同じ話を繰り返す人への対処法を調べてみた(認知症・アルツハイマー)

強調オフ

常同行動認知症症状・BPSD

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セリフの繰り返し (認知症・アルツハイマー患者)

同じことを繰り返しながら、違う結果を望むこと、

それを狂気という。

アインシュタイン

はじめに

プロフィールにも書いてあるが、アルハカ母は、認知機能全体は高いレベルで維持しているものの、海馬周辺の血流低下は大きく、短期記憶、直近の出来事の記憶がほとんどできない。

そのため、会話が繰り返されてしまう症状については、残念ながら改善が見られていない。

 

それ以外の日常行動能力が比較的正常なだけに、家族や周囲の人間からすると、その繰り返し同じことを言う症状が、ややも気になってしまったりもする。

とはいえ、以下のサイトに記載されているような、障害的な繰り返し症状(常同行動)には至っていないと思う。

www.aricept.jp/alzheimer/e-clinician/vol59/no608/sp06_02.html

 

今年に入ってぐらいから記憶改善に本格的に取り組み出していて、現在ほんの少しだけ改善の兆しは見えてきている。

まだそれほど月日が経過していないため、その成果がはっきりとわかるのはまだ先(次回のSEPCT検査)になるだろう。

 

この記事では中核症状としての記憶改善方法ではなく、同じ話を繰り返すという周辺症状への対策について、調べてみたこと考えてみたことを書いてみたい。

基本、母の軽度の繰り返し症状(重度の常同障害ではない)に即して調べているので、そのことにも注意してほしい。

 

ウエブサイトにあった対処方法

I like boring things. 退屈なことが好きなんだ。

アンディ・ウォーホル

 

サイト上にあった情報、みなさんの試行錯誤を簡単にまとめてみた。

 

ビギナー

繰り返しを、もろ指摘してしまう。

介護者「それさっき言ったよ」 ← アウト!

 

理想主義者

ひたすら、じっと丁寧に聞いてあげる。

介護者「なるほど、へー、そうなんだ。」 ×30回 → いらいら

→ 聞き手が挫折

 

現実主義者

5回聞いたら、ストレスがたまるので控えめに指摘するというルールをもうける。

介護者の気持ち

「控えめってどうやるんだ? それに、そもそも指摘したことを忘れるし、、」

 

技術者

ホワイトボードを用意して、聞いたことの答えを書く。

メモに書いて本人が見えるところへ貼っておく。

 

介護者の気持ち 「すでにやっている、事務的なことはそれである程度解決つくけど、「小学校の思い出話3回目だよ」とか書けないしなあ・・」

→ 日常会話はメモしにくい!

 

 

常道行動

人は物事を繰り返す存在である。

したがって優秀さとは、行動によって得られるものではなく、その習慣の賜物である。

アリストテレス

 

まずは認知症患者が同じ台詞を繰り返すことに関して、研究された文献を探してみた。

しかし、この「繰り返し同じことを言う」という症状に、どうも正式な病名がなさそうだ。

 

台詞の繰り返しというか、もっと広い意味で同じことを繰り返す常同行動(RBs: repetitive behaviors and stereotypiesという呼び名はあるのだが、これも少なくとも認知症患者に関して体系的に研究された様子はなさそうだった。

また常同行動になると、前頭側頭型認知症の症状としてよく論じられていて、線条体のフィードバックが機能しなくなってとか、前頭葉回路が損傷しただとかいった神経生理学的な話になってしまって、海馬機能の障害によって生じる(と思っている)アルハカ母の単純な物忘れ的繰り返しとは違うんじゃないかなあ、という気もする。

※実際、常同行動について書かれた論文のほとんどが、前頭側頭型認知症についての研究だったりする。

behavioralandbrainfunctions.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12993-016-0087-y

 

しかし、以下の記事を読んで見ると、そう単純な話でもないようだ。

documentslide.com/download/link/repetitive-and-stereotypic-phenomena-and-dementia

以下 気になった一文

アルツハイマー患者の60%に常同行動が見られる。反復的な発言は、記憶力の低下によるものと仮定されている。

しかし、その仮定ではアルツハイマー患者全員、記憶力が低下しているのに、40%の人には常同行動がないことの説明がつかない。

 

「うーむ、言われてみるとたしかにそうだ。」

同論文や他の文献から役に立ちそうな内容を抜粋してみる。

基本

質問の繰り返しと、語りの繰り返しでは、異なる神経学的メカニズムが働いている可能性。

基底核および前頭葉回路が常同行動の説明候補として知られている。

常同行動の原因は複雑、非薬物療法を第一選択肢とし、複数の要因をターゲットにした戦略を組み立てるべき。

繰り返し、単調さの危険性

反復行動、ステレオタイプ行動は、基底核、皮質層構造の協調機能の破壊につながる可能性がある。

・神経系への刺激が少なすぎたり、逆に過剰にさせても行動異常が生まれる。 過度な刺激は避けるべきである。

過度な刺激の例

1 テレビをDVDに置き換えて、同じ内容をずっと再生して見させる。

2 食事で食べ物を一品物しか出さない。

3 複数の介護者ではなく、一人の介護者ばかりが対応するなど。

対処法

・破壊的な発声を過剰に繰り返す症状に対しては、一対一のコミュニケーション、家族が作成したビデオテープの観覧、音楽療法の中では、音楽療法が一番有効であり、著しく症状を改善。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7825703?dopt=Abstract

 

・抗うつ薬がアルツハイマー患者の常同行動を軽減する可能性

ブスピロン(5-HT1Aアンタゴニスト)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16720804?dopt=Abstract

※ちなみに、イチョウ葉エキス(ギンコビローバ)は5-HT1Aアゴニストでもある。そのためイチョウ葉エキスを摂取することで逆に常同行動を強める可能性もある。

 

ドネペジルで治療されたアルツハイマー患者が、繰り返しの台詞が減少

その他

左脳梁領域での局所脳血流量増加が、反復する質問と正の相関

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20971619

 

ドーパミン欠乏マウスの常同行動には、D1受容体の活性化が必要

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11517332?dopt=Abstract

 

強迫性障害に関与する脳部位

眼窩前頭皮質、前部帯状皮質、大脳皮質基底核回路

www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(00)00113-6?_returnURL=http%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0896627300001136%3Fshowall%3Dtrue

 

前頭側頭型認知症の常同行動は、全体的により複雑であるのに対して、アルツハイマー病患者で常同行動が起こる場合、より単純な常同行動であったり、刺激にむずび付いた反復行動が起こる傾向。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14570833?dopt=Abstract

 

 

まとめ

限られた情報だが、簡単にいくつかの関連論文にあったことをまとめると、

・認知症患者の繰り返し行動、台詞は、単に記憶ができないからという理由とは限らず、心理的な要素、神経学的な障害の要素と様々である。

・繰り返すメカニズムは認知症のタイプによっても違い、同じアルツハイマーでも異なる可能性がある。そして同じ患者であっても、短い質問の繰り返し、長く自分のことを語るときでは、異なる病因によって生じている可能性がある。

・繰り返しの行動は複雑でその仕組みがわかっていない。対応していくには非薬物療法を複合的に用いることが重要。

・過度の行動・セリフの繰り返しを、ずっと受け入れていると、介護者の負担のみならず、患者本人にとっても、脳の可塑性を衰えさせるかもしれない。

・繰り返し行動が障害の危険域に達するのは一ヶ月、1~2週間同じ内容が繰り返されるようであれば、対応を考えたほうがいいだろう

・怒声、奇声が過剰に反復されるケースにおいては、音楽療法が改善効果をもつ可能性がある。

・非薬物療法で効果がない場合、抗うつ薬が効果を発揮するケースもある。ドネペジルが繰り返しを緩和する可能性もある。

・アルツハイマー病患者の繰り返しは、単純なものが多く、単一な刺激、同一の周辺状況により繰り返し症状が起きているかもしれない。

・だとすれば、言葉で指摘するよりも、環境や外部刺激を変えたほうがいいかも?

 

根治に結びつくような情報はないのだが、このまとめを参考に?経験談や考えてみたことも踏まえ、次のブログ記事で実践的な内容を書いていきたい。

 

<続 ブログ記事>

同じ話を繰り返す人への対応 1 自分をその状況から切り離す

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