アルツハイマー病発症因子 APPγ切断の過剰

リコード法 36項目/Reduce γ-cleavage

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概要

アミロイドβ40およびアミロイドβ42は、細胞外においてまず最初にβセクレターゼによって切り出され、後に細胞内でγセクレターゼによって切り出されることで産生される。

en.wikipedia.org/wiki/Gamma_secretase

そのためγセクレターゼ阻害剤は、当初は期待の高いアミロイドβ阻害剤として開発されてきた。

γセクレターゼ阻害剤の問題点

・γセクレターゼの基質は90種類以上存在する。

・臨床試験において脊髄液中のアミロイドβレベルの低下は示されなかった。

・アミロイドβレベルが低下するまで投与量を増やすと容認できない副作用が認められた。

・第三相では有意に認知機能の悪化を示した。

・Notchシグナル伝達経路の阻害と関連する副作用(皮膚がん、消化器系副作用)

・アミロイドβ40、42は継続的に産生されるため、抑制するためにはγセクレターゼを継続的に投与しなければならない。

現在、γセクレターゼ阻害剤は、少なくとも持続的投与が可能なアルツハイマー病治療標的候補となる可能性は低いとみなされている。(現在、Notchを阻害しない、または最小限に抑えるγセクレターゼモジュレーターの開発が試みられている)

www.nature.com/articles/nrd3288

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006322310009649

γセクレターゼ阻害剤(セマガセスタット)フェーズ2臨床試験

脳脊髄液のアミロイドβレベルに有意な減少は見られず、認知的、機能的スケールにおいて対照群との差は認められなかった。

脳内のアミロイドβ産生を効果的に低下させる用量では、Notchシグナル伝達経路の阻害により全身毒性を引き起こす懸念が生じた。

フェーズ3で、皮膚がん、消化器副作用、認知機能悪化増加により中止された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18695053/

γセクレターゼ切断モデル

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3857966/

Notchシグナル伝達経路

ja.wikipedia.org/wiki/Notchシグナリング

bsd.neuroinf.jp/wiki/Notch

Notchの役割

Notch経路は神経、造血、血管、体節などの様々な分化過程に関係する遺伝子調節(シグナル伝達)経路。

Notchシグナル伝達には細胞間の物理的な接触を必要とする。細胞同士の相互作用により特定の細胞の形の境界を確立する重要な役割ももつ。

Notchは、胚だけでなく、免疫細胞、腸内の胚細胞の形成および発達に関与している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15959515/

神経幹細胞と神経前駆細胞のバランス調整

ニューロンの分化にも関与しており、神経発達において特に重要である。

Notchシグナル伝達経路は、神経幹細胞と神経前駆細胞のバランスを維持する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20844536/


Notch1ノックアウトマウスは、前駆細胞プールの枯渇を引き起こすことから、Notchが神経幹細胞の維持に必要であることが示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22514327/

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5436903/

γセクレターゼ阻害剤によるNotchシグナル伝達経路への干渉

Notchはγ-セクレターゼの基質でもあり、Notch阻害剤はAPP切断だけでなくNotch切断もブロックする。

そのためγセクレターゼ阻害剤に使用が、Notchの生理学的役割を妨害することから患者に大きく副作用を引き起こす可能性があることが示唆されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10206645/

Notchシグナル伝達が阻害されると、EphB2受容体発現が低下することによってシナプスが損傷する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20592273

アルツハイマー病患者のNotch

アルツハイマー病患者では海馬ニューロンで発現しているNotch1の活性および発現は有意に減少する。

www.alzheimersanddementia.com/article/S1552-5260(17)31610-2/fulltext

Notchシグナル伝達経路の制御は神経幹細胞の維持により、認知機能を改善する可能性がある。

Notchシグナル経路の活性

バイカリンによってNotchシグナル経路が活性化される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19160421

Notchシグナリングのがん細胞への影響

Notchシグナル伝達経路は、しばしば前駆細胞を未分化の状態に維持するため、この経路の過剰活性は癌を引き起こす可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17332312/

Notchは皮膚においては腫瘍抑制因子として作用し、γセクレターゼ阻害はNotchシグナル伝達経路を妨害することによって皮膚癌を引き起こしえる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19573812/

「notch signal pathway gamma amyloid」の画像検索結果

www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnagi.2014.00342/full

γセクレターゼ阻害剤

プラズマローゲン

プラズマローゲンは、直接的にγセクレターゼ活性に影響を与え、APPプロセシングを阻害する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22547976

スルホンアミド

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19671883/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24900185/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24192706

アメリカンローズウッド(Pterocarpus erinaceus)

天然抽出物Pterocarpus erinaceusが、γセクレターゼ活性阻害を示したが、γセクレターゼNotch細胞内ドメイン放出を阻害しなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24192706

γセクレターゼ・モジュレーター/GSM

NSAID

イブプロフェン、インドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症薬はγ-セクレターゼ活性を直接調節することによりアミロイドβ42産生を減少させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12805356/


NSAIDであるスリンダク、フルルビプロフェンがアミロイドβ40および42の分泌を減少させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14690522/


NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ活性とは独立してアミロイドβ42の形成を選択的に低下させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11700559/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15834426/

トリテルペノイド含有ハーブ・食品

ja.wikipedia.org/wiki/トリテルペノイドサポニン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23030762/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23597079/

アシュワガンダ、ブラミ、桔梗、朝鮮人参、ゴツコラ、肝臓、マンゴー、オリーブ、玉ねぎ、ローズマリー、タイム、ナツメ、フェヌグリーク、オレアノール酸

ブラックコホシュ

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5456218/

γセクレターゼの活性

フェノフィブラート、セレコキシブ、天然物であるイソプレノイドは、γセクレターゼの調節を介してアミロイドβ42の産生を増加させる。

www.nature.com/articles/nm1235