき出しの醜い真実が暴かれる。ワクチン科学はひどく不完全で偏ったものであり、(一般市民ではなく)資金提供者の利益を満足させるために意図的に設計され、実行されたものであり、真実をすべて語ることを故意に拒否した科学である。これは議論の最終段階である。ワクチン推進派が適切な議論を使い果たしたときである。彼らは提起された問題に対する答えを単に持っていない。ワクチン科学は不正操作されており、彼らはそれを否定しなければならないと思っているが、否定できないことを分かっている。ゲームオーバーだ。

「Turtles All The Way Down: Vaccine Science and Myth」

断絶が起こる理由?

ここでレベル2の人々によって、覆されてしまうレベル1のタイプと、そうではないレベル1のタイプの違いはどのようなものでしょうか?

さてここからは、この議論の3段階のアイディアを拝借し、作業仮説のひとつとして考えてみたいと思います。

レベル2に説得されてしまうタイプの人(レベル1従順)は真面目で教科書的な意味での理解能力が高い方が多く、説得に抵抗できる人は、理性というよりは自分の直感に従ったり、世間の常識というものをさほど信じていないタイプ(レベル1抵抗)が多いのかもしれません。

そうして一度生まれたレベル1従順のグループが、レベル1抵抗のグループらのセンセーショナルな画像や体験談などの投稿記事を見るとどう考えるでしょうか。中核的な部分は正しくても、誇張した表現や、尾ヒレもついているかもしれません。ソーシャルメディアはそのような感情を刺激する記事が広がりやすくなるよう設計されており、そのような動画を見る機会が圧倒的になると言ってもいいでしょう。

中には、見るからに賢さが欠如したチャラい若者が「ワクチンはヤバい」と言った動画も含まれるかもしれません。そのことが直接の判断にむすびつかないとしても、野蛮だ、理性的な人々ではない、非常識的な人々が多数派の陰謀だという印象は与えられることになります。

場合によっては反権力や極右という烙印を押してしまう可能性もあるでしょう。また、日本ではどうかわかりませんが、そのような工作が米国で行われていることが疑われているようです。

2020年に荒唐無稽な陰謀論として否定された話

ここで、「ほら、彼の(上記動画のクリス・スカイ氏)の言っていたことは正しかっただろう」と言う主張ではありません。しかし、2020年にこの動画を見て、外見や口調から語られている内容そのもにネガティブなイメージがついた方も多くいるのではないでしょうか。これはほんの一例に過ぎず、このようなレベル1向けの動画は国内でもほとんどを占めています。これは、当時、体制側にとっても非常に都合の良い動画だったのではないかと想像しています。

そして、テレビをつけてみると、ネクタイを締めた教授や博士の資格をもつ人々が穏やかな口調で、数字やデータを取り上げワクチンが安全であるという意見を唱えるのを見たとします。それだけではなく有名なあの人もこの人も、ワクチンが安全だと言っている…。そこで与えられる印象を覆して考えることが一般の人々にとって難しいことは想像に難くありません。これは、私たちがどれだけ外見的な評価や権威性で物事の内容を判断しているか、そしてそれを逆手にとることも可能であることを示す興味深い事例のひとつかもしれません。

もし、私が本当の陰謀を隠したいのであれば、「本当のことを語っている」が知的さをあまり感じさせない見るからに陰謀論を信じ込むように見える人物を探し出すでしょう。超能力だと、霊的だとか、スピリチュアルといった文言が見つかれば最高です。そして、その動画を可能な限り大量に拡散させるでしょう。いや拡散する努力は不要かもしれません。単に検閲を行わず放置すれば、多くの場合勝手に広がっていくでしょう。

しかし、マローン博士マッカロー博士のような、その経歴だけではなく、合理的な意見を表明する手強い専門家だけは、狙いうちにして検閲します。

まさにそのようなことが行われており、主要メディアでの徹底的な無視ぶりは見事としか言いようがありません。国内メディアでmRNA技術開発に貢献したカリコ博士の名前は何度も耳にしたと思いますが、それ以上に貢献したマローン博士の名前は一度として聞いたことはないでしょう。驚くべきことは、彼らの言う「誤報を伝える者」としてもです!

このような検閲と選択的非報道は証拠そのものを捏造しているわけではないため痕跡を残すことはほとんどありません。この手法は、比較的簡単なアルゴリズムによってSNSに実装することが可能であることも付け加えておきます。

レベル2グループにとっても、レベル1の世界が自然発生的であろうとそうでなかろうと、そのような怪しいグループに見えることで、その対比で自分たちを常識的で理性的である(つまり正しさの根拠にしてしまう)とみなし理解の窓を閉ざしているのかもしれません。またそのことが集団心理の一部に寄与している可能性もゼロではないでしょう。

COVID-19に関するオンラインの解説は、代替医療、反ワクチン、反権力の陰謀論に関心を持つ人々を白人至上主義のイデオロギーと結び付け、右翼過激派グループの勧誘の道具となっているのだ。-ビクトリア州警察

そうして、レベル1抵抗グループへの成功体験から、よりセンセーショナルな事実に訴える広報活動へと向かい、レベル1従順とレベル2グループはそれを見てますます態度を固めるというフィードバックが働き、お互いの分断が強化され悪循環する…これらがワクチンへの考え方の違いをもつグループ間に見られる断絶に寄与する理由のひとつなのかもしれません。

放置されるレベル3

私がここで心配しているのは、レベル1抵抗の勢力が大きくなるほど、同じ主張をもつレベル3の議論が、レベル2やレベル1従順グループにとって見えにくくなってしまうのではないかということです。

また、おそらくレベル2のグループも、レベル1抵抗のグループに対して陰謀論者などと集団心理現象を当てはめて上から目線で見ていることでしょう。その結果、レベル1と2の間には議論や対話ではなく、心理的なレッテル貼りの応酬だけが残ることになります。

「反ワクチン派」と話しても、ほとんど無意味だ。彼らは踵を返し、頭を振って、大声で『ぬぅううう!』と叫ぶ。彼らは自分たちの主張を裏付けるために、絶対的なゴミを引き合いに出する。しかし、彼らに立ち向かわなければならない。そうでなければ、彼らが何度も何度も自分の無知を吐き出すことが容易になる。[R]

レベル1従順とレベル2に影響を与える可能性としてのレベル3の議論の存在です。レベル3にもレッテル貼りの影響はありますが、その中核には理性に基づく合理的な議論が存在するため、注意深く提供する限り、コンテンツそのものを簡単に無視することはできません。このレベルでレッテル貼りが先行したり、議論を避けようとする場合、それは議論の中身で負けていることを示唆します。

レベル2にもその水準の議論を信じて疑わないグループと、利害関係や心理的(防衛機制)な理由からレベル2の議論にとどまろうとするグループや組織があります。後者の戦略は、彼らの戦略は、ひたすらレベル1の議論にツッコミを入れることであり、レベル3を徹底的に無視することのように見えます。

彼らがレベル3の議論を無視することが避けれられない状況に置かれた場合、レベル1には議論の中身がわからないことを見越して、どれだけ矛盾をつかれても負けを認めず(専門用語を駆使するなどして)言い張ることが可能です。彼らにとって大事なのはレベル1従順の人々にどう見えるかであって、議論の中身がどうであるかは関係がないようです。

この問題を克服するためには、レベル3の議論を洗練させることもですが、例えば前者と後者を区別するなどの戦略的視点も必要になってくるのかもしれません。

藁人形論法

mRNA遺伝子治療に反対する専門家や医師ら全員がレベル3に達しているかというとそうでもなく、例えばワクチンや感染症の専門性をもっていないがゆえにレベル1.5だったり2.5だったりなど、まさに玉石混交です。そしてレベル2グループが、(単に知らないのか、知る能力がないのか、意図的なのか?)メディアと同様に、けしてレベル3の議論には向き合わずに1.5の医師や専門家を批判したり揶揄することで正当化を示そうとしているように見えることがあるからです。これは広い意味でのストローマン(藁人形論法)と考えることができるかもしれません。

例えば、mRNA遺伝子治療に反対するレベル1.5と医師と支持するレベル2の医師が戦った場合、製薬会社の巧妙な研究不正の手口や、医学雑誌の差別的な査読出版などを詳しく知らないレベル1.5の医師が、うまくそれらを説明できず論戦では負けたり、引き分けで終わったように見えることがあります。

さらにレベル2.5の能力があったとしても、特にワクチンにおける噂の流布、中傷、嫌がらせ、譴責、降格、登録抹消、解雇といった弾圧があることが報告されており、萎縮効果が働く環境の中で純粋に議論で相手を打ち負かすことは難しいかもしれません。むしろ論文で示されているように反論の機会を最初から与えないようにされているというべきでしょう。フェアな土俵ではないという前提があることは強く認識しておく必要があります。

もうひとつの問題は、レベル1グループから見ると、どの専門家がレベル1.5でどの専門家がレベル3か、わからないため、レベル1.5の医師が論戦で負けたり、間違った根拠に基づいた正しい主張を行った場合、mRNA遺伝子治療に反対する全体の印象までもがダメージを受けてしまう可能性があることです。

これはワクチンの問題を離れて非常に一般的であると同時に、危険なことだと個人的には考えています。この真ではない専門家と呼ばれる者同士の対立構造は、部分的かつ偶発的な勝敗によって普遍化した現実を定義してしまう力が非常に強いからです。(ベストケースを代表していないことが視聴者に確実に理解されているのであれば異論はありません)

知の三重構造

一つ断っておきたいこととして、レベル1の議論が良くないとか不要だということではありません。私個人は、役割分担の問題であり、同じ主張をもつ人間が(ここではmRNA遺伝子治療に反対すること)複合的な戦略をもつことの必要性の中で考えています。理想的にはレベル3に全員が到達することなのかもしれませんが、そのような世界に私たちは住んでいません。

多くの場合、厳格で単純な信念を持つ人の方が、疑いや内なる葛藤に満ちた柔軟で洗練された人よりも、心に対する絶え間ない(プロパガンダの)弾幕に耐えることができた。深く根を下ろし、自由に吸収した宗教的信仰を持つ単純な人間は、複雑で疑問を持つ知識人よりも、はるかに大きな内なる抵抗を発揮することができた。洗練された知識人は、内的な賛否両論によって、より大きなハンディキャップを負う。

「The Rape of the Mind」思想統制、メンティサイド、洗脳の心理学

少し話題はずれますが、上記の言説は、より広いスケールで見た時に私たちは、(少なくとも思想統制が行われる環境において)レベル1の人々がある程度いることで守られている可能性すらあるのかもしれません。

また、もう一点断っておきたいのは、レベル3が必ず正しいという主張でもありません。レベル3は合理的な議論の深さや広さを示すものであって、レベル4やレベル5とが続く可能性を排除するものではなありません。議論が続いてく中でレベル3が否定的に考えられていく可能性はもちろんあります。

最大の問題はレベル3の議論が公平どころか、まったく公に扱われていないという非対称性があることです。レッテル貼りやグループシンク(集団思考)といったレベルでは、結局お互いで、そのような主張が可能になってしまい、メディアを武器にする側が声の大きさと強さで勝つことになります。しかし、まっとうな専門家の報道の徹底的省略と弾圧は心理学的事象や陰謀論では説明できません。

いずれにしもて、背景には複雑な問題が複数横たわっているため、この状況を簡単にひっくり返せるわけではありません。しかし、レベル1のグループに、このような議論の三段階構造があることを理解してもらうこと自体は、より容易であり、そのことによって少なくとも藁人形論法を無力化することが可能になります。

ストローマン論法(藁人形化)をする側は、反対派を不利に描かなければならない。そのためには、それ以上のことを知らない聴衆が必要である。つまり、もし藁人形論法の聴衆が、その見解にはもっと良いバージョンがあることを知っていれば、その論法はその聴衆には通用しない。

ストローマンの誤謬をどのように回避し、修正するのか?この誤謬は主に、聴衆が反対者の見解や主張をよく知らないという事実に依存していることから、最善の予防策は、ある問題に対するさまざまな見解について単に情報を得ることだ。

「Bad Arguments」47. Straw man

つまり、必ずしも複雑な議論の詳細を知らなくても、双方の主張が表面的なもの(レベル1とレベル2)であることを知ることができれば、片方が一方的に正しいと思い込むことは避けられるはずです。ワクチンについてでも何でもいいのですが、何か論証的な主張を見かけた時に、「それはどのレベルの議論なのか?」と自問することは、自分の呪縛を解くアィディアだと思います。もちろん、そのフレームワークを共有するのであれば相手に直接聞いてみることも、より建設的な議論が始まるきっかけになるはずです。

また、主張を同じくするレベル1とレベル3のより協調的な戦略が期待できるかもしれません。マローン博士やマッカロー博士、World Council for Health(世界健康評議会)など、レベル3の議論を発信している人物や組織への支援をより高めていく、彼らの議論を武器にするといったことも含まれます。

現状、特に国内において、こういった専門家らへ市民がサポートするスキームが確立されていないことに大きな問題を感じています。これは上記で述べたように専門家のレベルが異なること、一部でお互いの意見に不一致が見られたり、おそらく専門家も一匹狼の傾向にあったり、そして反対する市民の側もさほど組織化できていないことなどが抵抗運動の力が削がれている一因としてあるのではないかと想像しています。

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